居宅介護従業者養成研修等について~研修内容や働ける場所についてご紹介!

介護業界では「介護福祉士」や「介護支援専門員(ケアマネージャー)」など、さまざまな資格や研修があります。

しかし、介護を必要としている人にも幅広いタイプがあり、障害の区分や仕事内容によって、取得しておくべき資格も異なります。

そこで今回は、障害者(児)を介助するための専門的な知識・技術を習得できる「居宅介護従業者養成研修等」について紹介していきます。

  • 居宅介護従業者養成研修等とは?
  • 居宅介護従業者養成研修等はどんな職場に必要?
  • 居宅介護従業者養成研修等を取得するメリットは?

上記のように考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。

居宅介護従業者養成研修等とは

居宅介護従業者養成研修等の中で、今回は「障害者居宅介護従業者基礎研修」「居宅介護職員初任者研修」についてご紹介します。

障害者居宅介護従業者基礎研修

障害者居宅介護従業者基礎研修とは、障害者(児)の多様化するニーズに対応するために、専門的な知識と技術を学習するための研修です。

障害者居宅介護従業者基礎研修の中には、重度障害者を支援する「重度訪問介護従業者養成研修(基礎課程・追加課程・統合過程)」や、知的・精神障害者の移動を支援する「行動援護従業者養成研修」、視覚障害者を支援する「同行援護従業者養成研修(一般課程・応用課程)」があります。

※平成25年4月より「居宅介護従業者養成研修(3級)」は「障害者居宅介護従業者基礎研修」に移行されました。

居宅介護職員初任者研修

居宅介護職員初任者研修とは、居宅介護従業者がおこうなう介護知識や技術を習得するための研修です。

居宅介護や重度訪問介護など、障害者総合支援法に基づくサービスに従事するためには必須となります。

※平成25年4月より「居宅介護従業者養成研修(3級)」は「障害者居宅介護従業者基礎研修」に移行されました。

居宅介護従業者養成研修等のカリキュラム

研修におけるカリキュラムを見ていきましょう。

障害者居宅介護従業者基礎研修

障害者の居宅介護では、食事・排泄・着替え・入浴などに加えて、掃除や洗濯などの家事援助もおこないます。

そのため、障害者居宅介護従業者基礎研修では、介護知識だけでなく、家事援助の方法や利用者の心理状況まで学習していきます。

科目 時間
講義 社会福祉に関する知識

  • サービス提供の基本視点(3時間)
  • 障害者(児)福祉の制度とサービス(2時間)
  • 高齢者保健福祉制度とサービス(2時間)
7時間
ホームヘルプサービスに関する知識と方法

  • ホームヘルプサービス理論(3時間)
  • サービス利用者の理解(3時間)
  • 介護概論(3時間)
  • 家事援助の方法(4時間)
13時間
関連領域の基礎知識

  • 医学の基礎知識(3時間)
  • 心理面への援助方法(2時間)
5時間
演習 共感的理解と基本的態度の形成 4時間
介護技術入門 10時間
ホームヘルプサービスの共通理解 3時間
実習 在宅サービス提供現場見学

  • デイサービスセンター見学(5時間)
  • ホームヘルプサービス同行訪問見学(3時間)
8時間

以下、2つの条件のどちらかを満たしている人は、演習「介護技術入門」が免除されます。

  • 指定された障害者支援施設・障害児入所施設・児童発達支援センター・医療型児童発達支援センターで介護業務に従事している、もしくは3年以内に6ヶ月以上の実務経験がある
  • 指定された生活介護事業所・児童発達支援事業所・放課後等デイサービスで介護業務に従事している、もしくは3年以内に6ヶ月以上の実務経験がある

(参照:東京都福祉保健局”東京都障害社居宅介護従業者基礎研修等事業実施要項” 令和2年11月2日)

居宅介護職員初任者研修

居宅介護職員初任者研修では、介護業務に従事する人が知っておくべき最低限の知識・技術を学習できます。

受講するための条件もないため、障害者や高齢者への介護経験がない人でも問題ありません。

科目 時間
講義および演習 職務の理解 6時間
介護における尊厳の保持・自立支援 9時間
介護の基本 6時間
介護・福祉サービスの理解と医療との連携 9時間
介護におけるコミュニケーション技術 6時間
障害の理解 6時間
認知症・行動障害の理解 6時間
老化の理解 3時間
こころと体のしくみと生活支援技術 75時間
振り返り 4時間
筆記試験による修了評価 1時間

(参照:北海道 居宅介護職員初任者研修実施要項 ”別紙1 居宅介護職員初任者研修課程カリキュラム”)

研修修了者の就業場所について

居宅介護従業者養成研修を修了した方は、下記の様な職場で就業することが可能です。

  • 訪問介護事業所
  • 重度訪問介護事業所

それぞれ詳しく紹介していきます。

・訪問介護事業所
訪問介護では、障害を持っている利用者の自宅に訪問して、身体介護、家事援助、通院・乗降介助などをおこないます。

施設での業務よりもトラブルが起こりやすいため、居宅介護職員初任者研修の修了は必須です。

また、事業所によっては、障害者だけでなく高齢者の介護を行っている場合もあります。

・重度訪問介護事業所
重度訪問介護事業所では、重度の肢体不自由・重度の知的障害・重度の精神障害などを持っている利用者の自宅に訪問して生活の支援をおこないます。

実際に重度訪問介護事業所で働くためには、居宅介護従業者養成研修だけでなく、重度訪問介護従業者養成研修も修了している必要があります。

・その他
以下は、居宅介護従業者養成研修の修了が必須ではありませんが、持っているとメリットのある職場です。

  • 障害者支援施設
  • 障害者グループホーム(共同生活援助)
  • 障害者デイサービス(生活介護)
  • 放課後等デイサービス
  • 就労移行支援事業所

居宅介護従業者養成研修は受講時間も長く、非常に幅広い介護知識・技術を習得できます。

そのため、活かせる職場も多く、転職を検討している人にもオススメです。

研修を修了するメリット

それでは最後に、居宅介護従業者養成研修を取得するメリットを紹介していきます。

居宅介護従業者養成研修を修了しておくと、以下のようなメリットがあります。

  • スキルアップ
  • 需要が高まる=採用されやすい
  • 経験を積みキャリアップも可能

それぞれ詳しく紹介していきます。

スキルアップ

居宅介護従業者養成研修を受講することで、障害に関する基礎知識が身に付くため、幅広い業務に活かすことができます。

介護業界で長く働くのであれば、活かせる職場も多いため、受講しておいて損はありません。

需要が高まる=採用されやすい

障害者が居宅介護を利用する件数は、年々増加しています。

障害者の居宅介護に対応できる人の需要も高まっているため、居宅介護従業者養成研修を修了していれば採用される可能性が上がります。

経験を積みキャリアアップも可能

居宅介護従業者養成研修を修了して、経験を積むことでキャリアアップも可能になります。

特に国家資格である「介護福祉士」の試験を受けるためには、居宅介護職員初任者研修の修了が必須です。

サービス管理責任者などを目指している場合にも有効なので、責任のある仕事を任されたい人は受講しておきましょう。

まとめ

今回は、居宅介護従業者養成研修についてお伝えしました。

居宅介護従業者養成研修とは、障害者(児)の多様化するニーズに対応するために、専門的な知識と技術を学習するための研修です。

障害者(児)の居宅介護のニーズが高まっているため、対応できる人を求めている施設も少なくありません。

幅広い介護知識・技術を習得したい人にはぴったりの研修なので、ぜひ検討してみてください。