施設系介護サービスの違いとは

投稿日:2015-04-08
更新日:2022-10-31

施設系介護サービスの違いとは

介護が必要な状態になった場合、私たちはどのような施設に入所できるのでしょうか。

高齢者が入所する施設には、介護保険法で定められた介護保険施設(後述)以外にも、老人福祉法や高齢者住まい法で定められた施設があります(参考1)。

この記事では、介護保険法を始めとする様々な法律によって定められた福祉施設のうち、代表的なものをピックアップして、その特徴や違いを解説します。

施設系サービスとは

では早速、福祉施設の特徴を見ていきましょう。

特別養護老人ホーム

自宅での生活が困難で、常に介護が必要な要介護高齢者(原則として、要介護3以上の人)が入所する介護保険施設の一つです。
入所する利用者の平均要介護度は3.95で、要介護4が37.8%で最も多く、次いで要介護5が32.3%で多いです(参考2)。
この数値から、施設利用者の多くは身体的な疾患、障害を抱えているばかりか、認知症の罹患者が多いと考えられます。

利用者は、食事、入浴、排泄などの生活上の介護サービスを受けて、施設内で生活を送ります。この施設は原則として終身にわたって利用することができるため、看取りの体制が整えられており、ターミナルケアを提供している施設が多いです(参考3)。

人員配置基準は3:1で、利用者3名に対して1名以上の介護・看護職員の配置が定められています(参考4)。

介護老人保健施設

介護老人保健施設は介護保険施設の一つで、病院に入院していた利用者が、急性期の治療が終わり、今後は回復期でのリハビリを中心とした生活に移行する場合に入所する施設です。

施設内では、医学的な管理を受けながら、生活上の介護(食事、入浴、排泄等)や看護、リハビリ等のサービスを受けます。利用者の自宅復帰を目標とする施設で、主に要介護1以上の人が対象です。

とはいうものの、この施設には重度の認知症や要介護度の高い利用者が入所しているケースがあることから「特養化している」との指摘があります(参考5)。
また、施設では最期を迎える利用者もいるため、併設される医療機関と協働して看取り・ターミナルケアを提供しているところもあります(参考6)。

職員の人員配置では、特別養護老人ホームと同様に、利用者3名に対して1名の介護職員および看護職員を置くことが定められています。ただし、そのうち看護職員は2/7程度とされています(参考7)。

介護医療院

介護医療院は経管栄養や膀胱カテーテル、喀痰吸引など、医療と介護の両方が必要な利用者が入所する介護保険施設で(参考8)、利用者は医療的処置、リハビリテーション、介護を受けられます。
これまでに紹介した特別養護老人ホームや介護老人保健施設に比べると、より医療環境が整っている点に特徴があります。

重篤な身体疾患を抱える人や、身体合併症のある認知症高齢者が入所するⅠ型と、Ⅰ型の入所者よりも比較的安定した状態の人が入所するⅡ型とに分かれています。

介護職員および看護職員の人員配置は、前述の介護老人保健施設と同じで3:1で、看護職員の割合も同様に2/7程度と定められています(参考9)。

有料老人ホーム

有料老人ホームは老人福祉法に定められた施設で、主に民間企業が設立し運営しています。次の3種類に分けられており、それぞれに特徴があります。


種類 内容 人員配置
介護付き有料老人ホーム 主に介護を必要とする利用者が入所し、食事、入浴、排泄の介助や、生活上の支援を受けて日常を送る施設。利用できるのは自立~要介護5の高齢者等。 要支援者:看護・介護職員=10:1
要介護者:看護・介護職員=3:1
住宅型有料老人ホーム 自立〜軽度の要介護者が入所し、食事の提供や、掃除、洗濯などの生活上のサポートを受けられる施設。必要に応じて、外部の介護サービスを利用することができる。利用できるのは自立〜要介護5の高齢者等。 法令上の規定はないが、介護サービスの安定的な提供に支障がない職員体制とすること、とされている。
健康型有料老人ホーム 自立した生活のできる利用者が入所し、充実した余暇時間を過ごすための設備やサービス(レクリエーション、趣味のイベント、サークル活動)が充実している点に特徴がある。ただし、介護が必要な状態になった場合は、転居や退去しなければならない点がデメリット。利用できるのは、原則として自立した高齢者等。 要介護者は入居できないため、法令上の規定はない。

厚生労働大臣の示す資料「特定施設入居者生活介護(参考資料)」によると、有料老人ホームの数や入居者数は年々右肩上がりに増えてきており(参考10)、高齢化によるニーズの顕在化がうかがえます。

また、入居者の4割程度が要介護3以上である点や、認知症高齢者の入居が少なくない点などから、介護保険施設と同じような役割が求められつつあるといえ、最近ではターミナルケアを提供する施設もあります(参考11)。

サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)とは高齢者住まい法に定められた施設で、高齢者の単身・夫婦世帯が入居できる賃貸住宅を指します。

入居する高齢者が安心して暮らせるように、次の点に特徴があります(参考12)。


  • 賃貸住宅と同じ扱い
  • 一人あたりの床面積が25㎡以上
  • 段差解消・手すり設置などのバリアフリー構造
  • ケアの専門家による安否確認サービス、生活相談サービスの提供
  • 食事の提供(施設によって異なる)

介護が必要な状態になった場合、利用者はサ高住を運営する事業者等が提供している介護サービスを利用するか、地域にある介護サービス提供事業者のサービスを利用するのか選択することができます。

有料老人ホームのように入居一時金が必要無く、家賃もそこまで高く設定されていないため、利用者にとっては経済的に優しい点に特徴があります。

なお、人員配置は次のいずれかの者が日中に常駐することが規定されています(参考13)。


  • 社会福祉法人、医療法人等のサービス事業者の職員
  • 医師
  • 看護師、准看護師
  • 介護福祉士
  • 社会福祉士
  • 介護支援専門員(ケアマネジャー)
  • 介護職員初任者研修等の修了者

常駐しない時間帯(夜間)は、緊急通報システムによって対応することとなっています。

グループホーム

介護保険法で定められた地域密着型サービスの一つで、認知症を患う要介護高齢者等が入所する小規模(5〜9人の少人数、ユニットという)の施設です。
利用者は基本的に個室で生活を送り、食事の時間などは共同スペースで過ごします。家庭的な雰囲気があり、適度に介護職員や他の利用者と関わりを持ちながら共同生活を送る点に特徴があります。

入所できるのは要支援2~要介護5と認定された高齢者等で、厚生労働省の示す「認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)」によると、平均要介護度は2.74で、多い順に要介護3が25.9%、要介護2が25.2%となっています(参考14)。

平均要介護度だけを見ると、介護保険施設に比べると重度の入所者は少ないと思われがちですが、実際には重度の認知症高齢者が入所しているケースもあります(参考15)。

利用者の要介護状態が悪化して看取り・ターミナルケアが必要になった場合は、本人や家族に相談したうえで、医療機関への入院、または特別養護老人ホームなどへの入所となるのが一般的です。しかし、一部のグループホームでは、かかりつけ医や看護師・介護職員の連携によって、看取り・ターミナルケアを提供しているところがあります(参考16)。

介護職員の人員配置は、日中は利用者3人に1人の常勤介護職員を置くことが定められています。一方の夜間においては、ユニットごとに1人の介護職員を配置することが規定されています。

まとめ

高齢者が入所する施設には、いくつかの種類があり、それぞれに特徴が異なります。

介護保険法に定められた施設(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設等)であれば、担当の介護支援専門員(ケアマネジャー)に聞けば施設の特徴を教えてくれるはずです。

老人福祉法等で規定されている施設では、入所する前にどのようなサービスが利用可能なのか、事業者からの説明を聞き、比較検討することが大切です。

参考文献

  1. 「施設・居住系サービスについて」社保審-介護給付費分科会 第100回(H26.4.28) 資料4-2 厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000044903.pdf(閲覧日:2022年10月27日)
  2. 「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」社保審-介護給付費分科会 第183回(R2.8.27) 資料1 厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000663498.pdf(閲覧日:2022年10月27日)
  3. 「⼈⽣の最終段階の医療における厚⽣労働省の取組」厚⽣労働省https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/wg1/281027/shiryou1-1-1.pdf(閲覧日:2022年10月27日)
  4. 「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の報酬・基準について(検討の方向性)」社保審-介護給付費分科会 第190回(R2.10.30) 資料8 厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000689880.pdf(閲覧日:2022年10月27日)
  5. 「第2の特養化問題と介護老人保健施設施設の医療機能」全老健常務理事 介護老人保健施設なのはな苑理事長 内藤圭佑 老健 2010年度11月号 P7(閲覧日:2022年10月27日)
  6. 「⼈⽣の最終段階の医療における厚⽣労働省の取組」厚⽣労働省(閲覧日:2022年10月27日)
  7. 「介護老人保健施設(参考資料)」社保審-介護給付費分科会 第144回(H29.8.4) 参考資料2 厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000174012.pdf(閲覧日:2022年10月27日)
  8. 『最新 社会福祉士養成講座 高齢者福祉』一般社団法人日本ソーシャルワーク教育学校連盟=編集(2021)中央法規出版(閲覧日:2022年10月27日)
  9. 「介護医療院の概要」厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/kaigoiryoingaiyou.pdf(閲覧日:2022年10月27日)
  10. 「特定施設入居者生活介護」社保審-介護給付費分科会 第179回(R2.7.8) 資料7https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000648154.pdf(閲覧日:2022年10月27日)
  11. 「⼈⽣の最終段階の医療における厚⽣労働省の取組」厚⽣労働省(閲覧日:2022年10月27日)
  12. 「サービス付き高齢者向け住宅について」介護事業所・生活関連情報検索 介護サービス情報公表システム 厚生労働省https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish_sumai/(閲覧日:2022年10月27日)
  13. 「サービス付き高齢者向け住宅のご案内(事業者用パンフレット)」国土交通省 厚生労働省(閲覧日:2022年10月27日)
  14. 「認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)」社保審-介護給付費分科会 第179回(R2.7.8) 資料6 厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000647295.pdf(閲覧日:2022年10月27日)
  15. 同 社保審-介護給付費分科会 第179回(R2.7.8) 資料6 厚生労働省 (閲覧日:2022年10月27日)
  16. 「看取り~認知症グループホームの挑戦~」 山梨 恵子 ニッセイ基礎研究所 コラム(2007)https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=37298?site=nli(閲覧日:2022年10月27日)