【事業者向け】介護ロボット導入支援事業とは?活用分野や助成金について詳しく解説!

昨今、介護業界では労働者の身体的負担や人材確保・定着が大きな課題となっており、介護ロボットの導入に注目が集まっています。このような背景から、厚生労働省では介護事業者向けに介護ロボットの導入を支援する制度が行われています。

そこで今回は、介護ロボットの定義や活用分野、助成金などについて詳しく解説します。

介護ロボット導入支援事業とは

介護ロボット導入支援事業とは、介護ロボットの導入にかかる経費の一部を助成する取り組みです。介護ロボットの普及により介護従事者の負担を軽減し、職場環境の改善や利用者の自立支援を図ることを目的としています。

ロボットとは、以下3つの要素技術を持つ知能化した機械システムのことです。

  • 情報を感知(センサー系)
  • 判断(知能・制御系)
  • 動作(駆動系)

このうち、ロボット技術が応用され利用者の自立支援や介護従事者の負担軽減に役立つものを介護ロボットと呼んでいます。

詳しくはこちら:厚生労働省 介護ロボットの開発・普及の促進

介護ロボットの重点分野

厚生労働省と経済産業省では、「ロボット技術の介護利用における重点分野」6分野13項目定め、開発や導入を支援しています。

【ロボット技術の介護利用における重点分野】

移乗介助 装着 ロボット技術を用いて介助者のパワーアシストを行う装着型の機器
非装着 ロボット技術を用いて介助者による抱え上げ動作のパワーアシストを行う非装着型の機器
移動支援 屋外 高齢者等の外出をサポートし、荷物等を安全に運搬できるロボット技術を用いた歩行支援機器
屋内 高齢者等の屋内移動や立ち座りをサポートし、特にトイレへの往復やトイレ内での姿勢保持を支援するロボット技術を用いた歩行支援機器
装着 高齢者等の外出をサポートし、転倒予防や歩行等を補助するロボット技術を用いた装着型の移動支援機器
排泄支援 排泄物処理 排泄物の処理にロボット技術を用いた設置位置調節可能なトイレ
トイレ誘導 ロボット技術を用いて排泄を予測し、的確なタイミングでトイレへ誘導する機器
動作支援 ロボット技術を用いてトイレ内での下衣の着脱等の排泄の一連の動作を支援する機器
見守り・コミュニケーション 施設 介護施設において使用する、センサーや外部通信機能を備えたロボット技術を用いた機器のプラットフォーム
在宅 在宅介護において使用する、転倒検知センサーや外部通信機能を備えたロボット技術を用いた機器のプラットフォーム
生活支援 高齢者等とのコミュニケーションにロボット技術を用いた生活支援機器
入浴支援 ロボット技術を用いて浴槽に出入りする際の一連の動作を支援する機器
介護業務支援 ロボット技術を用いて、見守り、移動支援、排泄支援をはじめとする介護業務に伴う情報を収集・蓄積し、それを基に、高齢者等の必要な支援 に活用することを可能とする機器

詳しくはこちら:厚生労働省 介護ロボットの開発支援について

介護ロボット導入支援補助金

介護ロボット導入支援事業では、介護ロボットの導入支援した事業所に対し、各都道府県に設置される地域医療介護総合確保基金を活用した助成を行っています。移乗支援や移動支援、排泄支援、見守り、入浴支援などで利用する介護ロボットが助成対象となります。

令和2年度には、新型コロナウイルス感染症の発生を受けて助成対象や補助金額が拡充されました。

なお、各都道府県ごとに名称や内容、要望調査時期は異なるため、詳しくはお住まいの都道府県にお問い合わせください。

介護ロボット開発等加速化事業

介護ロボットの開発を促進するための取り組みとして、着想段階から介護ロボットの開発の方向性を開発企業と介護現場が協議する取り組みが行われました。また、試作機器の介護現場での実証支援や介護職員との意見交換、専門職によるアドバイス支援なども行われました。

開発段階から開発企業と介護現場が協議することにより、より現場のニーズを踏まえた介護ロボットの開発が期待されています。厚生労働省では平成28年度~令和元年度の実績をまとめたものを公開しているので、詳細を知りたい方はぜひチェックしてください。

開発等補助金・助成金

介護ロボット開発実用化支援の一環として、開発者に対して補助金・助成金を支給する事業も行われています。機器の種類や目的に応じて、開発者は以下の補助金・助成金を利用できます。

【介護福祉機器開発に対する補助事業】

  1. ロボット介護機器開発・標準化事業(開発補助事業)
    ・・・高齢者の自立支援等に資するロボット介護機器の開発を補助。(補助上限額1億円/年)
  2. 課題解決型福祉用具実用化開発支援事業
    ・・・高齢者及び障害者のQOL向上を目指した機器、介護者の負担を軽減する機器、高齢者の日常動作を支援する機器の開発を補助。(補助上限額年間2,000万円)
  3. ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
    ・・・中小企業・小規模事業者等が、認定支援機関と連携して、生産性向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等に係る経費の一部を補助。(補助上限額2,000万円)

【年間を通じて用意がある支援】

  1. 株式会社産業革新投資機構(JIC)
    ・・・JICグループのJICベンチャー・グロース・インベストメンツ株式会社は、イノベーションを促進し、国際競争力の向上、産業及び社会課題の解決を目指す投資活動を実施。ベンチャー企業、大企業の新規事業等を支援。
  2. 都道府県等における介護ロボットの開発に係る助成事業
  3. 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に伴うベンチャー企業向け支援(経産省)
    ・・・スタートアップ企業や、一時的に財務状況が悪化し企業再建に取り組む持続可能な企業に対して、長期間元本返済がない支援を実施。

まとめ

介護業界では、利用者の自立支援や職場環境の改善を図るため介護ロボットの開発や導入に関する支援が行われています。増加する介護需要に対応し事業を継続していくためには、こうした支援を活用した介護ロボットの導入が重要だと言えるでしょう。今後も支援内容や対象者は拡充していくと予想されるため、介護従事者の方は厚生労働省のホームページ等で随時情報をチェックしてくださいね。