歩行訓練士とは? 資格の取り方・仕事内容について分かりやすく解説

  • 歩行訓練士の役割・仕事内容とは?
  • 資格の取得方法とメリットとは?

視覚障害のある方は、盲導犬とともに外出したり、白い杖を使って外出したりしますね。実はあまり知られていませんが、視覚障害の方が歩行や日常生活を送るための技術などを習得するために活躍する専門家がいます。

ここでは、歩行訓練士(視覚障害生活訓練等指導者)の役割や仕事内容、資格取得までの道のりについてご紹介します。

歩行訓練士とは?

歩行訓練士は、視覚障害生活訓練等指導者とも呼ばれる民間資格です。ここでは、歩行訓練士の役割や支援の対象者についてご紹介していきます。

歩行訓練士の役割

目の見えない方・見えにくい方が外出をし、安全に帰宅することは、想像以上に大変なことなのかもしれません。実際、視覚障害を持つ方の多くは、外出時に転倒したり何かにぶつかったりといった事故を経験していると言います。

歩行訓練士は、視覚に障害を持つ人が安全に歩く方法を身に付け、日常生活をスムーズに送れるよう支援する専門職です。できるだけ視覚障害を持つ方が家の中に閉じ籠らず、皆と同じように生活するために、歩行訓練士は重要な役割を担っています。

歩行訓練士の支援対象者

歩行訓練士が関わるのは、視覚に障害がある方々です。全く目が見えない人や、とても見えにくい人などが対象となります。

歩行訓練士の仕事内容

歩行訓練士の具体的な仕事内容についてご紹介していきます。

歩行訓練

目が見えなくても安全に移動するための訓練を行います。白い杖を持った状態で歩く方法を教えるのが主となりますが、他の人と歩いたり、ひとりで屋内を歩く方法なども教えます。少し目が見える人には、目を活用した歩行方法も取り入れます。

生活訓練

家事をする、点字やパソコンを使い他者とコミュニケーションをとるなど、日常生活に不可欠な動作や技能を身に付けるための訓練を行います。

相談への対応、情報提供

目が見えないことによる困り事を聞き、相談に乗ったり、解決に役立つ情報を提供したりします。

歩行訓練士になるには

歩行訓練士は、養成機関で決められた科目を履修し、修了することで取得できます。養成機関は2ヶ所あり、大阪府の社会福祉法人日本ライトハウス養成部か埼玉県所沢市の国立障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科で受講します。

カリキュラムは2年間、座学だけではなく、臨床実習や施設見学、卒業研究も含まれています。資格取得のための試験はなく、全てのカリキュラムを修了すると取得できます。

しかし、養成カリキュラムの受講は誰でも可能というわけではありません。基本的に、どちらの養成機関も大学院に進学できるレベルの基礎学力が求められ、指導者としての資質も問われます。こうした点を判断するため、入学できるかどうかの審査が設けられています。

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歩行訓練士が活躍できる職場・就職先

歩行訓練士の主な職場は以下の通りです。

障害者リハビリテーションセンター

視覚障害に限らず、様々な障害のある方がリハビリを行う施設です。基本的には、おおむね1年程度、マンツーマンの指導を中心とした訓練を実施し、視覚障害者の地域生活を目指します。人により訓練の目標とする期間は異なり、社会に適応するための訓練が主となる場合が多いです。

視覚障害者が利用する入所施設、通所施設

視覚障害者の利用する入所施設や通所施設で、歩行訓練や日常生活動作訓練などを行います。利用者が視覚障害者に限らない場合も多く、利用者の介護やそれぞれに必要なリハビリなど幅広く行います。

障害者福祉センター

利用者の歩行訓練や日常生活動作訓練などを、センター内、あるいは自宅等で行います。その他にも、センターが提供するサービスの実施に関わることが多いようです。

歩行訓練士のやりがい

視覚障害のある方の中には、自分自身もしくは家族が心配して、事故にあわないために家の中に閉じこもってしまうケースも多いと言われています。

歩行訓練士として関わることは、その人の後の人生に大きく影響する可能性もあり、とても責任感のある仕事です。

視覚障害者が移動や生活に自信を持ち、自分でできることが増えたり、楽しみが増えたりする様子を見ると、とてもやりがいを感じるのではないでしょうか。

まとめ

全国に、視覚障害者は約30万人いると言われています。一方、歩行訓練士の存在はあまり広く知られておらず、不足によって視覚リハビリを提供できていない事業所・施設もあるようです。

歩行訓練士の資格を得るには、数少ない学校に通い2年間しっかりと勉強する必要はありますが、専門職として今後とも需要の高い職種だと考えられます。

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