地域包括支援センターとは? 仕事内容・あると役立つ資格について分かりやすく解説

  • 地域包括支援センターとは?
  • 仕事内容、あると役立つ資格について

地域包括支援センターは、その地域に暮らす高齢者の介護や支援に関する総合的な相談窓口です。

就職や転職先の検討をしている方の中には、地域包括支援センターの役割や仕事内容が気になる方も多いのではないでしょうか。

ここでは、地域包括支援センターの特徴や仕事内容、提供しているサービスについて詳しくご紹介します。

 

地域包括支援センターとは?

地域包括支援センターは、高齢者が住み慣れた地域で生活し続けることができるように、その暮らしを地域で支えるための拠点として2005年に設置された機関のことを言います。

おおよそ中学校区に1ヶ所程度、社会福祉法人や社会福祉協議会、医療法人などが市町村から委託を受けて運営していることもあれば、市町村役場の中に設置されていることもあります。

対象利用者について

地域包括支援センターのある地域に暮らす高齢者と、その高齢者の支援のために活動している方が対象です。離れて暮らしている家族でも、何らかの心配ごとや相談ごとがあれば、サポートを受けることができます。

地域包括支援センターの仕事内容

地域包括支援センターの仕事は、主に「総合相談支援業務」「権利擁護業務」「介護予防マネジメント業務」「包括的・継続的マネジメント支援業務」の4つに分類されます。近年は地域包括ケアシステムの構築における中核的な役割も担っています。

総合支援業務

高齢者の生活や介護に関する困り事について、相談に乗り適切なアドバイスやサービスの案内などを行います。

権利擁護業務

高齢者の権利を守るために、詐欺や悪徳商法の被害への対応や、虐待の早期発見・防止のための対策、成年後見制度の手続き支援などを行います。

介護予防マネジメント業務

要支援の判定が出た高齢者を対象に介護予防ケアプランの作成、要介護認定を受けていない高齢者の介護予防施策を実施します。

包括的、継続的マネジメント支援業務

高齢者が暮らしやすい地域をつくるため、医療や介護の専門家だけでなく地域住民を含めたネットワークをつくり、問題の解決に向けた支援を行います。

地域包括支援センターで働く上で役立つ資格

地域包括支援センターには、保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーを各1名以上置くという配置要件があります。したがって、これらのいずれかの資格を持っていることが、就職・転職活動時に役立ちます。

実際、地域包括支援センターの求人は、これらの資格のいずれかを持っていることが条件となっていることがほとんどです。

あると役立つ資格
  • 保健師
  • 看護師を取得した後、保健師養成課程を修了し保健師国家試験に合格する必要があります。看護師は病気やケガの治療を主な仕事とするのに対し、保健師は病気やケガを未然に防ぐための予防医療を主とするのが特徴です。

  • 社会福祉士
  • 福祉の国家資格です。国家試験の受験資格を得るにはいくつかの方法がありますが、福祉系大学や短期養成施設、一般養成施設などで学習し、学歴によっては実務経験も必要となるケースがあります。

  • 主任ケアマネジャー
  • ケアマネジャーのうち、主任介護支援専門員研修を受講した人を指します。主任介護支援専門員研修の受講要件は自治体ごとに異なりますが、専任ケアマネジャーとしての勤務歴が通算5年以上あることなどが条件になります。

地域包括支援センターの人員配置

それでは、各職種の具体的な仕事内容について見てみましょう。

保健師

介護予防の観点から、介護予防ケアマネジメントに従事します。要支援の人が要介護状態にならないように、介護予防ケアプランを作成したり、高齢者が参加できる介護予防教室を開催したりします。また、認知症の方やその家族への支援も行います。

社会福祉士

総合的な相談窓口として、様々な相談に乗ったり解決へのサポートをしたりします。また、高齢者の権利を守るための支援も行います。日常生活が何らかの理由で困難になった高齢者に対し、公的な制度はもちろん、地域の資源を存分に活用しながら支援します。

主任ケアマネジャー

その地域で活動するケアマネジャーの相談に乗ったり、助言をしたり、地域の抱える課題解決のための地域ケア会議を開催したりします。

地域包括支援センターでの仕事のやりがい

地域包括支援センターには、日々ありとあらゆる相談が舞い込んだり、地域で働くケアマネジャーから困難なケースの助言を求められたりと、決して楽な仕事ではないでしょう。

しかし、それぞれの専門職が自分の職域で専門性を存分に発揮し、お互いにサポートしあうことで解決できる課題はたくさんあります。地域の高齢者全体とその家族などをサポートする地域包括支援センターだからこそ、住民に頼りにされたり感謝の言葉を頂ける場面もたくさんあります。自分の専門性が人の役に立ったと自覚できた時、大きなやりがいを感じるのではないでしょうか。

まとめ

高齢化の進む日本では、できるだけ健康寿命を伸ばすことや、住み慣れた地域で生活し続けられることがとても大事です。年をとっても安心して生活できると誰もが感じられるような社会の実現のためにも、地域包括支援センターには大きな期待が寄せられています。

医療や介護・福祉の専門家としての経験を存分に発揮したい方は、転職も検討してみてはいかがでしょうか。