「採用面接で気をつけるべきことを知りたい」「採用担当者に向いている人の特徴を知りたい」という施設長や管理者の方は多いのではないでしょうか。
施設に必要な人材を見極め、応募者の入社意欲を高めることが面接官の役割です。優秀な人材を獲得できるかどうかは、施設の発展に大きく影響します。面接官は、施設にとって重要な役割を担っているのです。
そこで今回は、採用担当者が面接時に気をつけるべきことについて解説します。
面接官の役割について
面接官とは採用面接で応募者と面接し、採用するかどうかを判断する立場の人です。経営者や採用担当者が面接官を勤めることが多いですが、募集先の管理者やリーダーが勤めることもあります。
面接官の役割は、以下の2つです。
- 施設に必要な人材かどうかを見極める
- 応募者に入社したいと感じてもらう
面接官には、応募者が施設に適した人材かどうかを見抜く役割があります。「施設で長く働いてくれそうか」「雰囲気に馴染めそうか」「施設が求める経験やスキルを持っているか」などを判断しなければなりません。
また面接には、「応募者の入社意識を向上させる」という目的もあります。応募者は面接を通じて、「この施設で自分の長所を活かせるか」「施設の雰囲気はどうか」を確かめようとしているのです。
面接官は応募者の見極めに加えて、施設の魅力をアピールし「入社したい」と感じてもらう役割があります。
面接を担当する際の心構え
有意義な面接を実施して希望人材を獲得するためには、面接官は適切な心構えを持っておく必要があります。
具体的には、以下の3つです。
- 会社の「代表」である認識を持つ
- 応募者が話しやすい場を提供する
- 応募者とは「選択し、選択される」関係であると認識する
応募者にとって面接官は、入社前に出会う数少ない「施設の人」です。「この人と一緒に働きたい」と思ってもらえる立ち振る舞いを心掛けましょう。
また、応募者がリラックスして話せるような雰囲気を提供することも重要です。応募者が本音で話してくれれば、施設の雰囲気に合った人物であるかどうかも判断しやすいでしょう。
そして施設と応募者は、「互いに選択する対等な立場」であると認識することが重要です。
「採用する立場=優位」と勘違いしてしまうと、高圧的な態度が表面に出てしまいます。こちらが採用を決定しても、入社してもらえないケースもあるのです。面接官と応募者は、対等であることを心得ておきましょう。
面接前にやるべき準備とは
面接をスムーズに実施できるかどうかは、事前準備次第と言ってもいいでしょう。
面接前にやるべき準備は、以下の通りです。
- 応募者情報の把握
- 面接のシミュレーション
- タブーな質問の把握
まず履歴書などに目を通し、応募者の基本情報を正しく把握しておきます。所有する資格や経験、どの部署で勤務したいかなどを事前にチェックしましょう。
また面接のシミュレーションを行い、どのような質問をされるかを予想します。ある程度の回答を用意しておくとよいでしょう。
最後に、本人の適性や能力に無関係な質問事項はタブーとされているので確認が必要です。詳細については、「面接官がやってはいけないこと」で後述します。
面接の進め方とは
面接官は、公平な視点で応募者が施設にふさわしい人物であるかどうかを判断する必要があります。以下に、面接を進行する際のポイントを紹介します。
- 客観的な姿勢を持つ
- 落ち着いた態度で進行する
- 応募者の話を積極的に聴く
- 効率的に進行するためマニュアルを作成しておく
面接官は、客観的な姿勢を持つことが重要です。極端な固定観念を持たず、落ち着いた態度で進行します。応募者の話を積極的に聴き入れ、面接官は話し過ぎないことを心掛けましょう。
面接は時間が限られています。効率化のためにも、進行方法をマニュアル化しておくのがおすすめです。順序や流れをマニュアル化することで、大事な質問が抜け落ちることを防げます。
面接時の雰囲気作りについて
応募者は、面接での雰囲気や空気感を「施設のイメージ」として捉えます。たとえ希望する給与や仕事内容が提示されていても、「自分の力を発揮できない」と感じると、応募者は入社を決定してくれません。
面接官は、応募者が入社意欲を持つような雰囲気を作り出すことが重要です。
また面接の目的は「施設に合った人物かどうか」を見極めることです。応募者がリラックスして自分を表現する環境でこそ、人柄や能力を正しく評価できます。
オープンな空間で面接することによって、応募者は自分の意見や考えを伝えられるのです。お互いが自分自身を表現しやすい雰囲気や空気感をつくりましょう。
面接の具体的な流れについて
面接の基本的な流れは以下の通りです。
面接官がやってはいけないNGなこと
面接の場では、応募者も施設を見極めようとしています。面接官の振る舞いによって、応募者の入社に対する情熱は大きく左右されるものです。施設の代表として、面接官は以下のような行動は控えなければなりません。
- 腕を組むなど圧迫感がある
- 応募者の顔を見ずメモばかり見る
- 相手を否定する
- 緊張感がない
また面接では、聞いてはいけない質問があります。セクハラなどの応募者を不快にする質問は絶対に避けましょう。また宗教や政治、家庭環境など仕事に無関係なものも不適切です。
以下は、厚生労働省が示している配慮すべき質問です。会話の中でうっかり聞いてしまうことのないよう確認しておくことをお勧めします。
①本人に責任のない事項
- 本籍・出生地に関すること
- 家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)
- 住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近郊の施設など)
- 生活環境・家庭環境などに関すること
②本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)
- 宗教に関すること
- 支持政党に関すること
- 人生観、生活信条に関すること
- 尊敬する人物に関すること
- 思想に関すること
- 労働組合に関する情報(加入状況や活動歴など)
- 学生運動など社会運動に関すること
- 購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
また「身元調査」や「合理的に必要性が認められない健康診断」の実施も避けるべきとされています。
【参考】厚生労働省 採用選考時に配慮すべき事項
https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/topics/saiyo/saiyo1.htm
面接官に向いてる人の特徴
面接官の役割は、施設に必要な人材であると見定めた応募者に「入社したい」と感じてもらうことです。面接官に向いている人の特徴を以下に紹介します。
- 施設のビジョンや魅力を理解し伝えられる人
- 人当たりが良く公平な人
- 質問力がある人
- 調整力に長けている人
応募者の入社意欲を高めるには、施設の魅力や未来像を伝える必要があります。面接官は施設について理解し、自分の言葉で伝える能力を持たなければいけません。
面接官は応募者が最初に話す「施設の人」であり、強い印象を与えます。人当たりがよく誰にでも公平に接する人が向いていると言えるでしょう。
また、応募者の人間性を引き出すための質問力も必要です。面接時に、お互いが本音で話ができれば「こんなはずじゃなかった」というミスマッチを防げます。長く働いてくれる人材を獲得できれば、教育コストも抑えることが可能です。
面接官は、非常に多くの人と関わるため調整力も欠かせません。採用する際には、配属先の管理者やエージェントなど社内外の関係者との調整が必要です。欠員補充など、突発的な事態への対応も求められるケースもあります。
介護施設にとって、人手不足は深刻な問題です。スピード感を持って、採用活動に取り組める調整力が必要とされます。
まとめ
今回は、採用担当者が面接時に気をつけることについて解説しました。
面接官の役割は、施設に必要な人材を見定め入社してもらうことです。施設のビジョンや魅力を理解し伝える能力を持ち、誰とも公平に接することが求められます。
面接で本音を話せればミスマッチは減少し、スタッフは長期的に勤務してくれるでしょう。面接官は、施設にとって重要な役割を担っているのです。
面接を行う際に、この記事が参考になれば幸いです。
参考サイト
この記事を書いた人
現役ケアマネジャー。 「分かりやすく人に伝える」をモットーにWebライターとしても活動中。デイサービスやグループホームでの管理者経験あり。 介護福祉士、認知症ケア専門士、第1種衛生管理者の資格を保有