介護に転職するメリット

投稿日:2015-03-09
更新日:2022-10-18

介護職に転職するメリットとは

近年、介護職を含めたエッセンシャルワーカーに注目が集まっています(参考1)。

また、経済からの動向に左右されにくく、AIなどに奪われる仕事ではないため、現在は介護事業を展開していない企業の新規参入が活発化するのではないかと予想されています。
それだけでなく、仕事へのやりがいを求めて介護・医療業界へ転職する人も少なくありません。

介護職は、経験や資格がなくても就業することができます。また、資格を取得し経験を積んで適切なステップを踏めば、キャリアアップをすることができる点に特徴があります。

この記事では、介護の仕事の魅力・やりがいを紹介するとともに、介護分野へ転職するメリットについて解説します。

介護の仕事とは

介護は、主に高齢や障害が理由で日常生活を営むのに支障がある人たち(以下、要介護者)に対し、身の回りのお世話をする仕事です。
具体的な仕事の内容は、介護職が勤務する施設・機関によって異なりますが、以下に具体例を示して説明します。


種類 施設・機関 仕事内容
施設サービス 特別養護老人ホーム
介護老人保健施設など
施設に入所する要介護者等に対し、身の回りのお世話(食事、入浴、排泄、移動の介助等)をする
居宅サービス 訪問介護
デイサービスなど
自宅で生活する要介護者等のお宅を訪問し、身体介護(食事、入浴、排泄等の介助)と家事援助(掃除、洗濯、調理等)のサービスを提供する

その他の援助

要介護者等とコミュニケーションをとってお話相手をしたり、レクリエーションを通して、利用者に楽しい時間を過ごしてもらえるように支援します。
また、場合によっては利用者のご家族に対し、利用者の近況を報告したり、介護や生活に関して助言したりすることがあります。

介護職に求められる力

相手の思いを引き出す「コミュニケーション能力」、相手の立場に立つという「他者理解」が根底にあり、そのうえにある知識・技術を用いて介護を提供することが求められます。

介護へ転職するメリット

次に、介護職へ転職するメリットについて説明します。

ニーズの高まり、将来性がある

少子高齢化など福祉に関するさまざまな課題を抱える現在、一人暮らしの高齢者や、介護を必要とする人は今後も増えていきます(参考2)。また、生産年齢人口の減少により介護職を担う人材が少なくなる一方です。
そんななか、厚生労働省は「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」において、2040年度には約280万人の介護職員を確保する必要があると発表しました(参考3)。

公的介護施設のみならず民間の有料老人ホーム等、様々なタイプの介護施設が増え、介護業界のみならず、病院などの医療施設においても介護職のニーズが高まっているため、将来性のある職業であるといえます。

景気の動向に左右されにくい

介護職は景気の動向に左右されず、安心して長く働くことができます(参考4)。
国内の社会経済の変化(景気後退等)によって、業績が悪くなったり、場合によっては失業するリスクのある職業がありますが、介護職はこのような影響を受けにくく、長く続けられる職業の一つです。
介護分野でキャリアを積んでいけば、景気の良し悪しに関わらず転職しやすい状況であり、自分の希望する施設で働ける可能性が高まります。

介護福祉士国家資格を取得することができる

介護福祉士は、国が介護のプロフェッショナルと認めた国家資格で、介護分野における最上位資格といっていいでしょう。介護職がこれにチャレンジする場合には、実務経験3年+実務者研修の修了が必要です。介護分野で長く活躍したいと考えている方は、取得することをお勧めします。

なお、実務者研修の多くは通信教育で、一部を通学で履修します。通学に要する期間は6日〜9日間で済むので、仕事をしながらでも受講が可能です。また、教育訓練給付制度も利用できるので、受講費用を安く抑えることができます。

ライフステージに合わせて就業できる

介護職はシフト制が主流であるため、自分のライフステージに合った勤務時間帯を選びやすい環境だといえます。次のような例です。


状況 勤務スタイル等
子どもが小さいうちは 短時間のパートタイム勤務
夜間帯の勤務(夜勤)はしない
子どもがある程度大きくなれば 短時間のパートタイム勤務
学校行事があるときは休みを取得する
子どもが学校に行っている間、ホームヘルパーを担う
子育てが一段落したら 正社員としてフルタイム勤務

給与水準が向上

国はこれまで、介護職員の処遇改善(賃上げ)を目的とした、「介護職員処遇改善加算」や「介護職員等特定処遇改善加算」の取り組みを導入してきました(参考5)。
これに加えて政府は、2022年の10月から「介護職員等ベースアップ等支援加算」を新たに導入し、介護職員の給与を3%程度(月額 9,000 円相当)引き上げるための措置を講じ介護職員のさらなる処遇改善を進めようとしています(参考6)。

「給料は低い」とのイメージがあった介護職員の待遇が改善されつつあり、今後もこの改善傾向は維持されるものと見込まれています。

ICT、IoT化が進み業務負担が軽減されつつある

厚生労働省は介護現場におけるICTの利用・普及を強く推し進めており(参考7)、実際の介護現場においても、ICT・IOTの導入が進み、介護職の業務負担の軽減が図られつつあります。具体的例は次のとおりです。


項目 これまで これから
日誌等の記録類 職員が紙に手書きする スマートフォンやタブレットで入力し、保存するため文書量が削減され、データ保管も簡単
ケアプラン ケアマネが紙で作成する ソフトウェアで作成し、関係機関との連携がしやすい
申し送り 職員による口頭また電話で実施 チャットツールにより、職員間で利用者の申し送り事項を円滑に共有

厚生労働省は予算(地域医療介護総合確保基金)を使って、現場におけるICT化を支援しており、今後もこの取り組みは大いに進められるものと見込まれています(参考8)。

感謝される仕事

介護サービスを通して、利用者や家族を笑顔にすることができ、「ありがとう」と感謝される点がやりがいであるといえます。
たとえば、元気がなく塞ぎ込んでいた利用者がデイサービスを利用したとします。その際に、様々なサービスを利用してもらうにつれ、元気になり「楽しかった、また来るね」と言って下さるようになる。生活意欲を引き出し、人に感謝されることこそ、介護の仕事のやりがいです。
提供するサービス、話す言葉、笑顔などによって、利用者が一瞬でも幸せな時間を過ごすことができ、次回への希望を持ってもらえ、そのうえ感謝してもらえる。これらの点は介護職の醍醐味であるといえます。

まとめ

介護職は今後の我が国にとって、不可欠な職業です。

少子高齢化がますます進展することによって、より一層社会的なニーズが高まり、就職や転職がしやすくなります。

また、ロボットやAIが取って代わることのできない職業であり、少しずつ処遇改善が進んでいる職種であるため、将来性は明るいです。そのうえ、業界でのICT・IOT化が進み、介護職の業務負担が軽減されるのは時間の問題でしょう。

介護職は人の役に立つ仕事を通して人から感謝され、社会に貢献できる職業です。皆さんも一緒に介護の業界で働いてみませんか?

参考文献

  1. 厚生労働省「令和3年版労働経済の分析 -新型コロナウイルス感染症が雇用・労働に及ぼした影響-」のⅡ部においてエッセンシャルワーカーにスポットを当て、医療・介護、小売業を中心に分析している。https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/20/dl/20-1.pdff(閲覧日:2022年10月12日)
  2. 厚生労働省「令和4年版高齢社会白書」(全体版)https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2022/zenbun/pdf/1s1s_03.pdf(閲覧日:2022年10月12日)
  3. 厚生労働省「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000207323_00005.html(閲覧日:2022年10月12日)
  4. 厚生労働省 介護業界で働いてみませんか ~ハローワークで聞いてみよう~https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000912552.pdf(閲覧日:2022年8月14日)
  5. 厚生労働省「介護職員の処遇改善」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000202201_42226.html(閲覧日:2022年10月12日)
  6. 同(閲覧日:2022年10月12日)
  7. 厚生労働省「介護現場におけるICTの利用促進」https://www.mhlw.go.jp/stf/kaigo-ict.html(閲覧日:2022年10月12日)
  8. 厚生労働省「地域医療介護総合確保基金を活用したICTの導入支援」https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000666691.pdf(閲覧日:2022年10月12日)