科学的介護(LIFE)とは?LIFEの活用で算定できる加算についても簡単にご紹介!

介護職に従事していると「科学的介護」や「LIFE」といった言葉を目にすることもあるでしょう。この記事では科学的介護とは何か、どんなことに役立つのかについて解説します。今後介護業界でスタンダードになっていくと考えられるものなので、これから介護職を目指す人もぜひ参考にしてくださいね。

科学的介護とは

科学的介護とは、「科学的根拠に基づく介護」のことです。より質の高い介護サービスの提供や介護スタッフの働き方改革を目指して厚生労働省が推進しています。

医療分野では根拠(エビデンス)に基づく医療が1990年代以降から実施されてる一方で、介護分野では高齢者の心身状態や背景が個人によって異なるため、科学的に効果が裏付けされる介護は充分に実践されていないのが実情です。

こうした背景から、エビデンスに基づいて自立支援及び重度化防止等をすすめるために、科学的介護が推進されています。

科学的介護情報システム(LIFE)

科学的介護情報システム(LIFE:Long-term care Information system For Evidence)はCHASE(※1)とVISIT(※2)を統一した名称です。LIFEを活用することにより、介護に実践的な科学的手法を取り入れることが可能になるため、客観的な判断で適切なサービスを提供したり介護事業所の質が向上したりといった効果が期待されています。

※1
CHASE =Care, Health, Status, Events。介護サービス向上のため、利用者の状態やケア内容などの情報を集めて蓄積したデータベースのこと。
※2
VISIT= monitoring & eValuation for rehabIritation ServIces for long-Term care。通所・訪問リハビリテーションの計画書などの情報を集め、科学的根拠に基づいて効果を分析するためのデータベース。VISITを用いてデータ提出をしている事業所には「リハビリテーションマネジメント加算」が設けられている。

LIFEの活用方法

LIFEの活用方法としては、以下のようなPDCAサイクルが基本となります。

STEP.1
PLAN(計画)
計画書等の作成
STEP.2
DO(実行)
計画書等に基づいたケアの実施
STEP.3
CHECK(評価)
利用者の状態やケアの実績などを評価し、LIFEにデータ()を提出
STEP.4
ACTION(改善)
LIFEからのフィードバック情報により改善案を作成

要するに、介護事業所から介護に関する情報をLIFEで収集・分析し、それをもとにサービスを改善していくということです。改善案を実行・評価した後はまたLIFEに情報を提出し、さらなる改善を図ります。

※データ入力項目
評価日・前回評価日、日常生活自立度、既往歴、服薬情報、同居家族や家族が介護できる時間、ADL、在宅復帰の有無等、身長・体重、低栄養状態のリスクレベル、栄養補給法、食事摂取量、必要栄養量、提供栄養量、血清アルブミン値、褥瘡の有無、口腔の健康状態、誤嚥性肺炎の発症・既往、認知症の診断、DBD13、Vitality Index
参考元:ケアの質の向上に向けた科学的介護情報システム(LIFE)利活用の手引き

科学的介護推進体制加算(LIFE加算)とは

科学的介護推進体制加算(LIFE加算)とは、LIFEへの情報提供をした事業所に対して加算を行う制度のことです。LIFEの利用率を増加させ科学的介護を推進する目的で、令和3年度の介護報酬改定において新たに創設されました。

科学的介護推進体制加算(LIFE加算)の対象になるには、定められた単位数や算定要件を満たし利用申請をする必要があります。

対象サービスと加算単位

サービス種類 単位数
施設系 介護老人福祉施設、地域密着型老人福祉施設入所者生活介護 (Ⅰ)40単位/月(Ⅱ)50単位/月
介護老人保健施設、介護医療院 (Ⅰ)40単位/月(Ⅱ)60単位/月
通所/居宅/機能系 通所介護、通所リハビリテーション、認知症対応型通所介護、地域密着型通所介護、特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護 40単位/月

算定要件

  1. 利用者ごとのADL値、栄養状態、口腔機能、認知症の状況やその他の入所者の心身の状況等に係る基本的な情報を厚生労働省に提出していること(加算Ⅱを算定する場合、これらに加えて疾病の状況や服薬情報等も提出(介護老人福祉施設及び地域密着型介護老人福祉施設では服薬情報の提出を求めない))。
  2. 必要に応じてサービス計画を見直すなど、サービスの提供にあたり上記の情報その他サービスを適切且つ有効に提供するために必要な情報を活用していること。

科学的介護情報システム(LIFE)の活用が要件として含まれる加算

上記で説明した科学的介護推進体制加算(Ⅰ、Ⅱ)のほかにも、LIFEの活用が算定要件となっている加算があります。

  • 個別機能訓練加算(Ⅱ)
  • ADL維持等加算(Ⅰ)、(Ⅱ)
  • リハビリテーションマネジメント加算(A)ロ、(B)ロ
  • リハビリテーションマネジメント計画書情報加算
  • 理学療法、作業療法及び言語聴覚療法に係る加算
  • 褥瘡マネジメント加算(Ⅰ)、(Ⅱ)
  • 排せつ支援加算(Ⅰ)、(Ⅱ)、(Ⅲ)
  • 自立支援促進加算
  • かかりつけ医療携帯剤調整加算
  • 薬剤管理指導
  • 栄養アセスメント加算
  • 栄養マネジメント強化加算
  • 口腔機能向上加算(Ⅱ)
  • 口腔衛生管理加算(Ⅱ)

(出展元:「科学的介護情報システム(LIFE)」の活用等について

まとめ

この記事では、質の高い介護サービスの提供や労働環境の改善が期待される「科学的介護」について説明しました。LIFEは始まったばかりのシステムであるため、普及には各事業所や介護スタッフの理解と協力が必要不可欠です。介護職に従事する人やこれから介護職を目指す人は積極的に理解を深めておきましょう。より詳しく知りたい方は厚生労働省のホームページもチェックしてくださいね。

参考
科学的介護厚生労働省

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