介護におけるモニタリングとは?作成ポイントや項目を理解して活用しよう!

介護の仕事をしていると「モニタリング」という言葉を耳にすることがあると思います。モニタリングとはケアマネジャーが行う業務のひとつで、適切な介護サービスを提供するために欠かせないプロセスです。今回は、介護におけるモニタリングのポイントやモニタリングシートの書き方について紹介していきます。

介護におけるモニタリングとは

介護におけるモニタリングとは、作成されたケアプランに沿って介護サービスを提供できているか、利用者本人やそのご家族の意向・ニーズに合っているかを定期的に確認することです。具体的には、以下のような項目をチェックします。

  • ケアプランに沿ったサービスが提供されているか
  • 利用者や家族のニーズを満たしているか
  • 必要なサービスや要望に変化はないか
  • 目標は達成できているか
介護の現場では、ケアマネジャーが作成したケアプランに基づいて介護サービスが提供されます。しかし、利用者の心身状態や生活は日々変化するため、事前に立てたケアプランがすべて想定通りに進むとは限りません。新たな問題点やプランとのズレがないかを随時確認し微調整することで良い介護サービスにつながります。

モニタリングを行う頻度は月1回程度が望ましいとされていますが、老人ホームなどの介護施設の場合は、日々職員が利用者と接しているため3カ月に1回程度が一般的です。

モニタリングで意識すること

モニタリングを行う目的は、介護サービスの実施状況やニーズの変化を把握しケアプランのズレを微調整することです。それを達成するためには、次の3つのことを意識する必要があります。

  • サービス開始後の変化を見逃さない
  • ニーズの変化を確認する
  • モニタリングの継続で信頼関係を築く
モニタリングでは、提供しているサービスが適切かどうかを常にチェックしなければなりません。そのため、本人の健康状態や介護環境の変化、前回の訪問時から大きく変わった点などを確認し、サービス開始後の変化を見逃さないようにすることが大切です。

また、利用者や家族のニーズは刻々と変化していくため初期のケアプランが現在のニーズに合っているとは限りません。現在のニーズとケアプランにズレがあれば適切なサービスは提供できないので、ニーズの変化を確認し対応していくことも必要です。

さらに、モニタリングにはお互いの信頼関係を築くという意味合いも含まれます。ケアマネジャーが利用者の健康状態や生活状況、家族の疲労度などに気を配り、サービス担当者からの声に耳を傾け支援につなげることで、利用者や家族、サービス担当者からの信頼が深まります。

モニタリングで注意すべきポイント

先程説明したように、適切な介護サービスを提供するためにはモニタリングによりケアプランを微調整することが不可欠です。その際は、より正確かつ効果的な確認ができるよう以下の点に注意しましょう。

利用者とそのご家族の視点を中心に置く

モニタリングで最も重要なのは、利用者や家族がサービスに対してどれくらい満足しているのかという点です。そのため、利用者や家族の視点を中心に置き主体的に参加できるように配慮しましょう。利用者や家族は不安を抱いていることが多いので、ただケアプランを評価するのではなく心の声に耳を傾けることも必要です。

サービス担当者からの情報を活用する

サービス担当者はケアマネジャーよりも長い時間利用者と接しているため、役立つ情報を得られることも多いです。日頃からコミュニケーションをしっかり取り素早くケアプランに反映させると、サービスの質向上とともに担当者との信頼関係も築けるでしょう。

サービス提供の現場に出向く

モニタリングの際には、利用者や家族、サービス担当者から聞いた情報だけでなく自分の目で見て確認することも大切です。そのため、ケアマネジャーが直接現場に出向いて利用者の表情や過ごし方など些細な変化を見逃さないようにしましょう。中にはサービス担当者との関係に悩む利用者もいるので、その負担を軽減するという意味でも利用者や家族とつながっておくと安心です。

確認する内容を事前に伝えておく

モニタリングの際には、事前に入念な準備を行っておくと当日の確認がスムーズになり利用者の負担も軽減できます。そのため、利用者や家族、サービス担当者にあらかじめ確認したいことを伝えておきましょう。なお、利用者からの苦情があった場合などは状況に合わせて抜き打ちチェックをすることも必要です。

モニタリングシートの書き方

モニタリングをする際は、ヒアリングした内容や確認したことをモニタリングシートにまとめていきます。ここではモニタリングシートの書き方について見ていきましょう。

モニタリングシートとは

モニタリングシートとは、モニタリングの際に確認事項をまとめるシートです。決まった様式はありませんが、誰が見ても分かるように、共有できるように、そして今後の課題や目標に反映できるように作成することが求められます。一般的には、企業で決められた様式や自治体や団体で公開されている様式を使うことが多いです。

モニタリングシートに記入すべき項目

モニタリングシートに決まった様式はありませんが、必要項目を網羅し誰が見ても明確にわかるようにしなければなりません。モニタリングシートに記入すべき項目としては、以下のようなものが挙げられます。

  • モニタリング実施日(シート作成日)
  • モニタリング実施者氏名
  • 利用者氏名
  • 利用者の状態(身体、気持ち)
  • サービスの実施状況
  • 利用者本人、ご家族の満足度
  • 利用者本人、ご家族の要望
  • 短期目標
  • 短期目標に対する評価
  • 所見及び今後の課題
これらの項目について、客観的に評価しやすい形式で記入します。「良くなった/変化なし/悪くなった」など、必要に応じて選択式にするのも良いでしょう。

モニタリングシートとは

上記で説明した内容を踏まえて、モニタリングシートの記入例を紹介します。この通りでなければならないということはありませんので、あくまでも一例として参考にしてください。

モニタリングシート

項目名 記入例 備考
モニタリング実施日 令和〇年〇月〇日
モニタリング実施者氏名 e介護 太郎
利用者氏名 介護 良子 様
利用者の状態 筋力低下により日常生活に支障が出ている
サービスの実施状況 週2回のデイサービスにて個別機能訓練および入浴
利用者自身による利用者の変化
  1. 良くなった
  2. 変化なし
  3. 悪くなった
  4. 分からない
介護者による利用者の変化
  1. 良くなった
  2. 変化なし
  3. 悪くなった
  4. 分からない
利用者とご家族の満足度
  1. 満足
  2. どちらとも言えない
  3. 不満
週3回に増やすことも検討している
利用者とご家族の要望 ご家族よりデイサービスの回数を増やしてほしいとの要望あり
短期目標 転倒せずに歩行することが出来る
短期目標に対する評価
  1. 達成
  2. 未達成あり
  3. 未達成
段差につまずくことがある
所見及び今後の課題 デイサービスに少し慣れ、行くことを楽しみにしている様子。様子を見ながら頻度を増やすことも検討する。  

まとめ

適切な介護サービスを提供するためには、作成したケアプランが利用者や家族のニーズに合っていることが重要です。そのため、ケアマネジャーは定期的なモニタリングによりニーズや変化を汲み取り、ケアプランに反映することが求められます。また、モニタリングは利用者や家族、サービス担当者との信頼関係を築く上でも重要な役割を果たします。より良い介護サービスを提供できるよう、ここで紹介した内容を参考に丁寧なモニタリングを行いましょう。

参考:独立行政法人福祉医療機構 WAM NET『モニタリング』