介護業界で夜勤のない正社員の仕事を探していると、デイサービスの仕事が多く目に入ります。
また、介護施設や事業所の利用を検討している場合でも、在宅介護と介護保険サービスの併用という形でデイサービスの利用を考えたことがある方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、デイサービスの特徴や役割、人員基準、利用する場合の流れについて詳しく解説します。
記事でわかること
デイサービス(通所介護)とは?
デイサービス(通所介護)とは、自宅で生活する高齢者がサービスを提供する事業所に通い、日中における日常生活の支援や生活機能向上のための機能訓練などを受けるサービスです。
「通い」とはいうものの、事業所の職員が車を運転して利用者のご自宅から事業所まで送迎することが一般的です。
利用者の孤立感の解消や心身機能の維持のほか、在宅で介護を行う利用者のご家族の負担を軽減することも目的となっています。
介護業界で仕事を探している方にとっては、サービス提供時間が日中に限定されているため、夜勤がないことも魅力の一つではないでしょうか。
通所サービスといっても、以下のように複数のサービスに分かれており、それぞれ特徴が異なります。
- デイサービス(通所介護)
- 地域密着型デイサービス(地域密着型通所介護)
- 認知症対応型デイサービス(認知症対応型通所介護)
特徴や違いについて詳しく見ていきましょう。
デイサービス(通所介護)
デイサービス(通所介護)とは、利用者の定員が19名以上の事業所です。要介護1~5の高齢者が対象で、日常生活における身体的な介助のほか、レクリエーション活動や機能訓練を提供しています。
事業所によっては口腔ケアを行ったり、利用者一人ひとりに個別の機能訓練を提供していることもあります。
地域密着型デイサービス(地域密着型通所介護)
地域密着型デイサービス(地域密着型通所介護)とは、利用者の定員が18名以下の小規模な事業所です。
対象者とサービスの提供内容はデイサービスと変わりありませんが、定員数が少ない分、利用者一人ひとりに対して個別性の高い支援を行うことができるのが特徴です。
認知症対応型デイサービス(認知症対応型通所介護)
認知症対応型デイサービス(認知症対応型通所介護)とは、利用者の定員が12名以下の小規模な事業所です。
対象者は認知症を患う要支援1~要介護5の高齢者で、デイサービスや地域密着型デイサービスとは異なり、要支援1及び2の方も受け入れています。
デイケア(通所リハビリテーション)とデイサービス(通所介護)の違い
デイサービスの他に、デイケア(通所リハビリテーション)と呼ばれる通所サービスも存在します。
デイサービスが要介護1以上の高齢者を対象に支援を行うのに対し、デイケアは要支援1または2の高齢者のみを対象に支援を行っています。
「介護予防」が目的のサービスであるため、生活機能向上を目的としたリハビリテーションだけでなく、運動機能の向上、栄養改善、口腔機能の向上に向けたリハビリテーションや機能訓練を行っています。
デイケア(通所リハビリテーション)について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェック!
デイケア(通所リハビリテーション)とは?役割や人員基準、働くメリットなどを詳しく解説!
デイサービス(通所介護)の役割
デイサービスは事業所によってリハビリに特化していたり、利用者個人の余暇活動(絵を書いたり歌を詠んだりなど)を大切にしていたりと特徴が異なります。
しかしながら、基本的な役割としては以下の4つが挙げられどの事業所でも提供しているサービスと言うことができます。
- 身体介助
- 機能訓練(リハビリ)
- レクリエーション活動
- 送迎
これらの内容について、実際にどのようなことを行っているのか、それぞれ詳しく見ていきましょう。
身体介助
身体介助とは、日常生活を営むのに欠かせない食事・入浴・排泄を支援することを指します。利用者の介護度や状況に合わせて、どこまでの支援を行うのかを見極めながら、あくまでも自立に向けた支援を提供します。
食事であれば、自分で食べることは出来るものの誤嚥がないように見守る必要がある方もいれば、実際に食べ物を口まで運ぶ必要がある方もいます。
何でも介護者がやってしまうのではなく、利用者ができることをはなるべく自分でやってもらい、必要があればサポートするという姿勢が大切です。
機能訓練(リハビリ)
機能訓練とは、生活機能を向上させるために必要なリハビリテーションのことを指します。
例えば、長時間歩くことが困難になってきた方に対し、筋力の低下を防ぐための軽い運動を行うことで、悪化の予防や痛みや疲労の軽減を促し現状より長く、楽に歩けるように支援することなどが挙げられるでしょう。
この他、口腔機能を向上させるためのサービスを提供している事業所もあります。
レクリエーション活動
レクリエーション活動とは、事業所によってその内容は異なるものの、利用者が事業所での時間を楽しく過ごすための活動のことを指します。
レクリエーション活動はリハビリを兼ねていることが一般的で、座ったままできる玉入れ(運動)、折り紙を用いた切り絵(手先の運動)、伝言ゲーム(コミュニケーション)、なぞなぞ大会(脳トレ)などが挙げられます。
一人ひとりが個別に集中して行うものから、利用者全体で協力して行うもの、季節に合わせた装飾を施して行う行事など、事業所は利用者がデイサービスに通うことが楽しくなる工夫を凝らしています。
送迎
利用者がご自宅から事業所まで通うために必要なのが、送迎です。事業所によっては、「送迎ドライバー」を雇っていることもあれば、介護職員などが送迎業務も行っている場合もあります。
どちらの場合でも、ご自宅での利用者の様子をご家族からヒアリングしたり、反対に事業所での様子をご家族にお伝えしたりと、本来の業務である「送迎」に留まらない「コミュニケーション」を図ることが重要です。
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デイサービス(通所介護)の人員基準
次に、デイサービスの人員基準(事業所運営に必要な職種や資格及び人数)についてご紹介します。
生活相談員
デイサービスには、常勤換算方式で専従の生活相談員が1名必要です。
社会福祉士、精神保健福祉士、社会福祉主事任用の資格保有者が生活相談員として認められることが一般的ですが、自治体によっては介護福祉士や介護支援専門員でも認められる場合があります。
なお、生活相談員と介護職の職員の内、1名以上は常勤である必要があります。
生活相談員について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェック!
生活相談員の仕事内容とは? 資格の取り方、取得メリットを分かりやすく解説
看護職員(看護師)
デイサービスには専従の看護師または准看護師が1名以上必要です。
ただし、訪問看護ステーション等と連携している場合は、サービス提供時間帯と通して専従していなくても良いとされています。
ただし、定員10名以下の地域密着型デイサービスの場合は、看護職員または介護職員のいずれかを常勤換算方式で1名配置すれば良いとされています。
また、認知症対応型デイサービスの場合は必ずしも看護職員を配置しなければならないわけではありませんが、介護職員と合わせて単位ごとに専従で1名以上及びサービス提供時間に応じて常勤換算方式で1名以上配置する必要があります。
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介護職員(介護士)
デイサービスには、専従で介護職員が常勤換算方式で次の数以上必要です。
- 利用者の数が15名までの場合は1名以上
- 利用者の数が15名以上の場合、利用者の数が15名から1名増すごとに0.2名以上を追加
- 単位ごとに常時1名以上
- 1または2に加え3を満たす事業所の場合は、同一事業所の他の単位における介護職員として従事することが可能
ただし、定員10名以下の地域密着型デイサービスの場合は、看護職員または介護職員のいずれかを常勤換算方式で1名配置すれば良いとされています。
なお、生活相談員と介護職の職員の内、1名以上は常勤である必要があります。
また、認知症対応型デイサービスの場合は、看護職員と合わせて単位ごとに専従で1名以上及びサービス提供時間に応じて常勤換算方式で1名以上配置する必要があります。
介護職員(介護士)について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェック!
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機能訓練指導員
デイサービスには、機能訓練指導員が1名以上必要です。
機能訓練指導員とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、准看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師のいずれかの資格保有者とされています。
以下の加算を算定している事業所の場合は、配置条件が追加となります。
個別機能訓練加算(Ⅰ) | 常勤・専従の機能訓練指導員をサービス提供時間帯を通じて1名以上配置 |
個別機能訓練加算(Ⅱ) | 専従の機能訓練指導員を1名以上配置 |
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管理者
デイサービスには、管理者が必要ですが基本的には必要な資格や経験はありません。同一事業所内の他の職種との兼務が認められているため、生活相談員や看護職員などが管理者を兼務している例が多いです。
ただし、認知症対応型デイサービスの管理者は、「認知症対応型サービス事業管理者研修」を修了している方を常勤・専従で配置する必要があります。
認知症対応型サービス事業管理者研修とは
認知症対応型サービス事業管理者研修とは、認知症の方を利用者とする事業所の管理者として、「認知症の人が有する能力に応じて自立した日常生活を営む」ことへの支援及び事業所の適切な運営についての実践的な知識と技術を身につけ、支援を行うための研修です。
認知症対応型デイサービスを含む認知症対応型サービスの管理者や管理者候補であることに加え、認知症介護実践者研修を修了していることが研修の受講要件となっています。
デイサービス(通所介護)で働くメリット
デイサービスの特徴や役割を知って、デイサービスで働くことに興味を持った方もいるのではないでしょうか。そこで、更に背中を押す要素としてデイサービスで働くメリットをご紹介します。
夜勤がない
介護業界でのお仕事となると、夜勤があることが当たり前というイメージをお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。
デイサービスは日中の支援を行う事業所のため、基本的に夜勤はありません。その分、夜勤手当や深夜割増賃金をもらうことは出来ませんが、生活リズムを崩さずに働きたいという方にはオススメのサービスと言えるでしょう。
明るい雰囲気
デイサービスの利用者の要介護度は要介護1~5で、中には認知症を患っている方もいますが、入所施設と比較すると、寝たきりの方はおらずコミュニケーションがスムーズに取れる方が多いサービスであるため、会話が飛び交い明るい雰囲気である場合がほとんどです。
また、レクリエーションは職員も一緒に行うことが多く、利用者と職員が一緒に楽しめるというメリットもあります。
利用者視点でのデイサービス(通所介護)を利用する流れ
ここまでは、デイサービスで働くことを検討している方の目線でデイサービスの紹介をしてきましたが、ここからは利用者視点で介護保険を利用してデイサービスを利用する場合の流れを確認しておきましょう。
まとめ
今回は、デイサービスの特徴や役割、人員基準、利用する場合の流れについて詳しく解説しました。
デイサービスの特徴や役割、働くメリットなどを読んでお仕事に興味を持った方は、ぜひe介護転職で仕事を探してみてはいかがでしょうか。
参考
- 厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索「通所介護(デイサービス)」
- 厚生労働省「通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護」
- 厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索「通所リハビリテーション(デイケア)」
- 東京都福祉保健局「東京都認知症介護研修の概要」
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