- 児童発達支援管理責任者ってどんな仕事?
- 児童発達支援管理責任者になるためにはどうしたらいいの?
- 児童発達支援管理責任者として働くことができる場所は?
- 児童発達支援管理責任者の給料は?
児童福祉の分野のお仕事に興味を持っている方は、上記のように児童発達支援管理責任者について分からないことが多い状態ではないでしょうか。
そこで今回は、児童発達支援管理責任者の仕事内容や資格を取得するための要件、資格を取得してからのことについて、分かりやすくご紹介します。
記事でわかること
児童発達支援管理責任者(児発管)とは?
児童発達支援管理責任者とは、障害児の保育や療育に関する専門職の1つで、児童福祉法における様々な障害児支援施設で働いています。
略して「児発管」と呼ばれることもあり、児童発達支援施設には必ず1名以上の配置が義務付けられています。
利用する児童や家族への支援はもちろんですが、児童指導員や保育士などの現場職員への指導や助言も行うリーダー的な立場で、ベテラン職員が資格を取得しその役割を担うケースが多いです。
児童発達支援管理責任者(児発管)の仕事内容
児童発達支援管理責任者は、利用する児童の成長に合わせた個別支援計画書を作成することと、自身が作成した個別支援計画書に基づいた支援や療育が組織的にきちんと行えているかどうか管理することがメインの仕事内容です。
具体的に、児童発達支援管理責任者がどのような仕事をするのか、もう少し詳しく見ていきましょう。
個別支援計画書作成について
個別支援計画書とは、児童一人ひとりの状態や課題に基づいて作成される、支援の方向性や内容を決めるためのものです。
利用する児童への支援や療育は、この計画書に基づいて行われるためとても重要であり、児童発達支援管理責任者の代表的な仕事とも言えるでしょう。
障害児支援の施設は、専門的なサポートが必要な児童が利用します。障害の程度や発達の状態は当然それぞれ違うため、必要な支援内容ももちろん違ってきますよね。
児童発達支援管理責任者は、児童の心理面や発達面の課題をきちんと把握し、家族のニーズとも照らし合わせながら目標を立て、目標が達成できるように援助の方針を決めていきます。
さらに細かい支援内容も組み込んでいき、個別支援計画書を作成します。この個別支援計画書は、児童の通う学校の教育支援計画書と可能な限り連携をして作成されることも求められています。
児童発達支援管理責任者が関わる子どもが抱える発達障害について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェック!
発達障害を知る~様々な特性から見る接し方や療育・支援までの流れ~
その他の職務内容
児童発達支援管理責任者は、個別支援計画書の作成以外の業務ももちろん行います。
例えば、保護者との面談です。
児童の支援や療育がより良い方向に向かうように、普段から保護者と良い関係を築いておくことも大事な仕事です。
不安になった時や困った時に頼れる存在として、専門的な視点からアドバイスを行う役割も担っています。
事務作業や雑務については、職場により内容が異なります。必要な教材の準備や手配などを行ったり、送迎ドライバーも担当したりするケースもあります。
児童発達支援管理責任者も、職場によっては現場に入ることがあります。児童と一緒に遊んだり、学習を支援したりと、自身が作成した個別支援計画書に基づいた支援・療育を行います。
療育内容について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェック!
療育とは?~児童発達支援や放課後等デイで働きたい方が気になることをまとめました~
児童発達支援管理責任者の1日のスケジュール
e介護転職に掲載中のコペルプラスの児童発達支援管理責任者を例として、1日のスケジュールをご紹介します。
児童発達支援管理責任者(児発管)になるためには
児童発達支援管理責任者になるためには、大まかに言うと「実務経験の要件」を満たし「研修を修了」する必要があります。
子どもの療育や発達支援を行うにあたって、利用する子どもと保護者のニーズを適切に把握し、提供すべき支援内容を見極め、そのプロセスを管理しながら客観的な評価を行うことを考えると必然的なのかもしれませんが、「児童発達支援管理責任者は実務経験要件が複雑だ」と言われることが多い職種です。
まずはざっくりと概要を確認し、実務経験の要件及び受講が必要な研修について理解を深めましょう。
実務経験の要件とは
実務経験の要件は、まず以下の3つのいずれかに該当する必要があります。
- 相談支援業務の経験が5年以上
- 直接支援業務の経験が8年以上
- 特定の資格保有者としての相談支援・直接支援業務の経験が5年以上
なお実務経験年数の内、老人福祉施設・医療機関等以外での実務経験が3年以上必要です。
それでは、詳しく見ていきましょう。
相談支援業務の経験が5年以上
これから説明するa~dでの経験が5年以上、且つ()以外での経験が3年以上必要です。
出典:兵庫県「児童発達支援管理責任者の資格要件」
a.施設等における相談支援業務
- 障害児相談支援事業
- 身体(知的)障害者相談支援事業
- 地域生活支援事業
- 児童相談所
- 児童家庭支援センター
- 身体(知的)障害者更生相談所
- 発達障害者支援センター
- 福祉事務所
- 保健所
- 市町村役場
- 障害児入所施設
- 乳児院
- 児童養護施設
- 児童心理治療施設
- 児童自立支援施設
- 障害者支援施設
- (老人福祉施設)
- (精神保健福祉センター)
- (救護施設及び更生施設)
- (介護老人保健施設)
- (地域包括支援センター)
b.以下に該当する者で保健医療機関での相談支援業務
- 社会福祉主事任用資格保有者
- 介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)相当の研修修了者
- 国家資格(※後述)保有者
- a・c・dのいずれかに従事した経験が1年以上の者
c.以下における就労支援に関する相談支援業務
- 障害者職業センター
- 障害者就業・生活支援センター
d.以下の学校における進路相談・教育相談支援業務
- 幼稚園
- 小学校
- 中学校
- 義務教育学校
- 高等学校
- 中等教育学校
- 特別支援学校
- 高等専門学校
直接支援業務の経験が8年以上
これから説明するa~cでの経験が8年以上、且つ()以外での経験が3年以上必要です。
ただし、以下の資格を保有している場合は直接支援業務の経験が5年以上且つ()以外での経験が3年以上でOKとなります。
- 社会福祉主事任用
- 介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)相当
- 児童指導員任用
- 保育士
- 精神障害者社会復帰施設指導員任用
出典:兵庫県「児童発達支援管理責任者の資格要件」
a.施設及び医療機関等における介護業務
- 障害児入所施設
- 助産施設
- 乳児院
- 母子生活支援施設
- 認可保育所
- 幼保連携型認定こども園
- 児童厚生施設
- 児童家庭支援センター
- 児童養護施設
- 児童心理治療施設
- 児童自立支援施設
- 障害者支援施設
- (老人福祉施設)
- (介護老人保健施設)
- (病院又は診療所の療養病床)
- 障害児通所支援事業
- 児童自立生活援助事業
- 放課後児童健全育成事業
- 子育て短期支援事業
- 乳児家庭全戸訪問事業
- 養育支援訪問事業
- 地域子育て支援拠点事業
- 一時預かり事業
- 小規模住居型児童養育事業
- 家庭的保育事業
- 小規模保育事業
- 居宅訪問型保育事業
- 事業所内保育事業
- 病児保育事業
- 子育て援助活動支援事業
- 障害福祉サービス事業
- (老人居宅介護等事業)
- 保健医療機関
- 保険薬局
- 訪問看護事業所
b.以下における就業支援業務
- (特例子会社)
- (重度障害者多数雇用事業所)
c.以下の学校における従事者
- 幼稚園
- 小学校
- 中学校
- 義務教育学校
- 高等学校
- 中等教育学校
- 特別支援学校
- 高等専門学校
国家資格による相談支援または直接支援業務の経験が5年以上
下記の資格保有者としてそれに係る実務経験5年以上、且つこれまでに紹介した機関のうち、()以外で相談支援又は直接支援業務に従事した期間が3年以上必要です。
ただし、実務経験に含まれる業務の範囲は都道府県により独自の基準が設けられている場合があるため注意が必要です。
最終的には、都道府県のホームページから確認されることをおすすめします。
参考:兵庫県「児童発達支援管理責任者の資格要件」
受講が必要な研修とは
児童発達支援管理責任者として実際に働く場合には、ここまでに紹介した実務経験要件を満たすほか、研修の受講が必要です。
基礎研修の受講
児童発達支援管理責任者になるために必要な研修として、まずは基礎研修を受講します。基礎研修は、実務経験要件を満たす予定の2年前から受講することが可能です。
基礎研修の内容は以下の通りです。
- 相談支援従事者初任者研修の講義部分の一部(11.5時間)
- サービス管理責任者等基礎研修の講義及び演習(15時間)
基礎研修の受講を終え、「基礎研修修了者」となります。
基礎研修修了者となると、職場でのポジションや業務内容が以下のように変わる場合があります。
- 既に児童発達支援管理責任者が1名配置されている施設・事業所では基礎研修修了者を2人目の児童発達支援責任者として配置可能となる
- OJTによる実務経験が2年を満たない基礎研修修了者も、個別支援計画の原案が作成できる
実践研修の受講
基礎研修修了者として、OJT期間を2年積んだ後は、サービス管理責任者等実践研修を受講します。サービス管理責任者等実践研修の受講時間は、14.5時間です。
実践研修の受講を終えると、正式に「児童発達支援管理責任者」として配置(働くこと)ができるようになります。
その後は、5年に1度のタイミングでサービス管理責任者等更新研修の受講が必要となります。
つまり、児童発達支援管理責任者になるまでの最短期間は、
- 相談支援業務5年+基礎研修+OJT期間2年+実践研修=7年
- 直接支援業務8年(※)+基礎研修+OJT期間2年+実践研修=10年
※資格保有者の場合は直接支援業務が5年となり最短期間は7年 - 国家資格業務5年(内3年は相談支援または直接支援業務)+基礎研修+OJT期間2年+実践研修=7年
ということになりますね。
見直し内容は、
基礎研修受講開始時点で既に相談支援業務または直接支援業務に3~8年従事している者が個別支援計画作成の原案作成等に従事する場合のみ、基礎研修修了後に必要なOJT期間「2年以上」→「6ヶ月以上」とする
というものです。
既に受験要件年数を満たす2年前(最短3年経過時点)から基礎研修の受講は可能でしたから、ほとんどの方はこの要件を満たすことになり、最短5年半で児童発達支援管理責任者になることができます。
具体的な見直し時期は決まっていないようですが、近い内に変更となることに期待しましょう!
研修の申し込み方法
研修の申し込みは、各都道府県や、都道府県から研修を委託された事業者に勤務先の法人や事業所が申し込む方法が一般的ですが、個人が申し込むことも可能です。
各都道府県や社会福祉協議会のホームページには、研修の日程や開催場所等が記載されており、申込書をダウンロードすることができます。
研修の受け入れ人数には限りがあるため、日程に余裕をもって申し込まれることをおすすめします。
児童発達支援管理責任者(児発管)が働ける職場・就職先
児童発達支援管理責任者が働ける職場はたくさんあります。
児童福祉法で定められて施設においては、必ず1名以上の児童発達支援管理責任者の配置が義務付けられているため、必要不可欠な存在でもあります。
児童発達支援管理責任者を配置している施設は、障害児通所支援施設と障害児入所支援施設の2種類に分けることができます。
障害児通所支援施設
- 児童発達支援センター
- 児童発達支援事業類型
- 医療型児童発達支援
- 放課後等デイサービス
- 保育所等訪問支援
児童発達支援について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェック!
児童発達支援とは?仕事内容や職種、持っていると役立つ資格、やりがいについて詳しく解説!
放課後等デイサービスについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェック!
放課後等デイサービス(放デイ)とは?仕事内容や職種、持っていると役立つ資格、やりがいについて詳しく解説!
障害児入所支援施設
- 知的障害児施設
- 第一種自閉症児施設
- 第二種自閉症児施設
- 盲児施設
- ろうあ児施設
- 肢体不自由児施設
- 肢体不自由児療護施設
- 重症心身障害児施設
児童発達支援管理責任者(児発管)の給料
厚生労働省の『令和3年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果』によると、児童発達支援管理責任者(サービス管理責任者等)の平均給与額(常勤の場合)は以下の通りでした。
事業所概要 | 平均給与額 |
全体平均(福祉・介護職員処遇改善加算未取得事業所を含む) | 388,340円 |
福祉・介護職員等特定処遇改善加算取得事業所 | 399,100円 |
福祉・介護職員処遇改善加算Ⅰ~Ⅴ取得事業所 | 386,730円 |
福祉・介護処遇改善加算Ⅰ~Ⅲを取得し、福祉介護職員等特定処遇改善加算未取得事業所 | 359,720円 |
児童発達支援管理責任者の平均給与額が388,340円であるのに対し、福祉・介護職員の平均給与額は311,050円です。
一般職員との給与額の差が77,290円あることからも、障害福祉事業分野における実務経験があり、キャリアアップを考えている方は、児童発達支援管理責任者を目指すことをおすすめします。
児童発達支援管理責任者(児発管)のメリット・やりがい
児童発達支援管理責任者は、児童一人ひとりの状況に応じた支援計画を立てたり、保護者からの相談に乗ったり、他スタッフの指導にあたったりと、役割がとても豊富です。この資格を得るまでの道のりは長いですが、その分専門職としての経験があることの証明にもなります。
現場のリーダー的な存在として、苦労することも多いかもしれませんが、児童の成長を間近に見ることができます。関わる児童が毎日少しずつ出来ることが増えたり、障害を持つ児童の保護者の支えになったりと、児童福祉における大切な仕事であることを実感できるでしょう。
まとめ
今回は、児童発達支援管理責任者の仕事内容や、資格を取得するための要件、勤務先や給料、やりがいをご紹介しました。
児童発達支援管理責任者の資格に関する情報は、とても複雑で分かりにくいものが多いです。
しかし、資格取得までには年数を要するため、できるだけ確実に情報を把握し、先のことを考えながら着実に準備をすすめていく必要があります。
ぜひ、今回ご紹介した内容を参考にしながら、これまでの専門職としての経験が活かせる児童発達支援管理責任者を目指してみましょう。
e介護転職は、株式会社ベストパーソンが運営する、介護と福祉に特化した求人情報サイトです。
介護・福祉の求人情報を専門に扱う求人・転職サイトのため、介護・福祉の求人を探しやすいのが特徴です。
掲載求人件数は業界最大級で、全国の求人を取り扱っています。
介護・福祉に特化しているので、職種検索(介護職、ケアマネージャー、看護師、生活相談員、児童発達支援管理責任者、サービス管理責任者など)、サービス種類検索:介護(特養ホーム、有料老人ホーム、デイサービス、グループホーム、訪問介護など)・福祉の障害児/障害者支援関連(放課後等デイサービス、障害者就労支援など)、雇用形態での検索(正社員はもちろん、短時間パート、日勤のみ、夜勤のみなど)と充実しており、あなたに合った求人を探せます。
当サイトは、パソコンだけではなく、スマートフォンでも利用できます。これからの高齢化社会を支える業界で、是非あなたの力を発揮できる職場を見つけて下さい。
e介護転職に掲載している求人情報
- 介護職・ヘルパー
- サービス提供責任者
- 介護支援専門員
- 看護師
- 生活相談員
- 作業療法士
- 理学療法士
- 管理栄養士・栄養士
- 福祉用具専門相談員
- 福祉住環境コーディネーター
- 管理職
- 広報・営業職
- 介護事務・事務
- 送迎ドライバー
- 保健師
- 看護助手
- 言語聴覚士
- 医療事務
- 保育士
- 主任介護支援専門員
- 機能訓練指導員
- 相談員
- 訪問入浴オペレーター
- サービス管理責任者
- 児童発達支援管理責任者
- 児童指導員
- 調理職
- 支援員
- あん摩マッサージ指圧師
- 計画作成担当者
- 移動介護従事者(ガイドヘルパー)
- 居宅介護従事者
- 重度訪問介護従事者
- 行動援護従業者
- 相談支援専門員
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 視能訓練士
- 技師装具士
- 手話通訳士
- 歩行訓練士
- その他