【イベントレポート】介護業界のプロが語る「キャリアップ転職を成功させる鍵」とは?

2021年9月8日に、介護業界でのキャリアアップを目指す方向けにオンラインセミナーを開催しました。

このセミナーは、e介護転職が主催で、タイトルは「キャリアアップ転職を成功させるカギとは〜転職後のミスマッチを防ぎ理想のキャリアを実現〜」。

介護業界に長く身を置く、業界のプロ4人に今後の介護業界についてディスカッションしていただきました。

内容をレポートにまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。

登壇者プロフィール

◾️株式会社アズパートナーズ
シニア運営部運営グループ 第2チーム長
八木 温子

介護施設を運営する企業に入社し、施設長・ケアマネージャーを経て、株式会社アズパートナーズへアドバイザーとして入社。その後、複数の事業所を束ねる管理者に任命され、現場の統括業務を担当する。

◾️セントケア・ホールディング株式会社
人材開発課 課長
成田 天宗

1999年にセントケア・ホールディング株式会社に入社し、入社2年目で所長に就任。その後本社に異動し、事務センター、人材採用、人事給与等様々な部門で部門責任者を経験。現在は人材開発課で採用業務を担当。

◾️ヒューマンライフケア株式会社
戦略本部 人材採用部
梅田 隆幸

介護士として10年間現場を経験。その後複数施設の管理者に任命され施設管理業務を受け持つ。2016年から人材採用部に異動し新卒、中途、海外人材の採用業務を担当。

◾️メディカル・ケア・サービス株式会社
採用企画課 課長
高橋 潤

大学卒業後、新卒にて大手訪問介護事業を運営する企業に入社。2008年にメディカル・ケア・サービス株式会社に入社し、約200棟のグループホーム開設に関わる。現在は全国の採用管理業務を担当。

テーマ1:理想のキャリアを実現する上で重要なポイント

成田さん

私が考える介護業界でのキャリアアップパターンは大きく分けると3つあります。

  1. 介護福祉士や認定介護福祉士などの資格を取得して現場のプロになること
  2. サービス提供責任者や生活相談員、介護支援専門員といった相談援助業務でのプロになること
  3. 施設長や所長、センター長としてマネジメント業務を行うこと。
同意見です。これらのキャリアアップを目指す方は、転職先を検討する際に確認した方が良いポイントがあると考えています。
まず現場や相談援助業務のプロを目指す方については、資格取得が必要になるので、働きながら資格を取得するにあたって、経済的支援や勉強会の実施などどういった支援があるのかを確認する。
マネジメント業務を目指す方については、法人として教育・研修体制が整っているかどうかを確認する。

梅田さん

八木さん

キャリアアップを目標にする場合、まずは自分がどんな風にキャリアアップしたいのかを明確にしておくことが重要です。
前述された様な現場、相談援助、マネジメントのプロ、また「経営業務に関わりたい」など自分の目標を明確にしておくことで、その目標を実現させるために法人の支援体制はどうかをポイントとして、転職先を決めることが出来ると考えます。
私は、キャリアアップを見据える上で、最終的な目標は介護業界で何かのプロになることでなくても良いと考えています。これまで、経営者として中国でシニアビジネスを行うことを目標に、日本で介護業務の勉強をされている方、高齢者が安心して過ごせる飲食店を開く為に介護業界で経験を積んでいるといった方に出会ったことがあります。
将来的な目標を実現させる為に、どんな経験を積む事が必要かを考える事が大事になってくるのかなと思いますね。

高橋さん

成田さん

キャリアチェンジも含めた自分の市場価値を高めるという事が大事になってきますよね。
そうですね。介護業界でのプロを目指している方だけでなく、単純に給与をアップしたいといった方もいらっしゃると思います。
では転職を考えたときに、目指すものや給与アップに繋がる経験をしているか、また転職先でそういった経験を積めるかを考えることが重要だと考えます。

高橋さん

八木さん

採用面接を行う中で、すぐにキャリアアップしたいという方は少ないと感じています。それでも、ご自身の最終的な目標がある方やどうして介護業界でキャリアアップしたいのかが明確な方は一緒に働きたいなと思いますし、その後法人としてどの様に支援していけるかを考える事も出来ますね。
例えば、現在未経験だけど、介護福祉士の資格を取りたい、最終的には介護支援専門員になりたいなど、具体性があればあるほど「一緒に頑張りましょう」となりやすいですよね。

成田さん

梅田さん

介護福祉士の資格もあり経験も長い方で、施設長を目指したいがまだ自信がないといった方もいましたね。その方にはまずは副施設長として経験を積んでから施設長にキャリアアップすることを提案することができました。
介護保険によってやるべきことやビジョンは定められていますが、現場の働き方や介護報酬など介護業界はこれから変化していく部分が多い業界だと考えています。
そのため、『変化を楽しめるマインド』を持つ方が業界的に求められる人材ではないかなと思いますね。

成田さん

八木さん

そうですね。介護は「想い」でやっていくというところから、IT化に伴ってデータや根拠に基づいて介護するように変化してきていると感じています。
変化を楽しめる、柔軟な対応ができる方は、キャリアアップにも繋がるのではないかなと思います。

テーマ2:転職後のミスマッチを防ぐために持つべき視点とは

梅田さん

転職活動において重要なポイントは『自分の離職理由を解決できる職場なのかどうかを見極めること』だと考えます。また先程のセッションでもあったように、ご自身の目標が実現可能なのかを面接官に聞いてみることも良いと思います。
自分の中での最終目標や介護観を明確にしておくことが重要です。自分が求めるものを、同じ想いで実現しているのかを確認することが良いと思います。
また、その職場がそれらの実現に向けてどんな過程を踏んでいるかを見ることも必要です。例えば、『寄り添う』ことを理念にしている職場の面接官に対し、「寄り添うとは具体的にどのくらいの寄り添いか」を尋ねてみても良いと思いますよ。

八木さん

梅田さん

そう思います。面接は面接官が応募者を評価する場ではなく、お互いを知る場だと考えています。どちらが上でどちらが下ということはありません。知りたいことを質問する事も、自分の想いを伝えることもどちらも大切です。
求職者の中には、会社都合で転職される方が介護業界では少なくありません。毎年一定数の企業が事業撤退や倒産していることが関係していると言えます。
ですが、民間企業か社会福祉法人か、経営状況はどうか、といった運営母体の事を気にされている方は少ない様に感じています。そういった視点も持っていて損はないのかなと思いますが、いかがでしょうか。

成田さん

高橋さん

確かに、運営母体のことも含めて介護業界の事を深く考えている方は少ないのかも知れません。面接をしていると、「高齢化社会で介護業界は成長産業だから」と言われる方がいます。
もちろん高齢化は進んでいるのですが、介護保険があってこその介護サービスであり、少子化に伴って納税者が減っていく中で、介護業界は変化していくと思います。どこまで先の事を考えている企業なのかを知ることも大切だと思っています。
確かに高齢者割合は今後も増えると思いますが、市場規模がそれに伴って拡大していくかというと必ずしもそうではないと思いますので、企業や法人が長期的にどのようなビジョンを持っているか確認した方が良いですね。

梅田さん

高橋さん

事前に調査した社内データですと、離職者の約17%が入社から3ヶ月以内に退職されていてその中でも1ヶ月以内という方が割合を多く占めていました。理由としては面接時に面接者と応募者でしっかりすり合わせを行わず、なんとなく入社して「やっぱり違った」となっている方が多いのではと考えています。
ミスマッチを防ぐという点では、面接時にお互いの想いを共有することが大切だと思います。
私個人的には、部分的にミスマッチがあってもいいのかなと思っています。例えば始めはミスマッチと思っていたことも、社内の配置転換などで別のサービスに異動したり、施設が換わったりすれば解消されることも多いからです。
そのため、複数のサービスや事業所を展開しているなど、企業や法人としての規模も転職先を選ぶポイントになると考えます。

成田さん

まとめ

今回のセミナーでは、「キャリアアップ転職を成功させるカギ」と題して、自分に合った転職先の探し方やこれからの時代に求められる人材について語られました。

理想のキャリアを実現する上で重要なポイント
  1. キャリアアップの形は一つではない
  2. 自身の最終目標を明確にしておく
  3. 転職先の研修・支援体制を知る
  4. 目標の実現に向けた経験を積む
転職後のミスマッチを防ぐために持つべき視点とは
  1. 離職理由を本当に解決できる職場なのかを見極める
  2. 介護観が一致するか、目標が実現するか、実現する可能性があるかを確認する
  3. 面接は転職先と求職者がお互いを知る場にする
  4. 転職先の長期的なビジョンを確認する

今回のセッションを終えて、『自身の目標を明確にすることが大切』ということが分かりました。具体的にどうなりたいのか、自身の想いを伝え、転職先の想い知ることなど、面接時に重要なことも挙がりましたね。

転職してキャリアアップしたいと考えている方は、決して焦らずまずはご自身と向き合ってみることで、可能性が拡がっていくでしょう。

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