介護施設でのお仕事に興味を持っている方の中には、各施設ごとの特徴の違いや、必要な資格について知りたいと考える方も多いのではないでしょうか。
- 介護老人保健施設(老健)とは?
- 介護老人保健施設(老健)での仕事内容とは?
- 介護老人保健施設(老健)の人員基準は?
- 介護老人保健施設(老健)で必要な資格はあるの?
今回は、介護老人保健施設での仕事内容や人員基準、必要な資格について詳しく解説します。
介護老人保健施設の利用を検討されている方はこちらの記事をご覧ください。
介護老人保健施設(老健)とは?入所条件や費用、施設の特徴について分かりやすく解説!
記事でわかること
介護老人保健施設とは
介護老人保健施設とは、要介護1~5の病状が安定している方が入所することのできる介護保健施設です。医師による医学的管理のもと、看護・介護、リハビリ等のサービスを提供します。
略して「老健(ろうけん)」と呼ばれることもあり、医師や看護師、理学療法士や作業療法士といった医療・リハビリ職の配置が厚いことは、他の施設との大きな違いと言えるでしょう。
介護老人保健施設の主な役割は、入所者の在宅復帰を目指したリハビリテーションの提供です。入所者が住み慣れた地域で生活をしていくために、身体機能の回復・維持を目的として一人ひとりに合わせたリハビリテーションを行います。
介護老人保健施設の仕事内容
介護老人保健施設における仕事内容として、以下のような業務が挙げられます。
- 身体介護
- 身の回りの世話
- 健康管理
- リハビリテーション(機能訓練)
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
身体介護
入所者が介護老人保健施設を利用する目的は、病院を退院して自宅に戻るまでのリハビリ、在宅で生活をしていたが一時的に利用する、ということが一般的です。
そのため、入所者によってその程度は異なるものの、食事や入浴、排泄介助を介護職員や看護職員が行います。
身の回りの世話
身体介護だけでなく、生活する上で必要な身の回りのお世話をすることも仕事の一つです。ベッドのシーツ交換や換気、居室の掃除などが代表的な例です。
自宅にいるときとまるっきり同じ生活をというのは難しいかもしれませんが、入所者が心身共に健康な状態で過ごすことができるように心掛けます。
健康管理
定期的な血圧や体温、脈などの測定や、床ずれ等の有無の確認、食事量の確認、排泄の有無などを看護職員が確認し、普段と違うことがあれば医師に報告しどのように対応するのかの指示を仰ぎます。
医師だけでなく、施設で働く職員全体にも情報共有を行い、連携して必要な支援を提供していきます。
リハビリテーション(機能訓練)
介護老人保健施設のメイン業務はリハビリテーションとなります。
理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハビリ専門職が、入所者一人ひとりの目標に合ったリハビリテーションを提供します。
介護老人保健施設(老健)の人員基準
介護老人保健施設では多くの職種が活躍しています。配置しなければならない職種や人数を定めた人員基準をもとに詳しく見ていきましょう。
医師
介護老人保健施設は、入所者100名までの場合は常勤の医師が1名以上の配置が義務付けられています。
ただし、病院や診療所と併設されている介護老人保健施設の場合は、入所者全員の病状などを把握し施設療養全体の管理に責任を持てる医師であれば施設に常勤でなくても良いとされています。
薬剤師
薬剤師は、入所者の数を300で割った数以上の人数を配置することとされています。
医師が薬を処方する場合の調剤や、常飲している薬と新たに処方される薬のチェックなどを行う業務を担います。
看護・介護職員
介護老人保健施設では、看護職員と介護職員が働いています。
介護職員は身体介護として食事や入浴、排泄の介助を行いながら、シーツ交換などの身の回りのお世話も行います。
看護職員はバイタルのチェックや健康管理、服薬管理などがメインとなりますが、施設の状況に応じて身体介護を行うこともあります。
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支援相談員
支援相談員とは、保健医療と社会福祉に関する知識や経験を持ち、入所者に対する相談支援や関係機関との連絡調整などを行う職種です。
常勤の支援相談員を1名以上配置する必要があります。
理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、または言語聴覚士(ST)
介護老人保健施設がリハビリに特化した施設である以上、リハビリ専門職である理学療法士や作業療法士、言語聴覚士は必要な職種です。
入所者一人一人の状態や目標に合わせて、必要なリハビリを提供します。
身体的なリハビリテーションは入所者にとっては辛いと感じることも多々あります。「もう出来なくてもいいや」となってしまわないよう、メンタル面でのサポートも重要です。
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栄養士
入所定員が100人以上の介護老人保健施設には、常勤の栄養士(管理栄養士を含む)を1人以上配置する必要があります。
入所者に提供する食事の献立を考えたり、必要があれば減塩食やミキサー食の準備を調理員に指示するなどの業務を担います。
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介護支援専門員(ケアマネジャー)
介護支援専門員(ケアマネジャー)は居宅介護支援事業所に在籍していることをイメージされる方が多いと思いますが、介護老人保健施設には施設でのサービス利用計画を立てる介護支援専門員が必要です。
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調理員、事務員など
入所者に提供する食事をつくる調理員や、介護報酬請求事務などを行う事務員などのその他の職種に関しては、介護老人保健施設の実情に応じた数を配置することとされています。
そのため、施設によって在籍している職種やその人数は異なります。
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介護老人保健施設(老健)で活かすことが出来る資格
介護老人保健施設で介護職員として働く場合、必要な資格はありませんが、持っていると活かすことができる資格がございますので、今回はそちらをご案内いたします。
介護福祉士
介護福祉士とは、介護業界における国家資格です。介護職として3年以上の実務経験と介護福祉士実務者研修を修了することで受験資格を得ることができます。
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介護福祉士実務者研修
介護福祉士実務者研修とは、介護福祉士国家試験を受験するために必要な資格です。介護に関する基礎的な知識と技術を習得できるだけでなく、喀痰吸引や経管栄養についての知識や技術も得ることができます。
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介護職員初任者研修
介護職員初任者研修とは、介護職員としての基礎的な知識や技術を学ぶことができる研修です。
資格を得ることで資格手当がついたりすることもあるため、介護職としてキャリアを積んでいきたいと考えている方におすすめの資格です。
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社会福祉士
社会福祉士とは、福祉業界における国家資格で相談支援のプロフェッショナルとして活躍することができます。
介護老人保健施設では、社会福祉士の知識や経験を活かして支援相談員として活躍することができるでしょう。
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精神保健福祉士
精神保健福祉士とは、障害福祉業界における国家資格で、心に病を抱えているかたの支援を行うプロフェッショナルです。
介護老人保健施設では、精神保健福祉士の知識や経験を活かして、社会福祉士と同様に支援相談員として活躍することができるでしょう。
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社会福祉主事任用
社会福祉主事任用とは、大学等の養成施設で必要な科目を履修しているなどの条件を満たす場合に該当する資格です。
相談支援業務に従事することができる資格でもあるため、介護職員としてだけでなく、支援相談員としても活躍することができるでしょう。
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理学療法士
リハビリテーションに力を入れている介護老人保健施設では、理学療法士が多く活躍しています。座る、立つ、歩くなどの基本的な動作ができるように支援を行います。
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理学療法士とは? 仕事内容、資格取得のメリットについて分かりやすく解説
作業療法士
作業療法士も、理学療法士同様に介護老人保健施設で多く活躍しています。自分で食事をする、調理をする、余暇を楽しむなどの応用的動作の回復や維持を目指した支援を行います。
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作業療法士とは? 仕事内容、資格取得のメリットについて分かりやすく解説
言語聴覚士
言語聴覚士は、リハビリ専門職の中でも言語・口腔機能に特化したリハビリを提供する専門職です。病気による麻痺が残っていたり、嚥下が困難な方に対し、必要な支援を行います。
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介護老人保健施設(老健)で働く介護職員の平均給与額
厚生労働省の老健局老人保健課による「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(案)」が発表されました。
この結果から、介護老人保健施設で働く介護職員の平均給与額を見ていきましょう。
介護職員処遇改善支援補助金を取得している事業所の場合
常勤・月給の者の平均給与額
保有資格 | 平均給与額 |
介護職員全体 | 339,040円 |
介護福祉士 | 349,850円 |
社会福祉士 | 343,780円 |
介護支援専門員 | 397,600円 |
介護福祉士実務者研修 | 309,650円 |
介護職員初任者研修 | 315,700円 |
保有資格なし | 279,050円 |
参考:厚生労働省老健局老人保健課「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(案)」
介護職員等ベースアップ等支援加算を取得している事業所の場合
常勤・月給の者の平均給与額
保有資格 | 平均給与額 |
介護職員全体 | 338,280円 |
介護福祉士 | 349,420円 |
社会福祉士 | 334,430円 |
介護支援専門員 | 393,390円 |
介護福祉士実務者研修 | 306,450円 |
介護職員初任者研修 | 315,150円 |
保有資格なし | 278,470円 |
参考:厚生労働省老健局老人保健課「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(案)」
まとめ
今回は、介護老人保健施設での仕事内容や人員基準、必要な資格について詳しく解説しました。
少子高齢化の進む日本では、在宅復帰機能と終末期を支える入所者の支援の両面を併せ持つ介護老人保健施設への期待も高いと言えるでしょう。これから介護職への就職を考える方は、介護老人保健施設も選択肢の1つとして検討してみてはいかがでしょうか。
参考
- 厚生労働省「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準について」
- 公益財団法人全国老人保健施設協会「老健施設とは」
- 厚生労働省参考元 「介護老人保健施設」
- 厚生労働省老健局老人保健課「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(案)」」
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