近年、働き方改革の推進や副業を解禁する企業の増加により、複数の仕事を兼務する「パラレルワーク」という新しい働き方が浸透しています。
働き方の多様性が進み、兼業で働く人、副業を持つ人の数も年々増加をしておりますが、この流れは、介護業界でも起きつつあります。そこで今回は、介護職とライターを兼務しながら活躍中の山崎さんに、パラレルワークでの働き方についてインタビューをしてきました。
プロフィール紹介
介護業界から、出版業界へ挑戦し、編集プロダクションへ就職。雑誌の編集業務と取材をメインに担当。現在は、ライター兼介護職のパラレルワークを実践中。
(保有資格:介護福祉士、ケアマネジャー)
記事でわかること
介護職として着実にキャリアアップする中で訪れた転機
– 介護業界に就職してからのキャリアを教えてください。
初めは、デイサービスでアルバイトとして働きましたが、経験を積むにつれて、正社員で働く気持ちが強まり、グループホームへの転職をしました。
デイサービスでは、「生半可な技術で介助をしてはいけないこと」「常にプロとしての責任を持つこと」この2点を先輩社員から厳しく指導されましたので、アルバイトではありましたが、きちんとした技術を身につけることができました。
グループホームに転職した最初の頃は、夜勤というこれまでとは異なる働き方や、認知症の方と関わる機会も増え、その際何度説明しても中々理解してもらえないことに歯痒さを感じ、悩むこともありました。
ただ、利用者の方たちとコミュニケーションを取ることは楽しかったですし、グループホームは、在宅に近い環境で生活の支援を行いますので、どうすれば利用者にとってより良い環境で、快適に過ごしてもらえるかを徹底して追求できたため、とてもやりがいがありました。
– 介護職として着実にステップアップされる中、どういった転機があったのでしょうか。
介護業界で勤務して、4~5年程経った時、やっぱり他の仕事もしてみたいなという気持ちが芽生えました。介護の仕事は楽しかったですし、好きでしたが、元々は映画に関連する仕事をしたいという思いがありましたので、何となく自分の中で満たされていない部分があったと思います。
それから、雑誌を見るのが好きだったこともあり、何か文章に関わる仕事をしてみたいなと思い探していました。
すると、ちょうどそのタイミングで自分が好きな雑誌の出版社が、編集者を募集していたため、未経験ながら思いきって応募したところ、ご縁があり雑誌の編集業務に携わらせてもらうことになりました。
この時は原稿作成、現場への取材、編集と様々な仕事をさせてもらいました。また、色んな業界の人たちに沢山会うことができ、とても良い経験ができました。
ただ、この時は早々に心が折れてしまい、半年程で辞めてしまいました。中々、未経験で知識もない中、他業界へチャレンジするのは難しいなと実感しました。
介護職への復帰、現場からマネジメントをする立場へ
– 再度復帰をされてから、山崎さんの中で大きな変化はございましたか?
復帰先は、大手の特別養護老人ホームでしたが、大手ということもあり、幅広く色んなことを経験できました。一例ですが、社内に身体拘束の廃止委員会や起こった事故に対するリスク管理を行う委員会など様々な委員会がありそこに参加をしたり、レクリエーションの実施を担当したりもしました。
また、以前は現場の介護職としての仕事がメインでしたが、復帰後は介護福祉士として新人の教育やチームのマネジメントも行いました。利用者さんのケアプランの作成にも役立つよう、ケアマネジャーの資格も取りました。
こういった様々な経験やメンバーの育成に注力をする中で、経験や知識が増えるにつれて、介護に対する考え方や自分の思いをしっかりと確立させることができました。
– 新人の教育、マネジメントを担当されていたということですが、正直なところ介護業界に向いている人ってどんな人ですか?
自分からきちんとコミュニケーションを取れる人だと思います。介護の仕事は感じ取るだけの受け身の姿勢ではできないと思います。
利用者さん対しても同僚に対しても自分からコミュニケーションを取ろうとする姿勢が重要ですし、何か疑問点があった時は聞いたり、自分から問題提起する力が必要かなとは思いますね。
介護職×ライターのパラレルワークを実現するまでの道のり
– 介護職に復帰されてから、どのような経緯でパラレルワーカーになったのですか?
介護職として復帰してから、10年近く働いていましたが、出版社での仕事がどこか腑に落ちないと言いますか、自分の中で消化不良になっていました。そういったこともあり、転職は考えていませんでしたが、習い事感覚で、宣伝会議という会社の編集ライター養成講座を受講しました。
週一ペースで半年ほど、編集の勉強をしていたのですが、その間以前出版社で働いていた時の先輩から、別の編集プロダクションでちょうど人を募集しているという話を聞き、再度出版業界へチャレンジすることにしました。
正直再度チャレンジすることについては少し悩みました。給与も減りますし、それを捨ててまでチャレンジすべきかどうかと。
ただ、悩んだ結果チャレンジしない方が、後々絶対後悔するなと思いましたので、編集プロダクションへの転職を決め、それから2年間程雑誌の編集業務に携わりました。編集だけでなく、取材も任せてもらいましたが、次第に編集がメインになっていき、もう少し取材とライティングを中心にやりたい私にとってはややギャップがありました。
やりたいこととのギャップが広がってきたこともあり、再度介護職への復帰も考えましたが、これでは堂々巡りになってしまうと思い、介護もやりたいし、ライターもやりたいなら、いっそのこと平行してどちらもやってみようかなと思い、フリーランスとして独立することにしました。
– フリーランスとして独立されてからの働き方を教えてください。
週に3日、特別養護老人ホームで介護職として勤務して、残りはライターの仕事をしています。主に現場に取材に行ったり、記事のライティングをしたりしています。
大阪に住んでいるのですが、この前も島根県の方に取材で行きました。結構色々なところに取材で行きますね。
仕事の比率としては、ほぼ半々くらいの割合でバランスよく出来ています。スケジュールは、ライター2日、その後介護2日といった感じで交互にできていますので、気分転換にもなりますし、メリハリがつけられて良いですね。
今日は家で黙々と仕事する日、今日は外出して、利用者さんと沢山コミュニケーションをとる日という形で。
大体は週休1日というのが多いのですが、時間が取れる週は、週休2日の時もあります。フリーランスなので、そこら辺は自分でコントロールできますね。
– フリーランスとして働く中で、よかった点、大変な点がありましたら教えてください
よかった点は、1番は自分の好きな仕事が両方できるという点ですね。両方バランスよく出来ていますし、時間や働き方も全て自分でコントロールができるのが凄く良いなと思います。
取材で色んな現場に行き、沢山の人と話す機会があることで、自分の介護の仕事について客観的に考えることができるようになりました。一方で、介護の現場も知っているということで、もっと現場の視点でリアルな情報を発信したいと思うようにもなりました。そういったことを伝えられるような介護業界に特化したライターになりたいと思っています。
メリットも沢山ある一方で、ライターの仕事については、自分から営業をして取りに行かないといけない点が少し大変ですね。
知人からの紹介もありますが、色んな会社に自分から営業にいったり、色んな人に挨拶にいったりと、自発的に行動しなくてはいけないのが、これまでの働き方とは大きな違いですね。
ただ、今の働き方は自分のライフスタイルに合っていますし、何より楽しいです。最終的には、楽しいというのが一番大事だと思いますね
何と言っても介護の仕事は楽しい
– これから介護業界で働こうと考えている方へのメッセージをお願いいたします。
様々な業界がある中で、介護の仕事に興味を持ったというのは、凄く大きなきっかけだと思います。なので、ぜひ一度飛び込んでみて欲しいです。
世間的には、まだ介護の仕事って給料が安いというようなネガティブなイメージが強いですが、介護報酬の改定で新加算ができたりと、徐々にではありますが、改善はされています。
生半可な気持ちではできない仕事ではありますが、とてもやりがいがありますし、やってみて損はない面白い仕事だと思います。
不安な方は、私のように他の仕事との兼業でスタートしてみて、自分に合うようでしたら正社員として働くのも良いかなと思います。
ぜひ少しでも興味を持たれた方には挑戦して頂きたいです。
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