- 言語聴覚士ってどんな仕事?
- 資格の取得方法とは?
医療や介護に関する専門職の種類は多いです。その中でも、リハビリ専門職として働きたい方は、言語聴覚士についても興味があるのではないでしょうか。
しかし、日常生活で言語聴覚士に関わる機会はそう多くないことから、その仕事内容について分かりにくいと感じている方もいるでしょう。また、リハビリ専門職を目指すのであれば、それぞれの職種の違いを知った上で進路を決めていく必要がありますね。
そこで今回は、言語聴覚士とはどのような職種なのか、その仕事内容や、資格の取り方、資格を取るメリットについてご紹介します。
記事でわかること
言語聴覚士とは?
言語聴覚士は、リハビリ分野で活躍する専門職で、理学療法士や作業療法士と並ぶ国家資格です。英語では、Speech Language Hearing Therapist、略してSTと呼ばれることが多いです。
病気や障害などにより、話すことや聞くこと、食べること、飲み込むことが難しい人に対して、様々な方法で改善を支援するスペシャリストです。
リハビリと聞くと、怪我や病気で動きにくくなった手足の機能を取り戻すための訓練だと認識する人が多いですが、実はそればかりではありません。言語聴覚士は、人とコミュニケーションをとることや、生きていく上で欠かせない“食べること”に関わります。
言語聴覚士の仕事内容とは?
それでは、もう少し詳しく言語聴覚士の仕事について見ていきましょう。話すことや食べることが難しくなる原因には、様々な病気や障害の影響が考えられます。
言語聴覚士の仕事領域として、特に代表的な障害をピックアップしてみましょう。
言語障害
言語障害は、何らかの原因により正しい発音ができない「構音障害」や、大脳の一部に異常が起こることで言葉が使えなくなる「失語症」の2種類があります。
構音障害
声が出せない、はっきりとした発音ができない、ろれつが回らない、舌がもつれてしまうなどの症状があります。唇や顎、舌、喉、気管など、声を出すために必要な器官のどこかに異常があり、声や発音が難しくなるのが原因です。
構音障害の場合、相手の言っている言葉が理解できて、自分も適切な返事が頭の中では分かっているため、文字でのコミュニケーションは問題なく行えます。
失語症
大脳の言語を司る部分に何らかの異常が起こると、話すことや、聞いて理解すること、読み書きに影響する場合があります。
具体的な症状をご紹介します。
まず、言葉が出ない、言い間違える、適切な言葉が選べない、意味不明な言葉を話すといった、話すことに関する症状があります。
そして、聴力は問題なくても話の内容が理解できないという、聞くことに関する症状もあります。他には、文字が読めない、読めても理解ができない、書けないといった、読み書きに関する症状もあります。
音声障害
声が出にくくなる、いつもと違う声になるなどの症状です。一時的なものもありますが、声を酷使する職業に就いている方の中には繰り返したり継続したります。
声帯に炎症やポリープ等があるなど、医師の判断で外科的な対応を優先することもあります。
摂食・嚥下(えんげ)障害
食べること、飲み込むことが困難となる症状のことです。
食事は毎日欠かせないもので、生きる楽しみになっている人も多いです。
病気や障害、老化などにより食べることや飲み込むことが難しくなると、楽しみが減ってしまうだけでなく健康にも大きく影響します。
また、誤嚥による肺炎のリスクが高まったり、窒息によって命にかかわる事態につながったりと、決して軽視できない障害でもあります。
高齢者が利用する施設では、言語聴覚士の仕事の多くを占める障害でもあります。
言語聴覚士になるためには?
言語聴覚士になるには、国家試験に合格する必要があります。
国家試験の受験資格を得るまでのルートは大きく分けて2通りあり、どちらも通学して勉強する必要があります。
養成課程のある大学・短大・専門学校に進む
1つ目のルートは、高校卒業後、言語聴覚士養成課程のある大学や短大、専門学校を卒業する方法です。これらの学校は3年~4年の通学が必要です。
4年生大学卒業後、養成課程のある学校に進む
2つ目のルートは、4年制大学を卒業した後、言語聴覚士養成課程のある大学や大学院の専攻科、もしくは専門学校を卒業する方法です。こちらの場合は、2年間の通学となります。
どちらのルートにおいても、卒業あるいは卒業見込みで国家試験を受験し、合格すると、言語聴覚士として登録できます。
通信教育のみでの履修はできませんが、4年制大学卒業ルートであれば夜間課程のある養成校も対象となるため、社会人になってから資格を取得することも可能です。
資格試験の合格〜資格取得までの流れ
国家試験に合格した後、すぐに言語聴覚士として働けるわけではないため、注意が必要です。
言語聴覚士としての職場・就職先とは?
言語聴覚士が活躍する場所は、医療・介護の分野が主となります。割合としては少ないですが、学校等の教育分野でも
働くことが可能です。
医療の現場で働く
言語聴覚士の職場として最も多くの割合を占めるのが、病院等の医療現場です。
総合病院等のリハビリテーション科や回復期病棟、リハビリテーションセンター、口腔外科、耳鼻咽喉科が代表的です。
医療現場では、様々な年代の患者さんと関わります。そして、当然リハビリが必要となった原因も患者さんごとに異なるため、様々な症例を経験しながらキャリアを積んでいきます。
さらに、退院後の生活に向けて、一人ひとりに合った方法でリハビリを実施し、社会復帰を目指していきます。
介護・福祉の現場で働く
医療現場の次に多いのが、高齢者が利用する介護施設等や、障害者が利用する施設です。
高齢者が入所あるいは通所で利用する施設や、自宅で生活する高齢者に介護サービスを提供する事業所などでは、特に摂食嚥下に関するリハビリの需要が高いです。
食事介助を行う際の注意点を、介護スタッフ等に伝達したり、ふだんの生活の中でできるリハビリを指導したります。
介護施設等では、1対1のリハビリを担当することもありますが、集団で行うレクリエーションなどを任されることもあります。
障害者施設の中でも、児童を対象とする施設であれば、摂食嚥下はもちろん、発達障害のある児童への言語訓練を実施したり、その家族に対してコミュニケーションの取り方を助言する機会も多いです。
言語聴覚士の給料事情
言語聴覚士の平均給与額(月給・常勤)は281,500円でした。他の職種の給与額と比較しますと、介護職員の平均給与額は245,600円、生活相談員・支援相談員は242,700円、介護支援専門員は271,350円となっています。これらはあくまでも平均給与額なので、勤続年数や役職の有無、資格の種類等により異なりますが、他の専門職に比べると機能言語聴覚士の給与は高めとなっています。
(※給料の算出はe介護転職に掲載されている求人情報を元に行っています。)
言語聴覚士のメリット・やりがい
言語聴覚士は、養成校等で学び国家試験を通過する必要があることから、資格取得までの道のりは決して短くはありません。しかし、そのぶん需要もあり、やりがいの多い仕事です。
人が生きていく上で、コミュニケーションをとったり食事をとったりすることは、必要不可欠です。こうした部分に難しさを抱える人の苦労は、とても大きいのではないでしょうか。
言語聴覚士として関わることで、少しずつその機能が改善すると、患者さんの生活が変わります。「前より食べることが楽しくなった」「人と喋ることが楽しみになった」など、患者さんの生活が変わる時に大きなやりがいを感じるでしょう。
まとめ
少子高齢化が進む中、医療や介護に携わる人材はこれからますます需要が高まると予想されます。
言語聴覚士は小さな子どもから高齢者まで、幅広い世代に関わる専門職です。医療機関に限らず、その活躍の場はどんどん増えていくことが期待されています。
e介護転職は、株式会社ベストパーソンが運営する、介護と福祉に特化した求人情報サイトです。
介護・福祉の求人情報を専門に扱う求人・転職サイトのため、介護・福祉の求人を探しやすいのが特徴です。
掲載求人件数は業界最大級で、全国の求人を取り扱っています。
介護・福祉に特化しているので、職種検索(介護職、ケアマネージャー、看護師、生活相談員、児童発達支援管理責任者、サービス管理責任者など)、サービス種類検索:介護(特養ホーム、有料老人ホーム、デイサービス、グループホーム、訪問介護など)・福祉の障害児/障害者支援関連(放課後等デイサービス、障害者就労支援など)、雇用形態での検索(正社員はもちろん、短時間パート、日勤のみ、夜勤のみなど)と充実しており、あなたに合った求人を探せます。
当サイトは、パソコンだけではなく、スマートフォンでも利用できます。これからの高齢化社会を支える業界で、是非あなたの力を発揮できる職場を見つけて下さい。
e介護転職に掲載している求人情報
- 介護職・ヘルパー
- サービス提供責任者
- 介護支援専門員
- 看護師
- 生活相談員
- 作業療法士
- 理学療法士
- 管理栄養士・栄養士
- 福祉用具専門相談員
- 福祉住環境コーディネーター
- 管理職
- 広報・営業職
- 介護事務・事務
- 送迎ドライバー
- 保健師
- 看護助手
- 言語聴覚士
- 医療事務
- 保育士
- 主任介護支援専門員
- 機能訓練指導員
- 相談員
- 訪問入浴オペレーター
- サービス管理責任者
- 児童発達支援管理責任者
- 児童指導員
- 調理職
- 支援員
- あん摩マッサージ指圧師
- 計画作成担当者
- 移動介護従事者(ガイドヘルパー)
- 居宅介護従事者
- 重度訪問介護従事者
- 行動援護従業者
- 相談支援専門員
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 視能訓練士
- 技師装具士
- 手話通訳士
- 歩行訓練士
- その他