臨床心理士とは? 仕事内容、資格取得のメリットについて分かりやすく解説

臨床心理士とは

  • 臨床心理士とは?
  • 資格の取得方法とメリットとは?

人と関わる仕事はたくさんありますが、心の問題にアプローチできる臨床心理士の専門性に興味をお持ちの方も多いのではないでしょうか。ここでは、臨床心理士の資格と仕事内容、資格の取り方、活躍できる職場などをご紹介。将来、臨床心理士として働きたい方に役立つ情報をご紹介します。

臨床心理士とは?

心の問題にアプローチする専門職は、心理カウンセラーや心理士、心理相談員などと呼ばれることもあります。臨床心理士は、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会から認定を受けた専門職のことを指し、クライアントの心の問題の解決を助けます。

この資格は、1988年に定められた民間資格です。特に臨床心理学に特化した資格として位置付けられました。

公認心理師との違いとは

心理学の専門職としては臨床心理士が広く知られているかもしれませんが、同じように心の問題にアプローチする専門職には公認心理師もあります。

公認心理師は、公認心理師法という法律に基づいた専門職で、国家資格です。まだその歴史は浅く、第1回目の試験が行われたのは2018年のことです。そのため、認知度は高くありませんが、国家資格ということもあり、注目を集めています。

臨床心理士の仕事内容とは

臨床心理士には、求められる4つの専門業務があり、これは「臨床心理士資格審査規程」第11条に記されています。ここでは要約した内容をご紹介します。

臨床心理査定

様々な心理テストや面接を通じて、相手の独自性や個別性、特徴、問題点の所在、そしてどのような方法で援助するのが望ましいのかを明らかにしようとすることを指します。これは、他の専門職とともに検討することも示されています。

臨床心理面接

来談してくる人に応じた技法(臨床心理学的技法)を用い、カウンセリングを受ける人(クライエント)の心の支援に資する、最も中心的な専門行為です。一定の水準で臨床心理学的技法を適用し、的確な対処ができることが求められます。

臨床心理的地域援助

地域住民や学校、職場などに所属する人々の心の健康や、地域住民の心の被害の支援活動を行うことを指します。

上記に関する調査、研究

上記3つに関して、技術的な手法や知識を確実なものとするために、臨床心理的調査や研究活動を行います。

これらの業務を通じて、臨床心理士は人々の心の問題を解決に導く支援を行っています。

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臨床心理士になる方法とは

ここでは臨床心理士になるためのフロー、試験概要について見ていきます。

臨床心理士の資格取得方法

臨床心理士になるには、日本臨床心理士資格認定協会の行う試験に合格しなければなりません。試験は誰もが受けられるわけではなく、一定の受験要件をクリアする必要があります。そして、資格取得後は5年ごとに更新が必須となります。

STEP.1
受験資格を満たす
STEP.2
資格審査申請・書類請求・受験申込
受験申込の時期は7月中旬~8月中旬です。
STEP.5
筆記試験
筆記試験の日程ですが10月中旬頃です。
STEP.6
口述面接試験
筆記試験の約1ヶ月後です。
STEP.7
合格発表
12月中旬〜下旬です。
STEP.8
資格認定証書の交付手続き
合格後、認定証の交付手続きを行い取得します。

受験資格

日本臨床心理士資格認定協会によって定められた受験資格は以下の通りです。

受験資格一覧
  • 指定大学院(1種・2種)を修了し、所定の条件を満たしている
  • 臨床心理士養成に関する専門職大学院を修了
  • 外国で指定大学院と同等程度の教育歴があり、その後日本国内で心理臨床経験を2年以上有する
  • 医師免許取得者で、取得後に心理臨床経験を2年以上有する

試験概要について

  • 一次試験(筆記)
  • 100題のマークシートによる多肢選択方式試験と、論文(1000~1200字)の2種類があります。

  • 二次試験(面接)
  • 2名の面接委員による口述面接試験です。一次試験の通過者のみ行われます。

臨床心理士試験の合格率は、だいたい60%~65%の間で推移している状況です。2020年における合格率は62.7%でした。

臨床心理士の職場・就職先

臨床心理士は、医療や保健分野だけでなく、教育や福祉、一般企業など様々な場所で活躍しています。具体的に見てみましょう。

医療や保健の分野は臨床心理士の主な職場と言えます。精神科や心療内科を中心とし、患者さんにたいしてカウンセリングを行ったり、心理検査を行ったりします。基本的には主治医の指示のもと動き、その所見を治療に役立てるため医師と連携を図ります。

教育の分野では、特にスクールカウンセラーが有名です。生徒のみならず、保護者や教職員へのカウンセリング、ストレスチェックや心を守るための助言などを行います。学校の他にも、幼稚園や自治体が運営する教育センターなども含まれます。

福祉の分野では、児童相談所や療育施設などがあげられます。特に有名なのは、児童相談所の児童心理司です。福祉施設の種類によっては、地方公務員としての採用になる場合もあります。

また一般企業では、社員のメンタルヘルスを担当する専門職として採用されるケースが多いです。カウンセリングによって職場の悩みを解決する手助けをしたり、うつ症状を訴える社員やうつ病から復帰した社員のケアをしたりします。

その他には、裁判所や少年院、鑑別所、警察など司法の場で活躍したり、自身で開業して訪れる人のカウンセリングを行ったりも可能です。

勤務形態とは

臨床心理士の場合、非常勤で働く人が多い点が特徴です。もちろん、常勤で働くケースもありますが、非常勤として複数の職場に勤務することが珍しくない職種と言えるでしょう。そのため、一般企業の会社員を対象者とする日もあれば、障害をもった方を対象とする日もあるなど、複数の領域で活躍するケースも多いです。

臨床心理士のやりがい

心の病気や不調は、目に見えないぶん周囲から理解されにくく、本当は助けを求めている人がたくさんいます。心の不調が体の不調を引き起こし、社会生活に支障を起こすことだって珍しくありません。

臨床心理士として関わることで、対象者が元気を取り戻すきっかけになったり、深刻な状態になる前に予防できたりすると、きっと大きなやりがいを感じることでしょう。

臨床心理士資格への信頼度はとても高いと言われています。資格を持っているのとそうでないのとでは、与える安心感も変わってくるかもしれません。

メンタルヘルスを担当する心理職の資格はいくつかありますが、資格取得までの道のりが簡単ではないこともあり、臨床心理士を取得することはキャリアアップの大きな一歩となります。

まとめ

ここでは、臨床心理士の資格や特徴、資格の取得方法などをご紹介しました。国家資格である公認心理師にも注目が集まりますが、まだ歴史が浅いこともあり、差別化されるのは今からだと言われています。

今は、一般的な会社の多くがメンタルヘルスにも力を入れ、職場改善や離職防止などに繋げたいと考えていることでしょう。臨床心理士の専門性は、採用の場においても大きな強みとなります。これからもっと幅広い場で活躍することが期待されると言っても過言ではありません。

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