義肢装具士とは? 仕事内容、資格取得のメリットについて分かりやすく解説

  • 義肢装具士とは?
  • 資格の取得方法とメリットとは?

パラリンピックを見ていると、中には義肢や装具を身に付けて頑張っている人もいますよね。義肢装具士は、事故や病気などで手足など一部を失った人の生活を助けるために欠かせない職種です。ここでは、義肢装具士の仕事内容や資格の取り方、活躍できる職場などをご紹介していきます。

義肢装具士の資格とは

義肢装具士は、何らかの理由で手足の一部を失った人が装着する義肢や装具を作り、社会復帰や生活の質を高めることを目指す職種です。

医療の分野で働く国家資格で、この資格が誕生したのは1987年と、医療職の中では比較的新しいとされる資格です。どちらかと言えば「技術職」というイメージが強いですが、仕事をする上では医師やリハビリ専門職、患者さんとのコミュニケーションは欠かせません。

よく義肢と装具の違いがよく分からないという方も多いのではないでしょうか。違いについて確認してみましょう。

まず、義肢は、手足の代わりとなるものを呼びます。腕には「義手」、足には「義足」といったように、患者さんが失った手足の一部を人工的に作ります。

装具は、患者さんが失った身体機能を一時的に補って回復するためのものを指します。上肢装具、体幹装具、下肢装具があり、コルセットやサポーターといったものもこれに含まれます。

義肢装具士の仕事内容とは

義肢装具士は、医師の指示のもと義肢や装具を作り適合を行うことが主な仕事です。もちろん、患者さんによって失った部位や適合する形、日々の生活の仕方などは異なるため、それぞれの体の状態に合ったものを作っていきます。

製作の過程は、主に採寸・採型、製作、適合という3つのステップを経ていきます。

医師の指示を受け、患者さんとコミュニケーションを図りながらまずはサイズを測り(採寸)、型をとります(採型)。そして、多種多様な材料を使って製造し、調整を繰り返しながら適合する義肢装具を作っていきます。

義肢装具はオーダーメイドです。それゆえ、ものづくりのプロという側面が強いかもしれません。義肢装具は、ちょっとしたズレや不具合が患者さんの生活に大きなストレスを与えるため、とても細かな調整や丁寧で確実な技術が求められる仕事です。

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義肢装具士になる方法とは

義肢装具士の資格取得方法

義肢装具士は、「義肢装具士法」に基づく国家資格です。資格を取得するには、まずは受験資格を満たし、国家試験に合格する必要があります。

STEP.1
受験を満たす
STEP.2
受験申込み
受験申込みの期間は、1月初旬~中旬です。
STEP.3
受験票の交付
交付期間は、1月末〜2月初旬です。
STEP.4
試験の日程は、2月中旬です。
STEP.5
合格発表
発表日程は3月末です。

受験資格

国家試験の受験資格を得るには、主に4つのルートから自分に合った方法を選ぶ必要があります。

受験資格取得方法
  1. 義肢装具士の養成校(大学・専門学校)で3年以上の課程を修了する
  2. 大学や高等専門学校で厚生労働大臣の指定する科目を修め、指定養成機関で2年以上の課程を修了する
  3. 厚生労働省の義肢装具の技能検定に合格後、指定の養成施設で1年以上の課程を修了する
  4. 外国の義肢装具に関する学校等を卒業あるいは義肢装具士の免許に相当する免許を取得し、厚生労働大臣から認定を受ける

試験概要

多肢選択式で130点満点となっています。合格ラインは正答率60%以上、つまり78点以上をとる必要があります。2020年に実施された国家試験では、208名の受験者のうち合格したのは164名。合格率は78.8%でした。ここ5年間のデータを見ると、およそ85%~89%で推移しており、比較的合格率の高い資格と言えます。

義肢装具士の活躍できる場

義肢装具士の主な勤務先は、義肢や装具を製作する事業所となっています。その他には医療機関などで活躍している人もいますが、少数派です。

これは、義肢や装具を発注する流れとして、病院と事業所との取引が一般化していることがあげられます。義肢装具士は医師の指示を受けて仕事を行うため、依頼があった時に病院等へその都度出向くケースが多いと言えます。

義肢装具士のやりがい

事故や病気で体の一部を失うと、その立場にたってみないと分からない不自由さや感情があるでしょう。いわばオーダーメイドの義肢は、これから長期的にその人の体の一部になります。繊細な技術をもって製作したものが、患者さんの体の一部として使われ、生活の質が高まったり前向きな気持ちになったりする姿を見ると、きっと大きなやりがいを感じることでしょう。

ただ、義肢装具士の受験資格を得るには、学校へ通う時間も要するため簡単な道のりではありません。とても専門性の高い職種であることから、これから手に職をつけてキャリアアップを目指していきたい方におすすめの資格です。

まとめ

義肢装具士は、他の医療・福祉分野の専門職に比べると圧倒的に人数が少ない専門職です。これから高齢化がますます進むと、歩行が不安定な高齢者の介護予防のために、歩行が楽になるような装具の需要も増えることが予想されます。

特に日本では、このまま少子高齢化が進むと予想されています。今後、ますます義肢装具士の活躍は期待されることでしょう。

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