記事でわかること
産前・産後休業と育児休業の取得対象者
私たちがよく言う『産休』とは、正しくは出産前に取得することが出来る産前休業と、出産後に取得することが出来る産後休業のことを指します。そして、『育休』とは、育児休業の略称です。まずはそれぞれの対象者を見てみましょう。
産前産後休業の対象者
出産を予定している方全員が対象となります。正社員でなくても、パートやアルバイトを含めたすべての方が対象です。
育児休業の対象者
正社員に限らず、雇用期間の定めのある人も以下の要件のどちらも満たしていれば取得が可能です。1歳に満たない子の養育者であれば、男女を問わず休業できる制度です。※場合によっては延長もあり
- 申出時点で、過去1年以上継続して雇用されていること(令和4年4月1日から撤廃)
- 子が1歳6ヶ月(2歳に達する日まで取得する場合は2歳)に達する日までの間に、雇用契約が更新されないことが明らかでないこと
労働基準法における産前・産後休業
次に、産前・産後休業と育児休業はどのくらいの期間取得することが出来るのかをご紹介します。
産前休業
出産当日を含め6週間前(双生児は14週間前)から取得することができます。予定日から遅れて出産したとしても問題ありません。
産後休業
出産の翌日から8週間は、産後休業の期間に入ります。基本的に、この期間は就業することができませんが、6週間経過後に本人が希望し、医師が認めた業務については就業することも可能です。
解雇制限と解雇の無効について
産前産後休業の期間中とその後30日間の解雇が禁止されています。(労働基準法第19条)
また、妊娠中と出産後1年を経過しない女性労働者に対して行われた解雇は、原則として無効です。(男女雇用機会均等法第9条第4項)
育児休業
子が1歳になるまでの間は、男女を問わず育児休業が取得できます。
妊娠から復職までの流れ
産前・産後休業や育児休業を取得する際には、休業中の仕事の引き継ぎなどがスムーズに行われるよう配慮し、働き方の希望などはきちんとコミュニケーションをとりながら伝えていきましょう。
- 育児時間として1日2回、1回あたり30分の育児時間が請求できる。
- 時間外労働、休日労働、深夜業の制限…妊娠中と同様に制限を受けることができる。
- 母性健康管理措置…医師等の指示により、健康診査のための時間の確保を申し出ることができる。また、指導内容に沿った適切な措置が受けられる。
- 短時間勤務制度…3歳未満の子どもがいる労働者のために、会社が設ける制度。1日原則として6時間。
- 子の看護休暇…小学校就学前の子どもがいる労働者は、年次有給休暇とは別に1年のうち5日間、子どもの看護や予防接種、健康診断のために休暇を取得できる。(子どもが2人以上なら10日間)
休業中の経済的支援
産前・産後休業や育児休業を取得している間は、以下のような経済的支援を受けることができます。
社会保険料の免除
産前・産後休業中と、育児休業中の健康保険料や厚生年金保険料は、会社が年金事務所や健康保険組合に申し出ると免除されます。
両休業期間中の雇用保険料の免除
会社から給与が支払われていない期間の雇用保険料の負担はありません。
出産一時金
健康保険加入者が出産した場合、1児につき42万円が支給されます。(産科医療補償制度加算対象出産でない場合は40万4千円)
出産手当金
産前・産後休業中は、健康保険から1日あたり賃金の3分の2相当が支給されます。しかし、休業中に給与が支払われ、この手当金よりも多い場合は支給対象外となります。
育児休業給付
原則、育児休業開始後6ヶ月は休業開始前の賃金の67%、6ヶ月経過後は50%が支給されます。
夫の扶養に入る場合
もともと自分が社会保険に加入していた場合、以上の制度により社会保険料は免除となるため、これらの保険料をカバーするために夫の扶養に入る必要はありません。また、収入減を見越して夫の配偶者控除や配偶者特別控除を受けるために扶養に入ろうとする場合も、控除の条件を満たすかどうか十分な確認をされた上で検討していくことをおすすめします。
まとめ
産前・産後休業や育児休業は、性別を問わず多くの方がその制度を活用し、仕事と子育てを両立させることに役立てています。会社によっては、こうした制度の他にも独自の支援を設けている場合もあるため、妊娠が分かった段階で十分に確認されることをおすすめします。
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