採用率をUPさせるために今すぐ取り組むべきこと

現在、日本では深刻な介護人財不足が問題となっています。介護人財が確保できずに悩んでいる経営者も多いのではないでしょうか。

この記事では、介護職員の採用率を向上させる方法について解説します。この記事を読むことで、状況に応じた求人の改善方法も理解できるでしょう。ぜひ、最後までお読みください。

介護業界は慢性的な人手不足

現在、介護業界は慢性的な人手不足に悩まされています。厚生労働省の資料「第8期介護保険事業計画に基づく介護人財の必要数について(別紙1)」によると、2023年時点で約22万人の介護人財が不足し、2040年には「約69万人の介護人財が不足する」という統計データが出されています。

また、介護労働安定センターが実施した「令和3年度 介護労働実態調査」の結果でも、介護職員に対して「大いに不足」「不足」「やや不足」と回答した施設が合計64.4%でした。

さらに、厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和4年12月分及び令和4年分)」によると、介護サービス業の有効求人倍率は4.01倍でした。このデータから、現状として1人の介護職員を4つの施設が取り合っている状況にあることがわかります。

以上のデータから、現在すでに約半数以上の施設で人財が不足しており、将来的にも多くの施設で慢性的な人手不足に悩まされる可能性は高いでしょう。

採用率を把握することが重要

採用率とは、応募者のうち採用した者の割合のことを指しており「採用者数÷応募者×100」で計算されます。例えば、10人の応募者から1人を採用する場合の採用率は10%で、5人の応募者から1人採用した場合の採用率は20%となります。

採用率が低い場合、多くの応募者が集まったとしても人財確保に繋がりにくい一方で、採用率が高い施設では、応募者が少なくとも、人財を採用できる可能性が高まります。

求人の成果として応募者数を気にする方も多いようですが、応募者数だけでなく採用率を把握することも大切です。厚生労働省の資料「介護労働の現状」によると、介護職員の採用率は平成29年時点で16%という結果が発表されています。介護職員の採用率16%をひとつの目安にして、自事業所の状況を分析するとよいでしょう。

採用率向上に欠かせない歩留まり改善

採用率が低いと感じた場合には、歩留まりの状況を確認しましょう。歩留まりとは、採用活動のステップを踏んでいくなかで、次の工程へ進んだ人の割合を指します。

採用率を向上させるためには、歩留まりを改善しなければいけません。一般的に介護人財を採用する場合、「募集→応募(面談調整中)→面談決定→面接済み→内定→採用」というステップを踏んで進んでいきます。介護人財を募集する際には、どのフェーズで歩留まりが発生しているか分析して、対策を講じる必要があります。

例えば、応募から面談決定に至る過程で歩留まりが発生している場合、どのような対策を立てるとよいでしょうか。

応募から面談決定に至らない場合、応募した後で他の施設での採用が決まった、といった原因が考えられます。この問題を解決するためには、応募から面談までのスケジュールをできるだけ短期間にするとよいでしょう。逆に、応募者が少ないからと応募要件を広げたり、募集内容をむやみに変更したりするのはおすすめできません。

どのフェーズで歩留まりが起きているのか分析し、的確に対策を立てなければ、採用率は上がらないので注意しましょう。

採用率を向上させる具体的な改善方法

介護人財を募集する際には、採用率に注目して改善策を考えます。また、採用率を向上させるには、歩留まりに応じた対策を講じなければいけません。ここからは、具体的なシチュエーションに応じて採用率をアップさせる方法を解説します。

応募から面談決定に至らない場合

応募から面談に至らない場合、どのような原因が考えられるでしょうか。
原因としては、求人情報を見返して辞退する、応募後の対応が遅く他の施設の面接が決まってしまった、という2つが考えられます。

この原因への対策として、まず求人情報を見直しましょう。求職者が知りたい情報をわかりやすく簡潔にまとめておくことで、求職者とのミスマッチを避けられます。

また、応募者から連絡を受け取ってから面談をするまでの期間を短縮することも重要です。面談までの期間を短縮するために、採用担当者間での役割を分担して、スムーズに面談を実施できるように準備しておきましょう。

面談が決定しても面接に来ない

応募者との面談日程が決定しても、面談の日に応募者が来ないこともあります。応募してきた方が複数社で面談を予定している場合、面談日程を忘れてしまうかもしれません。応募者が面談の日程を忘れないために、リマインドメールや電話で事前に連絡するとよいでしょう。

また、応募から面談までの期間を短縮する方法もおすすめです。応募から面談までの期間が空いてしまうと、面談日程を忘れやすくなるだけでなく、他の施設が先に採用してしまうかもしれません。人財獲得の機会損失を防ぐためにも、面談までの期間を短縮するように尽力しましょう。

面談後の内定率が低い

面談終了後の内定率が低い場合、募集要件と求職者の属性がマッチしていない可能性があります。この場合、求人情報に載せる情報を見直すとよいでしょう。

例えば、介護職員が送迎も担当している施設が「送迎業務の有無」を記載していない場合、送迎業務がない職場と思って応募してくる可能性もあります。面談をする中で、求職者が運転免許証を持っていないと発覚すると不採用にしなければいけません。また、面談後に求職者から辞退する可能性もあります。

求職者とのミスマッチにならないように、求人情報には欲しい人財の条件を丁寧に記載しましょう。

内定辞退が多く採用できない

面談後に内定を辞退する人が多い場合、辞退する理由によって対策が異なります。例えば、「他社の条件がよかった」という理由で辞退する人が多い場合、周辺施設の条件を分析し、自社の募集条件を見直しましょう。

また、「面談の内容で不信感を持った」という理由で辞退される方が多い場合、面談の方法に問題があります。可能であれば面談の様子を他の職員に確認してもらい、面談での発言や話す内容を修正する必要があります。
応募者から内定辞退の連絡を受けた際には必ず理由を確認し、採用方法の改善に活かしましょう。

人財獲得の環境は依然厳しいため門戸は広く

介護業界における人財獲得競争は、今後も激化していく可能性があります。採用の機会損失にならないように、求人の門戸は広くしましょう。

今後、共に働くことになる職員なので、「慎重に検討したい」と考えるのも仕方ありません。しかし、面談までのハードルを上げてしまうと、貴重な人財が来てくれるチャンスを失ってしまう可能性もあります。

応募があった場合は、よほど条件がマッチしない場合や資格要件を満たせていない場合を除いて、積極的に面談しましょう。

まとめ

この記事では、採用率を上げるために今すぐ取り組むべきことについて解説しました。介護業界は慢性的な人手不足に悩まされています。貴重な介護人財を獲得するためには、採用率を意識することが重要です。

採用率を上げるためには、歩留まりを改善しなければいけません。採用までのステップにおいて、どのフェーズで不採用になっているのか分析すると良いでしょう。分析結果に応じて求人の方法を改善していくことで採用率を向上させます。

介護人財の環境は、今後も厳しい状況が続きます。採用率に注意して、戦略的に採用活動を実施していくとよいでしょう。

参考サイト

この記事を書いた人

野田晃司
作業療法士として病院勤務を経験後、複数の福祉施設を運営する会社経営に携わる。2ヶ所の通所介護施設を立ち上げ後、施設管理者を8年経験。現在も介護施設で働きながらライターとして活動中。

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