家族に介護が必要になったときに利用できる介護休業・介護休暇制度について詳しく解説!

介護休業と介護休暇の違い

介護休業・介護休暇とは、ご家族に介護の必要な方がいる場合、労働者が仕事と介護の両立を図るための雇用保険制度のことです。

介護休業・介護休暇を取得するにあたり、対象家族となるのは、配偶者(事実婚もOK)、父母、配偶者の父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫です。ここで言う「子」とは、法律上の親子関係がある子のみであり、養子はこの範囲に含まれます。

また、介護休業と介護休暇は似ている言葉ですが、介護休業と介護休暇の制度内容は異なりますので、それぞれ詳しく見ていきましょう。

介護休業とは

労働者が、要介護状態にある対象者を介護するために一定期間のまとまった休みを取得することを指します。

ここで言う労働者とは、日雇いを除く労働者のことを指しますが、パート・アルバイトなどの有期雇用契約の場合は申し込み時点で下記の条件を満たすことが必要になります。

令和4年3月末まで

  • 入社1年以上であること
  • 取得予定日から起算し93日を経過する日から6ヶ月を経過する日までに契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと

※令和4年4月1日以降は、「入社1年以上であること」という条件の廃止が決定

労使協定を締結している場合には、以下の労働者は対象外となります。

  • 入社1年未満の労働者
  • 申し出の日から93日以内に雇用期間が終了する労働者
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

労使協定とは、事業所ごとに労働者の過半数で組織する労働組合がある時はその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない時は、労働者の過半数を代表する者と事業主との書面による協定のことを指します。

(参考:厚生労働省『介護休業とは』

また、まとまった休みというのは、対象家族1人につき93日までとなります。1度にまとめて取得する方法と、2回・3回に分けて取得する方法がありますので、ご自身の環境に合わせて取得方法を検討しましょう。

休業したい期間が決まっている場合は、予定日の2週間前までに事業主に申し出ることがすすめられています。社内規定の書面などがあるか事前に確認しましょう。特定の書面がない場合は、厚生労働省のホームページに様式例があるため、ダウンロードして活用するのもおすすめです。

介護休暇とは

労働者が、要介護状態にある対象者を介護するために単発で取得する休みのことを指します。

ここで言う労働者とは、日雇いを除く労働者のことを指しますが、パート・アルバイトなどの有期雇用契約の場合は申し込み時点で下記の条件を満たすことが必要になります。

  • 入社6ヶ月以上であること
  • 1週間の所定労働日数が3日以上であること
労使協定を締結している場合には、以下の労働者は対象外となります。

  • 入社6ヶ月未満の労働者
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

労使協定とは、事業所ごとに労働者の過半数で組織する労働組合がある時はその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない時は、労働者の過半数を代表する者と事業主との書面による協定のことを指します。

(参考:厚生労働省『介護休暇とは』

介護休暇で取得出来る休暇日数は、対象家族1人につき年5日までとなります。1日単位、あるいは時間単位でとることができますが、時間単位での取得が困難な業務に従事している方などは1日単位のみとなる場合があります。

休暇を取得する際の手続きに特別な決まりはありませんが、社内規定がないかどうかをあらかじめ確認しておきましょう。

介護休業中の経済的支援

収入面の不安から介護休業を積極的に活用しようと思わない方もいるかもしれませんね。しかし、雇用保険の被保険者で要件を満たす方については、介護休業期間中に給付金を受け取ることができます。

これを介護休業給付金といい、その額は休業開始時の賃金の月額67%となっています。この介護休業給付金は、介護休業のみに適用される支援です。

介護休業・介護休暇を利用する上で大事なポイント

介護休業や介護休暇を取得しても、介護が必要な方の生活を全て家族だけで支えるのはとても大変です。介護休業や介護休暇には日数等の制限もあり、とりあえず取得できたとしても長期的な視点で考えると他のサポートも活用することが大事になります。

介護保険制度を申請し専門職のサポートを受ける体制づくりや、介護サービスを受けて家族以外の人の支援を受けることの準備などを進めていくことをおすすめします。

まとめ

仕事と介護の両立は、とても大変で仕事を辞めなければならないと考える人も多いです。しかし、公的な介護サービスを使い上手に介護の肩代わりを専門職にしてもらうことで、仕事を辞めずに済む方はたくさんいます。

介護休業や介護休暇を上手に活用し、自分の休養時間もきちんと確保しながら在宅介護に向き合うことが大事です。