音楽療法士とは?資格の取り方やその仕事内容について詳しく解説!

普段の生活の中で、音楽によって癒されたり、気分が前向きになったりする方は多いのではないでしょうか。介護や医療・福祉の現場でも音楽を取り入れたレクリエーションなどの活動は人気が高い傾向にあります。

音楽が好きな人なら、「福祉の現場で活躍する音楽の専門家としての資格はあるの?」と考える方も少なくはないのではないでしょうか。

今回は、音楽療法士の資格の取り方や仕事内容、働く場所などについて詳しく解説します。

音楽療法士とは

音楽療法士とは、その名前の通り音楽を通して高齢者や障がい者などの心身のサポートを行う職種です。

音楽療法とは、歌を歌ったり楽器を演奏したり、音楽に合わせて体を動かすなどのプログラムを実施することで、心身を整えるリハビリテーション法の一種です。
音楽療法の歴史は長く、その誕生は旧約聖書にも記されているほどで、日本では1960年頃から用いられるようになったと伝わっています。

音楽療法で得られる効果は以下のように多岐に渡ります。

  • 他社との交流を図り孤立を防ぐ
  • コミュニケーションの機会の創出・能力向上
  • 社会における問題行動の抑制
  • 精神の安定を図り穏やかな心を保つ
  • 子どもの心身の発達を促す
  • 介護予防や認知症症状の緩和
  • 心身のリハビリテーションを図る

また、「療法士」という職種であるため、理学療法士や作業療法士と同様に国家資格だと思われるかもしれませんが、音楽療法士は、日本音楽療法学会などが主催する民間資格となります。

音楽療法士は国家資格になる?

音楽療法士は民間資格ですが、国家資格化するための取り組みが進められています。
直近では、2023年6月20日に「音楽の力を活用して生きる力を支援する議員連盟」の総会が開催され、音楽療法を専門とする資格「音楽支援士(仮称)」の国家資格化に関する法整備やその普及推進のための方針が確認されました。

必ずしも国家資格となるというわけではありませんが、今後の動きに注目したいところです。

参考:一般社団法人日本音楽療法学会「国家資格化に向けて議員連盟総会が開催されました。」

音楽療法士が働く場所

音楽療法士は、以下のような場所で長期療養を送る方や、リハビリを受ける方などに音楽療法を提供します。

  • 病院や診療所などの医療機関
  • 在宅医療を提供する事業所
  • 介護保健施設
  • 高齢者施設
  • 障害者(児)施設
  • 在宅介護を提供する事業所
  • 自治体のイベント
  • 特別支援級
  • 特別支援学校 等

音楽療法士が単独で仕事を行うこともありますが、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士といったリハビリ専門職とともに複合的なケアを行うことが多いと言えます。

その場の環境や対象者の生活状況なども考慮して適切なケアを実施し、対象者にアプローチを行います。

音楽療法士の仕事内容

音楽療法士の仕事内容は、先程紹介した施設等において、乳幼児から高齢者までの幅広い年齢の方に対して音楽の力を用いて人と関わることです。

  • リラクゼーション
  • 心のケア
  • 痛みの緩和
  • 子どもの発達支援
  • 学習支援
  • 病気・事故後のリハビリ
  • 健康の維持
  • 介護予防
  • 認知症症状の緩和
など、対象者によってニーズは異なるため、多角的な支援が必要です。

対象者とともに歌を歌ったり楽器を演奏するなどの能動的な支援と、音楽を聞いたり音楽の中で瞑想するなどの受動的な支援があります。

音楽療法士になるには

日本音楽療法学会の「音楽療法士」

一般社団法人日本音楽療法学会の音楽療法士を取得するには、資格試験受験認定校において必要な単位を修得して試験に合格する必要があります。資格を得るまでの流れをステップごとに見ていきましょう。

STEP.1
資格試験受験認定校へ入学する
全国にある18校の大学や短大、専門学校が受験認定校として登録されています。詳しくはこちらのページをご覧ください。
STEP.2
必要単位を修得する
認定カリキュラムには以下のような科目が含まれています。(音楽療法講義、臨床医学論、障害児教育、臨床心理学、器楽合奏、仮称実習など)
STEP.3
音楽療法士試験を受験する
次回の試験は2024年1月14日(日)です。受験申請期間は2023年11月13日(月)~27日(月)となっています。
STEP.4
面接試験を受験する
次回の面接試験は2024年3月9日(土)及び10日(日)です。受験申請期間は2024年1月24日(水)~2月7日(水)となっています。
STEP.5
資格を取得する
試験及び面接試験に合格することで、認定音楽療法士としての資格を得ることができます。

以前は必修講習会を受講するコースもありましたが、現在は募集を終了しています。

参考:厚生労働省「認定資格の取得について」

全国音楽療法士養成協議会の「音楽療法士」

全国音楽療法士養成協議会の認定する養成校を卒業することで、音楽療法士(専修・1種・2種)の認定称号を得ることができます。専修、1種、2種の違いについては、以下の表で確認していきましょう。

専修 専修は修士レベルで、協議会が定める専門教育科目を91単位以上修めて大学院等を修了する
1種 1種は学士レベルで、協議会が定める専門教育科目を95単位以上修めて大学等を卒業する
2種 2種は短期大学士レベルで、協議会が定める専門教育科目を53単位以上修めて短期大学等を卒業する

参考:全国音楽療法士養成協議会「音楽療法士(専修、1種、2種)資格の取得を希望する受験生・保護者のみなさまへ」

音楽療法士のやりがい

音楽療法士として対象者と関わる時、その目的は利用者それぞれで違うでしょう。音楽はもちろんですが、音楽療法士としての専門的な知識や技術を使って目的を達成した時は、大きなやりがいを感じるのではないでしょうか。

例えば、学習の苦手な児童が音楽療法によって楽しく学習できた、不安感の強い方がリラックスすることができた、自宅に閉じこもりがちな高齢者が音楽療法を楽しみに出掛けるようになったなど、その効果を感じる場面はたくさんあります。

医療や福祉、教育の専門職として関わる時、音楽療法を取り入れることができれば、大きな強みになるでしょう。

まとめ

いかがでしたか?今回は、音楽療法士の資格の取り方や仕事内容、働く場所などについて解説しました。

音楽の力で対象者の支援を行う仕事に魅力を感じた方は、資格取得に挑戦してみてはいかがでしょうか。

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参考