障害福祉の仕事の中でも、「障害者の働きたい」をサポートする就労支援は、社会で重要な役割を担っています。就労支援の一つ、障害者が一般就労を目指す就労移行支援事業をご存知でしょうか。
- 就労移行支援とは?
- 就労移行支援の利用対象者とは?
- 就労移行支援の仕事内容とは?
- 就労移行支援の人員基準とは?
今回は、就労移行支援事業所の特徴や利用対象者、仕事内容、人員基準について詳しく解説します。
就労移行支援の利用を検討されている方はこちらの記事をご覧ください。
就労移行支援とは?利用できる人や支援内容、利用料について解説
記事でわかること
就労移行支援とは
就労移行支援とは、一般企業などへの就労を目指す障害者の支援を行う障害者総合支援法に基づくサービスです。
具体的には、利用者が就労するために必要な知識や技術を身につけるための訓練を実施し、一人ひとりの適性に合わせた就労先の提案などを行います。
厚生労働省の資料「一般就労への移行者数・移行率の推移(事業種別)」によると、令和元年度に就労移行支援から一般就労へ移行した人の数は13,288人で平成20年度の1,111人から比較するとその数は12倍にも伸びていることが分かります。
また、利用者が就労移行支援の利用を終了する理由として「一般就労への移行」を上げた人の割合は54.7%と、半数以上の利用者が利用目的を達成していることも分かります。
厚生労働省「一般就労への移行者数・移行率の推移(事業種別)」
就労継続支援A型との違い
就労継続支援A型とは、一般企業等で働くことが難しい障害者などに対して就労の機会を提供し、働く上で必要な知識と能力の習得および訓練を行う障害者総合支援法に基づくサービスです。
就労移行支援は、利用者が事業所において一般企業などで働くための準備を行うのに対し、就労継続支援では実際に利用者がその事業所で仕事(作業)をするのが特徴です。
就労継続支援A型の利用者は事業者と雇用契約を結ぶため、これから紹介する就労継続支援B型事業所と比較すると工賃(賃金)が高いという違いがあります。
就労継続支援A型について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェック!
就労継続支援A型事業所で支援を行いたい方向け!~人員基準や支援内容、やりがいについて詳しく解説~
就労継続支援B型との違い
就労継続支援B型とは、一般企業等で働くことが難しい障害者などに対して就労の機会を提供し、必要な支援を行う障害者総合支援法に基づくサービスです。
就労継続支援A型と同様、利用者は事業所で実際に仕事(作業)を行います。なお、就労継続支援B型の利用者は事業者と雇用契約を結びません。そのため、前述した就労継続支援A型と比較すると、工賃(賃金)が低いという違いがあります。
就労継続支援B型について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェック!
就労継続支援B型事業所で支援を行いたい方向け!~人員基準や支援内容、役立つ資格、やりがいについて詳しく解説~
就労移行支援の利用対象者
就労移行支援の利用対象者は、65歳未満の一般企業等への就労が見込まれる障害者です。
ここで言う障害者とは、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)、指定難病を抱える方のことを指します。
本人が一般企業等への就労を希望していても、困難であると考えられる場合は、就労継続支援A型事業所や就労継続支援B型事業所の利用が適当であると判断されることもあります。
就労移行支援の仕事内容
就労移行支援において利用者に提供するサービスは主に以下の3つに分類されます。
- 就労に向けた訓練
- 就職先の提案
- 就職活動を支援
それぞれ詳しく見ていきましょう。
就労に向けた訓練
一般企業等に就職するためには、仕事をする上で必要な知識や技術を身につける必要があり、就労移行支援では職員がこれらの訓練を利用者一人ひとりの個別支援計画に基づいて提供します。
例えば、Excelで簡単な表を作成したり、Wordで文書を作成したり、場合によっては業務で使用する用語について理解するなど、利用者の障害特性を踏まえて得意なことと苦手なことを明確にし、訓練を実施します。
就職先の提案
利用者がどんな会社で働きたいか、どんな仕事が向いているのかということから総合的に判断して、就職先を見つけることも職員の仕事の一つです。
利用者が働くイメージを持つことが難しい場合や適性が分からないといった場合には、インターンシップを勧めることも良いでしょう。インターンシップを経て新たな目標が出来たり、向かうべき場所の軌道修正が出来るかもしれません。
就職活動を支援
利用者が希望する仕事に就く事ができるように、訓練の他に面接対策などの就職活動の支援を行うことも仕事内容となります。
履歴書や職務経歴書の書き方をレクチャーし、模擬面接を通して面接時の基本的なマナーや、想定される質問を投げて受け答えをする練習などを行います。
就労移行支援の人員基準
就労移行支援には、以下の職種を配置する必要があります。
- サービス管理責任者
- 職業指導員
- 生活支援員
- 就労支援員
それぞれの職種について詳しく見ていきましょう。
サービス管理責任者
サービス管理責任者とは、就労移行支援の利用者の個別支援計画を作成し、モニタリングを行う職種です。
個別支援計画とは、利用者の状況や希望をアセスメントした上で目標を設定し、実際にどのような支援を提供していくのかという計画を立てたもののことです。
様々な支援を提供していく中で、目標の見直しなどが必要となるケースは少なくありません。適宜モニタリングを行い、必要な場合は個別支援計画を改めることも仕事の一つです。
サービス管理責任者について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェック!
【2023年6月最新】サービス管理責任者(サビ管)とは? 資格の取り方・仕事内容・給料について分かりやすく解説
職業指導員
職業指導員とは、利用者に対して働く上で必要な技術の指導や職業訓練を行う職種です。
最近ではパソコンの操作ができることが最低限求められるスキルになりつつあります。そのため、職業指導員を募集する求人でも、ExcelやWordが使える方が募集要件として挙げられていることも多いです。
生活支援員
生活支援員とは、利用者の日常生活における相談支援をしたり生活指導を行う職種です。
具体的には就労移行支援を利用する中での不安を取り除いたり、就労後を見越した健康管理や規則正しい生活を送るための支援です。
就労支援員
就労支援員とは、利用者の求職活動中の支援や就職先の開拓などを行う職種です。
具体的には、利用者の就労先を探すためにハローワークなどの関係機関や、応募先の企業との連絡調整が挙げられます。また利用者が企業に就労後は、問題なく働けているか、今後も同じ職場で仕事を続けていけるかなど、継続的な支援を行います。
就労移行支援で働くのに向いている人の特徴
就労移行支援は、一般就労を目指している方のサポートを行う事業所であることはここまでの説明通りです。
一人では自分に合った就職先を見つけること、実際に就職することが難しい方に対して、その方の気持ちに寄り添ってサポートを行うことが大切です。利用者の中には、こだわりが強く職員のアドバイスを受け入れられない方や、柔軟な考え方をすることが難しい方もいます。
そのため、利用者の立場になって物事を考えて行動することができる方や、利用者に対して寛容に根気強く支援することができる方が活躍できる職場であると言えるでしょう。
まとめ
今回は、就労移行支援事業所の特徴や利用対象者、仕事内容、人員基準について詳しく解説しました。
多様な働き方やダイバーシティが推進される中で、一般企業における障害者雇用は少しずつではあるものの増えてきています。障害があっても働きたいという方のサポートを行う就労移行支援でのお仕事に興味を持った方は、ぜひe介護転職でお仕事を探してみてはいかがでしょうか。
参考
- 厚生労働省「就労移行支援の概要」
- 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課「障害者の就労支援について」
- 厚生労働省 職業情報提供サイト jobtag障害者福祉施設指導専門員(生活支援員、就労支援員等)
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