介護業界では「介護福祉士」や「ケアマネージャー」など、さまざまな資格や研修があります。
しかし、介護を必要としている人にも幅広いタイプがあり、障害の区分や仕事内容によって、取得しておくべき資格も異なります。
そこで今回は、障害を持っている方をサポートするために必要な「相談支援従事者研修」について紹介していきます。
- 相談支援従事者研修とは?
- 相談支援従事者研修はどんな職場に必要?
- 相談支援従事者研修を取得するメリットは?
このような疑問をお持ちの方は、ぜひ参考にしてみてください。
記事でわかること
相談支援従事者研修とは
障害を持っている人が必要な、保健・医療・福祉・就労・教育などに関する悩みを解決する「相談支援専門員」という専門職があります。
相談支援専門員として働くには、3年以上の実務経験(障害者の保健・医療・福祉・就労・教育分野における直接支援、もしくは相談支援)に加えて相談支援従事者研修の修了が必須です。
相談支援従事者研修は、初任者研修からはじまり、現任研修、主任研修とステップアップしていく形になっており、令和元年からはカリキュラムの内容が新しく変更されています。
初任者研修を修了後、修了年度を起点として翌年度から5年度間に1度以上、相談支援従事者現任研修を修了する必要があります。
こちらも実務要件があり、初回受講時には、「過去5年間に2年以上の相談支援業務の経験がある」こと、2回目以降受講時には、「現在相談支援業務に従事していること」が必要です。
現任研修を修了後、3年以上相談支援専門員として従事すれば、主任相談支援従事者になるための相談支援従事者主任研修を受講することが可能になります。
しかし、こちらについては更新研修になるかどうかは明確に決まっていません。
相談支援従事者研修のカリキュラム
それでは次に、研修ごとのカリキュラムを見ていきましょう。
相談支援従事者初任者研修
相談支援従事者初任者研修は全国で実施している、相談支援業務の質を向上させることを目的としています。
また、相談支援従事者初任者研修を受けるためには、以下の条件に1つ以上、該当している必要があります。
- 指定相談支援事業所で「相談支援専門員」として従事している、もしくはその予定がある
- 指定重度障害者等包括支援事業所で「サービス提供責任者」として従事している、もしくはその予定がある
また、相談支援業務を実施している民間団体の事業所長から、推薦してもらう必要もあります。
誰でも取得できるわけではないので、注意しておきましょう。
カリキュラムの内容は、以下の通りです。
科目 | 時間 | |
講義 | 障害児者の地域支援と相談支援従事者(サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者)の役割 | 5時間 |
相談支援におけるケアマネジメントの手法 | 3時間 | |
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の概要並びにサービス提供のプロセス | 3時間 | |
演習 | ケアマネジメントプロセスに関する講義及び演習 | 31.5時間 |
実習 | 相談支援の基礎技術に関する実習 | - |
相談支援従事者現任研修
相談支援専門員の資格は更新制になっており、相談支援従事者初任者研修を修了してから5年ごとに「相談支援従事者現任研修」を受ける必要があります。
カリキュラムの内容は、以下の通りです。
科目 | 時間 | |
講義 | 障害福祉の動向 | 1.5時間 |
相談支援の基本姿勢及びケアマネジメントの展開 | 3時間 | |
人材育成の手法 | 1.5時間 | |
演習 | 相談援助に関する講義及び演習 | 18時間 |
相談支援従事者主任研修
相談支援従事者主任研修では、相談支援専門員としての知識・技術だけでなく、他の職員に対する指導方法や人材育成に関する内容も学習していきます。
カリキュラムの内容は、以下の通りです。
科目 | 時間 | |
講義 | 障害福祉の動向及び主任相談支援専門員の役割と視点 | 3時間 |
運営管理 | 3時間 | |
演習 | 相談支援従事者の人材育成に関する講義及び演習 | 13時間 |
地域援助技術に関する講義及び演習 | 11時間 |
(参考:厚生労働省 社会保障審議会障害者部会 相談支援専門員研修制度の見直しに関する今後の取り扱い)
研修修了者の就業場所について
相談支援事業は、障害のある人が自立した日常生活・社会生活を営むことができるよう支援する事業です。
主に市区町村や、市区町村から委託された事業者が下記の様な支援を行っており、そこに相談支援専門員は必要とされています。
支援名 | 支援内容 | 支援対象者 |
計画相談支援・障害児相談支援 | 障害福祉サービスなどの利用計画の作成・提案 | 障害を持っている人 |
地域移行支援・地域定着支援 | 地域生活へ移行するための支援 | 施設や精神科病棟を退所した人 |
障害者相談支援事業 | 必要な情報提供やサービス利用支援、権利擁護のために必要な支援 | 障害を持っている人 |
成年後見制度利用支援事業 | 成年後見制度の利用促進 | 知的障害者や精神障害者の内判断能力が不十分な人 |
上記のほかにも、居宅介護・障害者支援施設・障害者グループホーム(共同生活援助)・障害者デイサービス(生活介護)・放課後等デイサービス・就労移行支援事業所など、相談支援従事者研修の知識を活かして働ける施設は多岐にわたります。
研修を修了するメリット
それでは最後に、相談支援従事者研修を修了するメリットについて紹介していきます。
相談支援従事者研修を修了するメリットは、以下の3つです。
- スキルアップ
- 需要が高まる=採用されやすい
- 経験を積みキャリアップも可能
それぞれ詳しく紹介していきます。
スキルアップ
相談支援従事者研修では、障害に関する基礎的な知識が身に付きます。
障害に関する知識は、さまざまな業務に活かせるため、介護・福祉業界で働くなら確実にスキルアップできるでしょう。
高齢者だけでなく、障害者に対しても適切な対応ができる人材は、まわりの職員からも信頼されるようになります。
需要が高まる=採用されやすい
障害を持っている人の相談支援件数は、年々増加しています。
相談支援の需要が高くなると、相談支援専門員を求める施設も増えていきます。
相談支援従事者研修の修了には実務経験が必要になるため、短期間で取得できるわけではありません。
他の人よりも先に相談支援従事者研修を修了しておけば、多くの施設から求められる人材になれるでしょう。
経験を積みキャリアップも可能
相談支援従事者研修では、初任者研修→現任研修→主任研修と、実務経験と研修を重ねることでキャリアアップできます。
相談支援専門員は明確にキャリアップの流れが決まっているため、1つの仕事に集中して働きたい人にはぴったりでしょう。
まとめ
今回は、相談支援従事者研修についてお伝えしました。
相談支援従事者研修は、障害を持っている人に対して、必要な保健・医療・福祉・就労・教育などの悩みを解決する「相談支援専門員」としての知識・技術を身に付ける研修です。
障害を持っている人の相談支援件数は年々、増加しており、相談支援専門員を求める声も増えてきています。
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