『発達障害』という言葉を耳にする機会も多いのではないでしょうか。近年では、学校に支援級が設置されたり、発達障害を持つ有名人がその特徴やこれまでの人生を発信するなど、より身近なものに感じられるようになりました。ここで、改めて発達障害について深堀していきましょう。
記事でわかること
発達障害とは
発達障害は個人によってその特性が異なります。ekaigowithでこれまで紹介した特性を一つずつ見ていきましょう。
ADHD(注意欠陥多動性障害)
ADHD(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)とは、注意欠陥多動性障害とも呼ばれ、注意欠如や多動症などの特性を持ちます。具体的な特性として、集中できない、じっとしていられない、考えるよりも先に動くことなどが挙げられます。接し方のポイントとしては、障害特性を理解して、してほしい行動としてほしくない行動を整理し、叱責したり否定的な言葉を用いることなく、褒めながらよりよい行動に導くことが望ましいとされています。
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ADHD(注意欠陥多動性障害)とは?特性や治療方法、配慮の仕方について解説
ASD(自閉スペクトラム症・アスペルガー症候群)
ASD(Autism Spectrum)とは、自閉スペクトラム症とも呼ばれ、対人関係やコミュニケーションを取ることに苦手意識があり、特定のものへのこだわりが強いといった特性を持ちます。具体的な特性としては、急な予定変更が苦手、初めての環境が苦手、集団行動が苦手などが挙げられます。接し方のポイントとしては、言葉で伝えるときは短い文で具体的な手順を説明したり、写真や絵を用いて簡潔に説明することなどが望ましいとされています。
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ASD(自閉スペクトラム症)とは?特性や原因、配慮の仕方を解説
LD(限局性学習障害)
LD(Learning Disabilities)とは、限局性学習障害とも呼ばれ、全般的な知的発達の遅れはないものの、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論する能力のうち特定のものに著しい困難を持つといった特徴を持ちます。具体的な特性として、教科書を読むのに時間を要し学習に遅れが出る、学業不振が著しくなり心身症や不登校になる、会議でメモを取ろうとすると書くことに集中してしまい内容が分からなくなるなどが挙げられます。接し方のポイントしては、文字を大きくして読みやすく体裁を整えたり、メモを取る代わりにボイスレコーダーを使用したりすることが望ましいでしょう。
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LD(学習障害)とは?特性や治療方法、配慮の仕方を知ろう
チック症
チック症とは、目的のない運動を素早く不規則に繰り返してしまう特性を持ちます。日常生活に支障をきたす場合は『トゥレット症』とも呼ばれ、意図せず衝動的に動作が起こります。具体的な特性としては、首を振る、顔をしかめる、声を出す、その場ではふさわしくないことを言う、などが挙げられます。接し方のポイントとしては、本人とその周囲が特性を理解し、症状が出やすい場面を観察して対応の参考にすることが望ましいとされ、特別扱いをせず、普段通り接することが望ましいとされています。
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チック症について知ろう!症状や原因、治療方法を解説
吃音
吃音(きつおん)とは、滑らかに話すことが出来ない状態のことで、音を繰り返したり引き延ばしたり、なかなか話出せないといった特性を持ちます。具体的な特性としては、「わ、わ、わ、わたしは」「わーーーたしは」「・・・っわたしは」といったような発生が挙げられます。接し方のポイントとしては、症状が出ても、特に指摘せずゆったりした姿勢で聞いてあげることが望ましいとされています。
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発達障害の「吃音(きつおん)」とは?症状や配慮の仕方を学ぼう
発達段階を知る
自分の子どもは発達障害かもしれない、と決めつける前に、国立障害者リハビリテーションセンターの発達障害情報・支援センターが紹介するライフステージ別の発達段階とお子様の発育状態を照らし合わせてみましょう。今回は一部を引用して紹介いたします。
乳幼児期
乳幼児期は、人に対するコミュニケーションが芽生える時期で、周囲の様子をじっと観察して、真似しようとすることがあります。大人の真似をするのは、子どもが周囲の人に興味を持っている証拠です。これから言葉を覚えて生活習慣を身に付ける上で、対人コミュニケーションの第一歩となります。
模倣 |
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呼名反応 |
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指さし |
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ごっこ遊び |
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引用:国立障害者リハビリテーションセンター 発達障害情報・支援センター『乳幼児期』
学童期
学童期前半には、多くの友達との遊びや学習を通して、家庭で培ってきたルールや価値などのすり合わせを行う時期で、時に競争したり、ともに喜びあったりしながら仲間関係を築き上げる時期です。
学童期後半には、相手の立場に立ったものの見方が出来るようになることが大きな特徴で、仲間意識が強くなり、家族や大人の価値観よりも仲間の価値観を優先させることもあります。グループの規律を守って協力行動をとる、という社会的行動の素地が培われます。
引用:国立障害者リハビリテーションセンター 発達障害情報・支援センター『学童期』
思春期
思春期は理想と現実のギャップに悩む時期で、消極的になったり、背伸びをしたりして無理をしてしまいます。周囲からの評価が気になり、その捉え方が周囲から見ると過敏な感じ方に見えることも。より広い社会に敏感になるとともに、自分自身に目を向けることにも没頭しがちで、間違ったり歪んだ自己像を持ってしまうこともあります。
引用:国立障害者リハビリテーションセンター 発達障害情報・支援センター『思春期』
青年・成人期
青年期(18~22歳)では、自分らしさやアイデンティティを持つというテーマに少しだけ決着する時期です。これは難しいもので、今後もこのテーマと向き合うことは続くでしょう。
その後、成人期となると、将来一緒に歩んでいくパートナーと出会ったり、子どもやそれ以外の新しい何かを育てたりと、これまでの体験や知識を使って生きていくというライフサイクルを送っていくことになります。
引用:国立障害者リハビリテーションセンター 発達障害情報・支援センター『青年・成人期』
いかがでしょうか?年を重ねるごとに出来ることが増えたり、新しいコミュニティに加わったり、特定のことに悩んだりしながら、人は成長します。何かにつまづいた時に、全てを発達障害に繋げるのではなく、まずはしっかりとお子さんと向き合ってみることも必要です。
発達障害かも?と感じたら
ここまでに紹介した発達障害の特性を感じたり、発達・成長段階よりも遅れを取っているのでは、と感じた場合、どうすれば良いのでしょうか?具体的な手順を見ていきましょう。
お住まいの市町村窓口や発達障害者支援センター、医療機関に相談する
発達障害がある場合、早めに適切な療育に繋ぐことで、社会に適応する能力を身に付け、様々な能力を伸ばしていく事が出来ます。発育歴や相談したことについては整理して今困っていることはどんなことが予めメモしておくと良いでしょう。
引用:政府広報オンライン『発達障害ってなんだろう』
引用:国立障害者リハビリテーションセンター 発達障害情報・支援センター『医療受診』
手帳の交付を受ける
医療機関等で発達障害と診断された場合、市町村の担当窓口で申請を行うと、手帳が交付されます。発達障害を含む精神障害により、長期にわたり日常生活又は社会生活への制約がある方には、精神障害者保健福祉手帳が、知的障害があり、発達障害などの精神障害がない方については、療育手帳が交付されます。(発達障害と知的障害を両方有する場合は、両方の手帳が交付されます)
手帳をお持ちの方は、障害者総合支援法の対象となり、障害福祉サービスや各自治体や民間事業者が提供するサービスを受けることが出来るようになります。詳しくはお住まいの市町村担当窓口へお問い合わせください。
引用:厚生労働省 知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス『精神障害者保健福祉手帳』
引用:厚生労働省『障害者手帳』
療育や支援を受ける
発達障害がある場合、早めに適切な療育を行うことで、社会に適応する能力を身に付けて様々な能力を伸ばすことが可能です。今回は、年齢別で受けることが出来る療育や支援を一部ご紹介致します。
療育とは?~児童発達支援や放課後等デイで働きたい方が気になることをまとめました~児童発達支援
未就学児が利用することのできる障害福祉サービスです。児童発達支援管理責任者という資格を有した療育のプロや保育士、児童指導員などの保育のプロ、事業所によって作業療法士や言語聴覚士などの専門職がお子様の発達を促します。
児童発達支援とは?仕事内容や職種、持っていると役立つ資格、やりがいについて詳しく解説!放課後等デイサービス
小学生~高校生までの児童・生徒が利用することのできる障害福祉サービスです。主に終業後や長期期間中に通所して、学習支援を行ったり、集団生活にうまく馴染むためのレクリエーションを行ったりします。事業所によっては、運動特化型や学習特化型などの特性があったりもします。
放課後等デイサービス(放デイ)とは?仕事内容や職種、持っていると役立つ資格、やりがいについて詳しく解説!就労支援
大人向けの支援として、就労移行支援、就労継続支援(A型・B型)、就労定着支援など複数の就労支援サービスが存在します。障害特性から、一般企業に就職すること、一つの企業で長く勤め続けること、周囲と同じ仕事をこなすのが難しい方などに向けた個別の支援を行っています。
就労継続支援A型事業所で支援を行いたい方向け!~人員基準や支援内容、やりがいについて詳しく解説~ 就労継続支援B型事業所で支援を行いたい方向け!~人員基準や支援内容、役立つ資格、やりがいについて詳しく解説~
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