手話通訳士とは? 仕事内容、資格取得のメリットについて分かりやすく解説

手話通訳士

  • 手話通訳士とは?
  • 資格の取得方法とメリットとは?

テレビでニュース番組などでは、手話を使って聴覚障害者の方への通訳をしている人を見ることがありますよね。このように、手話を使った仕事に興味のある方は、どのようにしてその仕事に就けるのか気になるのではないでしょうか。ここでは、手話通訳士の資格について、取得方法や仕事内容などをご紹介します。

手話通訳士とは?

手話通訳士とは、手話を使って聴覚に障害を持つ人のコミュニケーションを助ける専門家のことをいいます。文字通り、手話による通訳を行い、言葉を手話に訳したり、手話を言葉に訳すことで、耳の不自由な人とそうでない人との架け橋になるのが大きな役割となります。

手話通訳士は国家資格ではなく、厚生労働省の認定する試験を合格することで得られる公的資格ですが、とても高度なスキルが求められるため決して簡単に取得できるものではありません。

一般的に、手話通訳を行う人全般を手話通訳士と呼ぶことも多いですが、正式には手話通訳士を名乗ることができるのは、あくまでも手話通訳技能認定試験に合格し登録した人に限られます。

手話通訳士の仕事内容

手話通訳そのものは資格を持っていなくても行うことができます。資格の有無で生じる違いは主に2つあります。まず1つ目は、資格を持つことで手話通訳士が名乗れるということです。そしてもう1つは、資格を持っていると、裁判や警察、選挙などの公的な場面で仕事ができるようになるということです。

手話通訳士として仕事を受けた場合、会場へは早めに到着し、打ち合わせや準備を行います。そして、実際の手話通訳は30分程度で交替するのが好ましいことから、手話通訳を行う時間が長ければ必要に応じて2人で交替しながら行っていきます。

手話通訳の仕事は手話通訳者派遣センターに登録し、派遣で勤務するという方法などが広く知られていますが、現状としては安定して手話通訳の仕事に就けるのは一握りの人たちです。

そのため、手話通訳士として専門で仕事に就くというよりは、手話が役に立つような職場でそれぞれの現場の仕事をこなし、必要に応じて手話を使うというケースが多いです。

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手話通訳士になるためには

ここでは、手話通訳士の資格取得方法、勉強方法についてご紹介していきます。

資格取得の流れ

手話通訳士を取得するには、厚生労働省が認定する手話通訳技能認定試験に合格しなければなりません。この試験は、手話通訳に関する様々な試験の中で最も難易度が高いと言われています。

手話通訳技能認定試験の実施及び登録事務は、社会福祉法人聴力障害者情報文化センターが実施しています。

STEP.1
受験申込
申込みは5月中旬〜6月中旬頃です。
STEP.2
学科試験・実技試験
試験日程は10月の初旬頃です。
STEP.1
合格発表
合格発表は翌年の1月下旬頃です。

手話通訳士の受験資格は20歳以上(受験日の属する年度末までに20歳に達する者を含む)となっており、学歴は問われません。受験料は税込21,600円、試験会場は東京・大阪・熊本です。

手話通訳士になるための勉強方法

手話通訳士の受験資格には学歴が含まれないことから、独学で身に付けたスキルで受験することも可能です。しかし、難易度の高い試験で合格率も決して高くない資格であることから、学校や自治体の開催する勉強会、民間のスクール等で学ぶ方も多いです。

最近は、手話通訳学科のある大学等もあるため、時間や経済的な余裕があれば選択肢の1つとなるでしょう。学校に通わなくても、都道府県あるいは市町村が主体となって手話通訳者や手話奉仕員を育成する事業を展開している場合もあります。

実技スキルを磨くために、ボランティアを通して実際に手話の必要な方々と関わり、資格取得を目指す方も多いです。

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手話通訳士としての働き方とは

手話通訳士として専任で働ける職場は、残念ながら現時点ではあまり多くありません。しかし、他の仕事と兼務であれば、そのスキルを十分に生かしながら働くことが可能です。

さらに、手話通訳士のスキルは、様々な職場で求められています。それは福祉業界にとどまらず、サービス業など人と関わる仕事であれば必ず役に立つでしょう。

特に、手話が必要な人と関わる機会の多い福祉業界においては、手話通訳ができる人の募集が増えており、引く手あまたの存在とも言えます。

兼務として働く場合は、当然ながらそれぞれの職場の仕事をこなしながら手話通訳を行うこととなります。医療、福祉、接客業をはじめとするサービス業など、業種や職種によって仕事内容は変わってくるため、興味のある分野や目的から選ばれることをおすすめします。

手話通訳士のやりがい

手話通訳ができる人は決して多くありません。そのため、聴覚に障害のある人と関わる仕事に就いていると、とても重宝されます。手話通訳ができれば手話ができない人との架け橋になることができ、満足度も高まります。「聞こえない」ことが壁になり、困っている人の手助けをできることが、大きなやりがいになるのではないでしょうか。

聴覚障害者の方々は、手話のできない健聴者とのコミュニケーションに難しさを感じている場面もあるでしょう。唇の動きを読んだり、筆記でやりとりをするよりも、手話を使った方が便利なのは言うまでもありません。

サービス業であればより高度なコミュニケーションを提供することができ、新たな顧客の確保やレベルの向上にもつながります。

まとめ

今は障がいがあっても、高齢になっても、地域でできるだけ長く生活ができるよう社会が支える時代です。お客様として迎えるだけでなく、同じ職場の同僚として聴覚に障害のある方と接する機会もあるでしょう。日常生活のあらゆる場面で、手話通訳のスキルは求められ、活躍の場は今後ますます増えていくことが予想されます。

転職時の大きなアピールポイントにもなるため、興味のある方は資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。

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