介護福祉士国家資格を取得するためにすべきこと

投稿日:2015-01-30
更新日:2022-10-24

介護福祉士国家資格を取得するためにすべきこと

介護福祉士国家試験の受験を検討している人のなかには、どのように勉強をしたら良いか、効果的な学習方法を知りたい方も多いのではないでしょうか。

この記事では、介護福祉士国家資格取得に向けて、試験の合格率・難易度を説明するとともに、効率的・効果的な勉強法を紹介します。

介護福祉士国家試験の難易度

介護福祉士国家試験では、介護に関する基本的知識を問う問題だけではなく、関連する医療保険や様々な制度、歴史などが出題されます。
ここからは、過去の合格率や合格基準点を見ながら、試験の難易度を分析していきます。

合格率の推移

第34回介護福祉士国家試験では、受験者数約8.3万人に対して合格者数が約6万人で、合格率は72.3%でした。合格率はここ数年、約65%〜70%を推移しており比較的合格率の高い試験だといえます。

これまでの合格率の推移を見てみましょう。厚生労働省の「介護福祉士国家試験の受験者数等の推移」によると、近年の合格率は次のとおりです(参考1)。


回(年度) 受験者数 合格者数 合格率
第34回(R3) 83,082名 60,099名 72.3%
第33回 (R2) 84,483名 59,975名 71.0%
第32回 (R1) 84,032名 58,745名 69.9%
第31回 (H30) 94,610名 69,736名 73.7%

100人が受験したら約70人が合格するため、介護福祉士国家試験は合格しやすい試験であるということができます。ちなみに、第31回の合格率(73.7%)がこの10年間で最も高い結果でした。

合格基準と合格基準点

公益財団法人 社会福祉振興・試験センターのホームページによれば、介護福祉士の合格基準は次のとおりです(参考2)。

次の2つの条件を満たした者を筆記試験の合格者とする。


ア:問題の総得点の60%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数以上の得点の者
イ:アを満たした者のうち、以下の試験科目11科目群すべてにおいて得点があった者


  1. 人間の尊厳と自立、介護の基本
  2. 人間関係とコミュニケーション、コミュニケーション技術
  3. 社会の理解
  4. 生活支援技術
  5. 介護過程
  6. こころとからだのしくみ
  7. 発達と老化の理解
  8. 認知症の理解
  9. 障害の理解
  10. 医療的ケア
  11. 総合問題

※配点は、1問1点の125点満点である。

全体(125問)の得点率60%以上で、全ての科目群において1点以上取ることが合格の条件となります。
これを踏まえたうえで、近年の合格点(合格基準点)の推移を見てみましょう(参考3)。


回(年度) 合格基準点
第34回(R3) 78点
第33回 (R2) 75点
第32回 (R1) 77点
第31回 (H30) 72点

全体(125問)の60%以上の得点が合格基準となるため、少なくとも75点以上、できれば80点以上の得点が必要です。

必要となる勉強時間

介護福祉士試験の合格のために必要となる勉強時間は250時間です(参考4)。
合格率が高いとはいえ、受験すれば誰もが合格できる訳ではありません。時間管理をしっかりして、計画的に学習を進めることが重要です。

介護福祉士試験の受験者の約70%以上は社会人です(参考5)。働きながら試験勉強することは手間・時間がかかり大変ではありますが、日常の中に隠れている「スキマ時間」を効率良く活用することが重要です(後述)。

介護福祉士国家試験に向けた勉強法

ここからは、介護福祉士国家試験の合格に向けた効果的な勉強法を紹介します。すぐにでも実践できるテクニックを紹介しているので、ぜひ参考にてみて下さい。

参考書を活用する

国家試験合格のためには参考書の活用は必須です。とはいえ、どの参考書が自分の勉強法に合っているのか分からない方が多いでしょう。
お勧めは、文章での説明よりも表やイメージ図で記載されている参考書です。なぜなら、文章を読んで理解するよりも、表やイメージで見て理解した方が効果的に暗記できるからです。
目当ての参考書があれば書店で手に取って読んでみるか、ECサイトの場合は立ち読み・試し読みを利用して、自分の勉強法に合うかどうか確認して下さい。

スキマ時間を利用する

まとまった学習時間を確保することが最も良いです。しかしながら、社会人で働きつつ勉強時間を設けることが難しい場合は、「スキマ時間」を利用しましょう。

スキマ時間とは、次のような時間を指します。


  • 公共交通機関を使った通勤時間
  • 外食時、食事がテーブルに届くまで時間
  • ベッドに入って眠りに就くまでの時間 など

このように、日常のなかに埋もれているスキマ時間を使って、スマートフォン等で一問一答のアプリをやったり、過去問を解説するWEB記事を読んだりすると効果的です。
短い時間とはいえ適度に集中できるうえ、積み重ねることによって少しずつ知識の定着を図ることができます。

過去問を解く・反復する

過去問を繰り返し解くと、国家試験の出題形式(基本は五肢択一)に慣れることができるだけでなく、各科目ごとの出題傾向が分かります。
また、問題ごとに解説を読み込むことで効率良く、確実に知識を得ることができます。
よって、詳しい解説が書かれている過去問題集を購入・活用しましょう。

模擬試験を受験する

様々な業者・機関が模擬試験を実施していますが、1〜2回受験することを勧めます。次のような効果が期待できるためです。


目的 期待される効果
国家試験本番のリハーサル 模擬試験は、本番と同じ問題数・時間の量で実施される。科目ごと、または午前・午後の時間配分を確認しながら、本番に近い状態で受験することができる。
自分の実力を把握するため 模擬試験の結果を通して、受験時の実力を把握することができる。また、得意・不得意の科目を明らかにすることができ、今後、どの科目に時間をかければ良いか戦略を立てて学習することができる。

まとめ

介護福祉士は介護分野における最上位の資格であり、施設等で提供する介護の質を担保するプロフェッショナルとしての役割が求められています。

試験の合格率は高いものの、決して油断せず腰を据えてしっかり勉強することが重要です。この記事で紹介した勉強法が、皆さんの試験合格・国家資格の取得のお役に立てれば幸いです。

参考文献

  1. 「介護福祉士国家試験の受験者数等の推移」 厚生労働省https://www.moj.go.jp/content/001361942.pdf(閲覧日:2022年10月21日)
  2. 「出題基準・合格基準」介護福祉士国家試験 公益財団法人 社会福祉振興・試験センター https://www.sssc.or.jp/kaigo/kijun/index.html(閲覧日:2022年10月21日)
  3. 「過去の試験問題」介護福祉士国家試験 公益財団法人 社会福祉振興・試験センター https://www.sssc.or.jp/kaigo/past_exam/index.html(閲覧日:2022年10月21日)
  4. 「介護福祉士の勉強法!勉強時間や独学についても詳しく解説」アガルートアカデミー https://www.agaroot.jp/kaigofukushi/column/study-method/(閲覧日:2022年10月21日)
  5. 「第 34 回介護福祉士国家試験の合格発表について」公益財団法人 社会福祉振興・試験センター https://www.sssc.or.jp/kaigo/past_exam/pdf/no34/k_happyou.pdf(閲覧日:2022年10月21日)