ケアマネジャー(介護支援専門員)とは? 資格の取り方・仕事内容や給料事情について詳しく解説!

  • ケアマネジャー(介護支援専門員)になるにはどうすればいいの?
  • ケアマネジャー(介護支援専門員)ってどんな仕事をするの?
  • ケアマネジャー(介護支援専門員)の給料っていくらなの?

こんな疑問をお持ちではありませんか?

この記事では、ケアマネジャー(介護支援専門員)の資格の取り方や仕事内容、給料事情など詳しく解説していきます。ケアマネジャー(介護支援専門員)の仕事に興味をお持ちの方、これから目指す予定の方は必見の内容です。

ケアマネジャー(介護支援専門員)とは?

ケアマネジャーとは、正式名称を「介護支援専門員」といい、介護保険制度に沿って、介護が必要な方とその家族の相談に応じ、ケアマネジメントを行う専門職のことで、都道府県が認定する公的資格の1つです。利用者やその家族の相談を受け、要介護認定のための調査、ケアプランの作成、各介護保険サービス事業者との連絡調整などを行います。

ケアマネジャー(介護支援専門員)の仕事内容とは?

ケアマネジャーの仕事内容は、代表的なものに「要介護認定調査」「ケアプランの作成」がありますが、それぞれの仕事内容、それ以外の業務についても詳しく解説していきます。

要介護認定調査

介護が必要であると考える方(以後利用者)が介護保険サービスを利用するためには、まず要介護認定を受ける必要があります。要介護認定とは、利用者が日常生活の中でどの程度の介護が必要なのかを決めるもので、自立、要支援1~2、要介護1~5の8段階に分類されます。この要介護認定の調査を行うことがケアマネジャー(介護支援専門員)の役割の1つなのです。

要介護認定の申請を受理した市町村から依頼を受けたケアマネジャー(介護支援専門員)は、認定調査として利用者のご自宅を訪問し、認定調査票を用いて利用者本人やその家族に対し聞き取り調査や動作確認を行います。

ケアマネジャー(介護支援専門員)が調査した内容や主治医の意見書を基に、コンピューターによる一次判定が行われた後、保健・福祉・医療の専門家とケアマネジャー(介護支援専門員)によって結成された審査会による審査が二次判定として行われ、ここで利用者の要介護度が決定する仕組みとなっているのです。

介護認定には期限がある為、更新時にも同じように認定調査を実施します。その際、利用者の体調が悪かったり入院したりしている場合は、ケアマネジャー(介護支援専門員)が申請の代行を行うこともあります。

要介護度や要介護認定について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェック!
要介護とは?区分、認定方法、利用できる介護保険サービスついて解説 要介護度とは?要支援と要介護の違い、認定方法、介護度別に利用できる介護保険サービスを分かりやすく解説!

ケアプラン(居宅サービス計画書)の作成

ケアプランとは、前述した要介護認定を受けた利用者の心身の状態や周囲の環境に合わせて、どういった種類の介護保険サービスどの程度利用するかを計画したものです。利用者とそのご家族と相談をしながら「一人である程度生活できるようになる」や「自分で排泄できるようにする」、「本人が楽しく生活ができる」などの目標を決め、その目標を達成できるように計画を立てていきます。

ケアプランで決定する内容は以下のようになっています。

  • 利用者の長期的な目標と、支援内容の方針
  • 利用する介護サービスの頻度
  • 利用する介護サービスの内容
  • サービス担当者会議で話し合う要点
  • 利用者からの相談内容、事業者との連絡内容
  • 利用者負担額 など

適切なケアプランの作成には、利用者の身体・精神的な状況を的確に把握するだけでなく、家族の抱える課題も汲み取る必要があります。

サービス提供事業者との連絡調整

ケアプランを立てたら、介護保険サービスを提供する事業所に連絡し、利用依頼を行います。事業所の情報を利用者とそのご家族に提供することはもちろん、事業所と利用開始の調整を行うなど、ケアマネジャー(介護支援専門員)は利用者と事業所の仲介の役割も果たします。

サービス担当者会議の開催

サービス担当者会議とは、利用者やその家族が参加するのはもちろんのこと、ケアに関わる専門職が集まる貴重な機会であり、チームケアが機能するために欠かすことのできない会議です。
ケアマネジャー(介護支援専門員)は関係者を招集したり、司会進行を行うなどの重要な役割を担うとともに、ケアの方針を定めて参加者の共通理解を得るようにします。

つまり、ケアマネジャー(介護支援専門員)は、様々な専門職の共通理解のもとに滞りなくケアが提供され、利用者の生活の質的向上に繋がっているか進捗を管理する立場であるということができます。

モニタリングとケアプランの再評価

ケアプランは一回立てれば終わりということではありません。
ケアマネジャー(介護支援専門員)は定期的に利用者のもとを訪問し、作成したケアプランがその時も適切であるかを確認する必要があります。その時々の利用者状況や容体の変化と合わせて、ご家族の要望などを含めて適宜ケアプランを調整します。

チェックする項目は、主に次のようなものです。

  • 提供されているサービスの内容は適切か
  • サービスの量に過不足は無いか
  • 利用する介護サービスの内容
  • 利用者のニーズに適うサービス内容になっているか

利用者の中には、提供されるサービスに対し「介護が雑だ」「職員によって提供されるサービス内容が異なる」「レクリエーションの内容が幼稚」などの不満がある人もいます。
この場合、ケアマネジャー(介護支援専門員)は、彼らの言葉に耳を傾け、どのようにしたら問題は解決されるのかを十分に聞き取ったうえで、介護サービス提供事業者に対して改善のための要望を言う役割を担います。

ケアマネジャー(介護支援専門員)になるには最短で何年必要?

ケアマネジャー(介護支援専門員)の受験要綱は各都道府県により異なります。今回は東京都で勤務される方の場合の例をご紹介しますが、他の自治体で勤務を予定されている方は、参考程度にご確認頂き、お住まいの都道府県の要綱を確認頂くようお願いいたします。

介護福祉士からケアマネジャー(介護支援専門員)を目指す場合

介護福祉士国家資格をお持ちの方は、介護福祉士として登録した日から、介護業務の経験が5年あれば介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネ試験)を受験することが可能です。

無資格からケアマネジャー(介護支援専門員)を目指す場合

現時点で無資格の方がケアマネジャー(介護支援専門員)を目指す場合、最短でも8年かかると思ってください。まずは介護福祉士国家資格を取得することを目指しましょう。

介護福祉士国家資格の受験資格は複数ありますが、働きながらの取得を目指す場合、介護実務経験3年+介護福祉士実務者研修修了が一般的なルートとなります。
つまり、介護福祉士国家資格取得までに最短3年、介護福祉士として登録してから5年の経験を経ることで介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネ試験)を受験することが可能になる、ということになります。

介護福祉士について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェック!
介護福祉士 介護福祉士とは? 資格の取り方・仕事内容について分かりやすく解説

介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネ試験)の受験資格

ケアマネジャー(介護支援専門員)になるために最短で何年必要なのかが分かったところで、具体的な介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネ試験)の受験資格について見ていきましょう。

介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネ試験)を受験するためには、以下のA及びBの期間が通算して5年以上あり、かつ、当該業務に従事した日数が900日以上ある必要があります。

A及びBのいずれの業務内容においても、要援護者に対する直接的な対人援助業務が本来業務として明確に位置付けられていることが必要です。

A.国家資格に基づく業務従事経験

以下のいずれかの国家資格を保有し、その資格に基づく業務に従事した経験

医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、管理栄養士、栄養士、精神保健福祉士
(参考:公益財団法人東京都福祉保健財団「令和4年度 東京都介護支援専門員実務研修受講試験 受験資格について「別表1に定める国家資格等に基づく業務に従事する者」別表1」

B.特定の施設における相談援助業務従事経験

  • 特定施設入居者生活介護における生活相談員業務
  • 地域密着型特定施設入居者生活介護における生活相談員業務
  • 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護における生活相談員業務
  • 介護老人福祉施設における生活相談員業務
  • 介護老人保健施設における支援相談員業務
  • 介護予防特定施設入居者生活介護における生活相談員業務
  • 計画相談支援における相談支援専門員業務
  • 障害児相談支援における相談支援専門員業務
  • 生活困窮者自立相談支援事業における主任相談支援員業務

(参考:公益財団法人東京都福祉保健財団「令和4年度 東京都介護支援専門員実務研修受講試験 受験資格について「別表2に定める相談援助業務に従事する者」別表2」

ケアマネジャー(介護支援専門員)になるまでの流れを解説

介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネ試験)を受験するために必要な実務経験年数などを理解した後は、実際にケアマネジャー(介護支援専門員)として働くまでの流れを確認しておきましょう。

STEP.1
実務経験を積んで受験資格を満たす
先に紹介した国家資格に基づく業務従事経験及び特定の施設における相談援助業務従事経験が通算5年以上且つ900日以上であることを確認する
STEP.2
必要書類を提出する
・受験申込書
・実務経験(見込)証明書
・実務経験証明書の内容等に必要な添付書類
(同一の実務経験期間に複数の勤務があった場合のみ)
・国家資格等別の添付書類(写し)
・身体障害者等受験特別措置申請書(該当者のみ)

を準備して簡易書留による郵送にて提出し、受験手数料を支払う。

STEP.3
介護支援専門員実務研修受講試験に合格する
試験の出題方法は五肢複択方式(マークシート)で行われ、
問題数は60問(介護支援分野25問、保健医療福祉サービス分野35問)で試験時間は120分です。

試験を受験した約2ヶ月後に、合格発表があります。
厚生労働省「第24回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況等」によると、
令和4年10月に実施された試験の受験者数は全国で54,334人、
合格者数は10,328人(合格率は19.0%)でした。

STEP.4
介護支援専門員実務研修を修了する
介護支援専門員実務研修受講試験に合格しただけでは、実際にケアマネジャー(介護支援専門員)として働く事は出来ません。自治体が実施する研修を修了しましょう。
STEP.5
研修修了証明書の交付・申請をする
研修が修了したら、ケアマネジャー(介護支援専門員)として登録するとともに介護支援専門員証の交付申請も行います。
STEP.6
介護支援専門員は5年毎に更新をする
ケアマネジャー(介護支援専門員)になった後も、5年ごとに研修を受講して資格を更新する必要があります。

ケアマネジャー(介護支援専門員)が働く場所

ケアマネジャー(介護支援専門員)は次のような施設・機関で活躍しています。それぞれ整理して説明します。

施設・機関 仕事内容
居宅介護支援事業所 利用者が介護サービスを利用しながら住み慣れた自宅で生活ができるように、ケアマネジャー(介護支援専門員)が利用者の心身の状況や置かれている環境に応じてケアプランを作成する。
老人ホーム等の福祉施設 入所する施設において利用者の長期目標を定め、どのような介護サービスを利用するか、どのくらいの量のサービスを利用するのかを定めたケアプラン(施設サービス計画)を作成する。
地域包括支援センター 要支援1・2と認定された人が利用する介護予防サービスに関するケアプランを作成する。その他、地域住民から介護に関する様々な相談に応じるとともに、地域で活躍するケアマネジャー(介護支援専門員)へのアドバイス・指導を行う。

このように、所属する施設・機関によって仕事内容や担う役割が異なります。

ケアマネジャー(介護支援専門員)の月給・年収

厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査」によると、ケアマネジャー(介護支援専門員)の平均給与(月給)は、353,560円で、想定年収の平均は430~500万円程度となっています。

同調査による介護職員の平均給与(月給)が316,610円なので、比較するとケアマネジャー(介護支援専門員)の月給の方が約4万円、年収に換算すると50万円程度高いことが分かります。

e介護転職に掲載中のケアマネジャー(介護支援専門員)の都道府県別平均給与が知りたい方はこちらの記事をチェック!
【介護支援専門員(ケアマネジャー)】都道府県別の平均年収、月給、時給一覧(e介護転職調べ)

ケアマネジャー(介護支援専門員)になるメリット

ケアマネジャー(介護支援専門員)になるメリットは、主に3つ挙げられます。

  1. 利用者・家族から頼りにされる
  2. 夜勤がないため働きやすい
  3. 介護職よりも給料が高い

利用者とその家族から頼りにされる

ケアマネジャー(介護支援専門員)はケアマネジメントの専門家として、利用者やその家族が困った時に手を差し伸べ、相談に乗り、課題解決に導く存在です。
利用者とその家族から頼りにされ、「あなたに相談して良かった」と感謝された時には、この上ない達成感や、やりがいを感じることができます。

一人ひとりに合ったケアプランを作成し、利用者が住み慣れた地域・自宅で、自分らしい生活を送るために包括的なサポートを行える点は、ケアマネジャー(介護支援専門員)の仕事の醍醐味であると言えるでしょう。

夜勤がないため働きやすい

ケアマネジャー(介護支援専門員)は原則日勤のみで、夜間勤務(夜勤)が無く、また早出や遅出などのシフト制の勤務がありません。
仕事内容は主にデスクワークや、利用者宅や関係施設・機関の訪問なので、介護職に比べると身体的負担が少なく、働きやすい・長く続けられる仕事だといえます。

介護職よりも給料が高い

先程月給と年収を介護職員と比較した通り、ケアマネジャー(介護支援専門員)の方が高い給料をもらうことが出来ています。給料アップやキャリアアップを目指す方は、ケアマネジャー(介護支援専門員)の資格取得を目指してみてくださいね。

まとめ

ケアマネジャー(介護支援専門員)の仕事内容から資格取得方法、活躍する場所、給料事情やメリットについてご紹介してきました。高齢化が進む日本において、今後ケアマネジャー(介護支援専門員)の需要は年々高まることが予想されます。キャリアアップの選択肢として、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

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