介護のニュースについて紐解いていくべく記事の執筆を担当させていただくことになりましたブログの運営と主任介護支援専門員の二足の草鞋で活動をしており、居宅ケアマネとして奮闘中の
【公式】ケアマネ介護福祉士と申します。
連載8回目はコチラの記事について考えていきましょう⇩⇩
政府は昨年末、介護報酬を来年度から1.59%引き上げる方針を決定した。この数字をどうみるか、国への働きかけなどを行ってきた全国老人福祉施設協議会の大山知子会長に聞いた。【Joint編集部】
大山会長は、「厳しい結果になった。業界が希望したパーセンテージではない」と語った。
全国の組織が団結して活動したからこそ一定の成果を得られたと振り返りつつ、深刻な人手不足や物価高騰などで追い詰められている介護現場を案じた。
「単にプラス改定になったから良かった、とはやはり言えない」。
今後については、「まず今回の報酬改定の効果・影響をしっかり見極めないといけない」と指摘。特養などの経営動向を把握する実態調査を速やかに行う意向を示し、「介護現場の窮状が変わらないことがはっきりすれば、迅速に追加策を講じるべきだ。
来年度の報酬改定は新たな戦いのスタートライン。我々はエビデンスを基により積極的に訴えていく」と前を向いた。
◆「もちろん評価はしているが…」
まずは各都道府県、指定都市の老施協・デイ協の皆様、全ての関係者の皆様に感謝を伝えたいです。
皆が同じ目的を持ち、団結して積極的に要請活動を展開したからこそ、プラス1.59%という一定の成果を得ることができました。
今の介護現場の厳しさを、政府や国会議員の皆様にご理解いただけたことも大きいと思います。永田町や霞ヶ関の皆様には、我々の声を踏まえたご尽力を実際にして頂きました。
もちろんその点はしっかり評価していますし、大変ありがたいことだと思っています。
ただ、介護現場にとっては厳しい結果になったと言わざるを得ません。業界が希望してきたパーセンテージには至りませんでした。
単にプラス改定になったから良かった、とはやはり言えません。これで一気に事態が好転していくはず、とはなかなか言えないと捉えています。
我々はまず、今回の報酬改定の効果・影響をしっかりと見極めないといけません。
非常に厳しい経営状況が少しずつ改善へ向かうのか、貴重な人材の他産業への流出を食い止められるのか、あるいは更に悪化していってしまうのか − 。
特養などの経営動向を把握する実態調査を速やかに行います。そのエビデンスを基に、介護現場を支えるための活動を積極的に展開していきます。
◆「物価・賃金スライド」など要請へ
今の窮状が変わらないことがはっきりすれば、政府は迅速に追加策を講じるべきでしょう。報酬改定は基本的に3年に1度ですが、3年間待つ余裕は介護現場にはありません。当然、必要であれば来年度からでも相応の手を打つべきです。
社会経済情勢は大きく変わりました。物価の上昇が続いており、他産業では来年度も大幅な賃上げを目指す動きが表面化しています。介護現場だけが取り残されてはいけません。
来年度の報酬改定は新たな戦いのスタートラインです。我々は経営動向の実態調査を毎年行い、必要な施策を迅速に講じるよう政府に継続して働きかけます。
例えば、物価や賃金の上昇率に応じて報酬を見直す「物価・賃金スライド」の導入などを、エビデンスを基に訴えていきます。
介護現場の厳しさを常に意識して頂けるよう、引き続き今回のように全国の組織が団結して要請活動を展開していくことが重要です。
介護現場を守ることは、高齢者の命や尊厳を守ること、現役世代の働く環境を守ることに他なりません。広く国民の理解を得ていくことも1つのカギになるでしょう。
(引用:joint介護ニュース)
介護報酬引き上げは報酬の1.59%増
ざっくりお伝えすると、介護保険の報酬は介護保険料から払われるんですけど、定期的にその支払われる額が変わるっていう話。
その金額の話し合いを今まさに行っていて、ようやく全容が決まりつつあるっていう話ですね。
介護業界全体で、1.59%の報酬アップ。
もちろん、これからの話し合いで、デイサービスは1%アップだけ。
代わりにホームヘルパーは3%アップですみたいな細かい調整はもちろん入ります。
もしかしたら報酬が減る介護サービスも出てくる可能性もあります。
一時期は報酬の減額も十分にありうる雰囲気だったので、1.59%っていうのは各団体が報酬を上げてくれって声を上げ続けたり世の中全体が介護って必要だよねっていう雰囲気になってくれた結果ではありますね
更に0.45%上乗せ
更に去年までは処遇改善加算が処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ等支援加算の超絶めんどくさいやつを4月からは1本化し、0.45%を上乗せとなります。
介護職員は給料アップの可能性が高い?
ちなみに1.59%のうち、1%近く(0.98%)は介護職員のために使うためのお金に使う予算ってことになってますので、会社の収益が多ければ介護職員は単純に年収が上がりそうな気配。
残りの0.6%もケアマネや看護職員の給与に反映するための報酬増?
どんな制約をつけるのかどうかはわかりませんが、厚労省の書類を見ると、残りの増加分も看護職員やケアマネの処遇を改善するために増やしているってことなので、場合によってはケアマネや看護職員の給料も上がるかもしれませんね。
場合によっては会社の収益的に現状維持かも?
いろんな専門家さんがプラス改定でも喜べないっていう話をしているのはこの辺からでしょう。
実質、会社のプラス分はないかもしれない。
あっても、実質0.61%しかないし、その分もケアマネや看護職員の給与に反映させる分も含んでって話…。
単純に介護業界が潤う話にはなりそうにない改定…。
別に会社が儲からなくても、従業員が給料もらえればそれでいいじゃん?
そう思える人達は一定数いらっしゃるでしょうけど、それはちょっと社会人経験が足りなかったり、会社の仕組み自体がわからないかもしれません。
ちょっとだけわかりやすく具体的にお伝えしましょう。
会社が儲かる分がないってことは…?
今回の報酬改定によって会社の利益がないってことは、新しい備品や設備の導入が難しくなりますね。
ICT関連の補助金はあるにしても、新しい施設を建てるため、老朽化した機械浴を直すため、雨漏り
を修繕するため、車の修理をするため。
施設ではボールペン一つも備品で用意できなくなったりするかもしれない。
ヘルパーは電動自転車のバッテリーが買い替えられず、ただの重い自転車で駆け回ることになるかもしれませんね。
それでも事業を継続できればいいですけど…。
大流行した感染症はもう二度と来ないと思っている?
安心できない理由の一番大きな部分は、前回の新型コロナウイルス感染症による大きな経営への打撃だったのではないでしょうか。
新型コロナウイルス感染症によって、箱物施設は新規利用者さんの受け付けを中止。
亡くなる人ももちろんいて、どんどん利用者さんは減る。
つまり収益が減る…。
マスクや消毒液がとんでもない高騰を見せ、普段使わなかった使い捨てエプロンや手袋や大量の体
温計とその電池なんかのランニングコストが爆増しましたね。
国から緊急的に出た施策は5%以上収入が落ちたら3%報酬を上乗せしますよっていう結局思いっきりマイナスを補填できないものと感染対策の物品を買う補助金くらいでしたね。
貸し付け金は他の業種と一緒で借りれましたが、結局返さなくちゃいけない…。
小さな会社は吹き飛んでしまうもので、今年から貸付金の返済も始まったため、もともとそれほど儲かっていなかった会社や部署、新型コロナウイルス感染症を機に利用者さんが戻ってこなかった所はこれを機に倒産、廃業するところも増えましたね。
この未曾有の災害がもう来ないと思っているか、いつまた来るかもしれないと思っているかによって対応は変わってくるでしょうけど、ある程度の資金的余力がないと倒産や廃業の可能性があるっていうことを介護業界は痛感したところでしょう。
職員に安定した給料を配るためにもある程度の資金をためておく必要が出てきましたね。
新型コロナウイルスみたいなのが発生したら給料出せませんとかそれこそ大変ですからね。
物価の高騰も…
さらに安心できない材料は食材費や水道光熱費の高騰ですね。
介護保険の報酬改定は基本的に3年に1回…。
今回、事業所の利益分がほとんど上がらなかったけど、食材費や水道光熱費はここ3年間で爆上りしましたよね?
食費を引き上げたり、外注の安い業者へ切り替えたり…。
ガス代がかかる入浴をやめたり…。
このままだと、昼間は電気を付けないとか夏のエアコン、冬の暖房をすべて取りやめるなんて可能性も出てきそう…。
だって、会社の収入は増えてないのに支出は大きくなってますから…。
でも人件費は処遇改善加算を取っていると削れないシステムになってる…。
じゃあどこを削るって考えた時に、上がった単価の分、暖房費や冷房費を削るしかないかもしれません。
しかも、次回の報酬改定は3年後…。
このまま物価の高騰が続けば、介護職員の処遇を守るために報酬改定をしたのにそんな介護職員が働く会社がなくなるかもしれません。
確かに安心できる報酬改定ではない
確かにこう考えると決して安心できる介護報酬改定ではありませんね。
また、介護職員の処遇改善が進み、給料が高い職員は高いけど、新人未経験が給料安いっていう状況はさらに加速し、介護職員内でも格差が広がる。
それに加え、ケアマネや介護職員の給料はほぼ変わらずむしろ介護職員の給料が上がる分なんとなく不遇を感じる人が多い。
介護職員は慢性的な人手不足だし、多業種の給料が上がっているので職員集めのために払う人件費は広告費等がさらに上がる。
ケアマネや看護職員は業態によっては絶対いないといけないのに、安月給でやめてしまう。
おかげで結構高いお金を払って派遣社員を雇うなんてこともあるあるな話。
人件費の高騰分も賄えない可能性もあり、これから3年間を水道光熱費や人件費が上がる中でどうやって事業を継続させるのか?
会社を大きくしていくのか経営陣は不安で仕方ないでしょうね…。
本当に潰れる企業が出てくる可能性のあるこの物価高…。
どうやって乗り切るのでしょうか…。
経営手腕次第では廃業の可能性もあるが…
本当にここ10年前くらいから介護業界は大きく変わり、補助金まみれの社会福祉法人が行政天下り職員を上役に据え、さらなる補助金をもらいながらどんぶり経営みたいなものが通用しなくなりましたね。
社会福祉法人でも簡単に潰れたり事業継続ができなくなったりしています。
これからさらに物価高騰が続けば、どんぶり勘定の施設は生き残れない。
介護職員や看護職員上がりの人が施設を新たに作って理想の介護を目指すっていうことも結構ありましたが、今はしっかりとお金の計算ができる人。
交渉技術がある人。
人脈が多方面にあり、なんだかんだ柔軟ないいお金の回し方を知れる人。
つまり経営者らしい人が居る所じゃないとなかなか事業継続ができなくなってきていますね。
理想の介護を追い求め、経営者としての能力が低く見える人の所は結構潰れていくイメージが多いです。
すごく悲しいことではありますが…。
大きな会社といえど、自分の会社が昔ながらのどんぶり勘定タイプなのか?
一般企業と変わらず、お金の使い方を細かく考え、お金を借りてくる能力が高いタイプなのか?
もし前者なら転職を考えるのも一つかもしれませんね。
この記事を書いた【公式】ケアマネ介護福祉士
大規模法人にて、グループホーム、老人保健施設、通所リハビリテーションにて介護職員として従事。
経験を活かしながら介護支援専門員(ケアマネジャー)を取得し8年ほど従事。
その後自身の転居をきっかけに、相談員、介護職員を兼務しながら施設ケアマネとして5年間勤務。中間管理職を経て居宅ケアマネへ転身。
現在は主任介護支援専門員として日々子育てと仕事に全力で奮闘中。同時にブログも運営中。
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