実践したい!介護レクリエーションのご紹介

「介護レクリエーションを行う目的や成功のポイントをスタッフに示したい」という介護施設長や管理者の方も多いのではないでしょうか。

レクリエーションは身体機能の維持や脳の活性化QOL向上など多くのメリットが期待できます。しかしポイントを押さえて実施しなければ、利用者に不快な思いをさせたり事故が発生したりするリスクが高くなるので注意が必要です。

そこで今回は、レクリエーションで成功するためのポイントを解説します。種類別に具体例も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

介護施設におけるレクリエーションとは?

レクリエーションとは、介護施設やデイサービスの利用者が楽しみながら体を動かしたり脳トレなどを楽しんだりする活動のことです。ADLや認知機能の維持だけでなく、リフレッシュ効果も期待できます。

レクリエーションは、単調になりがちな高齢者の生活に、笑顔と活力を与える貴重なものです。また、レクリエーションによって、他施設との差別化を図ることもできます。利用者のADLや認知機能に応じて、スタッフの得意や強みを活かしたレクリエーションが行われると、介護施設の特色が強く現れます。

そのため、レクリエーションは利用者にとっても施設にとっても重要なものです。

レクリエーションの目的とは

介護レクリエーションを行う目的は、主に3つあります。

レクリエーションの目的
  • 身体機能の維持・向上
  • 脳の活性化
  • コミュニケーションの促進
  • QOLの向上

ではそれぞれ見ていきましょう。

身体機能の維持・向上

体操や身体を動かすレクリエーションを行うことで、筋力や関節可動域の維持が期待できます。筋力の維持、向上を行っていくことで、老化スピードを遅らすことができます。

健康を維持する上で体を動かすレクリエーションは重要な役目を持ちます。

脳の活性化

脳トレやクイズだけでなく、身体を動かすことも血液循環を促すため、脳を活性化する効果があるとされています。脳に刺激を与え、活性化することで認知症の予防に効果があると考えられます。

コミュニケーションの促進

レクを通じて、スタッフや他利用者とコミュニケーションが生まれます。社会性や協調性を保つ効果が期待できます。

QOLの向上:レクリエーションによる楽しみや笑顔は、日々の生活を充実させます。充実した社会生活は、QOLの向上につながります。

レクリエーションには様々な種類があります。利用者のADLや認知機能、関心に合わせてレクリエーションを選ぶことで、より効果的に実施することが可能です。

主なレクリエーション

ここでは、レクリエーションを具体的に種類別でご紹介します。

レクリエーションの種類
  • 身体を使ったレクリエーション
  • 頭脳を使うレクリエーション
  • 創作レクリエーション
  • 外出レクリエーション
  • 道具がいらないレクリエーション

の5つです。
それでは順番にご紹介していきます。

身体を使ったレクリエーション

まずは身体を使ったレクリエーションを紹介します。

風船バレー

バレーボールのように風船を打ち合います。風船が地面に落ちたら仕切り直しです。
何回ラリーが続けられるか、みんなで数を声に出しながら行うと更に盛り上がります。

テーブルの中央に目印を置いてチーム戦にするなどのアレンジも可能です。

サイコロボーリング

ペットボトルをピンとして使用するゲームです。利用者ごとにサイコロを振り、出た目に応じて使用するボールが指定されるというルールです。ホワイトボードに記載しておくと、参加者が理解しやすくなるでしょう。

テニスボール、サッカーボール、ゴルフボール、野球ボール等、様々な大きさのボールを用いて行うことができるため、気軽に実施できます。

運が大きく左右するので、肩に力が入り過ぎずボーリングをレクリエーションとして楽しめます。

ラジオ体操

ラジオ体操は高齢者の方にも馴染みがあり、座ったままでも楽しく体を動かせます。ADLに応じて立ったまま体操してもらうことも可能です。ただしバランスを崩した時に備えて、支えになる手すりや机などの近くで行ってもらいましょう。

頭脳を使うレクリエーション

ここでは、頭脳を使うレクリエーションを紹介します。

懐かしの写真ゲーム

昔の写真を見ながら、みんなで思い出話をするゲームです。最近はインターネットなどで多くの画像を見られます。
例えば昔のアイロンや電気洗濯機などの画像を映し出し、利用者に思い出を語ってもらいます。地元の駅前通りなどの画像が手に入れば、現在との違いに盛り上がるでしょう。

神経衰弱(トランプ)

トランプは高齢者にも馴染みがあり、みんなで参加しやすいゲームです。「神経衰弱」は人数の制限もないので、手軽に楽しめます。

ポイントは、以下の通りです。

  • 大きめのトランプを使用する
  • 利用者の認知機能に応じて、枚数を減らし調整する

書面レクリエーション

漢字や計算、間違い探しなどの書面レクリエーションは脳トレの基本です。ちょっとした空き時間でも楽しめます。
最近では、インターネット上で多くの無料素材が提供されています。

創作レクリエーション

ここでは、創作レクリエーション3つを紹介します。

折り紙・塗り絵

折り紙は、高齢者にとって慣れ親しんだ遊びの一つです。各自が好きなものを作成したり、みんなで同じものを作成したりして楽しめます。最近では、折り紙の柄も多様なのでバリエーション豊かです。

また塗り絵も、手軽に自分のセンスを表現できる創作レクリエーションです。気軽に取り組めるものから難易度の高いものまで揃えておき、利用者に選んでもらうとよいでしょう。

小物づくり

利用者の中には、「若いころは色んなものを作った」という方もおられるはず。手先の器用なスタッフを中心に、どんなものを作成するか決めるとよいでしょう。

スタッフも自分の強みを活かせるので、積極的に取り組んでくれます。パーツを購入する方法もありますが、身近にあるもので手軽に作ることも可能です。

料理

料理も高齢者にとって、メリットの多いレクリエーションです。ホットプレートを使用すれば、テーブルで手軽に楽しめます。料理レクリエーションには、以下のメリットがあります。

  • 食欲を増進させる
  • 手先を使うので脳を活性化させられる
  • 他者とのコミュニケーションが生まれる

ただし火や刃物、誤嚥には注意が必要です。

外出レクリエーション

ここでは、外出レクリエーション3つを紹介します。

季節感のある場所

お花見や初詣など季節を感じられる場所へ外出します。高齢者は自ら出掛ける機会が少ないため、非常に喜ばれるでしょう。
また普段と違う風景や外部の人と触れ合うことは、脳の刺激にもなります。認知機能の低下防止も期待できるのです。

レストラン・ショッピング

レストランなどで外食するのも、非常に喜ばれます。和食や洋食など、希望に応じて班分けするのもよいでしょう。
またデパートなどで買い物を楽しむために外出するのも大きな楽しみです。意外に100円均一ショップも人気があります。

地域の行事

地域の行事やお祭りへの参加は、高齢者の方々が社会とつながる貴重な機会です。地域には、お祭りや文化祭など様々な行事があります。

地元の学生や園児などとも交流できるので、多くの刺激を受けることでしょう。

道具がいらないレクリエーション

ここでは、道具がいらないレクリエーション3つを紹介します。

歌をうたう

歌唱には、心身ともにリラックスする効果があります。また情景を思い浮かべたりリズムをとったりすることで、脳の活性化も期待できるのです。

天気のよい日に、屋外で歌うのもストレス解消になります。

しりとり

しりとりは、誰もが手軽に楽しめるレクリエーションです。ただし手軽に始められる分、飽きるのも早い傾向にあります。そこで、色々なルールを加えるのも有効です。

  • 特定のテーマに限定する(食べもの・色など)
  • 単語の文字数を限定する
  • 四字熟語に限定する

テーマを限定すると難易度は高くなります。利用者の認知機能に応じて調整することが必要です。

ジェスチャーゲーム

ジェスチャーゲームとは、出題する人が身振り手振りでお題の内容を伝えるゲームです。高齢者の方でも分かるように、大きな動作で行うことを心掛けます。

お題は、野球や相撲、水泳など動きが大きいものがおすすめです。回答者を数グループに分け、チーム戦にしても盛り上がります。

介護レクリエーション成功のポイント

介護レクリエーションを成功させるためのポイントは以下の通りです。

  • スタッフを含む参加者全員が楽しめるものを選ぶ
  • 安全に配慮する
  • 実施後の振り返りと改善を行う

レクリエーションは、参加者全員が楽しめないと意味がありません。とは言え、利用者のADLや認知機能は様々です。誰もが無理なく楽しめるように、運の要素を取り入れるなどの工夫が求められます。

また楽しむことを優先し、安全を怠って事故が起こることも珍しくありません。「転倒や異食が発生する可能性はないか」「不快な思いをした人がいないか」など、実施後に振り返ることが重要です。

レクリエーション開催時の注意点

レクリエーション開催時の注意点は、以下の通りです。

  • 参加を強制しない
  • 上手な人ばかりを褒めない
  • レクリエーション中の体調不良に注意

レクリエーションは楽しいものであり、心身の活性化などメリットも多くあります。利用者に参加してほしい一心で、スタッフが無理に誘ってしまうこともあるようです。

中にはレクリエーションが苦手な方もおられます。あくまでも参加は自由であることを、スタッフに周知しておくのがよいでしょう。

また、どうしても上手な利用者ばかりを褒める傾向があります。利用者には体の不自由な方もおられるため、偏らないようにしたいものです。

高齢者は体力が低下している場合があり、過度な運動や興奮が体調不良を引き起こす可能性があります。利用者の様子を観察し、必要に応じて休憩やサポートを行うように心掛けましょう。

まとめ

今回は、レクリエーションの具体例や成功のためのポイントを解説しました。レクリエーションは、身体機能の維持や脳の活性化など多くのメリットが期待できます。

しかし楽しさだけを追い求めると、利用者が不快な思いをしたり事故に巻き込まれたりする可能性もあります。

実施後に振り返りや改善点を検討し、参加者みんなが楽しめるレクリエーションを実施しましょう。レクリエーションについて見直す際に、この記事が参考になれば幸いです。

この記事を書いた人

朝水 裕一
現役ケアマネジャー。 「分かりやすく人に伝える」をモットーにWebライターとしても活動中。デイサービスやグループホームでの管理者経験あり。 介護福祉士、認知症ケア専門士、第1種衛生管理者の資格を保有

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