介護福祉業界でキャリアップを目指す方法

介護福祉業界は、適切なステップを踏めばキャリアアップすることができる業界です。

介護・福祉の仕事を今後も続けたい、そして、介護について知識や技術をより深めたいという方は、そのスキルを社会的に証明するものとして、資格取得がおすすめです。

この記事では、介護職がキャリアアップするために取るべき資格を3つ紹介します。

介護福祉士を目指す

介護職員として、長く、幅広く仕事をしていきたい、介護分野のエキスパートになりたいと考える方におすすめの資格は、国家資格である介護福祉士です。

介護福祉士は介護系唯一の国家資格で、介護分野における最上位資格です。
自身の提供する介護の質を保証することはもちろんのこと、同じフロアで働く介護職員を指導する立場にもなります。

介護福祉士の給料

介護福祉士は、介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修といった他の介護系資格を持つ人よりも給料が高い傾向にあります。

厚生労働省による「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によれば、無資格者や他の介護系資格を持つ人と比べると、毎月約2~6万円の差があります(参考1)。

介護福祉士給与
参考:厚生労働省『令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果 P23』

この調査結果から、介護系の資格を取得することで、施設から待遇面での評価を得られやすいということが分かり、上位資格である介護福祉士を取得すれば、更に評価を得られるようになることも分かります。
また、役職(フロアリーダーやサービス提供責任者等)に就いて仕事をする立場になる可能性も高まるため、今後の給料UPや昇進が期待できるでしょう。

介護福祉士国家試験を受験するには

介護福祉士国家資格を受験するには、受験資格を満たす必要があります。
受験資格を得る方法は複数ありますが、以下のいずれかのルートが代表例として挙げられます(参考2)。

  1. 介護の実務経験が3年以上あり、かつ、介護福祉士実務者研修を修了
  2. 介護福祉士養成施設(専門学校や短期大学)で2年以上の課程を卒業

受験資格を得て国家試験の受験申し込みを行い、毎年1月下旬に行われる国家試験を受験します。
合格率は約70%と比較的難易度は低めで、社会人の方でも取得しやすい資格だといえるでしょう。

介護支援専門員を目指す

介護支援専門員は、介護を必要とする利用者とそのご家族の相談に応じ、ニーズに基づいてケアプラン(介護サービス利用計画)の作成を代行します。
ケアプランの作成や見直しなどの業務をこなし、適切なケアが提供されているかチェックする役割です。

介護支援専門員になるには

介護支援専門員の資格を取得するには、介護をはじめ医療・保健分野の国家資格を持ったうえで、5年以上の実務経験が必要になります。

介護職の場合、介護福祉士資格の登録日以降の実務経験が5年以上かつ900日以上を満たせば、介護支援専門員の研修を受講できます。研修を修了して試験に合格すれば、介護支援専門員の資格を取得することができます。

第24回(令和3年度)の合格率は23.3%(参考3)で、比較的難易度の高い資格といえますが、十分な対策を行って試験に挑みましょう。

介護支援専門員の給料

介護支援専門員と介護福祉士の平均給与額は次のとおりです(参考4)。

介護支援専門員給料
参考:厚生労働省『令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果 P23』

介護支援専門員は介護福祉士よりも給与が高い傾向にあり、夜間勤務(以下、夜勤)がないため、働きやすくなるメリットもあります。

社会福祉士を目指す

介護業界で働くうちに高齢者福祉分野だけでなく、障害者福祉・児童福祉の分野でも活躍してみたいと思う方もいるのではないでしょうか。

そういった方にオススメしたい国家資格が、社会福祉士です。相談業務のエキスパートという立ち位置で、高齢者や障害を持つ人、貧困などの理由で日常生活を送るのが困難な人の相談に応じ、どのような社会資源が利用できるかを考えアドバイスを行います。

そのため、介護分野以外でも経験を積みたい人にとって、社会福祉士は魅力的な資格だといえるでしょう。

社会福祉士になるには

社会福祉士試験を受験するためには、「受験資格」を得る必要があります。以下、代表的な受験資格獲得のルートを紹介します(参考5)。

  • 福祉系大学等ルート
  • 短期養成施設ルート
  • 一般養成施設ルート

いずれのルートにおいても、6ヶ月〜4年かけて社会福祉士の科目を履修することが必要です。
合格率は31.1%(第34回、令和3年度)で比較的難易度の高い試験ですが、決して手の届かない資格ではありません。

高齢者福祉分野以外でのキャリアアップを考えている人は、計画的に勉強をスタートしてみてはいかがでしょうか。

社会福祉士の給料

社会福祉士の平均給与額は次のとおりです(参考6)。

平均給与比較
参考:厚生労働省『令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果 P23』

社会福祉士は障害を含む様々な悩みごとを持つ人の充実した社会生活を実現する人材です。介護現場とは違ったやりがいを見つけることができるでしょう。

勉強会やセミナーに積極的に参加する

各社会福祉協議会や介護労働安定センターなど、様々な機関が介護職員を対象とした勉強会・セミナーを開催しています。研修によっては無料で受講できるものがあるので、興味がある人は受講してみてはいかがでしょうか。

社会福祉協議会が主催する研修

  • 福祉職員キャリアパス対応生涯研修
  • 認知症介護研修
  • 介護職員スキルアップ研修
  • 直接介助におけるリスクマネジメント研修 等(参考7)

介護労働安定センターが主催する研修

  • 介護職のためのストレスコントロール
  • 言葉のいらないコミュニケーション
  • 介護福祉士筆記試験対策講座
  • 介護職のための感染症対策 等(参考8)

興味がある方は、ご自身で調べて各機関へ問い合わせてみてくださいね。

まとめ

このように、介護業界のスキルアップにはさまざまなアプローチ方法があります。

介護の仕事を深めるためには、自分の目指す方向に沿った資格を取っていくことが重要です。着実にスキルアップしていくことで、よりケアの質を高め自分が目標とする介護を実現することができるでしょう。

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参考

  1. 「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」 厚生労働省
  2. 介護福祉士国家試験 受験資格(資格取得ルート) 社会福祉振興・試験センター
  3. 第24回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について 厚生労働省
  4. 第24回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について 厚生労働省
  5. 第24回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について 厚生労働省
  6. 「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」 厚生労働省
  7. 社会福祉士国家試験 受験資格(資格取得ルート図)社会福祉振興・試験センター
  8. 同 厚生労働省
  9. 研修事業(東京都福祉人材センター事業) 東京都社会福祉協議会
  10. 講習会/イベント情報 公益財団法人 介護労働安定センター