就労継続支援A型事業所とは、一般企業等で就労することが難しい方を対象に、事業者と利用者が雇用契約を結んで就労環境を提供するサービスです。
- 就労継続支援A型事業所を利用できるのはどんな人?
- 就労継続支援A型事業所ではどんな仕事をするの?
- 就労継続支援A型事業所で働くと給料はいくらもらえるの?
- 就労継続支援A型事業所と他の就労支援サービスの違いは?
- 就労継続支援A型事業所を利用するにはどうしたらいいの?
- 就労継続支援A型事業所はどのように選べばいいの?
今回は、就労継続支援A型事業所の対象者、仕事内容、給料、その他の就労支援サービスとの違い、利用までの流れ、事業所の選び方について詳しく解説します。
就労継続支援A型事業所で支援を行うことを検討している方はこちらの記事をご覧ください。
就労継続支援A型事業所で支援を行いたい方向け!~人員基準や支援内容、やりがいについて詳しく解説~
記事でわかること
就労継続支援A型事業所とは?
就労継続支援A型事業所とは、一般企業等で就労することが困難な方に対して、雇用契約を結んだ上で就労機会を提供する障害者総合支援法に基づくサービスです。利用者は労働の対価として「工賃」を受け取ることができます。
就労継続支援A型事業所の利用者は年々増加しており、厚生労働省の「就労支援施策の対象となる障害者数/地域の流れ」によると、令和2年3月時点で就労継続支援A型事業所を利用する方は約7.2万人いることが分かります。
就労継続支援A型事業所の対象者は?
就労継続支援A型事業所は、以下のような方が利用することができます。
- 就労移行支援事業所を利用していたが、一般企業等の雇用に結びつかなかった方
- 特別支援学校を卒業して就職活動をしたが、一般企業等の雇用に結びつかなかった方
- 一般企業等での就労経験がある方で、現に雇用関係がない方
障害者総合支援法に基づくサービスではあるものの、障害者だけでなく一般企業等で就業が難しい方が利用することが可能です。つまり、障害者手帳がなくても医師や自治体が利用を許可した場合は就労継続支援A型事業所で働くことができます。
就労継続支援A型事業所の利用料は?
就労継続支援A型事業所を利用する場合に、利用料を支払う必要がある方とそうでない方がいるのをご存知でしょうか。
就労継続支援A型事業所は前述の通り、障害者総合支援法に基づくサービスであるため、所得に応じて利用者の自己負担額に上限が定められています。以下の表で確認していきましょう。
※1 3人世帯で障害基礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯が対象
※2 収入が概ね600万円以下の世帯が対象で、20歳以下の入所施設利用者、グループホーム利用者は市町村民税課税世帯の場合区分が「一般2」となる。
出典:厚生労働省 障害サービスの利用について「障害者の利用負担」
就労継続支援A型事業所における仕事内容は?
就労継続支援A型事業所での仕事内容は事業所によって異なります。具体的な例として以下の仕事をご紹介します。
- 衣類のクリーニング
- 製品の梱包・発送作業
- 部品の加工
- 手工芸
- パンやクッキーの生産
- WordやExcelを使った入力事務
比較的軽作業ではありますが、様々な就労継続支援A型事業所を見学・体験し、ご自身に合った仕事をしている事業所を見つけましょう。
就労継続支援A型事業所で働いてもらえる給料は?
就労継続支援A型事業所では、事業者と利用者が雇用契約を結び、労働の対価として工賃(賃金)が支払われます。工賃のシステムは事業所によって違い、「1日いくら」と定額で支払われることもあれば、「1作業いくら」と出来高制になっているケースもあります。
厚生労働省の「令和3年度平均工賃(賃金)について」によると、就労継続支援A型事業所における平均工賃は以下の通りでした。
令和2年度の結果と比較すると、月額は2,020円、時間額は27円アップしていることが分かります。一般企業に勤める場合とは異なり低い額ではありますが、年々金額の見直しが進んでいます。
就労継続支援A型事業所とその他就労支援サービスの違いとは?
就労継続支援A型事業所が含まれる障害者総合支援法における就労サービスは、この他に就労移行支援事業所や就労継続支援B型事業所があります。
それぞれの特徴と就労継続支援A型事業所との違いについて詳しく見ていきましょう。
就労移行支援事業所
就労移行支援事業所とは、一般企業等で就労することができるだろうと見込まれる方が利用する障害者総合支援法に基づくサービスです。
就労継続支援A型事業所との違いは、利用者が一般企業等での就労を目指していることと、事業所の利用期間が定められていることです。
今回ご紹介する就労継続支援A型事業所や就労継続支援B型事業所は利用期間が定められていないため、本人が望めば長期間継続して利用可能ですが、就労移行支援事業所の利用期間は最長でも3年間と定められています。
就労移行支援事業所の利用について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェック!
就労移行支援とは?利用できる人や支援内容、利用料について解説
就労継続支援B型事業所
就労継続支援B型事業所とは、一般企業で働くことが難しい方に対して働く場所を提供するサービスで、就労継続支援A型事業所に同じく、利用者は働いた仕事量に対して工賃を受け取ることが可能です。
就労継続支援A型事業所との一番の違いは、事業者が利用者と雇用契約を結ばないことにあります。心身の状態により毎日決まった時間に働くことが難しいという場合でも働くことが出来るため、就労継続支援A型事業所と比較すると工賃(賃金)が低い傾向にあります。
就労継続支援B型事業所の平均工賃は、就労継続支援A型事業所(先の表)と比較して、月額で65,138円、時間額で693円低いことが分かります。
出典:厚生労働省「令和3年度工賃(賃金)の実績について」
就労継続支援B型事業所の利用について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェック!
就労継続支援B型事業所の利用を検討する方向け!~対象者や作業内容、もらえる給料について詳しく解説~
就労継続支援A型事業所で働くまでの流れ
就労継続支援A型事業所でお仕事を始めようと考えている方は、まずは市町村の担当窓口で利用の申請を行いましょう。具体的な流れについて見ていきます。
就労継続支援A型事業所の利用が適当とされた場合には、次のステップに進みましょう。
既に利用を希望する事業所が決まっている場合は、この時点で担当者に伝えておきましょう。まだ決まっていない、どのような事業所があるのか知りたいという方は、ここで相談します。
相談支援専門員が、利用を希望する方の心身の状況や生活環境などを踏まえて就労継続支援A型事業所だけでなく、障害者総合支援サービス全体の利用計画を立ててくれます。
利用申請が許可された場合には市町村から受給者証が発行されるので、大切に保管するようにしましょう。
契約が完了したら、就労継続支援A型事業所でのお仕事がスタートします。
就労継続支援A型事業所の選び方
複数の就労継続支援A型事業所から自分に合った事業所をどのように選んだら良いのかと考える方は、以下のようなことを調べてみてくださいね。
事業所まで通うことができるか
ご自宅から利用する就労継続支援A型事業所の距離を考えましょう。公共交通機関の利用が必要な場合は、ラッシュ時にご自身が問題なく乗車することができるか、乗り換え回数や乗車時間に問題がないかなど、マップや案内を見て判断するだけでなく、実際に通う時間に足を運んでみるなど、事前シミュレーションをしてみましょう。
作業内容は自分に合っているか
就労継続支援A型事業所は、事業所によって作業内容(仕事内容)が異なります。その内容が自分の興味のあることかということももちろん大切ですが、作業環境が自分にとって問題ないかどうか、スタッフの方の様子など、事前見学や体験などをしてご自身に合っているかどうかを確認することをオススメします。
受け取る工賃(賃金)の相場
就労継続支援A型の平均工賃(賃金)は、一般企業と比較すると低いことは既にご説明した通りです。そのため、ご自身が働くことで受け取ることができる工賃(賃金)の相場は予め確認して老いた方が良いでしょう。
多くの事業所では、想定される作業内容や作業時間から工賃(賃金)相場を提示してくれるはずです。
まとめ
今回は、就労継続支援A型事業所の対象者、仕事内容、給料、その他の就労支援サービスとの違い、利用までの流れ、事業所の選び方について詳しく解説しました。
障害のある方はもちろん、一般企業での就労に自信を持つことができない方でも、就労継続支援A型事業所の利用を通して働くことができるかもしれません。興味を持った方は、自治体に相談してみてくださいね。
また、今回紹介した就労継続支援A型事業所の求人は、e介護転職で見つけることが可能です。利用者の支援を行いたいと思った方はぜひ検索してみてくださいね。
参考
- 厚生労働省「就労支援施策の対象となる障害者数/地域の流れ」
- 厚生労働省 障害福祉サービスの利用について「障害者の利用負担」
- 厚生労働省「令和3年度平均工賃(賃金)について」
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