【介護事業者必見】人材不足の中でも採用難を打破し人員を確保する方法とは

「介護職員を募集するけど、優秀な人材が集まらない」
「人材獲得のための具体的な手法が知りたい」
こんな課題をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

介護業界では、人材不足が深刻化しつつあります。採用難の中でも、優秀な人材を獲得するためには、求職者がどのようなことを重視するかを把握しなければなりません。その上で、計画や戦略を立て、自社の強みをアピールすることが重要です。

この記事では、人材不足の中でも採用難を打破し人員を確保する方法を紹介します。
ぜひ最後までお読みください。

介護業界での人材採用が難しい要因とは

ここでは、介護業界での人材採用が難しい要因3つを紹介します。

具体的には、

主な要因
  1. 人材不足の深刻化
  2. 介護業界のネガティブなイメージが強い
  3. 有効求人倍率が高い (人材の取り合いになっている)

の3つです。
それでは順番に解説していきます。

人材不足の深刻化

深刻な人材不足が、介護業界での採用を難しくしています。少子高齢化が進行する日本全体の中でも、介護業界の人材不足は特に深刻です。

厚生労働省のデータによると、2019年度の時点で介護職の数は約211万人。2040年には約280万人の介護職員が必要と見込まれており、このままでは69万人不足することになります。

介護業界の人材不足は、今後ますます深刻化することが予想されているのです。

介護業界のネガティブなイメージが強い

介護業界のネガティブなイメージが強いことも、採用難の原因です。介護労働安定センターは介護職を対象に、「どんなことに悩みや不安があるか」についてアンケート調査をしました。

アンケート調査の結果、第1位は「人手不足」であり、介護職員も人材不足への強い不安を抱えていることが分かります。

調査結果は、以下の通りです。(複数回答・上位抜粋)

抱えている不安や悩み
  • 人手が足りない(約55%)
  • 仕事の割に賃金が安い(約40%)
  • 身体的な負担が大きい(腰痛・体力に不安)(約30%)
  • 有給休暇がとりにくい(約28%)
  • 精神的にきつい(約26%)

また介護職員の離職者について、約73%が勤務年数3年未満との調査結果も出ています。

介護業界は、「人手不足で労働条件が厳しい」ことに加えて、転職が多く「人が定着しにくい」ネガティブなイメージを持たれているようです。

有効求人倍率が高い

有効求人倍率の高さも、採用を難しくしています。厚生労働省の調査では、2021年介護職員の有効求人倍率は、3.6倍でした。全産業の1.1倍を大きく上回っています。

以上から、介護業界では働き手が不足している「売り手市場」であることが分かります。

施設が人材を確保したい反面、職員にとっては就職・転職先が豊富にある状況です。各施設は処遇を改善するなどして、何とか人材を確保しようとしています。

有効求人倍率の高さから、人材の取り合いになっていると言っても過言ではないでしょう。

求職者が企業を選定する上で重視することとは

ここでは、求職者が企業を選定する上で何を重視するかについて、「経験者・資格保有者」「未経験者」それぞれの視点から紹介します。

経験者・資格保有者

介護福祉士を対象に、「なぜ今の職場を選んだか」の理由を尋ねるアンケート調査が行われました。

今の職場を選んだ理由
  1. 自分がやりたい仕事だったから(48%)
  2. 勤務形態が希望に合う(43%)
  3. 職場の雰囲気・人間関係がよい(25%)
  4. 法人の安定性や将来性(22%)
  5. 給与水準に満足(21%)

第1位は、「自分がやりたい仕事だったから」(48%)でした。

経験者や有資格者が、「希望する仕事ができる環境」を重要視していると分かります。

第2位は、「勤務形態が希望に合う」(43%)で、特に30〜50代の女性による回答が多く見られました。
以下は「職場の雰囲気・人間関係がよい」(25%)、「法人の安定性や将来性」(22%)、「給与水準に満足」(21%)と続きます。(複数回答)

一方で、介護労働実態調査によると介護職が今の施設で働きたい「勤続意欲」は向上しています。平成28年には56.5%でしたが、令和2年には60.2%まで上昇しました。

自分のしたい仕事ができたり、希望する勤務体系で働けたりしている人は、勤続する意向を持っていることが分かります。

未経験者

未経験者が企業を選定する際に、教育制度や資格取得のサポート体制が整っているかどうかを重視する傾向にあります。

未経験で介護職に就こうとする人は、「自分が介護職として務まるのか」を不安に感じるものです。

以下のように、具体的な教育内容が整っていれば安心して介護職のキャリアをスタートできるでしょう。

教育内容の一例
  • 1か月間は、先輩スタッフによるマンツーマン指導が受けられる
  • カリキュラムに基づいて教育を受けられる
  • 夕方のミーティングで疑問点を質問できる

また、資格取得のための支援制度が充実していることも重視されます。受講に関する費用の一部を支給したり、試験対策講座を開催している企業もあります。

資格取得の際にサポートを受けられれば、経済的・精神的にも負担なくキャリアアップすることが可能です。

未経験者は、教育制度や資格取得のためのサポート体制など、自分が成長できる環境を重視する傾向にあります。

良い人材を獲得するために企業が取り組むべきこととは

ここでは、良い人材を獲得するために企業が取り組むべきこと4つを紹介します。
具体的には、

企業が取り組みべきこと
  • 採用計画を作る
  • 採用戦略を立てる
  • 採用手法を決める
  • 募集時に自社の強みをアピールする

それでは順番に解説していきます。

採用計画を作る

良い人材を獲得するためには、採用活動の指針となる「採用計画」を作ることが重要です。計画性がないまま採用活動を行っても、時間だけが経過し無駄なコストも発生してしまいます。

採用計画を作る際には、以下の4つを意識するとよいでしょう。

採用計画を作る際のポイント
  1. いつまでに
  2. どのような人材を
  3. 何人ほど
  4. どのような理由で

例えば、「3ヶ月以内に、管理者候補となるスタッフを2名獲得する。理由は、現管理者をグループリーダーへ昇格させる計画があるため」のように具体的に決定します。

採用計画をつくることで採用するべき人物像なども明確になり、良い人材を獲得することが可能になるのです。

採用戦略を立てる

採用戦略とは、「理想とする優秀な人材」を採用するために立てる戦略のことです。数ある企業の中から選んでもらうために、求職者へ向けてマーケティングを行います。

例えば、施設の若いスタッフを集めてチームを結成。施設の雰囲気や、子育て世代が楽しく働く風景をSNSや施設のホームページで発信します。

これは、子育て世代など若い働き手をターゲットにした戦略です。その結果、施設への見学が何倍にも増加した例もあります。

また、あえて未経験者を採用し、教育研修を行い成長を促す施設も多くあります。良い人材を獲得するためには、採用戦略を立てることが重要なのです。

採用手法を決める

採用手法には、ハローワークに加えてWebサイトや人材紹介会社によるものなど多くの種類があります。
以下のポイントを押さえた上で、どの手法を選択するかを決定しましょう。

採用手法を決める際のポイント
  1. 費用や工数をどれくらい掛けられるか
  2. どのくらいの期間で採用するか
  3. 求職者に求めるスキルや経験

例えば、職員の産休などで緊急的に採用する場合なら、人材派遣を利用。気長に良い人材を待つのであればハローワークを利用するなど、使い分けが必要です。

採用手法については、後ほど詳しく解説いたします。

募集時に自社の強みをアピールする

募集時に自社の強みをアピールしましょう。多くの施設から求職者に選んでもらうには、分かりやすく魅力を発信することが重要です。

勤務が長くなると、意外に自社の強みに気付かないこともあります。入社して間もない職員に、「どんな所に魅力を感じて入社したのか」を聞いてみるのもよいでしょう。

強みの一例として、以下に例を挙げます。

アピールポイント一例
  1. 業務効率化のためにICTを取り入れている
  2. 資格取得の支援制度がある
  3. ハラスメント防止のための委員会がある
  4. 教育プログラムが充実している
  5. 子育て世代のスタッフが多いので休みやすい

また職場の雰囲気を伝えるために、実際に先輩スタッフが働く写真を掲載するのもよいでしょう。
写真や動画なども組み入れるなどして、自社の強みや雰囲気をアピールすることが大切です。

介護業界における効果的な採用手法とは

ここでは介護業界における効果的な採用手法を、メリット・デメリットと共に紹介します。

求人サイト

Web上の求人サイトに求人情報を掲載する方法です。求職者がサイトを通じて応募するのを待ちます。面接日などの調整は、企業と求職者の間で行います。

求人サイトの種類は、「掲載課金型」と「応募課金型」の大きく2つに分けられます。

掲載課金型とは、一定期間、求人情報を掲載すると課金される仕組みです。一方では、応募課金型とは、掲載料は無料で求職者から応募があるたびに課金される仕組みとなります。

求人サイトに掲載することでこのようなメリットがあります。

求人サイトに掲載するメリット
  • Webを通じて多くの人に見てもらえる
  • 複数人から応募があっても料金は同じ(掲載型の場合)
  • 情報収集を目的としている人にもアピールが可能

一方で、このようなデメリットも考えれます。

求人サイト掲載のデメリット
  • 応募がなくても費用がかかる(掲載型の場合)
  • 面接・採用につながらなくても費用がかかる

人材派遣

人材派遣とは、派遣会社が雇用しているスタッフを、企業に派遣してもらうことです。スタッフが契約するのは派遣会社であり、企業とは雇用契約を結びません。

人材派遣のメリット
  • コストを削減できる(採用や育成に時間がかからない)
  • 必要な時期だけ契約できる(急な退職・産休などに有効)
  • 有資格者や経験者を確保できる
人材派遣のデメリット
  • 契約以外の業務はできない
  • 就業期間が定められている(最長3年)
  • 短期間の契約であり、当事者意識が低くなる場合もある

人材紹介

人材紹介とは、採用したい企業からの要望を受け、条件に適した人材を紹介するサービスです。入職が決定した時点で成功報酬が発生するモデルが一般的となっています。

採用までの流れは、以下の通りです。

STEP.1
採用側
人材紹介会社へ希望する資格や経験、人物像を伝える
STEP.2
紹介会社
条件に見合う求職者と面談し、企業の魅力を伝えた上で、給与や雇用形態などの詳細についてすり合わせる。
STEP.3
紹介会社
希望や条件が合致したら、求人募集企業との面接日を調整してくれる。
STEP.4
採用側
人材紹介会社から紹介を受けた人と面接をし、採用するかを判断する。
STEP.5
採用側
採用の場合、人材紹介会社に連絡をし入職日の調整をしてもらう。
STEP.5
採用側
入職決定後、成功報酬を支払う。

入職しない場合は、報酬は一切かかりません。人材紹介会社への報酬金額は、入職する人の年収20〜30%が相場です。

人材紹介会社に依頼するメリットは下記になります。

人材紹介を利用するメリット
  1. 成功報酬型なので初期費用が不要
  2. 採用担当者の工数を削減できる
  3. 事前に条件をすり合わせるのでミスマッチが比較的少ない
人材紹介を利用するデメリット
  1. 他の手法に比較して採用コストが高い
  2. 社内に採用ノウハウが蓄積されにくい

リファラル採用

リファラル採用とは、自社の社員から友人・知人を紹介してもらう手法です。リファラルは、「紹介」「推薦」の意味を持ちます。
紹介してくれた社員には、報酬を支払うのが一般的です。

  1. 採用コストを低く抑えられる
  2. 自社の社風にマッチした人材を確保しやすい
  3. 転職意向がない人材も対象になる
  1. 不採用の場合、紹介してくれたスタッフへのフォローが必要
  2. 即効性が見込めない
  3. 報酬目的で紹介する場合も

ハローワーク

ハローワークは、厚生労働省が運営する就職支援機関です。全国に約540か所設置されています。最近ではインターネットサービスも導入されており、求職者はハローワークに行かなくても情報にアクセスできるようになりました。

また求人検索エンジン「Indeed」とも連携しています。

  1. 長期間にわたり無料掲載できる
  2. 安心感がある
  3. インターネット掲載が可能
  4. 地元の採用活動に強さがある
  1. 管轄の地域でしか掲載できない
  2. 他社と差別化しにくい
  3. 若年層の利用が少ない
  4. 詳細な情報や写真を掲載できない

まとめ

今回は、人材不足の中でも採用難を打破し、人員を確保する方法について紹介しました。

介護業界での人材採用は、年々難しくなっています。そのため、良い人材を獲得するためには、採用計画や戦略をしっかり立て、最適な手法で採用活動をしていく必要があります。

この記事を参考に、優秀な人材獲得につなげていただければ幸いです。

参考サイト

この記事を書いた人

朝水 裕一
現役ケアマネジャー。 「分かりやすく人に伝える」をモットーにWebライターとしても活動中。デイサービスやグループホームでの管理者経験あり。 介護福祉士、認知症ケア専門士、第1種衛生管理者の資格を保有

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