- 放課後等デイサービスでの保育士の仕事内容とは?
- 資格の取得方法とメリットとは?
保育士の職場は保育園ばかりとは限りません。放課後等デイサービスや児童発達支援といった、障害のある子どもなどを対象とする施設での需要が近年ますます高まっていることをご存じでしょうか?ここでは、障害児の福祉に携わる保育士の仕事内容についてご紹介します。
記事でわかること
保育士とは?
保育士は、児童福祉法における国家資格です。就労や療養などの事情で保育が行えない保護者に代わり、就学前までの乳幼児の保育と保護者に対して保育の指導を行うことができます。
働く保育施設(いわゆる保育園)では、保護者に代わって食事や排泄といった身の回りのお世話だけを行うのではありません。規則正しい生活リズムをつくることや、心身の変化を把握して適切に対応します。
子どもが保育園で学ぶことはたくさんあります。人とのコミュニケーションのとりかたや協調性などを身に付けたり、自主性を育てたり、命や自然への関心を高めたりします。そんな子どもの成長や発達の段階に応じて、保育士は関わります。
児童発達支援・放課後等デイサービスにおける仕事内容とは?
児童発達支援と放課後等デイサービスはともに障害のある子どもに関わるサービスです。どちらも同じように通いで利用できる支援サービスに違いはありませんが、対象となる年齢が異なります。
児童発達支援は未就学児を対象としています。一方で、放課後等デイサービスは原則小学生から高校生までを対象とします。対象となる年齢は違うものの、仕事内容の基本的な部分は似ているところが多いです。
個別支援計画に基づいて子どもたちの生活をサポート
個別支援計画は、児童の成長のために何が必要なのか、どうやってサポートしていくのかが記載されており、目標と期限を決めて実施するためのものです。
社会生活を送る上での基本や学習の手助けなどを行い、時には子どもと一緒に遊んだり相談相手になったりもします。
障害のある子どもに対して、社会的な自立を目指し行う治療や教育は「療育」と言います。障害の種類や程度、発達段階によって必要な支援は異なるため、専門的な見地から適切なアプローチによって療育は行われています。
療育はもともと、身体的に障害のある子どもを対象としたものでしたが、今は発達障害などの児童も療育の対象です。
事務作業、送迎等
児童の様子や個別支援計画の実施について活動記録を作成したり、通所系の施設は送迎を実施したりします。
施設での1日の流れ
児童発達支援、放課後等デイサービスでの一般的な一日の業務の流れについてご紹介いたします。
児童発達支援の1日の流れ
児童発達支援は障害のある就学前の児童が対象です。一般的な一日の流れを見てみましょう。
- 10:00 送迎、到着
- 10:30 あいさつ、体操
- 10:40 集団活動、個別活動、自由遊び
- 11:30 片付け、帰りの会
- 12:00 送迎 (※午前中のみの場合)
健康状態の確認や荷物の整理、着替えなど
今日一緒に過ごすお友達の確認、スケジュールの確認など
個別支援計画に基づいた支援
放課後等デイサービスの1日の流れ(平日版)
放課後等デイサービスは、原則小学生から高校生までを対象としているため、平日は学校が終わってからサービスを利用することとなります。
- 14:00 送迎、到着 (下校時間ごとに順次)
- 15:30 個別支援
- 16:00 おやつ、集団遊び
- 17:30 片付け、帰りの会
- 18:00 送迎
健康状態の確認、宿題や遊びなど
これらのスケジュールはあくまでも一例です。実際のスケジュールは事業所ごとに異なるためそれぞれのホームページ等から確認されることをおすすめします。
保育士資格を取得するには
保育士は国家資格です。国家試験を受験して取得する方法と、保育士養成校の卒業とともに取得する方法の2通りのルートがあります。養成校に通えば、国家試験を受ける必要はありません。卒業が認められれば、そのまま保育士資格も得ることができます。
国家試験の受験資格
保育士養成校に通学せず国家試験を受ける場合、受験資格が得られるかどうか確認しましょう。最終学歴によって変わってくるため注意が必要です。
大学・短期大学卒業
学校教育法に基づいた学校を卒業していれば保育士と関係のない学部学科でも受験することができます。
専門学校卒業
- その専門学校が学校教育法に基づいた学校であること
- 2年以上の専門過程を修め卒業していること
この2つを満たしていれば受験可能です。
高等学校卒業
- 1991年3月31日以前の卒業者は無条件で受験資格あり
- 1991年4月1日以降の卒業者は2年以上かつ2880時間以上児童等の保護または援護に従事した経験が必要※ただし1996年3月31日以前に高等学校の保育科を卒業している場合は受験可能
中学校卒業
5年以上かつ7200時間以上児童等の保護または援護に従事した経験が必要
その他受験資格についての詳細は、一般社団法人全国保育士養成協議会のサイトも参考にされることをおすすめします。
保育士取得までの流れ(国家試験を受験する場合)
試験内容とは
試験は、筆記試験と実技試験があります。筆記試験をクリアした人のみ実技試験へと進みます。
筆記試験
試験科目は9科目で全160問です。全9科目それぞれ60%以上の得点が必要です。試験形式は全科目マークシート形式です。
実技試験
実技試験は、下記の3科目のうち2科目を選択し受験します。
- 音楽表現に関する技術・・・課題曲の弾き歌い(ピアノ、ギター、アコーディオンから選択)
- 造形表現に関する技術・・・指定された場面を制限時間内に絵画で表現
- 言語表現に関する技術・・・あらかじめ指定された物語を口話で披露
学習方法
学習方法ですが、主に3パターンがあります。
通信講座
独学での学習に不安がある方や、集中して苦手な科目だけ勉強をしたい方におすすめです。テキスト等を中心に自宅での学習をマイペースに行うことができます。家事や育児、仕事と両立しながら勉強したい人にも多く選ばれる方法です。
独学
学校に通う時間が工面できなかったり、経済的な事情で通学するのが難しい場合は独学も良いでしょう。テキストなど最低限必要なものを揃えてマイペースに始めることができます。過去問等を利用しながら、仕事や家事、育児の合間に勉強する人も多いです。
スクール
一定期間集中して勉強したい方におすすめです。開講している学校によりコースやスケジュールは異なります。通学、オンラインのどちらかから選べる学校もあるため、状況に応じて選びましょう。
国家試験の難易度、合格状況について
保育士試験の合格率は、毎年10%~20%で推移しており、数ある国家資格の中では狭き門であると言わざるをえません。しかし、筆記試験は一度合格した科目は3年間有効となるため、筆記試験で落ちてしまっても次の年は苦手な科目に集中することができます。
保育士養成校に通学し卒業すると同時に国家資格がもらえる人に比べると、国家試験を受験する人はハードルが高いと思われるでしょうが、それでもコツコツと勉強を重ねて取得する人もいます。
放課後等デイサービスのやりがい
放課後等デイサービスを利用する子ども達は、障害の程度や病気の種類などさまざまです。幼稚園や保育園に比べると利用人数は少ないですが、そのぶん小規模で関係性を築きやすいのが特徴です。
一般的な保育の知識だけでなく、障害や病気のことを幅広く知り関わる必要性があり、毎日が勉強の連続かもしれません。しかし、一人ひとりに合った関わり方が見つかったり、成長する姿を見ることができれば大きなやりがいを感じることでしょう。
キャリアアップの選択肢として、児童発達支援管理責任者(児発管)という職種があります。児童発達支援管理責任者は、児童発達支援施設のリーダー的な役割を担う存在です。個別支援計画書の作成や保護者との面談、職員への指導などより責任ある仕事が任されるようになります。実務を重ねたりさまざまな要件を満たして得ることができるため、キャリアアップにはぴったりと言えるでしょう。
まとめ
放課後等デイサービスなどで関わる子どもの年齢は、人間形成に非常に大切な時期です。そんな時期に多くの時間を共にする保育士の責任は決して軽くはありません。しかし、障害のある子どもや家族にとっては、心の落ち着く場所であったり、頼りになる場所であったりと、その存在に助けられているケースも多いです。保育士の需要がより高まった今、新たな職場選びや就職先に放課後等デイサービスを検討してみてはいかがでしょうか。
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