介護業界では待遇の低さや人手不足が問題となっています。こうした問題を解決するための方法として「業務改善助成金」という制度があるのをご存じでしょうか?この記事では業務改善助成金の支給要件や助成額、介護事業所における活用例を紹介します。介護事業者の方はぜひ参考にしてください。
記事でわかること
業務改善助成金とは
業務改善助成金とは、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)の引き上げを図るための制度です。中小企業・小規模事業者の生産性向上の支援を目的として、2021年より申請受付が始まりました。生産性向上のための設備投資等(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練)を行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部が助成されます。
(参考:厚生労働省「業務改善助成金」)
業務改善助成金の支給要件
業務改善助成金の対象となるには、以下の支給要件を満たす必要があります。
- 賃金引上計画を策定し、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げる(就業規則等に規定)
- 引き上げ後の賃金額を支払うこと
- 生産性向上に資する機器・設備やコンサルティングの導入、人材育成、教育訓練を実施することにより業務改善を行い、その費用を支払うこと(単なる経費削減の為の経費、職場環境を改善するための経費、通常の事業活動に伴う経費などは除く)
- 解雇、賃金引下げ等の不交付事由がないこと
また、生産性を向上させた事業所が業務改善助成金を利用する場合、助成金は割り増しされます。生産性向上と認められるための要件とは、助成金の申請を行う直近の会計年度における生産性が、その3年度前よりも6%以上伸びていることです。生産性は厚生労働省の「生産性要件算定シート」より計算できます。
業務改善助成金の助成額
業務改善助成金の助成額は、下図のように引き上げた賃金額や労働者の人数によって異なります。
コース区分 | 引上げ額 | 引き上げる労働者数 | 助成上限額 |
30円コース | 30円以上 | 1人 | 30万円 |
2~3人 | 50万円 | ||
4~6人 | 70万円 | ||
7人以上 | 100万円 | ||
10人以上(※1) | 120万円 | ||
45円コース | 45円以上 | 1人 | 45万円 |
2~3人 | 70万円 | ||
4~6人 | 100万円 | ||
7人以上 | 150万円 | ||
10人以上(※1) | 180万円 | ||
60円コース | 60円以上 | 1人 | 60万円 |
2~3人 | 90万円 | ||
4~6人 | 150万円 | ||
7人以上 | 230万円 | ||
10人以上(※1) | 300万円 | ||
90円コース | 90円以上 | 1人 | 90万円 |
2~3人 | 150万円 | ||
4~6人 | 270万円 | ||
7人以上 | 450万円 | ||
10人以上(※1) | 600万円 |
助成対象事業場 | 以下の2つの要件を満たす事業場
・事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内 ・事業場規模100人以下 |
助成率 | 事業場内最低賃金が900円未満の場合は4/5
(生産性要件を満たした場合は9/10)※2 事業場内最低賃金が900円以上の場合は3/4 (生産性要件を満たした場合は4/5)※2 |
- 賃金要件: 事業場内最低賃金900円未満の事業場
- 生産量要件:売上高や生産量などの事業活動を示す指標の直近3ヶ月間の月平均値が前年又は前々年の同じ月に比べて、30%以上減少している事業者
業務改善助成金の活用事例
介護業界における業務改善助成金の活用事例を紹介します。
- 引き上げリフト付き福祉車両
- 調節機能付き電動式ベッド
- 食器洗浄機
- 改修等におけるレイアウト変更
上記のような設備投資により、これまで複数人で行っていた業務の人員削減や時間短縮が可能になります。また、受発注機能付きシステムやウォータベッド型マッサージ器、パソコンやタブレットの導入なども補助対象となります。
(詳しくはこちら:業務改善助成金業種別事例集(医療・福祉編))
業務改善助成金の申請方法
業務改善助成金の申請から助成金受け取りまでの流れは以下の通りです。
各種申請様式は、厚生労働省のホームページからダウンロードできます。
まとめ
業務改善助成金とは、中小企業・小規模事業者の生産性向上を支援し賃金の引上げを行うための制度です。介護業界では特に人手不足や待遇の低さが問題となっているため、事業の継続にはこうした制度による業務改善が重要となるでしょう。申請期間や助成要件などは随時変更されていくため、介護事業者の方は厚生労働省のホームページをこまめにチェックしておいてくださいね。
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