介護のニュースについて紐解いていくべく記事の執筆を担当させていただくことになりましたブログの運営と主任介護支援専門員の二足の草鞋で活動をしており、居宅ケアマネとして奮闘中の
【公式】ケアマネ介護福祉士と申します。
連載15回目はコチラの記事について考えていきましょう⇩⇩
東京都は17日、介護職の給与を最大で月2万円引き上げる独自の新たな補助事業の申請の受け付けを開始した。【Joint編集部】
必要書類などに不備がなくても、補助金の交付まではおよそ2ヵ月かかる。都内の事業所・施設は早めに申請を済ませた方が良さそうだ。東京都の新たな補助事業は、勤続年数が5年以内の介護職員に月2万円、6年目以降の介護職員やケアマネジャーらに月1万円が支給されるよう、必要な原資を事業所・施設に交付するもの。家賃など首都の生活費の高さを考慮した施策で、訪問看護など一部を除く幅広い介護・障害福祉サービスが対象となる。
交付要件は、給与規程(就業規則)を改定して「居住支援特別手当」を創設し、労働基準監督署へ届け出ること。この補助金を活用した賃上げを、各事業者の既存の手当に組み入れる処理は認められない。実際に補助金を受ける前に、介護職員やケアマネらに「居住支援特別手当」を支給する運用も可能。支給額が確定した翌年度には実績報告が求められ、余った補助金があればその時に返金する決まりだ。
申請書などの様式は公式のポータルサイトからダウンロードできる。このポータルサイトには、補助事業の概要や申請手続きなどを分かりやすく解説する資料・動画が多く掲載されている。
東京都民は2万円給料上乗せ?
今回、東京都が介護に関わる人にお金を配る制度を作りますよっていう話が以前から出ていましたが、はっきりとした建付けが発表された形ですね。
介護に関わる全員なのか?
ケアマネも入るっぽいけど、介護事務はもらえない?
みたいなところで東京で働く介護関係の方はソワソワ、ドキドキしていたところだったでしょう…。
その中で、ようやく発表された大まかな建付けを確認していきましょう。
5年以内の介護職員は2万円で6年目以降は1万円
ざっくり説明すると、介護職員とケアマネジャーは月々1万円を東京は家賃が高いから補助しますよ?
5年以内の介護職員に関しては、更に1万円を加算しますっていうことみたいです。
家賃補助という形はとっていますが、持ち家でもオッケーっていう形になっていますので、誰でももらえるし、夫婦で介護職員の場合は減額とか支給停止っていう文言も調べてみるとないので夫婦で同じ所に住んでいてももらえるみたいですね。
もらえる施設ともらえない施設がある…
一応働いている所によってもらえる人ともらえない人が出てくるみたいですね。
支給対象(もらえる職場)の一覧がこちら⇩⇩
1 介護老人福祉施設
2 介護老人保健施設
3 介護医療院
4 訪問介護
5 (介護予防)訪問入浴介護
6 通所介護
7 (介護予防)通所リハビリテーション
8 (介護予防)短期入所生活介護
9 (介護予防)短期入所療養介護
10 (介護予防)特定施設入居者生活介護
11 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
12 夜間対応型訪問介護
13 (介護予防)認知症対応型通所介護
14 (介護予防)小規模多機能型居宅介護
15 看護小規模多機能型居宅介護
16 (介護予防)認知症対応型共同生活介護
17 地域密着型特定施設入居者生活介護
18 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
19 地域密着型通所介護
20 居宅介護支援
21 介護予防支援
(引用:令和6年度東京都介護職員・介護支援専門員居住支援特別手当事業補助金交付要綱 )
当たり前ですけど、訪問看護とかはもらえませんし、ケアマネジャーが支給対象になっていたので、いつもワンセットでこういった補助金をもらえない組の福祉用具貸与事業所に関しては、今回も蚊帳の外でしたね…。
処遇改善加算とは違って、生活相談員ももらえるし、介護の現場、つまり実務に出ている、出ていない関係なくサービス提供責任者ももらえると明記されている中で、福祉用具さんは蚊帳の外っていうのはちょっと辛い所はありますけど…。
もう超大きい老人ホームの生活相談員とか実際に介護現場にほとんど出ない中、福祉用具の設置でご利用者のトランスだったり移動支援だったりをする福祉用具さんがいる中でコレはちょっと悲しい部分ではあります…。
正社員だろうがパートだろうがもらえる可能性がある
支給要件にはっきりと正社員だろうがパートだろうが規定時間働いていればお金あげますよっていうことが書いてあります。
その規定っていうのがこちら⇩⇩
(引用:令和6年度東京都介護職員・介護支援専門員居住支援特別手当事業補助金交付要綱 )
つまり年間通して祝日関係なく平日4時間パート以上の時間を働いている人はもれなくもらえる形になりますね。
処遇改善加算と違って、金額の格差はなく年数と一定の就業時間だけが要件なので非常に透明性が高く、わかりやすい。
不公平感も感じにくい補助金になりますね。
対象者でももらえない人は出てくる…
これだけ公平性がある補助金ではありますが、場合によってはもらえない人が出てくるでしょう。
それは補助金の申請をしない会社に勤めている人…。
処遇改善加算もそうなんですけど、補助金制度なので、申請していない企業に勤めている人はもちろんもらえません。
処遇改善加算も以前は派遣会社に勤めている人は派遣会社さんのほぼ全てがが申請していないので、もらえないなんて問題がありましたね。
それと同じで、申請していない会社にはお金がもらえないのでもちろん職員に分配されません。
申請には、給与明細に居住支援特別手当っていう項目を作って支給しなくちゃいけないみたいです…。
事務職の手間になりますし、使っている給与ソフトによってはその記載ができないなんて可能性もある…。
じゃあ給与ソフトを変更とかするのであればとんでもなく事務負担が大きくなるし、申請する手間、それを記載して支給する手間もあるし、もしかしたらそれによって社会保険料や市民税の再計算が出てくるかもしれない…。
補助金を出した分の増えた社会保障費に関しては補助金で賄えるようですが、素人目に見ると結構計算が大変そうな印象ですね…。
そんな諸々の事情でもしかしたらその辺を理由に申請をしない企業さんが出てくる可能性はありますね…。
実際、処遇改善加算も9割の事業所さんが申請しているといえど、1割はその申請にかかる手間や范雑性によって未申請ですから…。
特に処遇改善加算と比べれば、入ってくる金額も低いので未申請の事業所が多くなる可能性もあるでしょう。
また、申請が煩雑すぎると、事務職だけでは申請を通せずに税理士や行政書士に頼んだりして、全然元が取れないじゃん!!
どうせ東京だけの補助金だし、職員からも苦情や不平が出てないからしんせいをみおくってしまおう…。
みたいな事業所は申請しない可能性がありますね。
逆に申請から補助金が降りるまでに2か月くらいかかるとの事であり、補助金をもらうこと
を考えている事業所さんに関してはすでに補助金要項を穴が開くほど読み込んでいることでしょう…。
この記事を読んでいるであろうアナタが務めている会社はどちらなんでしょうね?
東京周辺の介護職員は続々転職の可能性も…
ここで大きな問題となるのは東京周辺の介護施設に勤める職員さんですね。
東京都に事業所を置く施設で働く職員へ向けて、東京都の介護職員不足の歯止めをかけるための臨時的な補助金…。
東京都が発表した内容によるとこの制度は国がしっかり介護職員不足に対する対応をするまでの措置っていうことなので、少なくとも4年後の介護保険法改正までは続く見込みです…。
ということは、今から新しく介護業界で働こうと思う人は東京近辺であればせっかくなら2万円もらえる東京で働こうと思うでしょうし、転職する人に関しても同様の考えで動くでしょう…。
仮に【公式】ケアマネ介護福祉士が転職を考えていて、都民、あるいは東京近辺に住んでいたら東京に住所がある事業所へ就職しようと考えるでしょう。
そうなれば東京周辺だけど、住所は東京ではない近郊の施設は職員の獲得不足がさらに加速するでしょう…。
かといって、東京の補助金に負けないように給料を上げるなんてことは介護保険の制度上かなり厳しい…。
給料以外の働き手に魅力な福利厚生やコンテンツ、指針等を打ち出せない事業所さんは職員不足によって黒字閉鎖、赤字に転落で倒産なんてことになりかねません。
特にSNSでの求人活動が大きな割合を占めている昨今。
規模が大きいだけにいろいろな制約があってなのかSNSの更新がひと月に一度程度の社会福祉法人さんや、高齢スタッフが割と多い訪問介護事業所なんかは更に苦戦が目立ちそうな印象です…。
今やSNS更新が毎日っていうのは当然で、内容で差別化していかなければならないくらいの時代に突入しており、乗り遅れている事業所はすでに人材不足に悩み、派遣社員で賄っているのはまだマシ…。
派遣社員さんすら働いてくれない企業もゴロゴロしているまさに職員争奪戦時代の真っただ中ですが、東京周辺はさらに激化…。
東京近辺だけど、東京が住所地ではない施設であればあるほど職員の獲得が困難になってくるでしょう…。
移転する事業所も出てくるかも…
【公式】ケアマネ介護福祉士もフルリモートケアマネとして働いており、事務所は片道1時間程度…。
データを全てクラウド管理しており事務所へは月に1度行く程度…。
その働き方自体も国が認めており、東京近隣にあるケアマネの事務所や比較的移転が簡単な訪問介護の事務所などは移転して東京に事務所を構える可能性も出てきましたね。
1年間限定の補助金とかだとみんな隣の芝は青いなあって感覚で羨ましがりながらも積極的に動くっていうことはないかもしれませんが、今回打ち出されているのは少なくとも4年間は継続…。
もしかしたらさらに長引くし、下手をすれば増額っていうことも考えられる…。
事務所移転を考える事業所がポロポロ出てくるはずでしょう…。
危機感を感じた近隣が政策丸パクリも…
決して冗談ではなく、東京都の財政を考えれば、都知事交代等による本当に大規模な方針転換でもない限り4年後、8年後と、介護職員の流入数が他の近隣市町村に比べて改善すると個人的に思っています。
もちろん、介護職として従事している職員さんの壯數が増えるわけではなく、近隣の介護職員が減った分東京都で働く介護職員さんが増えるだけ…。
これに気付いてしまった自治体から徐々に政策丸パクリに近い形で補助金を出して介護職員の流出を防ぎにかかるのではないかと予測しています。
もちろん、財政の問題もあるので、ある程度余裕のある自治体が東京都と同額かそれ以上の金額を補助金として出してくる。
もしくは危機感をいち早く感じ取った自治体が金額は同額出せなかったとしても先行して補助金を出してくるかもしれませんね。
介護職員の争奪戦に国が動いてくれれば…
もちろんこんなお金バラマキの介護職員争奪戦は長く続かないでしょう。
数年の間に介護職員が補助金の出ている所在地で働く人が増え、近隣も補助金を出すようになる…。
一種の流行りのように補助金が次々出てくるようになり、それはそれで介護事業所で働く職員としてはいい流れだと個人的には思います。
補助金の名目もきっと、居住費だったり移動日だったり、日常の食材高騰費だったりいろいろな名目で出てくるでしょう。
ただ、財源のない小さな都市や税制が低い地域、あるいは高齢者が多く介護職員の需要が高いのに、財源が必要で少額しか補助金が出せない、補助金が全く出せなくて介護職員が更に減って自治体が更に困窮するなんて言う未来も見えてきます。
そうなってくれば流石に国も黙っていない…。
厳密に言えば、お金を出せない地域が介護職員不足に陥ればそんな負け組自治体がみんなが国に何とかしろと声をそろえて訴え始める…。
そうなれば国も動いて、4年後なのか?8年後なのか?それとも12年後なのかはわかりませんが、介護職員やケアマネジャーの処遇改善を行ってくれる可能性があるとてもいい流れにはなっているんじゃないかと個人的には考えます。
【公式】ケアマネ介護福祉士的にそれでもこの流れは国を動かすいい流れ…
東京に割と近いけど、高齢化が進んでいる自治体なんかはとんでもない負担になるのが目に見えていて、東京都何やってくれてるんだ。
周りの自治体からお金で介護職員を奪っていくのか…。
みたいな補助金には見えますが、単純に介護職員の価値を上げる補助金にもなるし、国が頼りないから東京が独自に補助金を出しますっていうのは一見すると国がお金を出さないから東京都が出しているようにも見えます。
ただ、東京都が出しているのに、国は出さないのか?みたいな風潮にさえなれば国を動かすことが可能になるのではないかと思っています。
ただ、手遅れ感が…
ただ、懸念点としてはそうやって国までもを動かす大きな流れになった時にはおそらく団塊の世代が高齢者のトップボリュームゾーンという時代が終わっており、それほど介護職員が多くなくてもいい…。
もしくは機械化が進み、それほど介護職員が増えなくてもいい。
今の現状を維持するだけでいいっていう可能性もありますね…。
そうなれば国が動く必要もなくて、うやむやになるかもしれませんね…。
この補助金を機に、介護関係者の価値を世の中に訴えられるかどうかはこのブログを読んでいるあなた次第なのかもしれません。
この記事を書いた【公式】ケアマネ介護福祉士
大規模法人にて、グループホーム、老人保健施設、通所リハビリテーションにて介護職員として従事。
経験を活かしながら介護支援専門員(ケアマネジャー)を取得し8年ほど従事。
その後自身の転居をきっかけに、相談員、介護職員を兼務しながら施設ケアマネとして5年間勤務。中間管理職を経て居宅ケアマネへ転身。
現在は主任介護支援専門員として日々子育てと仕事に全力で奮闘中。同時にブログも運営中。
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