介護のニュースについて紐解いていくべく記事の執筆を担当させていただくことになりましたブログの運営と主任介護支援専門員の二足の草鞋で活動をしており、居宅ケアマネとして奮闘中の
【公式】ケアマネ介護福祉士と申します。
連載7回目はコチラの記事について考えていきましょう⇩⇩
厚生労働省は来年度から、全ての介護事業者に対して経営情報の毎年の報告などを義務付ける。そのルールの概要を7日の審議会(社会保障審議会・介護保険部会)で明らかにした。【Joint編集部】
経営情報の都道府県への報告と「介護サービス情報公表制度」を通じた公表の2つを求めていく。
都道府県への報告は、毎会計年度の終了後3ヵ月以内にオンラインなどで行う決まりとする。ただ、初回に限り来年度中の報告で差し支えないとした。
原則、全ての介護事業者を報告義務の対象とする。ただ、規模の小さな事業者の対応の難しさなどを勘案し、次のいずれかに該当する場合は除外するとした。
◯ 過去1年間の介護サービスの提供で受けた対価が100万円以下◯ 自然災害など報告できない正当な理由がある
◆ 財務諸表の公表も義務にこの経営情報の報告・公表の義務化は、介護職の更なる賃上げや介護報酬改定など各施策の精度を高めることが目的。介護事業者の経営を“見える化”し、実態をより正確に把握・分析できるようにする狙いがある。
厚労省は寄せられた情報からデータベースを構築し、匿名化したうえで全体の傾向などを明らかにしていく方針。今年5月に成立した改正介護保険法などに、こうした新たな制度の導入を盛り込んでいた経緯がある。
厚労省が提示した省令の改正案によると、都道府県への報告では施設・事業所の基本情報や収益、費用、職員の職種別の人員数などの記載が必要となる。職種別の給与水準は任意事項とされた。
一方、「介護サービス情報公表制度」を通じた経営情報の公表は、損益計算書やキャッシュフロー計算書、バランスシートといった財務諸表が対象となる。原則として施設・事業所ごとの公表が義務付けられる。
ただ、拠点や法人ごとの一体会計で区分けが難しい事業者などは、拠点単位、法人単位の公表も可能にするという。また、職員1人あたりの賃金水準の公表は差し当たり任意とされた。
今後、厚労省は細部を詰める検討を更に進めていく考え。改正省令や関連通知などを年度内に示す計画だ。
(引用:joint介護ニュース)
記事でわかること
財務諸表ってそもそも何?
全然聞いたことないんだけどって話なんですけど、ざっくり言うと会社の家計簿って話ですね。
すでに何年か前から社会福祉法人では義務化されていています。
もしこの記事を見ている方で社会福祉法人にお勤めの方はご自身の務めている法人のホームページをくまなく確認しましょう。
絶対に公開する必要があり、どんな人でも見れるようにしなくちゃいけないので必ず自社のホームページに記載されています。
どのくらい会社が稼いでいて、どのくらいの支払いがあるかがわかります。
もちろんですけど、どのくらい貯金があるかも書いてある超精確な家計簿になります。
家計簿を公表しろってだけでしょ?
会社なんだし、事務がいるんだから家計簿くらいそりゃあつけてるでしょ?
そんなに大きな事なの?
そう思う人も多いでしょう。
ぶっちゃけめちゃめちゃ大変です。
一般家庭の家計簿って、収入は給料だけの人が多いでしょう。
大きな福祉事業所であれば、収入だけでも
- 介護保険事業
- 介護保険外事業
- 保育事業
- 障害福祉事業
このくらいに細分化されます。
さらにめんどくさいのが地域のイベントとかで屋台を出したりすれば事業収益だし、
預金の利息もなんと収益…。
介護保険分はデータを見ればすぐですけど、ご家族に請求する本人負担分の料金なんかはボタン一つで一発表示確認できるもんじゃない…。
さらに言えば全員が払ってくれてればいいですけど、払ってもらってないものとかも
未収金として載せないといけない…。
収入だけでももう大きな法人ではパニック状態でしょうね…。
特に地域のイベントで出た収入なんかは現金のみで個人からいただくものだから領収書とかも切ってないし…。
金額は大したことないのに不明瞭すぎる…。
無かったことにしたいくらいでしょう。
支出もまるわかり
支出に至ってはさらに難関…。
家賃やローン、リース費用、保険料みたいに固定でかかるものなんかほとんどない…。
人件費も月ごとに大きく動くでしょうし、それに伴って、社会保険の支払額も大きく変わってくる…。
光熱費もおんなじなわけない…。
食費、常に使う施設の雑費費用…。
複数の事業を行っている施設ならどの事業にどのくらい雑費がかかったかなんて正直なところもうわからなくなっているでしょう。
事業ごと、支店ごとに計算しろ?
そんな社会福祉法人には義務化されていた財務諸表を介護サービス売上100万円以上は法人格関係なく出してくださいってことみたいですね。
正直なところ売り上げ100万円以下ってところは初年度以外ほぼいないでしょうから来年からは全部の事業所が義務ってことですね。
さらに追加された話として、まだボーダーははっきりと決まっていませんが、例外的なものを除いて各事業ごと、支店ごとで計算を出せってことみたいです。
まあ合計して出すにしても個別にして出すにしてもチェックは必要ですけど、実際問題として事業所ごとに出すほうがめんどくさいでしょうね…。
施設で買ったボールペン100本を居宅とデイと特養に配ったとか当たり前でしょうし、水道光熱費をどう案分するのかみたいな話になりますからね。
完全にめんどくさい事柄が増えただけですね。
事務職以外は関係ないでしょ?
事務職以外は関係ない話でしょ?
働いている現場の職員さんにも大きな影響を与える可能性がある事柄をいくつか紹介していきましょう。
転職に拍車がかかる可能性…
財務諸表をある程度見れる職員に限りですが、法人にどのくらいの収入があって、どのくらいの支出があるってところで、あれ?
今働いている会社の収支的に経営傾くんじゃない?
取りあえず今年のボーナスは出そうにないな…。
給料出てるうちに転職したほうがいいかも?
そう考える人は少ないかもしれませんけど、転職の材料になるかもしれません。
逆に、この会社評判いいから転職しようかなって考えてるときに財務諸表をみて、しっかり利益をあげられている会社か?
人件費と働いている職員数を勘案してそれなりに給料良さそうか?
その辺を調べることが容易になるので、経営状況をみて転職する人が出てくる可能性もありますね。
会社がM&Aで買い取られる可能性…
別に転職する気がない。
このままこの会社でって思っていても、それがかなわない可能性があります。
理由としては、会社ごと買われる(M&A)可能性がありますね。
ここ最近のビッグニュースでも、日本生命が介護業界最大手のニチイを買収…。
小さな会社が次々に大きな会社に買われ、職場内の環境が大きく変わるかもしれませんからね…。
そんな手間ばかり増えて、会社の存続自体が危ぶまれる財務諸表。
なぜ国は公開しろというのか?
公開させて国は何を狙っているのかを考えていきましょう。
そもそもなんで財務諸表を公開しろって国は言うの?
そもそもなんで国が財務諸表の公開を義務化しているか?
それは結構簡単です。
福祉事業者の家計を丸裸にして、どこか補助金や公金を削る所はないかと調べるためにやっているんでしょう。
介護保険給付費は年々増加しています。
国の家計的にも介護費用をどんどん増やしているので、いい加減どうにかしなくちゃと乗り出した。
家の家計で例えれば、専業主婦に任せていた食費がどんどん高くなってきたので、働い
ている方が中身をチェックして、無駄な出費や外食はないか?
もしかしてへそくりため込んでホストやキャバクラに貢いでないか?
そんなことも視野に入れてチェックするって感じです。
じゃあそのチェックを受けて、どんなことが起きるかを今度は考えていきましょう。
処遇改善加算がなくなる可能性…
多くの施設が取得している処遇改善加算ですが、財務諸表がオープンになることによって、「結構給料配ってるじゃんor給料出してないじゃん」
だから処遇改善交付金出さなくていいじゃん?
ってなる可能性もあります。
むしろなんらかの理由をつけて減らされるorなくなるっていうのは十分に考えられますね。
もともと恒久的な加算ではなくボーナス的な扱いの処遇改善交付金なので来年からは出しませんとかも全然あり。
本丸は内部留保…
ただ、この財務諸表を公表したときに国が狙っている本丸は内部留保(会社の貯金)なのでしょう。
もちろん大義名分は介護保険の適正化なので、儲かってる分野の介護報酬を下げて、儲かってない分野の介護報酬に回す的なことなんでしょう…。
もちろん報酬の適正化は必要なことではあるんでしょうけれども…。
実際問題、内部諸表が公開された場合、
会社が溜め込んでいるから介護職員の給料が上がらないんだ!
国民が払った介護保険料を会社が溜め込むなんてけしからん!
みたいな話にするんだと思います。
会社が内部留保する要因として、
①介護保険の利用料金で運営しているから値上げができない
②建て替えや新規事業、事業拡大の費用等をためとく必要がある
③災害時を含めた収入源の備え
があると思います。
もちろん私腹を肥やす的な企業もあると国は思っているからここをつつくっていうのに誰も反対をしないのでしょう…。
①利用料の値上げができないから内部留保?
実際問題なんですけど、今まさに起こっている国の話し合いで国からもらえる介護保険報酬が大きく変わります。
例えばであれば今までの前例で行くと小規模多機能型居宅介護は創設時、とんでもないバブリーな加算状況でした。
でも、今は運営ぎりぎりの報酬。
バブリーな頃の報酬に合わせて職員の給料を設定してたりしたらもう今頃大赤字。
かといって、利用料金を値上げは出来ない。
もちろん職員の給料を下げることもできない。
収入が国の一声で大きく動く上に値上げできないんだから即日会社がつぶれないようにある程度の蓄え設定するのは当たり前でしょう。
②建て替えや新規事業、事業拡大の費用をためてるでしょ?
【公式】ケアマネ介護福祉士のイメージなんですけど、なんでか介護施設って水回りを中心に一般家庭よりも簡単に老朽化しますね。
10年もすればあちこちガタが来る…。
補修費用をある程度ためとかないとあっという間に施設の運営ができなくなっちゃいますよ?
そりゃあためとくでしょ…。
むしろお風呂壊れちゃったけど、お金ないから直せませんとか施設的にヤバすぎますよね?
③自然災害のために貯めとく?
ぶっちゃけた話、今まで以上に内部留保が必要だと経営陣が思ったでしょう。
3年前から続いている新型コロナウイルス感染症…。
利用者が減り、職員が減り、衛生用品の使用量は増えたのに、価格は爆上り…。
それでもマスクやディスポーザブル手袋を買わないといけない…。
利用者さんが減って収入が減っているのに、ランニングコストは爆上り。
職員さんが辞めないようにコロナ対策お疲れ的な臨時ボーナスを出したり…。
国からの補助はそんな状態を脱却するような補助金はなかった…。
飲食店はあれだけ助けられたのに…。
おかげで資金難や事業の見通しが暗くなって事業を閉鎖するところが結構ありましたね。
コロナ貸付金を借りて延命したはいいけど、収入が戻らず倒産するところが返済が始ま
った今年から次々出てきています…。
こんな未曾有の災害に耐えられるようにある程度の内部留保は仕方ないと思うんですけどね…。
内部留保が悪になればどうなる…
そんな国が狙っている内部留保…。
財務諸表を公開することにより、内部留保する企業が悪だと言われた場合、働く人たちはどんな影響を受けるでしょう…。
施設の修繕をするから今年はボーナスなしです
貯金できないので、施設の大幅な修繕をするときは銀行から借り入れるか、どこかの費用を削って捻出するしかないでしょう?
実際にはタイミングが絶妙じゃない限りそんなことにはならず、借入するとか設備投資する予定だったものを辞めて修繕するとかになるでしょう。
ただしボーナスを出さない理由としては格好の理由になりますね。
こんな理由をつけて削ってくるところがある可能性は否めません。
新規事業を行うときは全て借り入れ?
新規事業を行うときに今までのような内部留保が出来ないとなれば、もちろん新規事業を行うのは借り入れになりますね。
小さな会社や起業から時間がたっていない会社さんは借り入れ審査が通らずに新規事業を行うことが今までより難しくなる。
これは介護業界の進化を妨げるだけでなく、新しい雇用を生み出すのにも悪影響かもしれません。
介護職員の給料は下がる?
今までよりも内部留保が出来ないのであれば溜め込んでいた分、介護職員の給料が上がると国は想定しているかもしれません。
そしてその分の処遇改善交付金を減らせると…。
実際問題、処遇改善と同水準の給料にしたら災害時に会社がつぶれちゃうかもしれないし、事業拡大もできない。
施設のどこかが壊れても直せない…。
そんなのじゃ話にならないんだからどうしようもない。
じゃあボーナスなしにして、余ったら年度末に出そう…。
そんな会社が増えてもおかしくありませんね。
そうなれば、お金が余ったから職員の給料じゃなく設備投資しよう。
NPO法人よりも商売がやりづらくなるし、極端に内部留保を制限すれば介護事業自体から撤退する中小企業、大手企業さんが出てもおかしくはありません。
ということは先ほどのM&Aの増加にも影響してくるのかもしれませんね。
悪は根絶できるのか?
国が描いている悪徳企業があるのかどうかはさておきとして、内部諸表の公開により内部留保の制限をしたとしても、悪徳企業は自分たちの給料をアホほど上げるだけ…。
そうなれば内部諸表上、めちゃめちゃ職員に給料を払っている優良企業に見えるでしょうからだまされた介護職員が転職して泣きを見る…。
あまり、幸せな結果が待っているとは思えないんですけど、どうでしょうね?
働いている人にはまるで関係ないと思っている。
事務職しか影響を受けないと思っている財務諸表を公開というニュースもこうやって一つ一つ見ていくと、まったく関係のないことではないと捉えられるのではないでしょうか?
この記事を書いた【公式】ケアマネ介護福祉士
大規模法人にて、グループホーム、老人保健施設、通所リハビリテーションにて介護職員として従事。
経験を活かしながら介護支援専門員(ケアマネジャー)を取得し8年ほど従事。
その後自身の転居をきっかけに、相談員、介護職員を兼務しながら施設ケアマネとして5年間勤務。中間管理職を経て居宅ケアマネへ転身。
現在は主任介護支援専門員として日々子育てと仕事に全力で奮闘中。同時にブログも運営中。
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