「介護士として働いているけど、平均的な給料と比べて自分はどうなのかな?」
「サービスの種類によって給料は違うのかな?」
このように考えている方も多いのではないでしょうか。
今回は、サービスや年齢、保有資格別の介護士の平均給与額や給料アップの方法を紹介していきます。介護士として経験を積みたい人やこれから介護士にチャレンジする人はぜひ参考にしてください。
記事でわかること
介護士の給料はいくら?
実際の所、介護職の平均給与はいくらなのでしょうか?厚生労働省が発表した、「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」から、から介護職全体、サービス別、勤続年数別、保有資格別、性・年齢別の平均給与額を見ていきましょう。
平均給与額を確認する前に【処遇改善加算と特定処遇改善加算を知ろう】
分野別に平均給与額を確認する前に、この後の表に出てくる処遇改善加算と特定処遇改善加算について簡単に説明します。
処遇改善加算
処遇改善加算とは、介護事業所で働く介護職員の賃金改善を目的に国が行う加算のことです。定められたキャリアパス要件および職場環境要件を各事業所がいくつ満たしているかによってⅠ~Ⅲの3区分に分けられ、それぞれ決められた加算額が支給されます。
(Ⅳ及びⅤの区分は、令和4年3月31日で完全に廃止となりました。)
特定処遇改善加算
前述した処遇改善加算に加える形として、2019年に新たに始まったのが特定処遇改善加算です。こちらは経験や技能のある職員に対しさらなる賃金改善を行うための制度で、ⅠとⅡの区分ごとに決められた加算額が上乗せされます。処遇改善加算のⅠ~Ⅲのいずれかを取得した上で、職場環境等要件について複数の取り組みを行っていることなどの条件を満たすことで取得できます。
- 処遇改善加算を算定していない事業所
- 処遇改善加算Ⅰ~Ⅲを算定している事業所
- 処遇改善加算に加え特定処遇改善加算を算定している事業所
処遇改善加算や特定処遇改善加算についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をチェック!
介護職の給与欄によく見る「処遇改善」とは?詳しく解説!(2023年1月時点最新版)
介護職全体平均
介護職全体の平均給与額は以下の通りです。
処遇改善加算Ⅰ~Ⅴを取得している事業所 | 特定処遇改善加算Ⅰ/Ⅱを取得している事業所 | |
平均給与額 | 316,610円 | 323,190円 |
平均基本給額 | 187,180円 | 187,420円 |
平均手当額 | 81,110円 | 85,550円 |
平均一時金額 | 48,320円 | 50,220円 |
参考:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」
令和2年度と比べると基本給および手当、一時金がそれぞれ2,000円以上増加しており、それに伴い平均給与額も7,000円以上アップしました。令和元年以前のデータからも、介護職の給料は上昇傾向にあると言えます。
サービス別平均給与額
サービス種別の介護士平均給与額は以下の通りです
処遇改善加算Ⅰ~Ⅴを取得している事業所 | 特定処遇改善加算Ⅰ/Ⅱを取得している事業所 | |
特別養護老人ホーム | 345,590円 | 345,720円 |
介護老人保健施設 | 338,390円 | 339,390円 |
介護療養型医療施設 | 287,070円 | 317,040円 |
介護医療院 | 307,550円 | 312,580円 |
訪問介護 | 314,590円 | 324,690円 |
デイサービス | 278,180円 | 288,880円 |
通所リハビリテーション | 297,980円 | 304,260円 |
サービス付き高齢者向け住宅 | 319,760円 | 323,660円 |
小規模多機能型居宅介護 | 289,520円 | 294,960円 |
グループホーム | 291,460円 | 296,180円 |
参考:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」
サービス別に見ると、特別養護老人ホームや介護老人保健施設の平均給与額が高く、デイサービスや通所リハビリテーションは低い傾向にあることが分かります。これは入居型の施設は夜勤が必要であること、要介護度が高い利用者が多い施設は体力的負担が大きいことなどが関係していると考えられます。
勤続年数別平均給与額
勤続年数別の介護士平均給与額は以下の通りです。
処遇改善加算Ⅰ~Ⅴを取得している事業所 | 特定処遇改善加算Ⅰ/Ⅱを取得している事業所 | |
1年 | 277,350円 | 280,780円 |
3年 | 299,970円 | 306,620円 |
5年 | 309,610円 | 315,480円 |
10年 | 318,980円 | 322,960円 |
15年 | 339,230円 | 348,370円 |
20年以上 | 378,010円 | 385,580円 |
参考:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」
勤続年数が長いほど平均給与額は高くなっており、勤続1年の人と20年以上の人では10万円以上差があることが分かります。給料が低いと言われがちな介護職ですが、この数字を見る限りでは長く続けることで高収入も期待できるでしょう。
保有資格別平均給与額
保有資格別の介護士平均給与額は以下の通りです。
処遇改善加算Ⅰ~Ⅴを取得している事業所 | 特定処遇改善加算Ⅰ/Ⅱを取得している事業所 | |
介護福祉士 | 328,720円 | 334,510円 |
介護支援専門員 |
362,290円 | 373,610円 |
介護福祉士実務者研修 | 307,330円 | 314,170円 |
介護職員初任者研修 | 300,510円 | 308,960円 |
保有資格なし | 271,260円 | 278,370円 |
参考:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」
保有資格別に見ると、上位の資格を取るほど平均給与額も高くなっていることが分かります。特に国家資格である介護福祉士とその上位資格である介護支援専門員は給料が高く、無資格者と比べると5万円以上の差があります。
性・年齢別平均給与額
性・年齢別の介護士平均給与額は以下の通りです。
処遇改善加算Ⅰ~Ⅴを取得している事業所 | 特定処遇改善加算Ⅰ/Ⅱを取得している事業所 | |
男性平均 | 335,460円 | 341,290円 |
29歳以下 | 297,240円 | 299,940円 |
30~39歳 | 340,130円 | 345,790円 |
40~49歳 | 355,700円 | 361,170円 |
50~59歳 | 332,670円 | 340,590円 |
60歳以上 | 286,900円 | 299,140円 |
女性平均 | 306,590円 | 312,990円 |
29歳以下 | 287,400円 | 290,580円 |
30~39歳 | 305,860円 | 311,070円 |
40~49歳 | 310,510円 | 318,020円 |
50~59歳 | 315,760円 | 322,860円 |
60歳以上 | 292,710円 | 300,920円 |
参考:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」
男女ともに年齢が上がるにつれ平均給与額も高くなり、男性は40代、女性は50代でピークに達します。60歳以上で低くなっている原因としては、正規職員から嘱託職員やパートなどへ雇用形態を変える人が多いことも関係していると考えられます。
介護士の平均年収は?
上記の結果から、介護職の平均給与額が316,610円であることが分かりました。
平均給与額316,610円×12ヶ月=3,799,320円(+賞与額)
つまり、介護職の平均年収は賞与が支給される場合は400万円前後、支給されない場合では380万円という結果になりました。
介護士の給料が安いと言われているのはなぜ?
介護士は専門性や責任感が求められる一方で、「給料が安い」と言われることも多くあります。実際に、平均年収を見ると他の業種と比べて高いとは言えません。ではなぜ介護士の給料は低くなりがちなのでしょうか?
介護報酬から給料が支払われているから
基本的に介護職員の給料は、国から事業所へ支給される介護報酬から支払われています。この報酬額は介護保険加入者の保険料及び公費から捻出されており、施設側が自由に決めることはできません。また利用者の定員やスタッフの人員配置にもルールがあるため、「利用者を増やして財源を確保」「スタッフを減らして1人1人の給料をアップ」といった対処も難しいです。施設ごとの努力だけではなかなか給料を変えられないことが、給料の低さにつながっていると考えられます。
誰にでも出来る仕事と思われているから
一昔前の日本では、高齢の親の介護は子どもがするのが当たり前という考えが根強くありました。『家で世話が出来る=誰でもできる仕事』という短絡的な考えから、「介護職は誰にでも出来る仕事」とされ、給料が低い傾向のまま今に至ったと考えられます(保育士も同じことが言えます)。
介護士の給料は今後どうなるの?
介護士の給料が「安い」と言われている理由が分かったところで、気になるのは今後上がるのかどうなのかということ。これについては現在も処遇改善加算などが手当として職員に支給されていることに加え、以下のような新たな取り組みも始まっています。賃上げ政策が拡充していることから、今後も徐々に介護職の給料は改善されていくでしょう。
介護職員等ベースアップ等支援加算
一定の取得要件を満たす事業所に対し、福祉・介護職員(常勤換算)1人当たりの収入の3%(月額9,000円程度)アップに相当する額を支給する制度。令和4年2~9月に運用された福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金(介護職員処遇改善支援補助金)を引き継ぐ形で令和4年10月より開始されました。
参考元:厚生労働省「介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算・介護職員等ベースアップ等支援加算の概要」
介護職員等ベースアップ等支援加算についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をチェック!
2022年10月から始まった介護職員等ベースアップ等支援加算とは?
介護士として給料を上げるには
手当や政策に限らず、一個人として介護士が給料を上げる方法を考えてみましょう。
資格を取得する
先の保有資格別の平均給与額でも紹介した通り、介護職員初任者研修や実務研修、介護福祉士などの資格を持つ人は無資格者よりも給料が高い傾向にあります。したがって資格を取ることで給料アップが狙えるでしょう。特に国家資格である介護福祉士やその上位資格である認定介護福祉士、介護支援専門員(ケアマネジャー)などを取得すると、大幅な給料アップも不可能ではありません。
働きながら資格の勉強をするのは大変かもしれませんが、給料だけでなく自身の知識やスキルを向上させるためにもぜひ挑戦しましょう。
経験年数を積む
先程の平均給与額でも紹介した通り、介護士は勤続年数に比例して給料が高くなる傾向にあります。そのため同じ事業所で勤続年数を積むことで着実な給料アップにつながるでしょう。周囲からの信頼を得てリーダーに抜擢されれば、役職手当などによる大幅アップも期待できます。
積極的に夜勤を行う
給料が低いと言われがちな介護士ですが、夜勤なら手当が付くことも多いため日勤よりも効率的に稼ぐことができます。実際に先程のサービス種別の平均給与額を見てみると、夜勤のある施設系事業所(特別養護老人ホームや介護老人保健施設など)は、通所系事業所(デイサービスや通所リハビリテーションなど)よりも平均値が高くなっていることが分かります。そのため可能であれば夜勤を積極的に行うのも1つの方法です。
ただし夜勤が多いと生活リズムが崩れやすいため、体調管理には注意が必要です。日中よりもスタッフの数が少なく精神的な負担も大きいでしょう。ご自身の体力や精神状態を考えて夜勤回数を調節してくださいね。
給与の高い職場に転職する
資格を持っていても、長く勤めても、夜勤に入っていても、給料に納得がいかない!という方は、転職することも視野に入れましょう。介護業界は慢性的な人手不足に陥っているため、転職先の選択肢は比較的多いです。給与水準や資格手当など今より条件の良い職場に転職すれば、同じ仕事でも給料アップが見込めますよ。
介護職の給料をアップする方法についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をチェック!
介護業界で働くと給料はどれくらい?職種別平均給料と給料をアップさせる方法を解説
まとめ
いかがでしたか?今回は介護士の給料事情や給料アップの方法についてご紹介してきました。平均値とご自身を比較して、今後のキャリアを考える機会にしてくださいね。
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