介護保険を利用して受けられるサービスとは

投稿日:2015-04-08
更新日:2022-09-05

介護保険を利用して受けられるサービスとは

介護保険制度は、介護が必要な高齢者が自宅や施設で様々なサービスが受けられるように組み立てられています。
実際にはどのようなサービスを利用できるのでしょうか。

この記事では、次の3点について解説しますので、この記事を読んで介護保険の利用について理解を深めましょう。

  1. 介護保険とは
  2. 介護保険を利用するには
  3. 介護保険を利用して受けられるサービス

介護保険とは

介護保険とは、2000年に施行された介護保険法に基づく社会保険制度で、介護が必要な被保険者(高齢者等)とその家族を社会全体で支える仕組みです。

40歳以上の人が被保険者となり、保険者である市区町村に対して毎月保険料を支払います。介護が必要な状態になれば、判定された要介護区分(後述)に応じて、いくつかのサービスを組み合わせて利用することができるようになります。

介護保険の仕組みについて詳しく知りたい方は、「介護保険とは」のコラムをご覧下さい。

介護保険を利用するには

介護サービスを利用するためには、まず要介護認定を受ける必要があります。要介護認定を受けるための申請から、実際に介護サービスを利用するまでの流れは次の通りです(参考1)。

  1. 要介護認定を市町村に申請
  2. 市町村による訪問調査(1次判定)
  3. 介護認定審査会による要介護区分の判定(2次判定)
  4. 結果の通知
  5. 介護支援専門員(ケアマネジャー)によるケアプラン作成
  6. 介護事業所と契約
  7. 介護サービスの利用

要介護区分

要介護認定の結果、被保険者は次のいずれかの区分に判定されます(参考2)。

要支援1

基本的な日常生活動作(食事・排泄・入浴)は一人で行うことが可能ですが、手段的日常生活動作(買い物・金銭管理・服薬管理・電話の利用)のどれか1つで、見守りや一部介助が必要な状態です。

要支援2

要支援1に加え、下肢筋力の低下によって歩行・立ち上がりに不安がある状態であり、今後の日常生活において介護が必要になる恐れのある状態です。

要介護1

要支援状態よりも手段的日常生活動作を行う能力がさらに低下し、買い物、金銭管理、服薬管理のどれか1つで、部分的な介助が必要となる状態です。また、下肢筋力の低下により、歩行・立ち上がりに一部介助が必要です。

要介護2

日常生活動作において部分的な介護が必要となり、かつ、手段的日常生活動作では毎日介助が必要になる状態です。また、認知症の症状が見られ、日常生活にトラブルが起こる恐れがある状態も含みます。

要介護3

認知機能が低下し、寝返り、トイレ、歯磨き、衣類の着脱が一人では難しく、全面的な介助が必要な状態です。また、自立歩行が困難で、杖や歩行器、車いすを利用している状態を含みます。

要介護4

要介護3以上に、生活上のあらゆる場面での介助が必要です。両足での立位が困難で、移動には車いすが必要となり、常時の介助がなくては日常生活を送ることが難しい状態です。また、認知機能の低下が著しく、やっと会話が行える状態です。

要介護5

重度の認知症や麻痺があることによって、日常生活動作の全てにおいて常時の介助がなくては生活することが困難な状態です。外出の頻度は著しく減り、ほぼ寝たきりの状態で、意思の伝達が困難です。

介護保険を利用して受けられるサービス

先に紹介した要介護区分に基づいて、介護支援専門員(ケアマネジャー)が、一人ひとりの状態に合わせて、利用する介護保険サービスを提案し、ケアプラン(サービス計画書)を作成してくれます。
では、提案される介護サービスにはどのようなものがあるのか、詳しく見ていきましょう。

訪問介護

自宅で生活する利用者のもとへ、ホームヘルパーが利用者の自宅を訪問し食事・入浴・排泄等の身体介助を行います。
また、生活援助として、居宅の掃除、ゴミ出し、衣類の洗濯等のサービスを利用することもできます。

利用出来る要介護区分

要支援1~要介護5

訪問入浴

自宅で生活する利用者のもとへサービス提供事業者が訪問し、事業者が準備した特殊浴槽を使って入浴の介護を行います。

利用出来る要介護区分

要支援1~要介護5

訪問看護

看護師が利用者の自宅を訪問し、療養上の世話や診察の補助を行います。

利用出来る要介護区分

要支援1~要介護5

訪問リハビリステーション

理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が利用者の自宅を訪問し、心身の機能の維持や回復、日常生活の自立を支援するために、リハビリテーションを行うサービスです。

利用出来る要介護区分

要支援1~要介護5

デイサービス

自宅で生活する利用者が、食事、入浴、レクリエーション等のサービスを日帰りで受けることができます。自宅からデイサービスまでの送迎は事業所側が行うことが一般的です。

利用出来る要介護区分

要介護1~要介護5

ショートステイ

自宅で生活する利用者が、何らかの事情で自宅での介護を受けられなくなった場合に、その期間だけ老人ホームや介護施設に短期間入所するサービスです。
1日単位で利用することができ、食事・入浴・排泄のサービスを受けることができます。
普段は自宅で親族が介護をしている場合に、その介護者の身心を休める目的でも利用されます。

利用出来る要介護区分

要支援1~要介護5

福祉用具の貸与・販売

杖や車椅子、排泄補助用具などの福祉用具をレンタルできる、または安価で購入できるサービスです。
利用者の費用負担は、レンタル・購入にかかった費用の1割(所得によって2〜3割)となります。

利用出来る要介護区分

車椅子、排泄補助用具を利用出来る要介護区分:要介護2~要介護5
杖、手すり、歩行器を利用出来る要介護区分: 要支援1~要介護5

特別養護老人ホーム

自宅での生活が困難になった利用者で、要介護3以上の人が入所でき、食事、入浴、排泄の介護が受けられる施設です。
原則として終身にわたって利用することができ、この施設で最期を迎える方も少なくありません。

利用出来る要介護区分

原則として要介護3~要介護5

介護老人保健施設

長期療養と常時の介護が必要な利用者が入所する施設です。医療的処置、リハビリテーション、介護を受けられますが、上記の特別養護老人ホームや介護老人保健施設に比べると、より医療環境が整っています。

利用出来る要介護区分

要介護1~要介護5

介護療養型医療施設

長期療養と常時の介護が必要な利用者が入所する施設です。医療的処置、リハビリテーション、介護を受けられますが、上記の特別養護老人ホームや介護老人保健施設に比べると、より医療環境が整っています。

利用出来る要介護区分

要介護1~要介護5

有料老人ホーム

主に民間企業が設立し運営している高齢者向けの住宅・施設で、種類が3つあります。

種類 概要 利用出来る要介護区分
介護付き有料老人ホーム 主に介護を必要とする利用者が入所し、食事、入浴、排泄の介助や、生活上の支援を受けて日常を送る施設です。 自立~要介護5
住宅型有料老人ホーム 自立〜軽度の要介護者が入所し、食事の提供や、掃除、洗濯などの生活上のサポートを受けられる施設です。必要に応じて、外部の介護サービスを利用します。 自立~要介護5
健康型有料老人ホーム 自立した生活のできる利用者が入所し、充実した余暇時間を過ごすための設備やサービス(レクリエーション、趣味のイベント、サークル活動)が充実しています。ただし、介護が必要な状態になった場合は、転居や退去しなければなりません。 原則として自立した利用者

グループホーム

認知症を患う要介護高齢者等が入所する小規模(5〜9人の少人数)の福祉施設です。利用者は基本的に個室で生活を送り、食事の時間などは共同スペースで過ごします。家庭的な雰囲気があり、適度に介護職や他の利用者と関わりを持ちながら生活を送る点に特徴があります。

利用出来る要介護区分

要支援2~要介護5

小規模多機能型居宅介護

利用者の希望に応じて、「通い」「泊まり」「訪問」のサービスを提供します。少々分かりづらいサービスなので、例を示します。

利用出来る要介護区分

要支援1~要介護5

Aさんのケース

自宅で生活するAさんは、B園に「通い」介護サービスを利用しています。今日は自宅に帰っても妻が不在で夕飯の支度等が面倒なため、夜は「泊まり」を選択して、B園に宿泊して介護サービスを受けました。別日には、B園の職員がAさん宅を「訪問」し、介護サービスの提供を受けました。

このように、自分の希望に合わせてサービスを選択できる点が特徴です。どのサービスを利用したとしても、B園の職員が提供者であるため、顔なじみの関係のなかで介護を受けられ、利用者や家族にとっては、大変便利なサービスであるといえます。

まとめ

どの介護サービスが自分にフィットするのか、どのくらい利用することができるのか分からない場合は、介護支援専門員(ケアマネジャー)に相談してみましょう。利用者のニーズと経済負担を踏まえたうえで、適切な助言・計画立案をしてくれます。

将来、介護が必要になったときにも、健康で自分らしい生活を継続するため、公的な介護サービスを利用できるように準備しておきましょう。

参考文献

  1. 厚生労働省老人保健課 「要介護認定の仕組みと手順」https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000126240.pdf(閲覧日:2022年9月1日)
  2. 同(閲覧日:2022年9月2日)