介護業界では「介護福祉士」や「ケアマネージャー」など、さまざまな資格や研修があります。
しかし、介護を必要としている人にも幅広いタイプがあり、障害の区分や仕事内容によって、取得しておくべき資格も異なります。
そこで今回は、重度障害者に対して介護をおこなうために必要な「重度訪問介護従業者養成研修」について紹介していきます。
- 重度訪問介護従業者養成研修とは?
- 重度訪問介護従業者養成研修はどんな職場に必要?
- 重度訪問介護従業者養成研修を取得するメリットは?
このような疑問をお持ちの方は、ぜひ参考にしてみてください。
記事でわかること
重度訪問介護従業者養成研修とは
重度訪問介護従業者養成研修とは、自治体から「障害支援区分4〜6」に認定されている障害者に対する介護知識の研修です。
基本的には、重度の肢体不自由・重度の知的障害・重度の精神障害などにより、常に介護を必要としている人の生活をサポートする「重度訪問介護」で必要になります。
重度障害者への介護知識や技術の習得を目的としており、最短3日間での取得が可能です。
また、重度訪問介護従業者養成研修には、以下3つの課程があります。
- 基礎課程:障害支援区分4〜5の利用者を介護するための介護知識と技術の習得
- 追加課程:障害支援区分6の利用者を介護するための介護知識と技術の習得
- 統合過程:基礎課程と追加課程の内容に加えて、喀痰吸引の実習
都道府県ごとに厚生労働省が指定している事業所が開催しており、保有資格や従事歴など、参加するための条件もありません。
重度訪問介護従業者養成研修のカリキュラム
それでは次に、重度訪問介護従業者養成研修のカリキュラムについて紹介していきます。
先ほど、3つの課程を紹介しましたが、それぞれカリキュラムは異なります。
どんな研修を行うのか確認しておきましょう。
基礎課程
基礎課程では、重度障害者を介護するための職業倫理や、基礎的な介護技術について学習します。
カリキュラムの内容は、以下の通りです。
科目 | 時間 | |
講義 | 重度の肢体不自由者の地域生活等及び従業者の職業倫理 | 2時間 |
基礎的な介護技術 | 1時間 | |
実習 |
基礎的な介護と重度の肢体不自由者とのコミュニケーションの技術 | 5時間 |
外出時の介護技術 | 2時間 |
計10時間の研修を受けることで、障害支援区分4〜5の利用者への介護業務を担当できます。
追加課程
追加課程では、障害支援区分6の利用者への介護を想定しているため、基礎課程よりも難しい内容になっています。
そのため実習では、実際に障害支援区分5、もしくは6の利用者に対する介護支援をおこないます。
カリキュラムの内容は、以下の通りです。
科目 | 時間 | |
講義 | 医療的ケアを必要とする重度訪問介護利用者の障害及び支援 | 4時間 |
コミュニケーションの技術 | 2時間 | |
緊急時の対応及び危険防止 | 1時間 | |
実習 | 重度の介護と重度の肢体不自由者とのコミュニケーションの技術 | 3時間 |
計10時間の研修を受けることで、障害支援区分6の利用者への介護業務を担当できます。
統合過程
総合課程では、基礎課程と追加課程の内容に加えて、喀痰吸引の演習をおこないます。
カリキュラムの内容は、以下の通りです。
科目 | 時間 | |
講義 | 重度の肢体不自由者の地域生活等 | 2時間 |
基礎的な介護技術 | 1時間 | |
コミュニケーションの技術 | 2時間 | |
喀痰吸引を必要とする重度障害者の障害と支援 | 3時間 | |
緊急時の対応及び危険防止 | 3時間 | |
演習 | 喀痰吸引等に関する演習 | 1時間 |
実習 | 基礎的な介護と重度の肢体不自由者とのコミュニケーションの技術 | 3時間 |
外出時の介護技術 | 2時間 | |
重度の介護と重度の肢体不自由者とのコミュニケーションの技術 | 3.5時間 |
計20.5時間の研修を受けることで、障害支援区分4〜6の利用者への介護業務を担当できることに加えて、喀痰吸引などの医療ケアも可能になります。
また、すべての課程において、重度訪問介護従業者養成研修を受けるための条件はなく、障害者や高齢者への介護経験がなくても受講可能です。
(参考:厚生労働省”障害者の地域生活の推進に関する検討会 重度訪問介護の現状等について 平成25年7月26日)
重度訪問介護従業者養成研修修了者の就業場所について
重度訪問介護従業者養成研修を修了した方は、下記の様な職場で就業することが可能です。
- 訪問介護事業所
- 重度訪問介護事業所
それぞれ詳しく紹介していきます。
訪問介護事業所
訪問介護事業所では、障害を持っている利用者の自宅に訪問して、身体介護・家事援助・通院・乗降介助などの業務をおこないます。
また、事業所によっては、障害者だけでなく高齢者の介護をおこなっている場合もあります。
重度訪問介護事業所
重度訪問介護事業所では、重度の肢体不自由・重度の知的障害・重度の精神障害などを持っている利用者の自宅に訪問して生活の支援をおこないます。
重度訪問介護従業者養成研修の追加課程もしくは、総合課程を修了している人のみ障害支援区分6の利用者を支援することが可能です。
基礎課程のみの人は、障害支援区分5までの利用者しか支援することができません。
その他
以下は、重度訪問介護従業者養成研修が必須ではありませんが、持っているとメリットのある職場です。
- 障害者支援施設
- 障害者グループホーム(共同生活援助)
- 障害者デイサービス(生活介護)
- 放課後等デイサービス
- 就労移行支援事業所
訪問介護以外にも、重度障害者を受け入れている介護施設は少なくありません。
さまざまな業種を経験しておくと、将来的にさまざまな選択肢を選べるようになります。
高齢者への支援以外にも挑戦したい人は、ぜひ検討してみてください。
重度訪問介護従業者養成研修を取得するメリット
それでは最後に、重度訪問介護従業者養成研修を取得するメリットを紹介していきます。
重度訪問介護従業者養成研修を取得しておくと、以下のようなメリットがあります。
- スキルアップ
- 需要が高まる=採用されやすい
- 経験を積みキャリアップも可能
それぞれ詳しく紹介していきます。
スキルアップ
介護福祉業界で働いていて、漠然とキャリアップしたいと考えている人には、重度訪問介護従業者養成研修がオススメです。
重度訪問介護従業者養成研修を取得して、訪問介護を経験すれば、重度訪問介護などのさらに難しい業務にも挑戦できます。
高齢者だけでなく、障害者への理解を深めていけば給与アップにも期待できるでしょう。
需要が高まる=採用されやすい
重度訪問介護の利用者は年々、増加傾向にあります。
訪問介護をはじめる事業所も増えることが予想されるため、重度訪問介護従業者養成研修の必要性も高まっていくでしょう。
取得していると採用されやすくなることは間違いないので、転職のために武器が欲しい人にも向いている研修です。
経験を積みキャリアアップも可能
重度訪問介護従業者養成研修を取得して、重度障害者への介護経験を積むことでキャリアップも可能になります。
先ほども紹介したように、重度訪問介護の利用者は増加傾向にあるため、重度障害者の扱いに慣れている人は、多くの介護施設から重宝されるでしょう。
サービス管理責任者など、将来的に管理職を担当したい人は、重度訪問介護従業者養成研修を取得しておきましょう。
まとめ
今回は、重度訪問介護従業者養成研修についてお伝えしました。
重度訪問介護従業者養成研修は、重度障害を持っている利用者を支援するためには欠かせない研修です。
今後はさらに需要が高くなることが予想されるため、早めに取得して経験を積んでおくといいでしょう。
転職や給与アップなど、さまざまなメリットに期待できるため、スキルアップしたいと考えている人は、ぜひ取得してみてください。
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