介護職員の人数が初の減少で業界はどう変化するのか

介護のニュースについて紐解いていくべく記事の執筆を担当させていただきつつ、ブログの運営と主任介護支援専門員の二足の草鞋で活動も継続中、居宅ケアマネとして奮闘中の

【公式】ケアマネ介護福祉士(【公式】ケアマネ介護福祉士 (@BWm7LDaUhfW1TPC) / X)と申します。

ご好評いただいているため、連載3年目に突入!!

ご感想をお待ちしております。

そんな連載29回目はコチラの記事について考えていきましょう⇩⇩

全国の介護職員の人数が、介護保険制度の創設以来初めて減少に転じたことが明らかになった。【Joint編集部】

厚生労働省が25日に公表した「介護サービス施設・事業所調査」の結果によると、昨年10月1日時点の各サービスの介護職員数は212.6万人。前年度と比べて2.8万人の減少となった。

厚労省は要因について、生産年齢人口が減るなか多くの分野で人手不足が顕在化していること、賃上げが進む他産業との人材獲得競争が激化していることなどをあげた。

全産業平均より低い給与水準も影響を与えているとみられる。

厚労省の推計によると、2040年度には約272万人の介護職員が必要。継続的に増やしていくことが強く求められるなか、今回の初の減少は業界に衝撃を与えそうだ。

今後、介護現場の人手不足が一段と加速し、必要なサービスをスムーズに受けられない介護難民の問題が深刻化する恐れがある。

(引用介護joint)

初めての減少

今までは増加の一途をたどっていた…。

今回初めて、今まで介護職員の数っていうのは年々増え続けており、業界としても具体的にどんな仕事をするのか?

みたいなところが多少でも世間に知れ渡ってきたところ。

あまり恵まれてない環境、境遇であった介護職員の処遇を改善する必要があるよね?

っていうのが日本全体の流れになってきており様々な施策が打ち立てられていた所ではありましたね。

その中で、初の介護職員減少…。

むしろ今まで職員が増加し続けていたっていう事実の方がビックリという感じはありますが…。

減少の大きな理由は?

初の減少ということは今までキツイ、汚い、給料安い等の理由っていうのは大きな原因ではなさそうですね。

なぜならそれまではこれだけ言われていた中でも増加していたわけですからね…。

では何が原因か?

【公式】ケアマネ介護福祉士的な推察としてもやはり咳的な要因が大きいのかなと思う所ではあります。

景気は上向きで大企業も初任給を上げ始めている

バブル全盛期とまではいかないものの、大企業では初任給を引き上げる動きが加速しています。

理由としては少子高齢化に伴い、新卒自体の数が減り始めている。

人口自体も減ってきているのでどの産業も人手不足になる可能性を秘めている中で、新卒という若さとパワーを秘めていて、会社のカラーに染めやすい人材の確保は重要。

新卒の初任給を引き上げ、大企業が人材確保へと舵を切り始めている中、介護業界というのは国が決める報酬以上は稼ぎ出せない仕組み。

経費を圧縮するというのももちろん限界はあるわけなので基本的に利益の天井がみえているので新卒の給料は簡単に引き上げることが難しい。

そのうえで、介護業界の利益を引き上げる方法は基本的に資格の有無に左右される。

資格を取るには経験年数が必要なものが多いため、新卒の給料を上げるよりも資格持ちの中途職員を給料上げる方が経営的にいい方向になる…。

新卒の職員獲得競争に負け続けている介護業界が職員の減少となっているのはすごく当然の減少ですね。

処遇改善加算での底上げも効かず

介護職員は給料安いから今後、高齢社会を支えるために処遇を改善する必要があるよね?っていう問題が国会をはじめとした日本全体での風潮により、新たな加算が次々介護職員のみに提供され、給与がみるみる引きあがっていますね。

ただ、この処遇改善加算については有資格者や会社に長く勤めている人に有利な条件になることが多く、新卒にはほとんど効果がない体制の加算…。

今頑張っている有資格者のベテラン介護職員さんは給料が上がり、離職する人は体感的にではあるものの、減った印象。

変わりにケアマネへ転身する人が減ってそれはそれで問題ではありますが…。

その中で、新卒の給与はそれほど劇的な改善は見られず…。

介護業界にむしろ新卒や若い年齢で入るっていう人は減った印象。

定年や転職をした人よりも新卒や中途で介護業界に入ってきた人が少なかった結果ということですね。

無資格未経験で中途採用されても、有資格者と給与があまりにも違い過ぎて…。

知らぬが仏ではあるものの、気づいてしまったらなぜ同じ仕事をしているのに給料がこんなにも違うんだとこの業界を辞めていく人も結構いらっしゃいますからね…。

2.8万人減少の大きな減少

日本全国の介護職員が200万人を超えている中で、2.8万人となると全体の1パーセント程度というのはそれほど多い人数には見えません…。

ただ、47都道府県に置き換えると一県で6000人ほど減っている形ですね…。

もちろん東京近郊と農村部が多い県で6000人という人数の重さは違いますし、都心は6000人以上辞めているでしょうし、田舎の方は6000人なんか辞めたら本当に業界が崩壊するっていう可能性もあるでしょう。

それほど2.8万人というのは大きな数字でしょう。

介護職員が増える道は薄い

少子高齢化で人口自体が大きく減り続けている現状。

仮に介護業界に関わる職員が増えれば増えるほど、外貨を稼げるような自動車や半導体等の外国向け産業や、外国人向けの観光業等の人間が減って、日本の国益が減ってしまいますよね?

そうなると日本の円安がさらに加速され、日本の未来が真っ暗になってしまいます。

少子高齢化を改善するには今からいろんな政策を行って20年以上先に働き手が増えていくか、外国人受け入れの間口を広げるかではあると思いますが、どちらに関しても簡単にはいかないでしょう。

この先、すぐに改善する問題ではないため、介護職員が急増することは非常に薄い未来ではありますね。

介護業界はどう変わるか?

これ以上介護業界における人材不足の解消っていうのはほぼ不可能と思われるところではありますが、高齢者が減ることはなく、介護業界で働く人は減り続け、高齢者の割合自体はしばらく増え続ける。

少ない介護職員の人数で、大人数を介護していくことになるでしょう。

今までのように働くのも限界が訪れるのは間違いなく、業界全体が少人数で大人数の介護をしていくことが求められる。

このままでは業界全体が沈みゆく中、変化が必要なのは明白です。

その変化というのはもちろん、少人数で大人数を介護するための業務効率化…。

進む効率化に耐えきれるか?

【公式】ケアマネ介護福祉士の勤めている事業所をはじめ、業務の効率化をいち早く始めている事業所というのはチラホラ見え始めています。

ケアマネ業界に関してはすでに介護職員以上に人材不足が激しく、法改正の度に担当できる利用者さんの上限がどんどん増えているのが現状。

もちろん、ケアマネのマンパワーだけでどうにかなる人もいるかもしれませんが、逓減制度をフル活用すると49件まで減算なしで担当できるようになりました。

いよいよケアマネ個人のマンパワーでどうにかこうにかできるような人数ではなくなりましたね。
基本的にオールドタイプのケアマネ事務所のように事務所を起点として訪問。

電話は事務所に帰ってから…。

みたいなところではとてもじゃないですが49人を担当することはかなり難しい状態でしょう。

担当者会議の調整、サービス変更の調整、必要な利用者さんの情報を各事業所へ電話で共有なんていうのを訪問の合間で事務所の電話で…。

正直そんな非効率なことをしていたら間に合いません。

【公式】ケアマネ介護福祉士は、基本的に事務所はリモートで全てクラウド上で書類も管理。

FAXは電子管理でパソコン上の確認。

利用者さんの情報は介護事業所同士の専用のネットワークで一発共有。

担当者会議に関しても調整さん等のサービスで管理。

事務所に帰ってから各事業所やご家族へ電話なんてやってたら大事な書類が作れませんし、下手をすれば書類不備やマネジメント不足で指摘を受け事務所が無くなってしまいかねませんね。

パソコン一つあれば仕事ができる状況で、場所は問わないっていう働き方をしてようやく49人をマネジメント担当できるのではないかなっていう感じです。

基本的に事務所は朝と夕に帰れればいい方で、事務所へ帰ってから連絡や調整、記録業務を行うなんてほぼ不可能な状態なので、一足先に業務の効率化を余儀なくされているケアマネ業界…。

決してケアマネ業界がすでに業務効率化を終え、DX化がすすんでいるというわけではなく前途多難ではありますが…。

介護業界も、以前から叫ばれていたことではありますがこれから少ない人数で大人数を介護するための業務効率化にしっかりと舵を切る必要があるでしょう。

生まれ変わるべき介護業界

業務効率化と簡単に言ってしまいますが、介護職員といっても、様々な業種が存在します。

業種によって業務の効率化をする方法は変わっていくでしょう。

一例をあげると訪問介護や訪問看護に関してはケアマネへの連絡やヘルパー同士の情報共有は基本的にビジネスチャット等のコミュニケーションツールを利用し、イチイチ顔を合わせたり、事務所でミーティングや申し送りみたいなことをやっていた時間を削っていく必要が出てくるでしょう。

また、請求業務に関しても外部機関への委託が始まっています。

デイサービスも一部の地域では始まっていますが、送迎を他社と共闘したりタクシー業者に委託したりっていう所でデイサービスの業務をある程度そぎ落としたりっていう所が必要になってきているのが最近のトレンドですね。

更に、自社だけで送迎を行っている事業所も相談員が一括で責任をもって毎日作成しがちなうえに不平不満を浴びながらも必死に行う配車管理。

これに関しても、最近は全てをアプリやシステムに一元管理するっていう事業所も増えてきている印象です。

特別養護老人ホームのような施設系に関してもすでに補助金の関係も大きく、DX化は進んでおり記録はすでにタブレットでいつ、どこででも記録ができる体制。

夜間の巡視においてもカメラやバイタルセンサーを駆使し、昔のような居室へ訪問したら大きなトラブル続きで、気づいたら次の巡視の時間…。

あるいは何もできないまま朝を迎えて、帰る頃には昼過ぎなんて言うことは労働基準的にもアウト…。

そんなブラック事業所は次々是正されている時代となっています。

また、施設系の人員配置基準も法改正の度に緩和されている状況。

そのうちに夜間は無人なんていう施設も存在するでしょう。

最近のサービス付き高齢者向け住宅等に関しても毎日デイサービスへ通うモデルとして夜のサービスは自費扱いなんていう所も散見され始めています。

自費扱いにすることにより夜間の配置を減らし、安否確認だけのモデルにするため夜間の配置は何人利用者さんがいても1人だけという方向に切り替えてきているようです。

そうまでしないと運営できる人数を確保できないという現状が色濃く出ている証拠なのかもしれません。

特別養護老人ホームやグループホーム等のしっかりとした配置基準がある施設に関しても緩和に次ぐ緩和で夜間は配置ゼロ。

当直がバイタルセンサーで健康状態を確認するなんて言うシステムになるかもしれませんね。

日中に関しても人員配置基準が緩和され続け、グループホームやユニット型特別養護老人ホーム等は常に職員は一人。

入浴支援中等の事故は過失責任を負わないなんて事も現実的に考えられます。

また、施設でのバイタル測定は全て機械化され、バイタルセンサーの数値を基本的に管理する。

そうなってくれば必然的にシステムの操作が一定以上スキルとして必要になる。

業務の効率化が進み高齢のスタッフは更に退職スピードが増すでしょう。

職員の働きがいも奪うことに…

業務の効率化を急ぐあまり、利用者さん、働く職員の処遇にも大きく影響する可能性があります。
業務の効率化は間違いなく必要ではあるものの、その過程において利用者さん一人一人に行える個別ケアまで削減される可能性も大いにあります。

実際にDX化する過程において、過去を振り返ってみましょう。

電子カルテ化で大きなストレスがかかった2000年代…

一番大きかった流れとしては介護業界の電子カルテ化…。

今では当たり前となった電子カルテですが、以前は手書きが当たり前。

その中でパソコン業務を行ったことがないスタッフはタイピングの技術習得どころかパソコンの電源を入れる所からスタート。

手書きのころはペンを走らせながらも利用者さんと会話をしながら記録。

そんな光景が見られましたが、導入当初は多くのスタッフが入力作業に手間取り、手書きよりも作業時間を取られ、利用者さんとの時間を失ってしまうなんてことが当たり前の世の中になっていました。

今までの流れとしては厚労省を中心に日本の方針としてはDX化を進め、その分利用者さんごとに個別的なケアができるようにしていこう。

そんな話でしたが、これからは人員削減のためにDXを進め、少数での多人数介護を推し進める中で、やり方、国の指針が少しでも掛け違えが起これば利用者さんと一対一の時間は減っていくことでしょう。

介護職員としての専門性ややりがい、尊厳といった部分も間違えばそぎ落とされることでしょう。
これからはDX化というシステム面の変更についてこれなかったベテランのスタッフや高齢のスタッフさんだけでなく利用者さんの笑顔や陷者に支えられてこの仕事に誇りを持っていたスタッフの離脱も考えられる状況ですね。

利用者さんの生活を守るための声が必要

人口減少による人員の削減は介護、医療業界においてある程度仕方がない部分ではあり、大胆な移民政策等以外に人口が急増し働ける世代が増えることはない日本。

その中で、業界に合っていないICT化は利用者さんの尊厳を奪い、介護業界で働く方々にとってもやりがいや専門性をなくすことになりかねない。

この業界自体が本当の意味で誰にでもできる仕事となりかねない。

この記事をご覧になっている方々も多くは高齢者となり介護を受けることになる。

そんな時に介護保険制定以前の措置自体のような画一的サービスと行政からの押し付けサービスになっているかもしれません。

そうならないためにも、介護職員だけでなく介護業界全体で、しっかりとDX化に向けて声を上げ実情に沿ったスピードと方法で取り組むことが必要になるでしょう。

この記事を書いた【公式】ケアマネ介護福祉士のプロフィール

高校生からホームヘルパー2級(現介護職員初任者研修)を取得しアルバイトにて老人保健施設にて勤務。そのままアルバイト先の老人保健施設へ入職。
大規模法人にて、グループホーム、老人保健施設、通所リハビリテーションにて介護職員として従事。
経験を活かしながら介護支援専門員(ケアマネジャー)を取得し8年ほど従事。
その後自身の転居をきっかけに、相談員、介護職員を兼務しながら施設ケアマネとして5年間勤務。中間管理職を経て居宅ケアマネへ転身。
現在は主任介護支援専門員として日々子育てと仕事に全力で奮闘中。同時にブログも運営中。

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