【完全版】認知症ケアに活かせる資格まとめ

  • 認知症ケアに活かせる資格とは?
  • 資格取得方法と得られるスキルとは?

介護職として経験を重ねたとしても、関わり方やケアの方法に度々悩まされるのが、認知症ケアですよね。在職中のベテラン介護士さんでも、認知症ケアについてもっと知識や技術を深めたいと考えている方は多いのではないでしょうか。

そこで今回は、認知症ケアに役立つ資格を一覧でご紹介します。これから介護職を目指したい方でも取得できる資格もありますので、ぜひチェックしてみてください。

認知症とは(認知症に関する基礎知識)

認知症とは、何らかの病気により脳の神経細胞が壊れることで起こる症状や状態のことを指します。

よく混同されますが、加齢によって起こる物忘れとは違うことを理解しなければなりません。この場合、脳の生理的な老化によるものなので、判断力の低下はなく日常生活への支障もありません。本人が忘れっぽいことを自覚しており、症状の進行もあまり起こらないのが特徴です。

一方で認知症の場合は、症状の自覚がなく判断力の低下や日常生活での支障がみられる点が特徴です。症状は段々と進行し、認知症の種類や個人差によって症状の出方が異なります。

認知症ケアに活かせる資格とは

ここでは、認知症ケアに活かせる資格を大きく民間資格と公的資格に分類してご紹介していきます。

民間資格

認知症ケア専門士

【資格概要】

認知症ケアに対する高い学識と高度の技能、および倫理観を備えた専門技術士を養成し、認知症ケア技術の向上と保健・福祉に貢献することを目的とする資格です。

【資格取得方法】

受験資格として、「認知症ケアに関する施設、団体機関等において、過去10年間に3年以上の認知症ケアの実務経験」が必要です。

・一次試験(筆記)
200問のマーク式問題(4分野50問ずつ)の4分野全てにおいて70%以上の正答率で合格

・二次試験(論述、面接)
事例問題に対する論述、6人1グループでの面接

【資格の特徴、メリット】

認定試験合格後は5年ごとの更新申請が必要です。更新申請をするには、講座への参加や論文投稿などで単位取得が不可欠であり、常に新しい知識や情報のもと認知症ケアに携わることができます。また、この資格を取得することで認知症ケア上級専門士試験への挑戦の道も開けます。

認知症ケア上級専門士

【資格概要】

ケアチームのリーダーや、地域のアドバイザーとして活躍することが期待できる専門士の養成が目的の資格です。

【資格取得方法】

50問のマーク式問題において正答率70%以上で合格です。

受験資格
  1. 認知症ケア専門士として3年以上の経験
  2. 認知症ケア専門士の取得単位が30単位以上
  3. 上級専門士研修会の修了
  4. 次のいずれか1つ以上を満たすこと
  5. 1)上級専門士制度規則にある学術集会、地域部会研修会等での演題発表ならびに事例報告
    2)上級専門士制度規則にある査読制度のある機関誌等への論文・事例発表

【資格の特徴、メリット】

認知症ケアの方法を自己の経験と科学的エビデンスに基づき説明できる能力を養えます。リーダーや指導者という立場から、新人ワーカーや専門士などに指導できる能力、ケアに関する悩みを解決できるよう支援する能力が求められるようになります。

認知症介助士

【資格概要】

認知症の正しい理解、認知症の方への適切な対応方法を様々な事例から知ることができます。

【資格取得方法】

検定試験に合格(30問の選択式、40分)することで取得できます。受験方法は4通りありますので、各自の都合に合う形で受験をします。

1.認知症介助セミナー受講+検定試験
インストラクターのセミナーを受講し、認知症についての理解を深めてから検定試験を受験できます。

2.共育センターでの受験
共育センター(東京、大阪)などの受験会場で、マークシート形式(筆記)の試験を受験します。
(※定員超過や最小催行人数に達していない場合は、試験日程が変更される可能性もあります。)

3.CBTセンターでの受験
全国各地のCBT試験会場で、パソコンによる受験が可能です。

4.自宅での受験
自宅からパソコンを利用して、インターネット経由での受験が可能です。自分の好きな時間で受験ができます。

【資格の特徴、メリット】

受験資格はなく、誰でも受験が可能です。初心者の方には認定団体による指導がセットになった認知症介助セミナーが便利です。介護の仕事に就かなくても、家族や地域住民を支えるため、あるいは認知症のお客さんへの接客などに生かすことができます。

認知症ライフケアパートナー

【資格概要】

認知症の方に対し、これまでの生活体験や生き方、価値観を尊重し、その人らしい生き方ができるように、本人や家族に寄り添ったサポートをできるようにすることが目的の資格です。

【資格取得方法】

3級~1級の3つにレベルが分かれており、いずれも受験資格の制限はありません。
いずれも受験資格の制限はなく、マークシート式試験において70点以上で合格です。

【資格の特徴、メリット】

受験資格の制限がないため、これまで福祉や介護に携わっていない方も受験することができます。介護現場に関わらず、一般社会において認知症の方々と関わる上で役立つ知識や技術が身に付きます。

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公的資格

認知症介護基礎研修

【資格概要】

認知症介護を行う上で、必要最低限の知識・技術とそれを実践する際の考え方が身につけられます。チームアプローチに参加する一員として基本的なサービス提供を行うことができるようになるための資格です。

【資格取得方法】

各都道府県が実施する、講義と演習を修了することで取得できます。

受講資格
各都道府県内の介護保険施設・事業所に従事している介護職員等を対象にした資格です。
(※2021年4月以降は、介護報酬改定における運営基準の見直しにより、無資格の介護職員も認知症介護基礎研修の受講が義務化される予定です。)

【資格の特徴、メリット】

既に介護職として現場で働く人のための研修です。この研修を終えることでさらなる上級資格を目指すことができます。

認知症介護実践者研修

【資格概要】

認知症の方が、自身の能力に応じて自立した日常生活をできるよう支援に必要な
実践的な知識・技術を習得し、質の高いケアを提供する力を身に付けることを目的とする資格です。

【資格取得方法】

6日間の講義・演習を受講し、自施設での実習2週間程度を修了することで取得できます。

受講資格
各都道府県内の介護保険施設・事業所に従事している介護職員等を対象にした資格です。原則、認知症介護に関する経験が2年以上必要となります。

【資格の特徴、メリット】

認知症の方の特徴をより深く知り、実践力が身に付きます。事業所によっては、運営基準により修了が義務付けられている研修でもあるため、重要な役割を任されたり転職時に有利になったりする可能性もあります。また、さらなる上級資格への挑戦も可能です。

認知症介護実践リーダー研修

【資格概要】

施設、事業所において認知症支援チームのリーダーとして他のメンバーの指導、育成を行うとともに、支援の質向上を図るための方法を具体的に展開できる力を養成することが目的の資格です。

【資格取得方法】

8日間の講義・演習を受講し、他施設での実習5日間と自施設での実習4週間程度を修了することで取得できます。

【資格の特徴、メリット】

事業所によっては配置義務があったり加算の算定要件を満たすポイントにもなるため、人材として重宝されます。指導的な立場を任されることも多く、より重要なポストを目指せる可能性もあります。認知症ケアの経験が豊富であることを示すこともでき、転職時には大きなアピールポイントとなるでしょう。

認知症対応型サービス事業開設者研修

【資格概要】

施設、事業所の運営、管理する立場として、必要となる認知症の方への支援のあり方、知識を身に付けるための資格です。

【資格取得方法】

2日間の講義・演習を受講し、他施設での実習1日間を修了すると取得できます。

【資格の特徴、メリット】

職員を統率する役割を担う管理者の立場として、適切なケアの実践と質の向上のために何が必要なのか考え行動する力を養うことができます。

資格取得のメリットや今後の需要について

認知症のケアに関する資格は、想像以上に多岐にわたると感じた方が多いのではないでしょうか。超高齢社会の日本においては、今現在はもちろん今後もますます介護職員の確保が課題となります。離職率の高さに対する対策も急がれる中、認知症ケアのスキルや資格を持つ人材は介護業界全体で重宝されると言っても過言ではありません。

認知症の知識や対応力は、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、有料老人ホーム等の介護施設・事業所で専門性を生かせるだけではなく、その他の分野でも十分に活用できます。接客業をはじめ様々な仕事においてもきっと役に立つことでしょう。

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