小規模多機能型居宅介護での働き方とは? 仕事内容・必要な資格について分かりやすく解説

  • 小規模多機能型居宅介護での仕事内容とは?
  • 働く上であると良い資格と資格の取得方法とは?

介護の仕事ができる施設や事業所の種類はたくさんあります。特に、小規模多機能型居宅介護は、他の施設や事業所にない特徴や魅力があり、これから就職や転職を考えている人の中には気になっている方も多いのではないでしょうか。

しかし、小規模多機能型居宅介護って、どのような施設なのかよく分からないという声も多いです。介護の分野で働いていても、小規模多機能型居宅介護について知らないという方も、実はたくさんいます。

これから介護の仕事に就きたい方や転職を考えている方にとって、介護の施設についての情報を得ることはとても大事です。今回は、小規模多機能型居宅介護の仕事内容や働き方などについて分かりやすくご紹介します。

小規模多機能型居宅介護とは?

小規模多機能居宅介護は、自宅で生活している介護が必要な高齢者が利用する施設です。家から通ったり、必要な時に泊まったり、スタッフに家に来てもらって介護を受けたりすることができます。

このように、「通所」「宿泊」「訪問」の3つのサービスを、まるごと利用できる点は、小規模多機能型居宅介護の大きな特徴であり、魅力です。

なぜ小規模多機能型居宅介護があるのか

ここで1つこんな疑問を持つ人もいるのではないでしょうか。

通所ならデイサービスがあるし、宿泊ならショートステイできる施設がある。そして、訪問は訪問介護でヘルパーさんに来てもらえば、小規模多機能型居宅介護を利用する必要はないのではないかと

確かに、そのようなサービスを組み合わせて、自宅で快適に生活している要介護高齢者はたくさんいます。

小規模多機能型居宅介護は、住み慣れた地域で長く暮らし続けることを支援するために作られた施設です。通所・宿泊・訪問を1つの施設で実施することで、より突発的な状況にも柔軟に対応できるという利便性があります。

また、1つの施設で決まった職員が必要に応じたサービスを提供するため、情報共有がしやすいというメリットもあります。利用者は、あちこちの施設や事業所を利用する必要がないため、スタッフの顔を覚えやすく、同じ建物の中で通ったり泊まったりできることで安心感が得られます。

小規模多機能型居宅介護は、利用できる登録者数に制限があるため、基本的に建物の規模は小さめです。住宅のような、アットホームな雰囲気をもつ施設が多いのも特徴です。

小規模多機能型居宅介護の特徴
  • 突発的な状況にも柔軟に対応可能
  • スタッフ同士の情報共有がしやすく、利用者に適したフォローがスピーディーにできる
  • まるで家にいるかのようなアットホームな雰囲気をもつ

小規模多機能型居宅介護で提供されるサービスの詳細とは

先程も触れたように、小規模多機能型居宅介護は「通所」と「宿泊」、そして「訪問」を行う施設です。

通所

デイサービスのように自宅から通って利用します。午前中だけ、午後だけというように、必要に応じて通えます。入浴や食事、レクリエーション等が提供されます。1日の通所定員は18名までとなっています。

宿泊

介護者が不在の時などには、宿泊をすることもできます。1日あたりの宿泊利用定員は9名までとなっており、朝からデイサービスを利用してそのまま宿泊したり、夕食を自宅でとった後に来所して泊まったりすることができます。

訪問

自宅で過ごす日や、デイサービスの支度に支援が必要な時は、訪問を使うことが可能です。小規模多機能型居宅介護のスタッフが自宅を訪問し、必要な支援を行います。

小規模多機能型居宅介護の主な仕事内容とは?

それでは、小規模多機能型居宅介護の主な仕事内容を見てみましょう。

送迎業務

小規模多機能型居宅介護を利用する方の自宅まで、送迎車を運転してお迎えとお見送りをします。

介護業務(食事、入浴、排泄介助)

介護が必要な人の状態に合わせて、必要な介助を行います。食事を一人で食べることが難しい方には食事介助、入浴時の入浴介助、トイレ誘導やオムツ交換、トイレの声かけなどの排泄介助など、様々です。

自宅への訪問

利用者の自宅に行き、必要な介護を行います。他の支援も同じですが、基本的にケアプランに基づいてケアが提供されるため、訪問にかかる時間や支援の内容はケアプランの通りに行います。もちろん、安否確認や状態の変化がないかの確認も行い、緊急時の対応をすることも考えられます。

レクリエーション企画

一般的なデイサービス事業所などと同様に、レクリエーションを企画するのも大切な仕事です。ちょっとした空き時間を活用して、楽しく体を動かしたり、季節にちなんだ行事を企画したりします。

小規模多機能型居宅介護での優遇資格

小規模多機能型居宅介護で働く上で優遇されたり、就職に有利になる資格をご紹介します。

介護初任者、実務者研修

介護職員初任者研修は、介護職のファーストステップとも言える資格です。未経験、無資格の状態から取得可能なので、就職活動前に取得しておくと非常に便利です。
(※介護職員初任者研修について詳しく知りたい方はこちら)

実務者研修は、介護職員初任者研修の上級資格です。痰の吸引など、この研修を履修しなければできない一部の業務が任せられるようになったり、現場のリーダー的な立場を任せられるようになったりと、活躍の場が広がります。介護福祉士受験資格の1つにもなるため、キャリアアップしていく上では欠かせない資格とも言えるでしょう。

介護福祉士

介護に関する国家資格です。介護の専門的な知識や技術を有しているプロフェッショナルとして認められた証でもあるため、就職ではとても有利になるでしょう。上位資格には認定介護福祉士も存在し、これからさらにキャリアアップすることが可能です。スタッフへの指導や助言を行うなど、現場リーダーや統括を任せられることもあります。

介護支援専門員

小規模多機能型居宅介護は、介護支援専門員(ケアマネジャー)がたてるケアプランに基づいて提供されます。介護支援専門員になるには、基礎資格や実務経験をクリアし、その上で難易度高めな試験に合格する必要があるため、所有していると優遇されるでしょう。
(※介護支援専門員について詳しく知りたい方はこちら)

運転免許

利用者の送迎や、食材等の買い出しなど、車を運転する機会は多いです。送迎できる人員が豊富なら、運転免許なしでも採用されるチャンスはありますが、特に地方の施設では採用の必須条件になることも多いです。

小規模多機能型居宅介護は、未経験からでも採用可能な求人が多数あります。これから介護の分野で働きたいと考えている方は、まずは求人情報に目を通してみてはいかがでしょうか。

小規模多機能型居宅介護の働き方とは?

小規模多機能型居宅介護で働く方法や勤務形態は様々です。ライフスタイルに合わせて選ぶことができます。では、勤務形態にはどういったものがあるのかみていきましょう。

派遣

正社員やパートとは異なる雇用形態で、一般的には派遣会社に登録し就業します。契約期間があり、数ヵ月で終了となることもあれば、契約延長で長く勤めることもあります。1か所に長く留まらず様々な職場を経験したい場合には便利な方法です。ゆくゆくはその職場と直接雇用関係を結ぶことを前提とした形の派遣もあります。

非常勤・パート

職場と直接雇用契約を結びますが、常勤とは違って自分の働ける時間帯に就業しやすい方法です。家事や育児との両立をはかりたい場合などによく選ばれる方法です。

常勤(正社員)

勤務時間帯はシフトの都合や職種により変わりますが、基本1日8時間、週休2日で勤務する形態です。勤務時間ですが、主に下記の4パターンのいずれかにあてはまることが多いです。

    • 早番(7時頃~)

宿泊利用者の起床介助をしたり、朝食の準備や食事介助をしたりと、夜勤者とともに動きます。また、朝の早い時間帯に支援が必要な利用者の自宅に訪問し、支援することもあります。

    • 日勤(9時頃~)

通所利用者のお迎えから1日が始まるケースが多いです。通所利用者がいる間の対応や、日中に訪問が必要な方のもとに行き支援したりします。

    • 遅番(11時頃~)

日中は他のスタッフとともに通所や訪問を担当します。早出や日勤のスタッフが帰ったあと、夕方の時間帯に訪問が必要な利用者のもとに出向いたり、宿泊者の食事の支度や介護を行います。

    • 夜勤(17時頃~)

宿泊者の夜間の介護をします。定期的に安否確認をしたり、服薬や排泄の介助をしたりします。夕食の片付けや朝食の準備も担当することが多いです。

小規模多機能型居宅介護の給与事情

小規模多機能型居宅介護の平均給与額は、常勤(正社員)で月給243,950円でした。施設や勤務時間帯によって、「資格手当」「夜勤手当」「土日手当」等もございますので、就業を検討する際は、求人情報をご確認ください。また、非常勤・パートの平均時給は1,240円でした。こちらも常勤同様、施設によって勤務時間帯やスキルによって手当が支給される施設もございます。
(※給料の算出はe介護転職に掲載されている求人情報を元に行なっています。)

小規模多機能型居宅介護で働くメリット、やりがい

小規模多機能型事業所は、通所・宿泊・訪問を柔軟に組み合わせてサービスを提供する施設です。これまで、デイサービスやショートステイ施設、訪問介護事業所等で働いてきた人は慣れるまで少し時間がかかるかもしれません。

しかし、それまで制度上の問題で出来なかった支援の仕方ができるという点ではとてもやりがいのある職場でしょう。

利用者の状況に応じて適切な方法で支援することが柔軟にでき、利用者から「自宅でも安心して生活できる」、家族から「無理なく家で介護することができる」などの言葉をもらえた時は、特に大きなやりがいを感じるのではないでしょうか。

まとめ

これからの高齢者介護は、いかに住み慣れた自宅と地域で安心して生活し続けられるかが大きなポイントです。

あらかじめ決められたサービス、支援の方法にこだわり過ぎず、その時の状況に応じて上手に切り替えられる柔軟性が小規模多機能型居宅介護にはあります。これは、利用者の満足度を高めるだけでなく、「いつでも頼れる施設がある」という、自宅で生活するすべての高齢者の安心感につながるのではないでしょうか。

「住み慣れた自宅と地域で生活し続けたい」と願う人々の生活を支える、重要な社会資源の1つです。今後はますますその認知度も高まり、多くの方に必要とされる施設となるでしょう。