障害者福祉のお仕事について

投稿日:2015-02-09
更新日:2022-10-24

障害者福祉のお仕事について

この記事をご覧になる方のなかには「障害者福祉の仕事とは?」「障害者福祉の現場で必要とされる資格は?」と気になっている方も多いでしょう。

介護職員として障害者施設で働きたい場合は、無資格でも業務に従事することができますが、キャリアアップを目指すならば国家資格の取得がお勧めです。

この記事では、障害者福祉分野の仕事内容を説明するとともに、現場で役立つ資格を紹介します。障害者福祉分野で仕事してみたいなら、ぜひ最後までご覧下さい。

障害者福祉のお仕事について

障害者福祉の仕事は、障害のある方が自らの望む生活を送ることができるように支援することです(参考1)。
ただし、抱える障害やその程度は人によって違うため、画一的な支援ではなく、一人ひとりに合った支援・サービスの提供が求められています。

具体的な支援方法は次のようなものがあります(参考2)。


  • 障害の状態やニーズに適したサービスへ繋ぐための相談
  • お一人で買い物や外出が難しい方の支援
  • 障害者が入所し生活する施設における身体介護、身の回りのお世話
  • 共同住居における生活支援 など

障害者支援の種類

ここでは、障害者総合支援法においてどのような支援・サービスが行われているのか、代表的なものを取り上げて解説します。

施設入所支援

障害者の暮らしの場の提供と、生活上の支援を一体的に提供するサービスです。
主に夜間において、障害者支援施設に入所する障害者に対し、入浴、排泄、食事の介助などのサービスを提供します。また、生活に関する相談に応じたり、日常生活上の支援を行います(参考3)。

こうした夜間におけるサービスと合わせて、日中では生活介護(後述)を提供するのが一般的です。よって、日中・夜間でそれぞれにサービスを提供することで障害者の日常生活を一体的に支援するのが狙いです。

生活介護(障害者デイサービス)

障害者に対する入浴、リハビリテーション、相談・助言まで、日常生活上の支援を幅広く提供するサービスです。
障害者支援施設などにおいて、常時介護が必要な障害者に対し、主に昼間において、入浴、排泄、食事の介助、家事(調理・洗濯・掃除など)のサービスを提供します(参考4)。
また、日常生活に関する相談に応じ適切な助言をするとともに、日中の創作的活動(折り紙、書道、絵画等)や生産活動(パン作り、和紙作り、農作業等)の機会を提供します。

居宅介護

自宅に住む障害者の生活を支えるために行われるホームヘルプサービスです。
訪問介護員が障害者の自宅を訪問し、入浴、排泄、食事の介助、家事(調理、洗濯、掃除等)のサービスを提供するだけでなく、日常生活に関する相談に応じ、生活全般にわたる援助を行います(参考5)。

重度訪問介護

重度の障害があっても、自宅での生活が続けられるように支援するサービスです。
自宅で生活する重度の肢体不自由または行動上著しい困難のある知的・精神障害者で、常時介護を要する人のもとへ訪問介護員が訪問し、身体介護、家事援助(育児支援を含む)、移動介護などを総合的に行うサービスです(参考6)。

行動援護

障害者の安心・安全な生活・外出を支援するサービスです。
行動に著しい困難がある知的・精神障害者が、行動する際に生じる危険を回避するための必要な支援や、外出の支援を行います(参考7)。

対象者によってはコミュニケーションを取ることが難しかったり、その場に適した行動を取ることが難しい場合などがあります。そのため、対象者の特性に応じたコミュニケーションを取りながら、ご本人だけでなく周囲の安全に配慮して支援することが重要です。

なお、対象者のなかには知的障害・発達障害を重複して持つ人がおり、ごく一部ですが行動障害または強度行動障害を抱える人もいます。具体的な症状や特徴は次のとおりです。


種類 症状・特徴
行動障害 脳機能の損傷のために、自分で自分の行動を十分に制御できなくなり、注意障害、記憶障害、遂行機能障害などのために、状況をうまく判断できず結果的に不適切な言動が出る状態(参考7)。
強度行動障害 知的・発達の障害により、自分の身体を叩いたり、食べられないものを口に入れる、人を傷つけたり物を壊したりするなど、周囲の人の暮らしに影響を及ぼす行動が高い頻度で起きるため、特別な支援を必要とする状態(参考8)。

このような人たちの行動援護を行ううえでは、障害の特徴を十分に理解して支援することが重要です。

同行援護

視覚障害者が外出する際に感じる不安・不便を解消し、安心・安全な外出支援を行うサービスです。
移動に著しい困難がある視覚障害者が外出する際、ご本人に同行し移動に必要な情報の伝達や、移動の援護、排泄、食事の介助などのサービスを提供します(参考9)。

外出先では必要に応じて次のようなサポートを行います。


  • 代読や代筆
  • 言葉で周囲の状況、注意点を伝える
  • ドアの開閉、エレベーターのボタンを押す
  • 階段の昇降における介助 など

共同生活援助(障害者グループホーム)

障害者が住み慣れた地域において、少人数の共同生活ができるように支援するサービスです。
主に夜間において、障害者が共同生活を行う住居で、入浴、排泄、食事の介助を提供したり、日常生活上の相談に応じます。
このサービスは、障害者の孤立や生活への不安を解消する目的もあり、共同生活による障害者自身の身体・精神状態を安定させることが期待できます(参考10)。

就労支援

障害者の一般就労に向けたサポート、または就労に向けた訓練を行うサービスです。
このサービスは、「就労移行支援」と「就労継続A/B型」に分けられます。それぞれ整理して説明します。

就労移行支援

障害者が一般企業等で就労ができるように様々な面からサポートするサービスです。
就労を希望する障害者(65歳未満)に対し、生産活動や職場体験などの機会を提供し、就労に必要な知識や能力向上のために必要な訓練を行います(参考11)。
対象となる障害者は一般企業等に雇用されることが可能と見込まれる人で、就労移行支援事業所へ通いながら、就職に向けた準備・訓練を受けることができます。

就労継続支援 A/B型

一般企業での就労が難しい障害者に対して、働く機会を提供するサービスです。
就労継続支援には、A型とB型の2種類があり、それぞれ次のような特徴・違いがあります。


種類 内容・特徴
就労継続支援A型 一般企業で働くことが難しいけれども、一定の支援があれば継続して働くことができる人(65歳未満)が対象。事業所と雇用契約を結び、賃金を貰いながら様々な業務(パソコンデータの入力代行、軽作業等)に従事する。
就労継続支援B型 体調や年齢が理由で、事業所と雇用契約を結ぶことが難しい人が対象で、生産活動を通じて、知識および能力の向上のために必要な訓練を行うサービス。生産物に対する成果報酬として工賃が支払われる。

(参考12)

障害者支援の仕事で役に立つ資格

これまでに紹介してきた障害者福祉の現場では、無資格の人でも業務に従事することはできます。しかし、この分野でのキャリアアップを目指す人は、次に紹介する国家資格を目指すことをお勧めします。


種類 内容
社会福祉士 身体や精神に障害があり、日常生活に支障がある人の相談に応じ、助言や支援を行う専門職・国家資格。障害者福祉分野では、利用者の相談に応じ、必要なサービスへ繋げる役割を担う。
精神保健福祉士 主に精神保健福祉分野で活動する専門職の国家資格。精神に疾患・障害を抱えた人が日常生活をスムーズに送ることができるよう、相談や生活支援、助言、訓練、関係機関との連絡調整を行う。
介護福祉士 介護が必要な障害者に対して、食事・入浴・排泄などの身体介護を提供する専門職・国家資格。介護に関する相談に応じたり、家族に対して介護に関する助言を行う役割を担う。

(参考13)

まとめ

障害者総合支援法では、障害を抱えていても住み慣れた地域や、自宅・施設等で生活を送ることができるよう、様々な種類のサービスが提供されています。

障害者福祉の仕事に携わることで、障害者ご本人・その家族から感謝されることがあります。自分が行う仕事に対して「ありがとう」と言われる喜びは、何事にも代えがたいやりがいとなることでしょう。

障害者福祉分野に興味がある人は、どのような求人が出ているのかチェックし、現場で求められている資格をチェックしてみましょう。

参考文献

  1. 「いつまでも輝ける 障害福祉の仕事」厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/000772710.pdf(閲覧日:2022年10月20日)
  2. 同 厚生労働省(閲覧日:2022年10月20日)
  3. 「サービス一覧/サービス紹介」WAM NET 独立行政法人福祉医療機構 https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/syogai/handbook/service/(閲覧日:2022年10月20日)
  4. 同 WAM NET 独立行政法人福祉医療機構 (閲覧日:2022年10月20日)
  5. 同 WAM NET 独立行政法人福祉医療機構 (閲覧日:2022年10月20日)
  6. 同 WAM NET 独立行政法人福祉医療機構 (閲覧日:2022年10月20日)
  7. 「社会的機能障害」広島県立障害者リハビリテーションセンター https://www.rehab-hiroshima.org/kojino/about/syakai/(閲覧日:2022年10月21日)
  8. 「強度行動障害支援者研修資料」国立リハビリテーションセンター 発達障害情報・支援センター http://www.rehab.go.jp/ (閲覧日:2022年10月21日)
  9. 「サービス一覧/サービス紹介」 WAM NET 独立行政法人福祉医療機構 https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/syogai/handbook/service/(閲覧日:2022年10月20日)
  10. 同 WAM NET 独立行政法人福祉医療機構 (閲覧日:2022年10月20日)
  11. 同 WAM NET 独立行政法人福祉医療機構 (閲覧日:2022年10月20日)
  12. 同 WAM NET 独立行政法人福祉医療機構 (閲覧日:2022年10月20日)
  13. 「資格試験対策書」中央法規出版 https://www.chuohoki.co.jp/skillup/(閲覧日:2022年10月20日)