有料老人ホームとは?介護付・住宅型・健康型それぞれの特徴や人員基準、働くメリットについて詳しく解説!

介護施設には、様々なサービス種類があり、それぞれに特徴があります。介護のお仕事を始めようと考えている方にとってはその違いが分かりづらいと思う方も少なくないでしょう。

  • 有料老人ホームとは?
  • 介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、健康型有料老人ホームの違いとは?
  • 有料老人ホームと他の施設系サービスとの違いとは?
  • 有料老人ホームの人員基準とは?
  • 有料老人ホームで働くメリットとは?
  • 有料老人ホームを利用する場合の流れとは?

今回は有料老人ホームの種類による違いや特徴、人員基準、働くメリットなどについて詳しく解説します。

有料老人ホームとは?

有料老人ホームとは、高齢者が入居する施設のことで、以下の3つに分類されています。

  • 介護付き有料老人ホーム
  • 住宅型有料老人ホーム
  • 健康型有料老人ホーム

種類によって特徴が異なりますので、それぞれ詳しく見ていきましょう。

介護付き有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)

介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームの内、特定施設入居者生活介護の指定を受けたもので、要介護度1以上の高齢者を入居させ、食事・入浴・排泄の介護を行うだけでなく、食事の提供・洗濯・掃除などの家事と健康管理を行います。

施設の運営は株式会社などの営利法人が行っていることが多く、介護業務については施設に従事する介護職員が行う場合(一般型)もあれば、外部の訪問介護事業所を利用して提供する場合(外部サービス利用型)もあります。

特定施設入居者生活介護とは
特定施設入居者生活介護とは、介護保険法第8条第11項に基づいて特定の施設に入居している要介護者を対象として行われる日常生活上の世話や機能訓練、療養上の世話のことで、介護保険の対象です。

軽費老人ホーム(ケアハウス)との違い

特定施設入居者生活介護の中に、「軽費老人ホーム(ケアハウス)」というサービスも存在します。

軽費老人ホームとは、自宅での生活に不安を感じる60歳以上の高齢者がサポートを受けながら生活するための施設のことで、入居者は無料または安価な料金で利用することができます。入居条件によりA型・B型・ケアハウスの3種類に分類されています。

軽費老人ホームの種類 入居対象者
A型 自宅での生活に不安があり、家族からの支援を受けることが難しい方
B型 A型の状態に加え、自炊することが可能な方
ケアハウス 身体機能の低下により自宅での生活に不安があり、家族からの支援を受けることが難しい方

参考:独立行政法人福祉医療機構 WAMNET「軽費老人ホーム」

3種類の内、「ケアハウス」が特定施設入居者生活介護に該当します。介護付き有料老人ホームとの違いは、入居者の施設利用料にあります。

養護老人ホームとの違い

特定施設入居者生活介護の中に、「養護老人ホーム」というサービスも存在します。

養護老人ホームとは、環境上や経済的理由により自宅で支援を受けることが難しい65歳以上の高齢者を入居させる施設のことです。養護老人ホームはその多くが国や都道府県、市区町村などが運営しており、生活に困窮している方や目の不自由な方など、生活保護受給者が入居していることが多いという特徴があります。

そのため、介護付き有料老人ホームとの違いは、入居者の施設利用料の他、運営母体にあると言うことができます。

参考:独立行政法人福祉医療機構 WAMNET「養護老人ホーム」

住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームとは、有料老人ホームの内、特定施設入居者生活介護の指定を受けていないもので、食事の提供・洗濯・掃除などの家事と健康管理を行います。

入居者が介護が必要な状態となった場合には、外部の訪問介護事業所を利用して食事・入浴・排泄などの介護サービスを受けることが可能です。

健康型有料老人ホーム

健康型有料老人ホームとは、有料老人ホームの内、健康な高齢者が入居する施設で、食事の提供サービスがついています。

入居者が介護が必要な状態となった場合には、介護サービスを受けることは出来ず、退去しなければならないという特徴があります。

有料老人ホームとその他施設系サービスとの違い

有料老人ホームの種類別の違いや、特定施設入居者生活介護について理解したところで、その他の施設系サービスとの違いについてご紹介します。

有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅の違い

高齢者が利用する施設系サービスの内、「サービス付き高齢者向け住宅」という施設があります。

サービス付き高齢者向け住宅とは、安否確認サービスもしくは生活相談サービスを提供する高齢者向けの施設で、施設のほとんどが食事の提供サービスを行っていることから有料老人ホームと混同される方がいますが、サービス付き高齢者向けは賃貸住宅であるという部分に違いがあります。

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有料老人ホームと特別養護老人ホームの違い

介護保険における施設系サービスの内、「特別養護老人ホーム」という施設があります。

特別養護老人ホームとは、介護老人福祉施設とも呼ばれており、要介護3以上の常時介護を必要とする高齢者が入居する施設です。施設の運営は社会福祉法人が行っており、株式会社などの営利法人は運営することができません。

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有料老人ホームとグループホームの違い

介護保険における施設系サービスの内、「グループホーム」という施設があります。

グループホームとは、認知症対応型共同生活介護とも呼ばれており、要支援2以上の認知症の高齢者が入居する施設です。1施設あたりの入居者数が少なく、家庭的な雰囲気であることが特徴です。

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有料老人ホームの人員基準

有料老人ホームに必要な職種とその人数について、種類別に見ていきましょう。

介護付き有料老人ホームの人員基準

介護付き有料老人ホームの人員基準は以下の通りです。

職種 人数
管理者 1名(兼務可能)
生活相談員 要介護者100名に対し1名
看護・介護職員 要支援者10名に対し1名
要介護者3名に対し1名
※看護職員は要介護者が30名までは1名、30名を超える場合は50名ごとに1名で良い
※夜間帯の職員は1名で良い
機能訓練担当職員 1名以上(兼務可)
計画作成担当者 要介護者100名に対し1名以上
※介護支援専門員でなければならない

それぞれの職種について詳しく見ていきましょう。

管理者

管理者とはその名の通り施設全体の管理を行う職種で、以下のような仕事を行います。

業務内容 詳細
人材マネジメント
  • 人材採用(求人管理など)
  • 人材育成(研修の実施など)
  • 定着支援(面談など)
  • 労務管理(シフト作成など) など
施設管理・運営
  • 建物や設備の管理
  • 事業計画や年間目標の設定
  • 施設内の環境保全
  • 入居促進活動
  • 行政や関係機関との連絡調整
  • 収支マネジメント      など

必要な資格として定められているものはありませんが、施設によっては介護福祉業界での就業経験や、介護福祉士以上の資格を有する者と条件を設けている場合があります。

生活相談員

生活相談員とは、介護を必要とする高齢者の生活において相談支援を行ったり、自治体や医療機関、他の介護福祉サービス事業所などと連絡調整などを行う職種です。

生活相談員として働くために必要な資格として、社会福祉士精神保健福祉士社会福祉主事任用が挙げられますが、自治体によってはケアマネジャー(介護支援専門員)介護福祉士でも良いとされている場合があります。

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看護・介護職員

看護・介護職員とは、看護職員及び介護職員のことを総称した呼び方です。

看護師または准看護師の資格を持つ者を看護職員、資格の有無に関わらず入居者の介護業務を行う者を介護職員と言います。

看護職員は、入居者の健康管理としてバイタルチェックや服薬管理などを行うことがメイン業務となりますが、施設によっては介護業務を行うこともあります。

介護職員は、入居者の食事・入浴・排泄などの身体介護及び身の回りの世話などを行います。

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機能訓練指導員

機能訓練指導員とは、以下の資格を持つ者のことを指します。

機能訓練指導員の仕事内容は、入居者が日常生活を営むのに必要な心身機能の維持と減退を防止するためのリハビリテーションを行うことです。

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計画作成担当者

計画作成担当者とは、「施設ケアマネジャー」や「施設ケアマネ」と呼ばれる職種で、具体的な仕事内容は、施設に入所する介護が必要な高齢者やそのご家族にヒアリングやアセスメントを実施し、ケアプラン(介護サービス計画書)を作成することです。

基本的には無資格でも計画作成担当者として働くことはできますが、介護付き有料老人ホームの計画作成担当者はケアマネジャー(介護支援専門員)である必要があります。

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住宅型有料老人ホームの人員基準

住宅型有料老人ホームには法令上の人員基準がありません。しかしながら、厚生労働省の標準指導指針において、入居者の数及び提供サービスの内容に応じて以下の職員の配置が示されています。

介護が必要な入居者のケアに当たるのは、施設の職員ではなく訪問介護事業所の職員であるため、看護・介護職員が配置されない、配置されていても少人数であるケースが一般的です。

健康型有料老人ホームの人員基準

健康型有料老人ホームには、住宅型有料老人ホームと同じく、法令上の人員基準がありません。

また健康型有料老人ホームも入居者の数や提供サービスの内容に応じて職員を配置することとされていますが、基本的に入居者の自立度が高いため、職員の数は住宅型有料老人ホームと比べて少ないことが一般的です。

有料老人ホームで働くメリット

介護福祉業界の中で働く場所を有料老人ホームとした場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

夜勤に入ればその分収入アップが見込める

有料老人ホームは施設入居サービスであるため、介護職員として就業する場合は夜勤業務に入ることもあるでしょう。

デイサービス(通所介護)などの夜勤のないサービスと比較すると、同じ職種でも夜勤手当や深夜割増賃金を受け取ることができるので、収入をアップさせることができるでしょう。

福利厚生や資格取得支援などが充実していることが多い

有料老人ホームは民間企業が多く運営しています。業界大手の有料老人ホームでは、福利厚生が充実していたり、キャリア形成の一環として資格取得支援に力を入れている企業もたくさんあります。

気になる企業や法人があったら、求人情報やホームページを見て調べてみることをオススメします。

介護に関する知識だけでなく接遇についても習得できる

どの介護サービスで働いても、研修や日々の業務の中で介護に関する知識や技術を習得することはできます。

その中でも有料老人ホームは「接遇」や「マナー」を大切にしていることが多いと言えるサービスです。利用される高齢者のことを「入居者様」と呼ぶことが多い中、「お客様」と呼んでいる施設も存在するほどです。

高齢者に対する接遇についても身につけたいという方には有料老人ホームでのお仕事をオススメします。

利用者視点で有料老人ホームを利用する場合の流れ

では最後に、介護保険を利用して有料老人ホームを利用する場合の流れについて確認しておきましょう。

STEP.1
介護保険の利用申請
介護保険で有料老人ホームを利用する場合、高齢者本人またはそのご家族が市町村の窓口で介護保険の利用申請を行います。(本人やそのご家族が申請できない場合は居宅介護支援事業所のケアマネジャーが申請代行をする場合もあります。)
STEP.2
要介護認定
市町村から依頼された居宅介護支援事業所のケアマネジャーが利用希望者に対し訪問調査を実施した後、一次判定、二次判定を経て要介護の認定がでます。要介護1以上の場合は介護付き有料老人ホームを利用することができます。
STEP.3
ケアプランをもとに利用事業所の選定
担当のケアマネジャーが要介護度や生活環境などを踏まえてケアプランを作成します。有料老人ホームの利用を希望する場合は、その旨をしっかりと伝えましょう。希望する施設がすでに決まっている場合も見学申し込みなどができるか確認しておくと良いです。
STEP.4
利用施設と契約
有料老人ホームでの生活を始めるためには、施設との契約が必須です。
STEP.5
利用開始
契約が完了した後は、有料老人ホームでの生活がスタートとなります。

まとめ

今回は有料老人ホームの種類による違いや特徴、人員基準、働くメリットなどについて詳しく解説しました。

介護付き、住宅型、健康型とそれぞれの特徴を理解して、ご自身がどの種類の施設で働きたいのかをじっくり考えてみましょう。

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