訪問介護の報酬引き下げ納得できず介護福祉士会会長も苦言を呈すが3年後生き残れる事業所はごくわずか?

介護のニュースについて紐解いていくべく記事の執筆を担当させていただくことになりましたブログの運営と主任介護支援専門員の二足の草鞋で活動をしており、居宅ケアマネとして奮闘中の

【公式】ケアマネ介護福祉士と申します。

連載10回目はコチラの記事について考えていきましょう⇩⇩

来年度の介護報酬改定で訪問介護の基本報酬が引き下げられることについて、日本介護福祉士会の及川ゆりこ会長に今の考えを尋ねた。【Joint編集部】
「ホームヘルパーらの日々の活躍に報いる適正な評価、とはどうしても言えない。訪問介護の担い手の誇りを傷つける無慈悲な判断と受け止めている」。及川会長の表情、口調には当惑や悲嘆が浮かんだ。

「最も訴えたいことは?」と問うと、基本報酬の引き下げに各方面から疑問の声が上がっていることなどを念頭に、「皆さまが意見を発信することが大事なのではないか。例えば、国が実施している改定の中身をめぐるパブリックコメント (今月 21 日まで)で、それぞれの思いを国へ伝えることも考えられる」と指摘。「仮にこのまま決まってしまっても、それで諦めて終わりにしたくない。訪問介護にはもっともっと手厚い支援策が必要。その議論を皆で盛り上げていきたい。引き続き関心を持って頂きたい」と呼びかけた。

厚生労働省は今回の判断について、「基本報酬だけでなく、介護職員の処遇改善など各種加算を含む改定全体をみてほしい」と説明している。

及川会長はこれに対し、「加算拡充はありがたいが、なぜそれが基本報酬を引き下げる理由になるのか分からない。どうしても納得できない」と首をかしげた。続けて、次のように胸のうちを明かした。

「多くのヘルパーらがいま、『私たちは低くみられている』と感じている。訪問介護が欠かせないライフラインであることは、能登半島地震の被災地をみても明らかだ。これからサービスの重要性が更に増していくのに、その担い手の誇りを傷つける施策はやっぱり許せない」

(引用:joint介護ニュース)

訪問介護の報酬引き下げが決定

とうとう2024年の介護報酬改定が各サービス事業種別ごとに公表されましたね。

前回記事にさせていただいているこちらで業界全体のことはお伝えしました。
(業界全体の流れについてはこちらをチェック⇩⇩)
2024年介護保険改正で1.59%増も安心できない理由 – ekaigo with

介護業界全体としては1.59%の引き上げですがほぼ介護職員への給与改善や待遇改善の身に割り振られており会社の利益はほとんど変化なしっていう感じに見えていましたが、詳細な介護報酬改定の内容が明らかに。

その中で、訪問介護の大きな報酬引き下げが今回の介護報酬改定で話題になっています。

介護職員の給料は上がるから問題ないんじゃないの?

前回の記事でも触れてはいますが、介護職員の処遇改善のために大きく予算を割いている状況で、もちろん訪問介護事業所でヘルパーさんをしている人たちの給料が上がるのは確実です。

じゃあ別に何の問題もないんじゃないのって思う方も多いでしょう。

ですがこの訪問介護の報酬引き下げはヘルパー不足をさらに加速させることになるでしょう。

訪問介護は高い利益率にみえるだけ

訪問介護事業所は国の統計を見ると職員の高齢化が進んではいるものの、もともと高い利益率。

つまり儲かっていると判断されやすい状況にありました。

儲かっているんだから報酬を少なくします。

この考え自体はわからなくもないのですが、訪問介護事業所が本当に儲かっているのかは違う視点から見てみるとまた別の答えが出てくるでしょう。

訪問介護事業所は圧倒的に潰れやすい

訪問介護事業所においては、職員が3人いて、本当に小さな事務所があれば開設出来てしまう一番ハードルが低い業種となっています。

故に介護事業に新規立ち上げを行うとなれば低コストでスタートが切れる訪問介護を選択する人たちが非常に多い。

ただ、その多くが現場経験豊かな元ケアスタッフが多く、介護のプロであるけれど、経営ど素人の方々が多い。

普通の飲食店だったりであれば創業時に地元の商工会が主催する経営勉強会みたいなのを機に、仲間や相談相手が見つかることも多いですが、介護業界は介護保険でお金をもらう業種…。

飲食店のようにメニューを変えたり奇抜なサービスを行ったり割引したり値下げしたりなんて言うことができません。

故に、経営をしっかり教えてくれる仲間っていうのはなかなかできずにいて、結局うまく経営できずに破綻していくところが多い。

故に介護業界の中で圧倒的な倒産率をたたき出しているという形になっています。

高い利益率には裏がある

高い利益率なのに倒産するのは経営が下手だから…。

それも一旦はありますが、そもそも高い利益率自体も大きな間違い…。

訪問介護には2種類あり、在宅の利用者さんを支援するみんなが想像するホームヘルパーさん。

それとは別にサービス付き高齢者向け住宅にいるホームヘルパーさんの2種類が存在しますね。

サービス付き高齢者向け住宅に関してはホームヘルパーっていう概念が変わるんじゃないかっていうくらい別職種。

普通に施設で働くのと全く変わりません。

働いている職員に関してもホームヘルパーの平均年齢が50歳を超えている中、夜勤もあるため多くの若い人が働いている…。

在宅で夜間も対応してくれる事業所さんはほとんどありませんが、サービス付き高齢者向け住宅においては夜間対応しないところなんて言うのはあり得ません。

サービス付き高齢者向け住宅は減算があるものの、移動に関するコストもないし夜間の支援に入ったり、移動距離なしによる超短時間の支援に入ることができるため利益率が高くなる…。

一般の在宅を回る訪問介護が次々潰れていく経営状況の中で、サービス付き高齢者向け住宅にある訪問介護が安定経営で利益をだしつづけている。

この二つを一緒くたにしているため数字的には高利益に映るのでしょう。

在宅を支える訪問介護事業所はお金が必要

更に訪問介護の人材不足や高齢化率に関しても、サービス付き高齢者向け住宅により平均年齢が下がっている可能性が高い…。

実際に在宅介護を支えている訪問介護事業所のホームヘルパーさんは高齢で、早急に訪問介護の事業所さんには新しい職員を確保するため、事業所はいろんな事を考えなくちゃいけないのが現状…。

なのに、介護報酬が減らされて何かしようと考えてもお金がない…。

既存の訪問介護事業所で働いている職員さんも高齢化が進んで働ける期間も限られていくのに何もしないっていうわけにもいかない…。

特に地域包括ケアシステムが創設され、在宅介護における訪問介護の重要性と、著しい訪問介護職員の高齢化と有効求人倍率15倍越えの職員不足。

介護報酬が1.59%の引き上げという中で、まさかの訪問介護が引き下げということで、訪問介護事業所界隈だけでなく、介護業界全体から大きな不満があがっているため、今回介護福祉士協会の会長も声を上げたというところですね。

決定事項は覆らない

ただ、ここで大きな問題なのは今から介護福祉士協会の会長さんや業界全体が鬼のように不満をぶつけても今から結果が変わることはほとんどありません。

3年後の次回法改正まではこの報酬の中でどう運営をしていくかを考えるほかありません。

特に業界全体でも訪問介護の人手不足や職員の高齢化によって流石に訪問介護は報酬引き上げだったと思っていた中での逆風…。

この逆風に耐え、更に状況を改善するための対策を考える必要があるっていう話ですね。

三年間声を上げ続けられられるのか?

三年後にしかこの状況は変わらないですが、三年って結構長いですよね…。

三年間をなんとか乗り切った後に今度は介護報酬の引き上げになるよう、訪問介護の必要性を訴え続けるしかありませんね。

今回は訪問介護の協会だけでなく業界全体が味方してくれている形ですが、3年間ずっと味方して声を上げてもらえるように訪問介護に関わる職員さんが常に声を上げ続けなければいけませんね。

ヘルパーさん自体は高齢化がかなり進んでいて、どんどんいなくなってしまいますけどね…。

そもそもこの三年間をどう乗り切るかは経営者の手腕次第…

国が抑制するくらい儲け過ぎだと判断した介護報酬ですら潰れていくのが多かった訪問介護事業所…。

それだけ経営手腕がまだ育ち切っていない人たちが支えている部分が大きい在宅のホームヘルパー事業…。

3年間、経営状態を改善する必要があるでしょう…。

それができるかできないかは単純に経営者の努力次第…。

もしこの記事を読んでいる方で、訪問介護事業所にお勤めの方は、ご自身の経営者さんが経営者なのか?

それとも根っからの介護従事者でお気持ち経営なのかを判断する必要があるかもしれませんね。

ベテランの経営者さん方も今回の介護報酬引き下げには真っ青になっていましたので、百戦錬磨の経営者さんでも苦戦する3年間となりそうな気配…。

訪問介護事業所の倒産ラッシュにならないことを願います。

そんな限られた報酬の中で職員の新たな人材コストをかけるのは大変ですね…。

どんな事業所が生き残るのか?

【公式】ケアマネ介護福祉士的に予想してみましょう。

大手とSNS戦略が倒産回避のカギ?

大手の訪問介護事業所はやはり体力(資金力)もあるのでそうそうつぶれることもないでしょうし、多少の赤字でも他の施設サービスやデイやショートステイ等のハコ物在宅サービスでも収益を上げられるでしょう。

じゃあ大手以外の訪問介護事業所はつぶれてしまう…。

それじゃあ訪問介護は大手だけでいずれ衰退していくでしょうね…。

新進気鋭だったり、大手以外の訪問介護事業所でも勝てるところ…。

それはきっとSNSを上手く使っていくところでしょう。

最早人材確保はSNS

最近、訪問介護だけでなく人材確保が上手く行っている事業所はSNSの運用がとても上手です。

【公式】ケアマネ介護福祉士もSNSがきっかけでケアマネが少なくどこの事業所も困っている中で、とんでもない田舎にもかかわらず次々と面接が入っていく形です。

人材が充実しているからSNSを効果的に運用できているのか、SNSを効果的に運用できているから人材が充実しているか?

どちらが先なのかはわかりませんが…。

確かにSNSを定期的に発信できる企業さんてある程度条件を満たしていないと難しいですもんね。

経営者が自ら発信を続けられる場合は、右腕的な経営者さんの相方が居てこそSNS発信に時間を割けるのでしょう。

あるいは信頼できるSNS担当の職員がいるとかですかね?

実際、SNS運用を生半可な体制で始めた事業所って結局アカウントだけが取り残されて放置されている。

逆にSNSを運用する力がない事業所だっていうのがバレてる状況ですね…。

SNSを定期的に運用する人的余力も大事ですが、SNS担当職員が辞めてしまったから運用が止まるのはあるあるな話…。

職員みんなが投稿できるようにアカウントを整備したり、職員教育ができればいいんでしょうけど、それも結構大変な作業ではありますね。

ただ、大変だと言っていても転職の仲介会社ですら必死にSNS運用している時代…。
ハローワークで人材が集まる時代はとっくに終わっていますからね。

特に訪問介護はスタッフの高齢化が問題になっており、介護業界の中でもSNS発信率がかなり低い…。

そんな中でSNSを有効活用しているところはブルーオーシャン戦略って感じで、若い職員さんが次々面接に来るような状況になっています。

人材派遣会社や転職サイトに高いお金を払って人手を確保しなくて済む分、3年後の経営に大きな違いが出てくるでしょう。

この記事を書いた【公式】ケアマネ介護福祉士

高校生からホームヘルパー2級(現介護職員初任者研修)を取得しアルバイトにて老人保健施設にて勤務。そのままアルバイト先の老人保健施設へ入職。
大規模法人にて、グループホーム、老人保健施設、通所リハビリテーションにて介護職員として従事。
経験を活かしながら介護支援専門員(ケアマネジャー)を取得し8年ほど従事。
その後自身の転居をきっかけに、相談員、介護職員を兼務しながら施設ケアマネとして5年間勤務。中間管理職を経て居宅ケアマネへ転身。
現在は主任介護支援専門員として日々子育てと仕事に全力で奮闘中。同時にブログも運営中。

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