介護のニュースについて紐解いていくべく記事の執筆を担当させていただきつつ、ブログの運営と主任介護支援専門員の二足の草鞋で活動も継続中、居宅ケアマネとして奮闘中の
【公式】ケアマネ介護福祉士(【公式】ケアマネ介護福祉士 (@BWm7LDaUhfW1TPC) / X)と申します。
ご好評いただいているため、記念すべき連載2年目に突入!!
そんな節目の連載20回目はコチラの記事について考えていきましょう⇩⇩
厚生労働省は28日、来年度予算の概算要求を自民党の部会に提示した。【Joint編集部】
訪問介護のホームヘルパーの確保に向けて新たな事業を展開する方針を打ち出した。仕事のやりがいや魅力を伝える広報の経費として5800万円を計上。地域の小規模な事業所が相互に連携して人材の確保・育成を図る取り組みへの補助を、既存の基金(地域医療介護総合確保基金)の使途に加える計画も明らかにした。
厚労省は月内に概算要求を財務省へ提出する。今後、年末にかけての予算編成過程で十分な事業費の確保を目指す。
人手不足が顕著な介護職の中でもヘルパーは特に深刻、という問題意識がベースにある。処遇改善のあり方は、次の介護報酬改定なども念頭に政府内で別途検討していく。厚労省はこれと並行して、独自の予算事業による新規施策も講じていく構えだ。
概算要求に盛り込んだ新たな広報事業では、YouTube動画や漫画、パンフレット、リーフレット、ポスターなどを作成する。ヘルパーの業務内容やキャリア、現場の前向きな声などを発信し、訪問介護の魅力を広くアピールしていく。
「ヘルパーの価値ややりがい、面白さなどを周知する機会が少ない」。そんな関係者の意見を踏まえたもので、1人で利用者宅を訪問する労働環境への不安の払拭も図る。
厚労省はあわせて、都道府県ごとの地域医療介護総合確保基金の活用メニューも拡大する。
経験が十分でないヘルパーの研修の受講、利用者宅への先輩の同行などにかかる経費への補助を可能とする。地域のサービス提供体制の維持に向けて、小規模な事業所どうしの連携による人材の確保・育成、経営の協働化・大規模化の実現を目指す取り組みについても、新たに補助を出せるようにする考えだ。
新しい介護職員獲得へ厚労省が動き出す
介護職員不足は前々から言われており、特に介護業界は離職率もとんでもなく高いっていうイメージがついていました。
いわゆるキツイ、汚い、危険、給料安いの4Kってやつが介護職の代名詞になっていた状態ですね。
離職率が大幅に下がったから新たな人材獲得へ向けて動き出すフェーズ
今回の労働調査によって、介護業界の離職率が大きく下がり、全産業平均以下。
つまりみんなが辞めない仕事のほうにランクインされたわけですね。
相変わらず離職率不動の一位は飲食業…。
まあ飲食業は非正規雇用も多いため、業界に飛び込みやすく辞めやすいっていう部分も大きい。
アルバイト感覚として従事している学生とか浪人生的な人たちは特に転居や学業に専念するためとかで辞めざる負えない人も多い。
お笑い芸人や芸能活動、音楽活動的な夢を持っている人がその夢をかなえるために飲食業界で働き、夢が叶った、もしくは夢をあきらめた時に離職するっていうパターンもなんとなく想像がつきます。
そんな介護業界も処遇改善加算のおかげで給与も上がり、キツイ、汚い、危険はともかく給料安いは数字的に解決へ向かっています。
今回の離職率低下に関しても、処遇改善加算によって、ベテラン介護職員さんたちだったり資格を持っている職員さんたちはそれなりの給料をもらえるようになったため、離職率が下がったんでしょうね。
その辺の詳しい話はこちらで説明していますので、こちらもチェック⇩⇩
「介護業界の離職率低下の最大要因は人間関係がカギ」
今いる職員はやめづらくなったけど…
そんな処遇改善加算のおかげもあって今まさに現役で介護業界を支えている職員さんたちの離職率は明らかに下がりましたが、人材不足は全く解決していません。
令和4年の労働調査では介護業界の職員平均年齢は50歳…。
ボリュームゾーンが45歳~50歳っていうことで、全産業平均の43歳を大きく上回っていますね。
今働いている人が辞めなくなったといえど、新しい職員が入ってこない限り働いている職員さんも1年に一度歳を取ってしまいます。
【公式】ケアマネ介護福祉士も、ケアマネジャーとして働いていますが、ケアマネジャーなんかは1年で1.2歳位ずつ平均年齢が上がっています。
つまり、辞める人よりもこの業界に飛び込む若者が少なくてどんどん平均年齢が上がっているという事態。
徐々に働く人の人数が減っていっている現状。
ケアマネジャーだけでなく、介護業界全体全体の課題ですね。
若い人材を獲得するために厚労省が動き出す
辞める人が減った介護業界ですが、職員不足は全く改善されていない。
業界全体の平均年齢も上がり、若い人材を獲得していくのが業界の急務。
危機感を覚えた厚労省が職員獲得のために動き出しますが、実際どんなことをするのか?
その辺もすでに発表されていますが、YouTube動画や漫画、パンフレット、リーフレット、ポスターなどを作成する。
ヘルパーの業務内容やキャリア、現場の前向きな声などを発信し、訪問介護の魅力を広くアピールしていくっていう方針みたいです。
流石厚労省の方々ですね…。
ユーチューブで介護のすばらしさを伝えていく?
流石ですね。
介護業界の平均年齢が50歳ってことですが、厚労省の皆さんは平均年齢50歳よりも低いのか高いのか…。
申し訳ないんですけど、時代はユーチューブからインスタグラムへ移行されており、ティックトック全盛期ですね。
すでに介護業界のキラキラ系チャンネル、闇を暴露する系チャンネル、経営系チャンネル、資格取得系チャンネル、在宅で介護している家族系チャンネルと大体の分野がすでにあり、今から厚労省が動画を作ったところでバズるかって言われれば微妙…。
動画で介護業界のイメージを変えようっていう企業さんは星の数ほどあり、すでにあらゆる手を尽くしているイメージですね。
ましてやユーチューブっていうのは自分で興味のある話題を自ら検索して視聴する媒体なので、まったく介護業界に興味がない人へリーチできないんですよね…。
広告費をかけても全く興味ない人へどうアプローチしていくかが疑問ですね。
もちろんやらないより全然いいし、介護業界に興味がある人へ向けてっていうんだったら全然いいんですけど…。
パンフレットやリーフレット…
パンフレットやリーフレットを作成して職安にでも置いてもらうんでしょうかね…?
職安で失業手当をもらうためにヘルパー(介護初任者研修)の資格を取るっていう人は結構多い印象ですね。
受講期間も長いからその間失業保険をもらえる。
結構な割合で失業保険が切れそうになるとヘルパーの養成講座を受けて失業保険をもらえる期間を伸ばっていう印象です。
ただ、そういった目的の人は受講しても介護業界には目もくれず…。
むしろ講習を受けたことによってさらに介護業界への参入をしないと決める人のほうが多い印象です。
実際、【公式】ケアマネ介護福祉士も、高校生の時にヘルパーの研修を受講したり、研修の講師を実際に担当したりっていう経験がありますが、受講する多くの人達がやる気を感じられなくて、何度も授業中に居眠りをしていてあまりに態度が悪い受講者を欠席にしたり退室してもらったりすることがありました。
寝ずに受講している生徒さんは大半がすでにデイサービスや特別養護老人ホームのような資格がなくても働ける系の介護業界で働いている人たち…。
会社が費用を出しているパターンがほとんどで、退出させられたりしたら会社に報告が行く人たち…。
後はごく一部ですが定年退職後の仕事として資格を取りに来ている人や、配偶者の老後を考えて介護技術を習得したいと考えて受講する人たちでした。
体感ですが、20~30歳代のような働き盛りで今まで別の業界にいたけど、介護業界で働こうかちょっと迷っている、働こうと思ってヘルパーの研修を受講しているっていう人は100人中、1人いるか居ないかっていう印象です。
そんなところにリーフレットやパンフレットを置いても見向きすらされないだろうし、介護職員不足を解消するのに定年後の60歳代で多くの不足分を賄おうとしても、年齢的に長くは働けない…。
毎年毎年同様の施策を行って、費用をかけ続けるしかなくなる…。
根本的な解決にはつながらないでしょうね…。
しかも、何年かすれば60歳代でもスマホを使って情報収集する方が多くなる年代に突入するかもしれない…。
そうなればリーフレットやパンフレットの効果がドンドン薄くなってしまうためやり方も大きく変えざる負えなくなりますね…。
もちろん【公式】ケアマネ介護福祉士の考えている所にパンフレットやリーフレットを置いた場合の予測であってどこにパンフレットやリーフレットを置くかによって大きく結果が変わる可能性はあります。
ただ、他に効果的なところってどこになるんだろう…。
予算は5800万円というのは…
国も介護職員不足に対して危機感があり、5800万円の予算を計上したとのことですが、この予算…。
子供のお小遣いだなっていう印象です…。
リーフレットやパンフレットを作るっていうのはもちろんそういった専門の印刷所、中身はデザイナーさんみたいな所に外注するんでしょうし、中身だって有識者にお金を払って確認してもらうでしょう。
印刷までこぎつけるだけでも大部分が吹き飛びそうな気配ですね…。
ユーチューブに関しても、演者を厚労省の方がやるならゼロ円ですけど、そんな大根役者が演じるユーチューブ以上のものがすでに数多存在します。
個人、法人問わず、すでにそういった介護人材不足を解決とまではいかないにしても業界のイメージアップを図るような動画はいっぱいある…。
とてもじゃないですけど、演者を使わないクオリティでそれらの動画以上のクオリティを出すのは難しそう…。
まして、今時はユーチューブを作っただけでどうにかなるわけない…。
どのくらい効果的に広告費用をかけるかっていう話ですね…。
正直なところ1000万円広告費にかけても一瞬で溶ける時代…。
しかも、広告用の動画は別に作らないといけないし…。
5800万円で、リーフレットもユーチューブも作るって全然足りない…。
厚労省がお抱えの画像制作スタッフをすでに雇用していて、すべて自前で作る。
印刷費と広告費に5800万円全部使うんですっていう話だったとしても何か変わるのかなっていう感じ…。
業界全体の人材不足を根本から良くしていくには足りないし、ユーチューブを見るようなある程度若めの年代にアプローチしつつリーフレットを見るようなある程度高齢の年代にもっていう中でこの予算は全然足りないなって思います。
特に効率的な広告を打ち出すにはGoogle広告専門のコンサルみたいなところの力も必要なご時世…。
コンサルに払う費用なんかどこにも捻出できないでしょう…。
今時広告を打つなんてみんながやってることで、しっかりリサーチしないと広告費も無駄になってしまう。
小さな個人事業主さんですらコンサルに運用をお願いする時代…。
厚労省の職員さんの中にここまでの専門分野に明るい人が働いているってのも考えにくい…。
正直なところ、初めての物販を行う専業主婦並みに失敗する確率が高そう…。
今年の予算で本当に掲げたことをすべてを行うのであれば失敗は確実…。
どこかで軌道修正して、今年やることっていうのを絞っていく方向になればいいなと思いますが、これだけ大きな組織がそんな軌道修正を即座にできるとは思えないと【公式】ケアマネ介護福祉士的には思ってしまいます。…。
【公式】ケアマネ介護福祉士的に今回は効果なしだけど…
今年度に関してはおそらく失業者、若者へどっちつかずのアプローチですし予算的にも効果なしっていう結果になってしまうのではないかなと思います。
問題は来年度…。
厚労省といえど、初めての取り組みでしっかりと費用分の効果、あるいはそれ以上の成果っていうのをだすのはかなり難しい…。
効果がなかったからもう予算打ち切りってなるのか、しっかり予算をかけてやらないといけないなってなって、大きく予算をかけることになるか?
それによって大きく結果が変わってくることでしょう。
国としても、介護職員へのボーナスである処遇改善加算を大幅に引き上げるというのもそろそろ限界…。
それでなくても処遇改善加算を引き上げ過ぎた結果、セラピストがリハビリをせずに夜勤やったり看護職員がオンコール取らずに夜勤…。
ケアマネの資格を取っても給料が100万円以上下がるからフルローテで介護職員を続けるっていうゆがみが生じている状況…。
今いる介護職員への分配はここが上限で、新たな職員獲得をアプローチしなくちゃいけないフェーズ…。
介護職員だけの給料引き上げをこれ以上行えば介護保険自体が崩壊しそうなくらい…。
人材を獲得するための広告費に使いたいのはわかりますが…。
自衛隊や消防職員も大々的な広告やキャンペーンを行っていますが、その効力があったかどうかは疑問…。
もちろん、それは費用に対しての話であり、間違いなく人材不足解消に一役買っているのは事実。
介護業界も、そのくらい費用を投じないと難しいんだろうなと思っています。
介護職員不足解決を急げば急ぐほど…
介護職員不足を解決しようとすればするほど介護業界にいる多職種…。
ケアマネやセラピスト、看護師の不満がたまっていきます。
セラピストや看護師の資格を持っている中で、介護職員で働くエラーが起きている中で、
業界全体を底上げしていく必要がありますね。
介護業界の仕組みを知ってもらうためにも介護職員以外の多職種にもしっかりとスポットライトが当たるような宣伝をしていく必要があるんじゃないかと思ってしまいます。
特に、施設で働いていると処遇改善の仕組みを理解している看護職員やセラピストは自分たちよりも一定の水準をクリアした介護職員が自分たちより圧倒的に給料が高いことを快
くは思わず、キツく当たることが増えてきました。
良い所ばかりをアピールする調子のいい宣伝で一時的に介護職員を集められたとしてもそんな労働環境では働きたくないということになってもおかしくはないでしょう。
介護業界の退職理由ぶっちぎりの堂々第一位は「人間関係の悪化」ですからね…。
それでなくても介護業界は多職種で成り立っている職業。
全員が専門的知見からの意見をぶつけてくる…。
立場や専門職のみている角度が違う。
介護、看護、リハ、医療、本人、家族それぞれの立場から見える景色や問題点、課題が違うので衝突しがち…。
同職種同士ですら軋轢が生まれ退職へのトリガーになる…。
せめて業種同士の確執が生まれないように厚労省には動いて欲しい。
業界全体を改善していくために、他の業種への対策も必要なのではないかと個人的には考える【公式】ケアマネ介護福祉士なのでした。
この記事を書いた【公式】ケアマネ介護福祉士のプロフィール
大規模法人にて、グループホーム、老人保健施設、通所リハビリテーションにて介護職員として従事。
経験を活かしながら介護支援専門員(ケアマネジャー)を取得し8年ほど従事。
その後自身の転居をきっかけに、相談員、介護職員を兼務しながら施設ケアマネとして5年間勤務。中間管理職を経て居宅ケアマネへ転身。
現在は主任介護支援専門員として日々子育てと仕事に全力で奮闘中。同時にブログも運営中。
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