児童福祉の仕事のひとつに、発達障害を持つ子どもや家庭の事情などから支援を必要としている子どもをサポートする児童指導員という職種があります。少子化とは言え、支援を必要とする子どもの数は増加傾向にあり、児童指導員の需要が高まっています。
- 児童指導員とは?
- 児童指導員任用資格とは?
- 児童指導員の仕事内容は?
- 児童指導員はどんな場所で働いている?
- 児童指導員の月給、年収は?
今回は、児童指導員に必要な資格、仕事内容、働く場所、給料について詳しく解説します。
記事でわかること
児童指導員とは?
児童指導員とは、障害を持つ子どもや、家庭環境が複雑な子どもに対し、社会生活を送るために必要な療育や支援を提供する仕事です。
時には親代わり、時には先生として子どもたちの成長に深く携わる社会的にも意義のある職種です。
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児童指導員になるには
児童指導員になるには、児童指導員任用資格を持っている必要があります。任用資格とは、試験に合格したり研修を受講して得るものではなく、一定の条件を満たすことで得られる資格のことです。
それでは、児童指導員任用資格の条件について詳しく見ていきましょう。
児童指導員任用資格の条件
児童指導員任用資格は、一般的に以下のいずれかを満たすことで得られる資格です。
- 大学や大学院で指定の学部・学科を卒業する
- 指定の資格を取得する
- 実務経験を満たす
それぞれについて細かな条件を解説します。
大学や大学院で指定の学部・学科を修学する
- 大学で社会福祉学、心理学、教育学もしくは社会学を専修する学部・学科を卒業する
- 大学院で社会福祉学、心理学、教育学もしくは社会学を専攻する研究科を卒業する
指定の資格を取得する
- 社会福祉士
- 精神保健福祉士
- 幼稚園・小・中・高の教員免許
実務経験を満たす
- 高校を卒業していて児童福祉事業における2年以上の従事経験がある
- 児童福祉事業における3年以上の従事経験を持ち、厚生労働大臣または都道府県知事から認定される
児童指導員が働く場所
児童指導員として働くことのできる職場は、障害児や養護が必要な子どもを支える児童福祉の現場です。それぞれ詳しく見ていきましょう。
児童発達支援
児童発達支援とは、未就学児で障害を持つ子どもの支援を行う通所施設です。身体障害、知的障害、発達障害を含む精神障害を持つ児童が支援対象者となります。
子ども一人ひとりに合わせて作成された個別支援計画に基づいて、個別療育や集団療育を提供し、成長をサポートすることが児童発達支援における児童指導員の役割です。
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児童発達支援とは?仕事内容や職種、持っていると役立つ資格、やりがいについて詳しく解説!
児童発達支援事業所と児童発達支援センターの違い
児童発達支援事業所 | 障害児やその家族に対する支援を行う身近な療育の場 |
児童発達支援センター | 地域の障害児やその家族への相談、障害児を預かる施設への援助・助言を合わせて行う地域の中核的な療育支援施設 |
参考:厚生労働省「児童発達支援センターと事業について」
放課後等デイサービス
放課後等デイサービスとは、小学生から高校生までの児童・生徒を対象とした通所施設で、放課後や夏休みなどの長期休暇中に支援を行います。
児童発達支援同様、児童指導員は子ども一人ひとりに合わせて作成された個別支援計画に基づいて必要な支援を提供します。運動特化型や学習特化型など、事業所によって特色があることも多いサービスです。
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障害児入所施設
障害児入所施設とは、障害を持つ子どもが入所し、日常生活の指導や自活に必要な知識や技術の習得を目指す施設です。
福祉サービスと治療を並行して提供する「医療型」と福祉サービスのみを提供する「福祉型」の2種類に分類されています。
児童養護施設
児童養護施設とは、保護者のいない子どもや様々な事情から保護者と生活することが難しい子どもが安定した生活を送ることが出来るように保護する施設です。
多くの子どもを1つの施設に集めるのではなく、出来る限り家庭的な環境で過ごすことができるよう、施設の小規模化が推進されています。
児童指導員の仕事内容
児童指導員の仕事内容は、働く場所によって少々異なります。
児童養護施設では日常生活の支援、社会ルールの習得、学習や遊びなどの支援や指導にあたることが一般的である一方、障害を持つ子どもが通う児童発達支援や放課後等デイサービスにおける児童指導員の仕事内容は、「個別支援計画に基づいた子どもの支援、療育」と「事務作業、送迎等の周辺業務」の2つに分けることができます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
個別支援計画に基づいた子どもの支援、療育
個別支援計画とは、児童発達支援管理責任者がサービスを利用する子ども一人ひとりに合わせて成長のために何が必要なのか、どのように支援を行っていくのかといった具体的な計画のことです。
例えば、挨拶のほか場面に合わせて「ありがとう」や「ごめんなさい」が言えるようにする、時間を見て行動するなどの社会生活を送る上での基本を教えたり、障害によって難しく感じられる日常生活動作の改善のための訓練をしたりします。
学習支援の一環として学校の宿題に一緒に取り組んだり、身体を使って一緒に遊んだりして、関係性を築きながら心のケアも行うことも児童指導員の仕事の一つです。
事務作業、送迎等の周辺業務
児童指導員のメイン業務は個別支援計画に基づいた支援や療育ですが、一人ひとりの活動記録や支援記録を付けることや、放課後等デイサービスの場合であれば学校から事業所、事業所からご自宅までの送迎を行う場合もあります。
勤める事業所によって児童指導員が担当する業務範囲は異なるため、お仕事を探す際は確認しておくと良いでしょう。
児童指導員の1日のスケジュール(児童発達支援の場合)
児童発達支援事業所で働く児童指導員の1日の業務スケジュール例を見てみましょう。
児童指導員が使用する教材の例
児童指導員が子どもたちに提供する療育で使用される教材を一部ご紹介します。今回紹介する教材は、コペルプラスを運営する株式会社コペルで使用されているものです。
楽しく歌いながら自然な発生を促したり、フラッシュカードを使い瞬間的に見て記憶する力を育てたりと、利用する子ども一人ひとりに合わせた療育を行います。
児童指導員の年収、月給
厚生労働省の職業情報提供サイト「jobtag」に掲載されている就業者統計データを見てみると、児童指導員の平均年収は415.7万円(※)であることが分かります。また、厚生労働省の「令和3年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果」によると、児童指導員の平均月給は311,050円でした。
社会福祉士や精神保健福祉士などの国家資格を保有している方は加給の対象となることが多いようです。
(※)平均年収は令和4年度賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成されています。
児童指導員のやりがい
児童指導員の仕事は、主に障害を抱えた子どもの支援となるため、大変なこともありますがその分やりがいの大きい仕事といえるでしょう。特に以下の3つの点で児童指導員としてのやりがいを感じることが大きいようです。
子どもたちの成長を近くで感じることができる
児童や生徒一人ひとりに対して、個別支援計画に基づいた支援を行うため、一人でできることが増えたり、集団生活に馴染むことができるようになったりと、子どもたちの成長を身近に感じることができます。
障害や療育の知識を得ることができる
「障害を抱える子ども」が支援対象であっても、子ども一人ひとりに個性があり、診断されている障害は同じでも、同じ支援内容を提供すればOKというものではありません。その子に合わせた支援や療育を行うことが大切です。
こうして児童指導員として働く中で、少しずつ障害についての知識や療育のノウハウを学ぶことができます。
保護者に対しても支援を行うことができる
児童指導員として、時には保護者の方から相談を受けることもあります。保護者との面談を通してお子様の育て方や困った時の接し方についてアドバイスを行ったり、一緒に対処法を考えることで、保護者の方の不安を取り除くことが出来るようになります。保護者の方々と一緒に子どもを育てているんだ、というやりがいを感じることも出来るでしょう。
関わった児童の成長を感じたり、信頼関係が築けたと実感した時など、喜びを得る場面はたくさんあります。特に、児童福祉に貢献できる仕事に就きたいと考える人にはおすすめです。
児童指導員のキャリアステップ
児童指導員からキャリアアップを目指す場合の代表的な3つのプランをご紹介します。
児童発達支援管理責任者を目指す
児童指導員としての経験を活かして、障害児に対する療育や支援を継続したいという方は、児童発達支援管理責任者を目指しましょう。
児童発達支援管理責任者は、子どもたち一人ひとりの状態や目標に合わせて個別支援計画を作成する業務をメインで行います。
厚生労働省の「令和3年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果」によると、児童発達支援管理責任者の平均月給は児童指導員と比較して77,290円高い388,340円であることも分かり、給料アップも見込めます。
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【2023年6月最新】児童発達支援管理責任者(児発管)とは? 資格の取り方・仕事内容・給料について分かりやすく解説
サービス管理責任者を目指す
障害児の療育や支援を経験し、子どもだけでなく障害者の支援にも関りながらキャリアアップしたいという方は、サービス管理責任者を目指しましょう。
サービス管理責任者は、障害福祉サービスを利用する障害者一人ひとりの状態や目標に合わせて個別支援計画を作成する業務をメインで行います。
厚生労働省の「令和3年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果」によると、サービス管理責任者の平均月給は児童指導員と比較して77,290円高い388,340円であることも分かり、給料アップも見込めます。
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相談支援専門員を目指す
障害児の療育や支援を行う中で、日常生活における困りごとや保護者の方の相談に応じることにやりがいを感じる方は、相談支援専門員を目指してみてはいかがでしょうか。
相談支援専門員は、自治体や地域の支援センターにおいて障害者が自立した日常生活や社会生活を営むことができるように相談に応じたり、支援を行う役割を担います。
厚生労働省の「令和3年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果」によると、相談支援専門員の平均月給は児童指導員と比較して46,960円高い358,010円で、あることも分かり、給料アップも見込めます。
まとめ
今回は、児童指導員に必要な資格、仕事内容、働く場所、給料について詳しく解説しました。
発達障害と診断される子どもが増加していることもあり、児童指導員の需要は年々高まっています。興味をお持ちの方はぜひe介護転職でお仕事を探してみてくださいね。
参考
- 厚生労働省 職業情報提供サイト jobtag「児童指導員」
- 独立行政法人福祉医療機構WAMNET「児童指導員」
- 厚生労働省「児童指導員及び指導員の資格要件等」
- 独立行政法人福祉医療機構WAMNET「障害児入所施設」
- 厚生労働省「社会的養護の施設等について」
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