機能訓練指導員の仕事内容とは? 資格の取り方、取得メリットを解説

機能訓練指導員

  • 機能訓練指導員ってどんな仕事?
  • 資格の取得方法とは?

介護の世界では、たくさんの職種がチームとなって働いています。高齢者福祉は、介護と医療の両輪で支えていると言っても過言ではありません。そのため、介護の世界で働くといっても、どのような仕事があり職種が関わっているのかを知り、どのように自分が働きたいのかを明確にすることが大切です。

介護分野における職種の1つに、機能訓練指導員があります。未経験の方にとっては、馴染みのない職種かもしれませんね。

そこで今回は、機能訓練指導員の仕事内容や資格の取り方について解説していきます。

機能訓練指導員とは?

機能訓練指導員は、介護保険法に基づいて、機能訓練やリハビリのサービスを提供する仕事です。介護の仕事は、要介護者の身の回りのお世話をすることだと認識している方が多いですが、それだけではありません。

介護が必要となる状態を防いだり、現段階で難しい部分を改善するための支援もとても大事な仕事です。こうした部分を専門的に担うのが、機能訓練指導員です。

機能訓練指導員は、特別養護老人ホーム等の介護施設に1人以上配置することと定められています。そのため、機能訓練指導員の需要は高いと言えるでしょう。

機能訓練指導員の仕事内容

機能訓練指導員は、介護施設を利用している方の課題について把握し、日常の動作を可能な限り一人で行えるようにしたり、介護の必要度が高まらないように予防したりするために、必要な支援を行います。

介護が必要となった経緯は人により異なります。また、障害の程度も人により違います。そのため、支援が必要となる部分も当然人によって違いますよね。

例えば、「トイレに行くことができない」という状態の要介護者がいたとします。その原因が、身体の動きにあるのか、環境にあるのかどうかだけでも支援の方法は変わります。当然、原因が違えば解決方法も違ってきますから、画一的なケアでは自立支援には結び付きません。

機能訓練指導員は、こうした一人ひとりの課題や状態を細かく把握し、今よりも出来ることが増える、楽に行えるようになる、今出来ることを維持するように目指すための計画を立て、必要な支援を実施していきます。

もう少し具体的に見てみましょう。まずは、利用者の生活環境や身体状況を確認します。そして、改善すべき課題を見つけます。課題を解決するために、確認したことを参考にしながら一人ひとりに応じた機能訓練計画表を立てます。

機能訓練計画表は、利用者本人や家族の同意を得て実施に至ります。担当ケアマネジャーの立てるケアプランの内容とその目的がマッチしているかどうかも確認し、それに沿って利用者の機能訓練を行います。

STEP.1
居宅訪問・生活、身体状況の確認
利用者の居宅を訪問し、利用者のニーズや生活環境の確認を行います。合わせて家族の意向、ケアマネジャーからの情報収集も行います。解決すべき課題、短期、長期目標の立案に重要な項目です。
STEP.2
アセスメント・個別機能訓練計画の作成
STEP1で得た情報を元に、多職種協同で 評価を行い、個別機能訓練計画書の作成を行います。
STEP.3
利用者本人又は家族への説明と同意
個別機能訓練計画書の作成が完了し次第、利用者又は家族への説明を行い、同意の上サインを貰います。
STEP.4
個別機能訓練の実施
機能訓練指導員は、作成した計画に沿った機能訓練を実施します。
STEP.5
評価、計画の見直し
3ヵ月ごとに1回以上、個別機能訓練計画の進捗状況等に応じて、利用者、家族の同意を得た上で、内容の見直しを行います。利用者の心身状態の変化により、必要な場合は速やかに内容の見直しを行います。

機能訓練指導員になるには

機能訓練指導員になるには、特別な研修があるというわけではありません。ただし、基礎資格は必要です。定められた7つの職業のうち1つでも保有していれば、機能訓練指導員として働くことが可能です。

機能訓練指導員になるために必要な7つ資格

機能訓練指導員になるためには、次の7つの資格のうちいずれかを取得する必要があります。

  1. 看護師または准看護師
  2. 理学療法士
  3. 作業療法士
  4. 言語聴覚士
  5. あん摩マッサージ指圧師
  6. 柔道整復師
  7. 鍼灸師

保有する資格ごとの機能訓練指導員の仕事内容

機能訓練指導員になるには上項の7つの資格のうちのいずれかを保有している必要がありますが、資格によって求められる仕事の内容は多少異なる傾向にあります。

看護師または准看護師

看護師または准看護師は、医学的な知識を生かした機能訓練を行います。利用者の体調管理や、怪我や病気のリスク管理といった観点が求められます。

理学療法士

医学的リハビリテーションに基づいて、歩く・立つなどの基本動作機能が低下した利用者に、リハビリテーションを行います。運動療法や物理療法が活用できる点が特徴で、機能の回復や悪化の予防を目標として定め、利用者の自立を促します。

作業療法士

入浴、食事、トイレ、洗顔や、字を書く、掃除をするといった応用動作のリハビリテーションを専門とします。創作活動等も取り入れながら、精神面でのリハビリテーションを行うこともあります。

言語聴覚士

言語機能や聴覚機能に障害を持つ人にリハビリテーションを行います。食べたり、飲みこんだり、喋ったりといった機能のリハビリテーションが中心です。

あん摩マッサージ指圧師

あん摩や指圧、マッサージなどにより、体の不調を緩和させることが得意です。機能訓練指導員としては、体の不調を緩和させると共に、その不調の原因を探っていきます。

柔道整復師

固定や整復などにより体の損傷の回復を促す職業です。外傷によって発生した骨折や脱臼、打撲などに対応します。

鍼灸師

はりや灸によって体の不調の回復を促します。筋肉のこりの解消や血行の促進をはかります。平成30年から機能訓練指導員として認められるようになりました。鍼灸師が機能訓練指導員になるためには、鍼灸師以外の機能訓練指導員が在籍する施設で半年以上実務経験を積む必要があります。

機能訓練指導員として働ける職場・就職先

機能訓練指導員が働ける職場や就職先は、大きく分けて2つあります。「介護福祉施設」と「要介護者向けの医療施設」です。

介護福祉施設
  • デイサービス
  • 特別養護老人ホーム
  • 有料老人ホーム
  • ケアハウス

これらの施設は、似ているようで特徴が異なります。デイサービスは自宅で生活している要介護高齢者が通って利用する施設です。機能訓練指導員は、送迎や身体介護も業務の一部に入る場合があります。

特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、ケアハウスは入所して利用する施設ですが、それぞれ受け入れ可能な条件が違います。特に、特別養護老人ホームは基本的に要介護3以上の方しか入所できないため、介護の必要度が高い人が多いです。

要介護者向け医療施設
  • 介護老人保健施設
  • 病院併設型リハビリテーション
  • 介護療養型医療施設

これらの施設で働く機能訓練指導員も、利用者の機能訓練指導を行うという点では変わりありません。介護福祉施設に比べて要介護度や医療依存度の高い利用者が多いです。利用者に合わせた機能訓練が必要となります。

機能訓練指導員指導員の給料事情

さて、気になる機能訓練指導員の給料を見ていきましょう。

機能訓練指導員の平均給与額(月給・常勤)は270,650円でした。他の職種の給与額と比較しますと、介護職員の平均給与額は245,600円、生活相談員・支援相談員は242,700円、介護支援専門員は271,350円となっています。これらはあくまでも平均給与額なので、勤続年数や役職の有無、資格の種類等により異なりますが、他の専門職に比べると機能訓練指導員の給与は高めとなっています。
(※給料の算出はe介護転職に掲載されている求人情報を元に行っています。)

機能訓練指導員のやりがい

機能訓練指導員には、さまざまなやりがいがあります。

まず、利用者の体の状態が良くなっているのを、その目で見ることができます。「自力で移動できるようになった」、「食事ができるようになった」、「足の痛みがやわらいだ」など、機能訓練により利用者の体が回復していくのを見守れることは、やりがいにつながるでしょう。

そして、機能訓練指導員は利用者の感謝の声を直接聞くことができます。「リハビリのおかげで動けるようになった」など、本人や家族に言ってもらえると、大きな達成感を得られます。

まとめ

高齢化社会が進んでいく現代において、機能訓練指導員は重要な職業です。これからも需要は高まっていくでしょう。また、最近は介護職員の給料が見直されているので、給料面においても希望のある職業であると言えます。

機能訓練指導員になれるのは、理学療法士等のリハビリ専門職や看護師だけではなく、柔道整復師等も含まれています。これまで介護の分野で働いたことがなくても、その知識や技術が新たな場面で活かせるチャンスでもあります。

ぜひ、機能訓練指導員の仕事に興味を持たれたら、実際の求人情報に目を通してみましょう。