訪問看護とは?支援対象者や仕事内容、働くメリットについて詳しく解説!

訪問看護とは?支援対象者や仕事内容、働くメリットについて詳しく解説

在宅での療養を希望する方が利用する訪問看護。人口に対する高齢者率が高まっている昨今においては、病院や施設に入所することが難しいなどの理由で需要も高まってきています。

  • 訪問看護とは?
  • 訪問看護における支援対象者とは?
  • 訪問看護を提供する事業所・施設とは?
  • 訪問看護の仕事内容とは?
  • 訪問看護で働くメリットとは?

今回は、訪問看護の支援対象者、訪問看護を提供する事業所・施設、仕事内容、働くメリットについて詳しく解説します。

訪問看護とは?

訪問看護とは、看護師等が利用者の自宅を訪問し、療養上の世話や必要な診療の補助を行うサービスのことです。

介護保険を利用して訪問看護サービスを受けている人の数は、令和4年4月時点で587,700人となっています。令和2年度の年間累計数(※)が6,330,800人であるのに対し、令和3年度は6,907,700人と1年で576,900人も利用者数が増加していることが分かり、需要の高まりは今後も続いていくものと見て取れます。

(※)「年間累計数」は、各年度とも5月から翌年4月の各審査月の介護サービス受給者数の合計のことで、参考資料中は「年間累計受給者数」とされています。

参考:厚生労働省 令和3年度介護給付費等実態統計の概要「統計表2 介護サービス受給者数、サービス種類、月別」
参考:厚生労働省 令和3年度介護給付費等実態統計の概要「結果の概要(表2-2 サービス種類別にみた受給者数(介護サービス))」

訪問介護との違い

訪問看護が病気やケガで療養が必要な方の自宅を訪問するサービスであるのに対し、訪問介護は介護が必要な高齢者の自宅を訪問するサービスであり、対象者の置かれている状況が異なります。

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訪問看護の対象者

訪問看護における支援対象者は、病気やケガにより自宅にて継続的な療養を受ける必要がある方です。その方の年齢や患う病気、その状態に応じて適用となる保険が介護保険と医療保険のいずれかに分類されます。

医療保険が対象となる方、介護保険が対象となる方の違いについて詳しく見ていきましょう。

介護保険

介護保険が適用となる訪問看護の利用者は、要支援・要介護の認定を受けている方です。ただし、末期の悪性腫瘍、難病患者、急性増悪などによる主治医の指示があった場合などに限り、医療保険の適用となります。

医療保険

医療保険が適用となる訪問看護の利用者は、小児等40歳未満の方もしくは要支援・要介護の認定を受けていない方です。

介護保険は医療保険よりも優先されるため、要支援・要介護の認定を受けた場合は介護保険の適用に切り替わります。

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訪問看護を提供する事業所・施設

訪問看護を提供する事業所や施設は複数存在します。1つずつ見ていきましょう。

訪問看護ステーション

訪問看護ステーションとは、利用者の主治医の所属機関を問わず、訪問看護指示書の交付を受けて訪問看護サービスを提供する事業所です。

保健師または看護師、准看護師が看護職員として常勤換算で2.5人以上在籍(内1名は常勤)しており、ステーションの状況に応じて理学療法士や作業療法士、言語聴覚士のリハビリ専門職も在籍しています。

訪問看護指示書とは
訪問看護指示書とは、利用者の主治医が診療に基づいて訪問看護の必要性を認め、訪問看護ステーションに対して交付する指示書のことです。

利用者が急性増悪などにより一時的に頻回(週4日以上)の訪問看護が必要と判断した場合に交付されるものは、「特別訪問看護指示書」と呼ばれます。

参考:厚生労働省「訪問看護」

保険医療機関(指定訪問看護事業所)

病院やクリニック、診療所等の保健医療機関が介護保険の指定訪問看護事業所として認められ、訪問看護サービスを提供していることがあります。

院内で働く看護職員と訪問看護を行う看護職員が分かれている機関もあれば、同一の看護職員が通常業務と訪問看護を兼任している機関も存在します。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護(指定訪問看護事業所)

定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは、定期巡回訪問または随時通報を受けて要介護の利用者のもとに介護福祉士などが訪問し、身体介護や生活援助を行うとともに、看護職員による療養上の世話や診療の補助を行う事業所のことです。

比較的要介護度が高い高齢者の在宅生活を24時間支える仕組みとして、訪問介護と訪問看護の両者を提供するサービスという位置付けにあります。

看護小規模多機能型居宅介護(指定訪問看護事業所)

看護小規模多機能型居宅介護とは、「通い」、「泊まり」、「訪問介護」、「訪問看護」を組み合わせたサービスのことです。

利用者の主治医と連携し、退院後の在宅生活への移行や、看取り期の支援、家族支援などを24時間365日提供できる体制を整えています。

民間の訪問看護サービス(保険外サービス)

医療保険や介護保険外のサービスとして、民間企業が訪問介護を提供していることもあります。

保険外サービスであるがゆえに、これまで紹介した介護保険の適用事業所と比較して利用者の自己負担金(利用料金)は高額ですが、その分保険適用サービスでは行うことが難しい利用者やそのご家族のニーズに合わせたメニューを提供することが出来るのが特徴です。

訪問看護の仕事内容とは

訪問看護サービスでは、利用者の主治医の指示に基づいて以下のような内容を提供します。

  • 健康・症状管理
  • 療養上の世話
  • 診療の補助
  • リハビリテーション
  • 家族支援
  • 看取りケア

これらが看護職員またはリハビリ専門職員の仕事内容でもありますので、1つずつ詳しく見ていきましょう。

健康・症状管理

健康・症状管理として、利用者の血圧・脈拍・体温などの測定や病状のチェックを行います。

目で見て分かる状態だけでなく、利用者の気持ちの変化など、メンタル面についても気になることがあれば記録に残すようにします。

療養上の世話

療養上の世話として、食事・入浴・排泄などの身体介護を提供します。利用者の中には入浴が難しい方も多いため、その場合は洗髪や洗面、清拭、足浴、手浴など、状況に応じたケアを実施します。

必要であれば塩分や水分を摂りすぎたりしていないかという栄養管理や、飲酒や喫煙など嗜好品摂取によるリスクの説明なども行います。

診療の補助

診療の補助として、以下のような行為を提供します。

  • 服薬管理・点眼など
  • 浣腸・摘便
  • 褥瘡の予防・処置
  • カテーテルの管理・交換
  • 創傷部の処置
  • 在宅酸素療法の指導・援助
  • 経管栄養の実施・管理
  • 人工肛門・人工膀胱の管理
  • 点滴の実施・管理
  • 喀痰などの吸引
  • 薬剤を用いた疼痛管理
  • 注射の実施         など

上記はあくまでも一例で、利用者の病状や症状に合わせた主治医の指示に基づいた医療行為やケアを実施します。

参考:令和4年度厚生労働省委託事業 在宅医療関連講師人材養成事業研修会資料「各論④在宅ケアにおける訪問看護の役割~医師との連携~」

リハビリテーション

利用者の主治医が作成した訪問看護指示書に基づいて、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士のいずれかのリハビリ専門職員が、リハビリテーションを提供します。

訪問看護指示書には、訪問する職種やリハビリを提供する回数と時間が記載されています。

家族支援

家族支援として、利用者が在宅で生活するための療養上の指導を家族に対して行う他、在宅療養についての相談に応じるだけでなく、家族の心身の健康状態を管理することも訪問看護の一環です。

自宅の環境を利用者に合わせて整備しなければならなかったり、利用者の生活に気を張る状況が続くなど、口に出さないまでも家族の精神的な負担は計り知れません。限られた訪問時間の中で、ご家族の様子にも気を掛けるようにしましょう。

看取りケア

訪問看護の利用者の中には、病院や施設ではなく住み慣れた自宅で最期を迎えたいという方や、治療を継続して延命するのではなく、痛みを緩和するだけで良いという選択をされる方も多くいらっしゃいます。

訪問看護は、そのような利用者の最期を看取るためのケアを実施する機会も少なくないお仕事と言うことができるでしょう。

訪問看護で働くメリット

訪問看護で働くメリットとしては、利用者一人ひとりにじっくり向き合うことができるということにあります。

病院や施設では、複数の患者や利用者を一度にケアしなければならない状況が多く、「本当はこうしてあげたい」という理想の看護を提供できないことも多々あります。

訪問看護では、利用者のご自宅に訪問し必要なケアを提供するため、一人ひとりの看護ができる時間は限られていても、しっかりと向き合うことができるのです。

まとめ

今回は、訪問看護の支援対象者、訪問看護を提供するサービス、仕事内容、働くメリットについて詳しく解説しました。

高齢化社会に伴う在宅医療へのシフトが進む中で、訪問看護の需要はしばらく高まり続けます。看護師資格を活かした復職を検討されている方や、病棟からの転職などを考えている方は、e介護転職で訪問看護のお仕事を探してみてはいかがでしょうか。

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