3分の1の事業所が10年後に運営の中核を担っていく人材がいない

介護のニュースについて紐解いていくべく記事の執筆を担当させていただくことになりましたブログの運営と主任介護支援専門員の二足の草鞋で活動をしており、居宅ケアマネとして奮闘中の

【公式】ケアマネ介護福祉士と申します。

連載13回目はコチラの記事について考えていきましょう⇩⇩

10年後にサービス運営の中核を担っていく人材の適任の候補はいるか?

介護事業所・施設にそう尋ねたところ、全体の4分の1を超える27.0%が「いない」と答えたことが国の調査で分かった。【Joint編集部】
「いない」が最も多かったのは訪問介護。33.9%と全体の3分の1にのぼった。

今後の人材確保の見通しがたっていない介護事業所・施設が少なくない実態が、改めて浮き彫りになった格好。サービス類型ごとの結果は以下の通りだ。

この調査は、厚生労働省が日本総研とともに今年1月から2月にかけて実施したもの。全国の特養、介護付きホーム、訪問介護、通所介護が対象で、801事業所・施設から回答を得ている。中核を担う人材とは、例えば管理者や施設長、主任、リーダーなどのポストを適切に担える人を指す。

目下の介護職員の不足感をみると、全体で「大いに不足」が19.9%、「不足」が29.2%、「やや不足」が31.1%。この3つで80%を超えていた。

目下の介護職員の採用状況は、
◯ 求める人材像・能力などにマッチする人材のみ採用したいが、応募が少なくマッチしない人材も採用している=38.0%

◯ 人材像・能力などを気にする余裕がなく、広く人材を採用している=14.7%

◯ 人材像・能力などを気にしなくても、そもそも採用ができていない=12.2%
などとなっており、この3つでおよそ65%を占めていた。

今回の調査ではこのほか、人材の定着について介護事業所・施設の取り組みや成果を詳しく分析。地域の特性やサービスの類型、法人の規模によって状況は異なるものの、職場環境の改善や職員の負担軽減が定着に寄与することなどが指摘されている。

(引用介護joint)

10年後、介護施設を担う人材がいなくなる?

10年後に介護施設を担う人材がいなくなるっていうアンケート結果が出たってことでしたけど、そもそもどんなアンケートだったのかをさらっとまとめてみましょう。

アンケートを実施したところ

厚生労働省と日本総研が協力してアンケート実施

■実施期間

2024年1月から2月

■対象の施設

特養、介護付きホーム、訪問介護、通所介護が対象で、801事業所・施設が回答

中核を担う人材って基本的に誰の事?

中核を担う人材とは、例えば管理者や施設長、主任、リーダーなどになれる人

そんな感じのアンケートで、結果として33%の施設が10年後は管理職や施設長、主任やリーダー等の役職を任せられるような職員がいないって回答したって事みたいですね。

まあ【公式】ケアマネ介護福祉士的にはこのアンケート結果、冷静に考えればそうだろうなと思ってしまいます。

なぜ【公式】ケアマネ介護福祉士がこのアンケート結果に驚かないか?

いくつか考えられる理由を挙げていきましょう。

介護業界は離職率が高い…?

今時の世の中は介護業界だけの話ではありませんが基本的に昭和のように最初から最後まで同じ会社で働くっていうのが当たり前の世の中ではありません。

介護業界だけで言えば、2005年の離職率は驚異の20%越え…。

今は介護職員の処遇改善だったりとかで多少の改善がみられているのか離職率は2022年で14%…。

全産業の離職率が15%っていうところで直近は他の産業よりも退職する人が少ない印象にはなりましたが、それでもイメージ的に退職が多いっていうのが先行している印象はありますね。

10年後って言われても、今いる職員が何人残るのか?

そんな気持ちが先行して、担い手が居ないという回答に繋がっているのかなと思うところもあります。

実際、離職率は減ったというところではありますけど、ほんとかな?

っていうくらい離職率は高い印象…。

実際、【公式】ケアマネ介護福祉士の周りでは訪問介護のサービス提供責任者さんが退職していたり、長いこと介護業界に属していなければ取得できないケアマネさんでも、退職している人が居たり…。

特に処遇改善加算がどんどん増えてきて上位層である現場の主任クラスは事業所ごとによって大きな給料格差が出てきています。

故に上位層になれそうなベテランさんの現場職員さんはポストが空いている新しい施設だったりとか給与面が充実している会社さんに転職する機会も増えてきた印象ですね。

業種によっては10年後を想像できない…

施設系だったりは比較的働いているスタッフが割と若かったりするかもしれませんが、居宅介護支援事業所、いわゆるケアマネジャーは令和4年度の時点で平均年齢がなんと驚愕の53歳…。

10年後、すでに今いるスタッフが全員退職or再雇用っていう事務所も少なくはないでしょうね…。

ホームヘルパーに至っては平均年齢54歳オーバー…。

ケアマネとは違って身体介助も伴うホームヘルパーという仕事を65歳以上になっても続けられる人っていうのはケアマネジャー以上に限られてくる…。

10年後には今いるスタッフが全員居ないっていうのを覚悟しているでしょうからそりゃあアンケート結果には10年後を担うスタッフがいないと回答するでしょう…。

介護職員は介護のプロ…

【公式】ケアマネ介護福祉士も会社の経営塾的なものに参加させていただいていましたが、介護職員はもちろんですけど、介護のプロ…。

経営のプロではないので、基本的に管理者や施設長みたいなポジションに必要な経営的目線というものは養えません。

経営的目線を身に付けられないと施設の運営を任せられる中核の職員にはなれないでしょう。

ただ、10年後に向けて一般介護職員とか主任クラス全員に叩き込むのかっていう話ですよね。

もちろん経営学をさらさらっと教えるにしても教育コストがかかるし、一版介護職員が10年後のためだって言って、経営学を真剣に勉強する人は何人いるのかなっていう印象です。

むしろ、経営学をしっかり教えていこうとする方がもしかしたら退職率が高くなりそうな予感…。

大体、サービス提供責任者や主任クラスっていうのは現場からの生え抜きで、経営のことはサービス提供責任者のお仕事だったり、主任としての人材マネジメントを行いながら少しずつ覚えていくもんですからね。

施設長クラスは大体別ルートで…

よくフランチャイズ系で多く見られるんですが民間のサ高住や有料老人ホームに関してはそもそも施設長って、介護職員とは別ルートで雇っている感じを多く見ます…。

新規オープン施設、施設長候補募集!!

みたいな求人見たことありますよね…。

【公式】ケアマネ介護福祉士もサ高住には利用者さんをお願いしたり相談したりっていう感じで結構出入りするんですけど、施設長さんは現場をやったことないっていう人が割と多かったりします。

確かに介護業界にどっぷりつかっている人よりは一般の会社を経験している人のほうが多くは数字を意識するでしょうし、営業意識が高いでしょうから上手くいく部分が多いかもしれません。

介護業界は報酬が国から2か月遅れで入ってくるし、ホテルのように部屋数がきまっているけど、付帯サービスを追加して単価を上げたり部屋代の値上げもできない。

結構特殊な利益の上げ方なのでそのまま一般の経営が流用できるものではないんですけどね…。

さらに施設長として働き始めても人材獲得が上手くいってないと施設長が未経験ながら介護業務に入って天手古舞…。

施設運営もボロボロになって評判も悪くなる…。

あるいは施設長自身が体調を壊して退職する…。

そして新しい介護業界未経験でも可能っていう求人の施設長がまた募集される…。
結構そういうのを見ますね…。

故に10年後の施設長になる人材っていうのを本気で育てながら運営している所が割と
少ないように感じます。

役職候補どころかスタッフが集まらない

10年後に役職者だったり、人材、経営のマネジメントができるスタッフがいないどころか、目下施設を運営するためのスタッフさん自体が集まっていないっていうのが現状ですね。

今回のアンケートでは4割近くの施設が募集している条件にマッチしない人材すら採用しているという結果になっていますね。

実際、【公式】ケアマネ介護福祉士が20年間働いていた中で、人材採用に関わっていた時期もありますがスタッフ不足を解消するために明らかなミスマッチでも雇うことが多々
ありました。

「この人多分すぐ辞めそうだなあ」

「多分この人は会社の愚痴を言いまくって職場の雰囲気を悪くするタイプの人だなあ」

「器質的に介護の仕事をしてはいけないタイプの人間だなあ」

みたいな人でも雇い入れてしまう。

施設運営としても一度や二度はそんな時期があるんじゃないですかね?

職員採用も成功している施設と苦労している施設に二極化されてきている

【公式】ケアマネ介護福祉士は施設のインタビューや案件的に記事を書いたり、ブログの記事にしていいか?みたいな許可を取るために電話したりってことが多いんですけど、その時に思うこと…。

人材採用が成功している所と苦労しているところの差があまりに大きい…。

人材採用が上手く行っているところは過剰人員である程度マッチした人材じゃないと雇い入れない。

更に雇い入れる時の条件も、しっかりとスタッフの現場人数に数えない状況でFJTとOJTを行って本当に働き続けられるかを採用される側に選択してもらってから本採用。

上手くいっていないところはいきなりOJTという名の現場に投げ出され、早々にシフトへ介護スタッフの一人としてしっかり数えられた状況で入る…。

本当に余裕がない所だと、即で夜勤のシフトに入っていたり…。

そんな無茶苦茶なシフトで現場が回っていると、他のベテランスタッフさんが愛想を尽かせて辞めていく…。

更に人材難に陥る負のスパイラルが完成です。

人材採用が上手く行っているところは採用時点である程度の精査が行えるためスタッフの離職率も低く、人員が集まるので有休消化や福利厚生を手厚くしやすい。

更に新しい施設を建てたりとさらなる利益増も見えてくる。

勝ち組施設と負け組施設の差は人材採用が一番の違いといっても過言ではないかもしれませんね。

人材採用が上手く行っている所はSNS運用が強い

スタッフ人数に余裕があるからSNSに手が回る。

SNSを見て働きたいと思うスタッフが集まる。

スタッフがいないからSNS運用なんてできない。

だからスタッフが集まらない…。

そんな感じにも見えますけど…。

一昔前はSNS発信って、全世界へ向けての発信。

働く場所が決まっている介護施設では全国チェーンのフランチャイズ系以外は時間の無駄って感じに思われていたでしょう。

今は入居施設を選ぶのにもご家族がSNSをチェック…。

転職や就職を考える求職者もまずはSNSをチェックする時代になっていますね。
頻繁に更新していることはもはや大前提…。

一つ一つの更新にしっかりとしたクオリティが付帯されているか?

特に【公式】ケアマネ介護福祉士よりも下の年代は自身でSNSを運用しているのが当たり前なので、どのくらい時間をかけて編集しているかっていうのがポイントになりかねません。

【公式】ケアマネ介護福祉士も各種SNSを運用しているのでわかりますが、更新するだけでも手が回らないのに編集なんて…。

っていう気持ちはわかりますけど、そこが大きな差になるんでしょうね…。

すでに施設運営はSNS運用がカギ…。

もしかしたら人材紹介会社にとんでもなく高い手数料を払って定期的にスタッフを借りたり、紹介してもらったりする費用があるならSNSのコンサルタントにお金を払ったり、大きな広告媒体に施設のPR記事を書いてもらったほうがいいのかもしれませんね。

特に、今派遣会社や紹介派遣の手数料が高いと問題になっており国が決める今後の方針によっては派遣会社や紹介会社自体の存続が怪しくなってきております。

そうなれば今まで派遣会社や紹介会社から人員を工面していた施設は更にスタッフが獲得できない。

今の状況を維持するので精一杯ですっていう施設は崖っぷち。

多少の無理をしてでも改革していくべきなのかもしれませんね。

この記事を読んでくださっている方々がかかわっている施設は勝ち組施設?

それとも負け組施設?

この記事を書いた【公式】ケアマネ介護福祉士

高校生からホームヘルパー2級(現介護職員初任者研修)を取得しアルバイトにて老人保健施設にて勤務。そのままアルバイト先の老人保健施設へ入職。
大規模法人にて、グループホーム、老人保健施設、通所リハビリテーションにて介護職員として従事。
経験を活かしながら介護支援専門員(ケアマネジャー)を取得し8年ほど従事。
その後自身の転居をきっかけに、相談員、介護職員を兼務しながら施設ケアマネとして5年間勤務。中間管理職を経て居宅ケアマネへ転身。
現在は主任介護支援専門員として日々子育てと仕事に全力で奮闘中。同時にブログも運営中。

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